どうも、ひげづら(@higedura24)です。
今回は株式投資における注文の種類を紹介します。
初心者さんは成り行き注文をしがちですが、ケースバイケースで色々な注文を使い分けることでより効率的に約定させることが可能です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
株式投資における注文種類
では早速ですが株式投資における注文の種類をカテゴリーで分けて解説します。
現物か信用かで分類
まず現物か信用かで分けたときの注文方法です。
- 現物:自己資金で購入する方法
- 信用買い:証券会社から自己資金を超えた範囲の資金を借りて買う方法
- 信用売り(空売り):証券会社から自己資金を超えた範囲の株を借りて売る方法
現物
「現物(げんぶつ)」とは自己資金の範囲内で購入する注文方法のこと。自己資金を株式に変えるやり方なので決済期限はありません。
現物で注文するケースは
- 信用取引をしなくても良いだけの購入資金がある
- 自己資金を超えた投資を好まない
- 信用取引で無駄に金利を払いたくない
- 保有期間を決めずに売買する
- 配当および優待狙いなど中長期で保有する意思がある
という場合が多いですね。
信用取引と違い、自己資金だけで完結するためいくら損をしても借金という状況にはなりません。
ただし、デイトレの場合は後述する「一日信用」という注文方法が用意されているため現物は向いていません。
信用買い、信用売り
株式投資では証券口座の中に、信用取引口座を開設することで自己資金を超えた範囲の取引が可能です。
また、信用取引には信用買いと信用売りがあります。
信用買いは自己資金を超えた範囲で取引をしたい場合に、証券会社からお金を借りて取引することを言います。
借りられる範囲は信用買い・売りに関わらず自己資金の3.3倍まで。
100万円なら330万円まで借りることが可能ということ。
信用買いは借金のため、当然のことながら返済期間が定められています。
返済期間は
- 1日
- 半年(制度信用)
- 無期限(一般信用)
の3種類。
「制度」や「一般」についてですが、
- 制度信用:証券取引所が指定する銘柄のみ対象。返済期限は半年だが金利が安い。
- 一般:ほぼ全ての銘柄が対象。返済期限はないが金利が高い。
という違いがあります。
1日信用はデイトレ用に用意されている当日限りの信用取引のこと。
当日中に返済しなければなりませんが、金利が安く手数料がかからないメリットがあります。
そのため、デイトレをやる場合は現物ではなく「1日信用」を使うのが一般的。
次に信用売り(空売り)について。
信用売りとは証券会社から株を借りて売る方法を言います。
例えば、あなたが保有していない銘柄Aについて「この株はこれからどんどん下がっていきそうだ」と考えたとしましょう。
このときの銘柄Aの株価は1000円。
そんな時に、信用売りではその銘柄を証券会社から借りて売ることができます。
つまり株価1000円の銘柄を市場で売ることができるというわけ。
例えば100株を売った場合、儲けは1000円 × 100株 = 10万円 です。
でも借りた株だからあとで株式に戻して返す必要がありますよね?
そこで銘柄Aの株価が狙い通り下落した時に買い戻します。
例えば900円まで下落したときに買い戻した場合、
- 900円 × 100株 = 9万円
最初の儲け10万円から9万円を引くとあなたの手元には1万円が残るという流れになります。
このように信用売りでは
- 株を借りて売る
- 株価が下がったら買い戻す
- 株を返して差額を利益にする
という方法で利益を得ています。なお、信用売りでも返済期限が
- 1日
- 半年(制度信用)
- 無期限(一般信用)
が用意されています。ただし、
- どの銘柄も制度・一般が用意されているわけではない
- 証券取引所に定められた銘柄しか信用売りをすることはできない
という点に注意です。
もしどうしても信用売りをしたい銘柄がある場合は
SBI証券の「ハイパー空売り」というサービスを利用してください。
ハイパー空売り、通称「ハイカラ」では他の証券会社では空売りできない銘柄も空売りすることが可能です。
お目当ての銘柄がハイカラの対象かどうか調べてみるのもおすすめです。
約定方法で分類
今度は約定方法で分類してみましょう。約定方法で分類した場合、
- 成り行き
- 指値
- 逆指値
に分けられます。
成り行き
成り行きは簡単に言うと「いくらでもいいから約定させたいとき」に使う注文方法です。
成り行きを活用する場合として
- 悪材料などで下げの勢いが強い ⇒ 必ず売りたい
- 好材料で上げの勢いが強い ⇒ 必ず買いたい
といったことが考えられます。
上記に共通するのは「値動きが早いので素早く売買したい」ということ。
