株価チャートをテクニカル分析している人は多いです。しかし、この根本的な目的まで考えている人は少ないでしょう。では根本的な目的とはなにか?
それは「買いたい人と売りたい人のどちらが多そうかを見極め、値動きの転換点を探ること」です。チャートをテクニカル分析するのは全てこの理由に沿っているもので、キーワードとしては「需給」が挙げられるでしょう。
この記事はチャートをテクニカル分析するという日常的な内容についてもう一度だけ深く考察してみようと書いたものです。株価が今どうなっているかも大事ですが、もっと本質的な理由を一緒に考えていきましょう。
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チャートをテクニカル分析する意味とは
冒頭で述べたように、チャートをテクニカル分析する結局の理由は「売りたい人が多そうか買いたい人が多そうか」このひとつだけを考えています。まず大前提となるのは株価が決まる仕組みは「売りと買いの注文が同じ価格でぶつかる」という非常にシンプルなものだということです。
例えば、買いたい人がかなり多い絶好調の人気株ならそうそう安い株価で売りを出す人はいないですよね。ということは買いたい人は既に保有している誰かが出す高い売り指値を買っていかなければならないということになります。
つまり今よりも高い株価で売りと買いが約定しやすいと言い換えられ、高い株価で約定しやすいということは株価が上がっていきやすいということにもなるでしょう。こういった内容は要するに需給そのものを表しています。
株に馴染みのない方にもわかるよう身近な例に置き換えるのであれば転売がわかりやすいでしょう。転売をやっている人はみんなが欲しがる商品を安く買って高く売ります。
例えば通常なら1箱数百円で買えるようなマスクでも、未曾有のウィルスが流行すればあれよあれよとプレミアム価格で転売され何倍もの値段がつくのは記憶に新しいですよね。これは
- そもそもマスクの生産量や市場に出回っている供給量が需要に追いついていない
- 高くても買う人が大勢いる
という状況だからこそ値段を吊り上げられるわけです。話を戻しましょう。株式市場において「誰もが欲しいと感じる株」というのはどんなものでしょうか?
ここを考えるとチャートをテクニカル分析することの意味も深まってくるというものです。
銘柄の属性や立ち位置を考える
正直言って、投資家が株を欲しいと感じる理由というのは割としょうもないものが多いかと思います。機関投資家はしっかりと調べ上げた上で株を買うのでしょうが、個人投資家の多くは「なんだか良さそうだから」とか「なんか上がりそうだから」という感じでしょうね。
そのため難しく考えず、チャートをテクニカル分析する前にその銘柄がどのような属性を持っているかだけシンプルに連想した方が良いと思います。例えば
- 好業績銘柄として人気である
- 株主優待や配当金といった利回りを期待されている
- 季節性要因で物色されている
- 社会問題を解決するような事業が投機的な思惑を出している
などなどこういったことで割と節操なく人気が移り変わっていきます。もっと言えば株が必要とされる時期というのはこういった属性によって異なるでしょう。
好業績銘柄であれば四半期決算が近づくにつれて物色されるでしょうし、株主優待や配当金目的であれば権利確定月に向けて買われることが想像できます。
季節性要因が強いならそれぞれの季節に向けて、社会問題を解決する事業であればニュースで大きな問題が騒がれた時期に突然物色されるなんてことがあってもおかしくありません。
チャートをテクニカル分析する前にその銘柄はどのような立ち位置にいて、需要が高まりそうな時期に絞ってチャートをテクニカル分析するのです。このスキームを踏むことで銘柄そのものの需給要因とチャート上のテクニカル分析に濃い関係性が生まれ、テクニカル分析なんて意味がないなんて揶揄される売買スタイルにも意味が出てくるというものですよね。
前述のような銘柄属性には年がら年中お決まりごとのように物色されるものまであり、季節性要因や人気株主優待銘柄などはその最たるものです。そういった銘柄の過去チャートを需要が高まる時期に絞ってテクニカル分析して、毎年のごとく一定の規則性が見つかったチャートはリスト化して役立てます。
チャートから読み取れる情報
チャートをテクニカル分析する前に銘柄の属性を考えようと述べました。では需給が高まる時期にチャートのどういった所を見ていけば良いのでしょうか。
個人的には知りたい情報とそれぞれのテクニカル指標を対応させて見てあげれば良いと思います。例えばチャートから人気の高まりを感じ取りたいのであれば出来高が最も適しているとテクニカル分析の世界では言われていますよね。
権利確定月が1ヶ月後に迫る株主優待銘柄の出来高が膨らんできたのであれば「優待取得に向けて個人投資家が動き出したのかな」と考えられ、それに伴って陽線の数が増えてきたのであれば
- 価格そのものの上昇
- 寄りから引けにかけて買われる流れ
ということも連想できます。そこから移動平均線が上向いてきたのであれば「平均約定価格が上昇してきたな」とわかりトレンド発生を感じ取れるでしょう。
もっと早く価格上昇の兆候や過熱感を感じ取りたいなら
- MACD
- RSI
- RCI
- ストキャスティクス
などのオシレーター系指標が役立つでしょうし、テクニカル指標の中には一目均衡表の雲や価格帯別出来高など需給の節目を教えてくれるものまであるわけです。
銘柄属性から需給が高まりやすい時期を考え、実際にそうなってきたかをテクニカル分析の色々なパーツから感じ取る。その結果として価格の上昇やトレンド発生、自分が信頼している売買サインが点灯したのであれば「この需給要因に沿って買いたい人が増えてきたのかもしれない!」と考えられませんか?
思うにテクニカル分析というのは数字の集まりなのでそれ単体だけではあまり意味がないのでしょうね。しかし、そこに人間の心理や需給要因に企業業績などのカタルシスが絡んでくると見方が変わってくるはずです。
株式市場が現状でどういったことに関心を寄せているかを考えつつ、当てはまりそうな銘柄の株価チャートから自分が知りたい情報や転換点を読み取っていきましょう。
チャートの転換点を考える
ところで、記事の所々に「転換点」という単語が書いてきたことにお気づきでしょうか。転換点というのはここから株価の流れが変わる節目といった意味合いですが、これを手っ取り早く教えてくれるものがあります。
それは何かというと・・・とまぁこの話は私のYouTubeチャンネルにて2分動画で解説していますので、そちらをご参考下さい。驚くほど単純で株初心者さんは今すぐにでも意識してほしい内容になっています。
まとめ
今回はチャートをテクニカル分析するという日常的なことについて考察してきました。まず大事なのはその株が必要とされているかであり、それは株価を動かす需給そのものです。また、需給状況は時期によって変化しますし、それを考えつつチャートを見ていくことも大事ですね。
チャートをテクニカル分析する方法はネット上にいくらでも落ちていますが、その手順だけを覚えようとしている人がほとんどです。手順など簡単に覚えられるのでしょうが、チャートをテクニカル分析するそもそもの理由を突き詰めて考えなければただの確率論に踊らされているだけになってしまいます。株式市場や銘柄が置かれている状況を考えながらうまくチャートと付き合っていきたいものですね。
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