どうも、ひげづら(@higedura24)です。
企業の財務的な安全性を見るための基本的な指標として
- 利益剰余金
- 有利子負債
のふたつがあります。このふたつの指標の大小がどうなっているかによってその企業が財務的にどれくらい安全かがひと目でわかるのでぜひ覚えておきましょう。
また、
- 利益剰余金が多い場合どんなことが考えられるのか?
- 有利子負債が多い場合はどんなことが考えられるのか?
といったことも解説します。併せて覚えておきましょう。
利益剰余金と有利子負債のどちらが大きいのかが重要
まず語句の説明からです。
- 利益剰余金:株主資本から資本金や資本剰余金、自己株式を引いたお金
- 有利子負債:短期借入金、長期借入金、社債、1年内返済長期借入金などの合計
をそれぞれ指します。
簡単に言うと利益剰余金は企業が今までに稼いで溜め込んできた貯蓄のようなもので、有利子負債は返す必要のある借金というイメージです。
当然、利益剰余金が大きければ大きいほど企業が財務的に体力のある会社だと考えられますよね。
逆に有利子負債があまりに大きいと借金ばかりしていて大丈夫だろうかと不安になります。
有利子負債の大小はその企業がどんな業種なのかにもよりますので、あまりに有利子負債が大きくて心配な場合は同業他社の有利子負債の状況を調べてみるのが良いでしょう。
- セクター的に有利子負債が多めなのか
- 同じくらいの時価総額の同業他社に比べて有利子負債の額はどうか
- 同業他社と比べて自己資本比率はどうか
といったことがわかると数字の意味合いも変わってきます。
しかし、そんな前提がありつつも有利子負債と利益剰余金のどちらが大きいのかは財務的な安全を考える上で重要です。
例えば、
- 利益剰余金:100億円
- 有利子負債:10億円
という企業と、
- 利益剰余金:10億円
- 有利子負債:100億円
という企業では前者の企業のほうが借金の額に対して十分な貯金があるので借金で火の車になることはないなと感じます。
逆に後者では貯金の10倍もの借金があるので本当に返せるのかな?と心配になります。
借金の状況が苦しそうだなと感じる場合には投資を避けるか深掘りして企業を調べる必要があるというわけです。
利益剰余金と有利子負債から考え方を広げていく
例えばどうしても買いたいなと考える銘柄が、利益剰余金に対して有利子負債が多かったとしましょう。
そこだけ考えると財務的な安全性があるか疑問ですよね?
財務的な安全性を考えるくらいなので割と長めに保有するつもりで調べているわけですし、正直言うと私なら買いません。
しかし、それでも深掘りして調べるのであれば
- 現状の営業利益は多額の有利子負債を返していけるだけのものか
- 営業利益が申し分ない場合はなぜ貯金が残っていかないのか
- 営業利益率や売買利益率はどうか
- 多額の投資をするだけの大きな材料があるのか
といったことを四季報や適時開示を遡って調べていく必要があります。
深掘りして調べた結果、将来的に大きく純利益が向上するビジョンがある場合は金額を抑えた上で投資するのもありです。
逆に、調べても調べても「営業利益は少ないし、利益率も低いし、なにか長年投資をしているビッグプロジェクトもなさそう・・・」という状態であれば投資するに値しないでしょう。
チャートが上向いていてもやがて天井をつけて本来の株価水準に収束する可能性が高いです。
営業利益が大きい場合でもなぜ利益が残らないかはその企業の課題ですよね。
最近の取り組みとして利益率を改善するものがあるか調べます。そして決算を追っていったときに利益率が改善しているかを観察しましょう。
もともとある十分な営業利益がしっかりと純利益として残る体制が出来てくれば、次第に業績に現れて株価にも反映されてくる可能性があります。
有利子負債の額は利益剰余金の10倍までが目安
有利子負債がどれくらいだと多いと考えるのかは人それぞれだと思いますが、多いにしても利益剰余金の10倍までが限度と考えましょう。
また、直近で突然増えたのか長年に渡って同じ水準なのかは確認しておき、もし突然増えている場合はそのときの決算資料を確認すべきです。
一番直近の決算で突如増えた場合は特に適時開示を読み込み、すぐに解消されるようなものかどうか調べておくことをおすすめします。
有利子負債が多いのに高配当であったり、株主優待が手厚い場合には
- 減配や無配
- 株主優待の改悪
の材料が出る可能性もあるので気をつけましょう。
利益剰余金が潤沢な場合は株主還元策が出てくる可能性あり
逆に利益剰余金があまりに多い場合は
- 増配
- 自己株式取得
- 株主優待の新設や拡充
といった株主還元策の好材料が出てくる可能性が高いです。
四季報のコメント欄を見ていてもわかりますが、企業がお金をもて余していることはアナリストもチェックしています。
また、国内株式市場の資金流入のほとんどを担っている外国人投資家は株主還元にうるさい性格を持っていますよね。
また昨今では株主優待や配当金額が増加傾向にもあります。
そういった流れを鑑みても利益剰余金が多い企業は株主還元策の材料として狙い目の銘柄になってきますので覚えておきましょう。
また、単体で企業の純利益を考える場合でも、同じ時価総額の企業を比較する場合でも
利益剰余金が大きい企業のほうが時価総額を底上げされている分、評価は高い
という傾向があります。
簡単に言うと「時価総額の半分を利益剰余金でまかなっている企業」であれば半分の時価総額実態で考えられ割安感が増すイメージです。
利益剰余金が潤沢な企業は色々な意味でメリットがありますね。
株価水準が割安かどうか考える必要はありますが投資対象としては優秀な部類です。
利益余剰金や有利子負債は証券アプリで簡単に確認できる
ここまで解説してきた利益余剰金や有利子負債は証券アプリの四季報欄で簡単に確認可能です。
楽天証券であれば・・・
こんな感じでわかりやすく四季報欄に並んで表示されています。楽天証券はその他のファンダ関連の指標もわかりやすくまとまっているので非常におすすめですね。
指標チェック以外にも非常に有能な証券会社なのでまだ持っていない方はぜひ口座開設しておくと色々と役立ちますよ。
まとめ
いかがでしたか?今回は利益剰余金と有利子負債について解説しました。
このふたつは財務的な安全性を考える上で非常に基本的な部分ですのでぜひ覚えておきましょう。
もし割安な株価水準で利益剰余金が潤沢な企業があれば色々と考えてみるのも投資妙味がありそうです。
利益剰余金や有利子負債から派生して、営業利益の考え方などを詳しく調べるには決算短信を読む必要があります。
決算短信については決算短信の読み方!どんなことをチェックすればいいのか解説!で解説していますのでこちらもご参考ください。
その他の財務安全性指標については財務安全性指標まとめ!株をやるなら倒産リスクを測るべし!でまとめています。
それではまた!
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