成り行き注文の最大のメリットはその約定スピードにあります。
大きな値動きの最中でも必ず約定させられるので上記のような場面では重宝します。
しかし、想定外の約定値になる場合があるといったデメリットもあることは認識しておきましょう。
特に板が薄い銘柄では
- 価格が飛び飛び
- それぞれの価格にある注文数も少ない
という特徴から想定していた約定値からかけ離れてしまうことも多いです。
成り行き注文をする場合は必ず板を確認してください。
指値
指値注文は「この価格で約定させたい」というときに使う注文方法です。
指値注文は最も頻繁に使うべき約定方法で、
- 想定外な約定値にしたくない
- 板が薄くても計画的にポジションを取りたい
- 現在値とかけ離れている価格で約定させたい
といった場合に活用します。
成り行きがなんでもいいから約定させてくれ!というのに対して、指値は計画的にポジションを取れるので初心者でもしっかりと活用してほしい約定方法と言えます。
指値注文では自分が指定した価格だけでなく、それよりも優位な約定値があった場合はそちらで約定させてくれます。
つまり指値注文さえしておけばそれよりも悪い約定値でポジションすることはないということ。
ただし、1方向に大きく値動きしている場合には指値は向きません。
1方向に大きく値動きしているということは指値をしてもその価格をはるかに通り過ぎていく可能性が高いんですね。
あと寸分の差で約定しなかったなんてことにならないようにしっかりと指値と成り行きを使い分けましょうね。
指値注文をうまく約定させるコツや手数料の素朴な疑問などについては
<関連記事>
で解説しています。
逆指値
逆指値は指値の逆バージョンだと考えて下さい。
何が逆かと言うと
- 買いの逆指値:その価格以上になったら買い
- 売りの逆指値:その価格以下になったら売り
というように、指値価格を基準に売りと買いの判断が逆になっています。
図で表すとこんな感じ。
逆指値は一見すると全然メリットがなさそうに見えますが、
- 買いの逆指値:指値価格を上抜けたら買い
- 売りの逆指値:ロスカットラインを下抜けたら売り
というようにブレイク買い手法や自動ロスカットとして機能します。
執行条件つき注文で分類
執行条件つき注文とはここまで紹介してきた注文方法に、ある一定の条件を取り付けた注文方法のことを言います。
種類と特徴は
- 寄り成:前場もしくは後場の寄りつきに成り行き注文
- 寄り指し:前場もしくが後場の寄りつきに指値注文
- 引け成り:前場もしくは後場の引けに成り行き注文
- 引け指し:前場もしくは後場の引けに指値注文
- 不成:ザラ場は指値扱いで、約定しない場合は前場引けもしくは後場引けに成り行き注文に変更して執行
- 大引け不成:ザラ場は指値扱いで、約定しない場合は大引けのみ成り行き注文に変更して執行
- IOC:発注後に即時約定させられる分だけ約定させ、あとは失効させる
があり、それぞれ成り行きや指値を元に作られています。
寄り指しと寄り成
寄り指しと寄り成は「寄り付きで指値もしくは成行で約定させる注文」を言います。
成行の場合はあまり考えられませんが、どちらも寄り付きで約定しなければ失効されるのが特徴です。
兼業投資家さんにメリットが大きい執行条件で、私もよく使っています。
これらの使い分けやメリットデメリットについては関連記事にて詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。。
<関連記事>
不成・大引け不成
不成・大引け不成は「できればこの指値価格で約定させたいけど、無理ならいくらでもいいから引けで約定させておきたい」というときに使う執行条件です。
不成と大引け不成の違いは前場引けでも成り行きに変化させるかどうかです。
不成の場合は前場でも後場でも引けに成り行きに変化させ、大引け不成の場合は大引けのみ変化させます。
IOC注文
IOC注文は約定させられる分だけ約定させてしまう注文方法です。
メリットとしては
- 約定しない分は失効されるので、値動きが激しくても思わぬ約定を避けられる
- 自分で失効させる手間が省けるので効率的
- 相場が急変しても約定した分までしか影響を受けない
といったことが挙げられます。
IOC注文はデイトレで活用されることが多い執行条件で、楽天証券で言うところのエクスプレス注文などがこれにあたりますね。
約定数をしっかりと確認する必要はありますが、スピーディに約定させることができるのでデイトレにおいて非常に重宝されています。
セット注文で分類
最後にセット注文を紹介します。種類と特徴は
- OCO注文:通常注文に逆指値をつけて注文。逆指値付通常注文と同義。
- IFD注文:買いと売りを同時に注文
- IFDOCO注文:指値売りと逆指値売りを同時注文
というものがあります。
OCO注文
OCO注文とは指値注文と逆指値注文を同時に発注する方法のこと。
例えば買いのOCO注文の場合は指値で安く約定させたいが、この価格を上抜けたらすぐ買いたいというケースに役立ちます。
例えばこんな場合。
株価がボックス形成をしているとき、
- 指値:ボックス安値を狙う
- 逆指値:ボックスブレイク後の上昇を狙う
といった意味合いでOCO注文が機能します。
値動きの癖を読みつつ、転換点に達したときにもエントリーできるので複数のシナリオでトレードができるというわけですね。
次に売りのOCO注文の場合。
売りの場合では理想はこの価格で売りたいが、最低でもここで売りたいというときに役立ちます。
例えばこんな場合。
これは保有後にうまく上昇したものの押し始めたケースです。
指値と逆指値はそれぞれ
- 指値:理想はここから反発してもっと上で利確したい
- 逆指値:このまま下落したとしても、ここまでの利益は確保したい
という状況に対応しています。
このようにOCO注文は買いでも売りでも柔軟に対応できる注文方法だと言えます。
IFD注文
IFD注文とは買い注文と売り注文を同時に発注するやり方です。
いわゆるセット注文というやつですね。
順序としては
- 買い注文Aが約定
- 売り注文Bが発注
ということになり、1つ目の買い注文が約定しなければ2つ目の売り注文は発注されません。
用途としては
- 新規買いのあとに自動で利確注文を予約しておく
- 新規買いのあとにロスカット注文を予約しておく
というものが考えられます。
主に
- 買い注文を出したものの約定確認ができない状況にある
- 約定したらすぐリスク限定のロスカットを入れておきたい
- 約定したらすぐ利ざや設定をしておきたい
といった状況が考えられるので、兼業投資家向けの機能です。
IFDOCO注文
IFDOCO注文とはIFDとOCOを組み合わせて新規注文から利確、ロスカットまで全て注文しておく方法のことです。
IFO注文とも言われます。
IFO注文はひとつのトレードを1回の注文で完結できるというのが最大のメリットですね。
注文さえしてしまえばリスクリターンを固定できるので非常におすすめ。
ただし、
- 利幅とロスカットの割合を適度なものにしないと約定しづらい
- あと少しで利確ラインだったが、届かずにロスカットラインまで落ちてしまった
といった場合も考えられるので注意。
トレードプランをそれなりにしっかりと組む必要があるので多少のコツが必要です。
最初のうちは利確とロスカットラインの値幅が2:1になるように注文をするところから始め、徐々に利確ラインを伸ばしていくと良いですね。
SBI証券にOCO・IFD・IFDOCO注文拡充
2019年3月23日からSBI証券の注文方法に
- OCO
- IFD
- IFDOCO
が拡充されました。Twitterのフォロワーさんよりやり方がわからないとのご意見を頂きましたので追記します。
まず証券アプリを開き、注文したい銘柄の右上取引ボタンを押します。
現物か信用か選択すると、いつもの画面に移行します。このたび拡充されたのはこの部分です。
- 上の青枠:注文方法が増えた
- 下の青枠:注文期間に今週中が増えた
それぞれの注文方法の意味は上記を参考にしてくださいね。
成り行きと指値の買い付け余力の違い
注文を出したときに「余力が足りません」とエラー表示されたことがありますか?
指値注文と成り行き注文では注文に必要な余力条件が異なります。指値と成り行きではそれぞれ
- 指値:指値価格に注文数をかけた金額
- 成り行き:値幅上限に注文数をかけた金額
が余力として必要になってきます。
指値の場合はみなさんおわかりかと思いますが、例えばこんな銘柄でこんな成り行き注文を出したときを考えてみましょう。
- 株価:120円
- 注文数1000株で成り行き注文
株価の値動きは価格帯によって制限があります。
株価が120円のときの値幅上限は50円と決められていますので、120円で成り行き注文を出した場合値幅上限を含めた170円でも約定できるような余力が必要となってきます。
したがって必要な余力は
- 170円 × 1000株 =17万円
です。
1000株を120円で指値する場合は12万円の余力表示で済みますが、成り行きにすると5万円余分に必要というわけですね。
成り行きで注文する場合には十分な余力があるかしっかりと確認しましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は株式投資に活用されている注文方法を解説しました。
様々な注文があり、それぞれメリットデメリットがあります。
特徴を理解して効率的に約定させられるように駆使していきたいですね。
関連記事には
がありますのでご参考ください。それではまた!