ふるい落としチャートの見分け方や解説を大ボリューム実例紹介!

    

みなさんは「ふるい落とし」という言葉を知っていますか?

ふるい落としは価格を一段高させるために行われる大事な準備運動です。上昇チャートを観察すると上昇前の値動きに「ふるい落とし」が確認できることも少なくありません。

ふるい落としを見極めることは難しいのですが、それを利用して安くポジションしたり局所的な値幅取りに活用することも可能です。

この記事ではふるい落としの効果と、実際のふるい落としでよくある例を実例解説します。あくまで私見ですが参考にしてみて下さいね。

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ふるい落としと株価

ふるい落としとは

「簡単に売ってしまう投資家達」の保有株を上昇の前段階で売らせて上昇時の値動きを軽くすること

です。定義なんてないかとは思いますが、私の考えるふるい落としの本質はこれですね。

例えば、あなたがデイトレーダーだとしましょう。日足で上昇トレンドを描くある銘柄を寄りつきで買ったところ、そのまま10%値上がりしました。

あなたはデイトレーダーなので「10%も値上がりすれば十分だな!」と考えますよね?

そうなると利益確定の売り注文を出すはずです。

ここで重要なのは、同じように「利益確定したい!」と考えている投資家が画面の向こう側にもたくさんいるということですね。

また、反対に「もっと株価を上げたい!」と考えている投資家もいるわけです。主に大資金で株価をつり上げていく機関投資家とかね。

機関投資家が「株価を上げたい!」と思ってたくさん売り注文を食べていったとしても、「利益確定をしたい!」という売り目線の投資家の気持ちが高値圏で表われてしまうとうまく上がっていかないわけです。

なぜなら両者の売りと買いがぶつかってしまうから。

そこで機関投資家はわざと自分達も売って価格を落とすわけですよ。

だって価格が落ちていくのを見たら「利益確定したい!」と考えてた投資家達が「利益を減らしたくない!」と我先に売ってくれるでしょ?

あとは大体売りが出きったなーとなってから買い戻しをして価格を戻せば

価格は元通りで売り圧力が減っている状況

ができあがっているという寸法です。これがふるい落としの大まかな流れ。

もちろんふるい落としたからといって必ず高値突破するわけではないです。高値突破をするには

  1. 高値を突破できるだけの買い注文が出る
  2. 価格が元に戻ったことで買い参加してくる投資家が増える

といった条件が必要です。

さらに言うとふるい落としには

  1. 局所的なふるい落とし
  2. 大局的なふるい落とし

があると私は考えています。実例は後述しますが、ふるい落としを利用して

  1. 短時間で値幅を抜くデイトレ
  2. 高値から大幅に安くスイングポジション形成

ということができます。

ふるい落としチャート(局所編)

ではここからは実例チャートで解説していきます。まずは局所的なふるい落としから。こちらをご覧下さい。

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これはある銘柄の5分足チャートです。流れを説明すると

A部分:高く寄りついた後に三角保ち合い。

B部分:三角保ち合いで売り消化しきれず大陰線でふるい落とし。出来高減少。

C部分:中期線サポートで反発。

D部分:売りが少ないのを確認してから板の需要以上の買い注文で急騰。

E部分:同レベルの出来高で売り。元値よりも下落。

という感じですね。

このチャートは本来であれば、Aの三角保ち合いを上抜けた時点で上昇し始めるのが素直な流れなわけです。

でも寄り付きから高く始まっていることで売りたい人が一定数出てきてしまっている状態にあります。

だからB部分の最初で保ち合い抜けしてても上がらなかったんですね。もちろんザラ場の行動としてはAの保ち合い終盤や上抜けの瞬間にエントリーは試すべきです。

うまく株価が上がれないため、Bでは適度に売って大陰線を作り、中期線まで持っていきました。

Cでは中期線サポートを背景に大陰線時の出来高と同じくらいの出来高で陽線が出始め、その後も中期線にまとわりつく値動き推移です。

そしてDの最初で少し株価を上げても売られないことを確認。一気に急騰させています。この時の出来高は寄り付きに近いレベル。

寄り付きと同じレベルの出来高なのにそれより上の株価に行けるのは売りを落としているからですね。

そしてEで急騰と同じレベルの出来高で売られて株価は元通り。さらに下落に巻き込まれた投資家達の損切が続いて元よりもずるずると下がる・・・とこんな解釈。

長くなったので同じチャートをまた載せておきます。

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上記はあくまで私のイメージですし、決して一人の大口さんがすべてを操っているわけではないことに注意。

しかし相場の流れとしてこんな流れをイメージしてシナリオ化することはトレードにおいて必要なことだと私は考えています。

また、これが局所的なふるい落としだという意味は実質的なふるい落とし部分はB部分のみだからですね。

このような保ち合いや移動平均線を絡めたふるい落としはよくあるパターンなので覚えておくと良いでしょう。

局所的なふるい落としでは他に特大の大陰線1本のみで完結させるようなものもあります。こんな感じのチャートですね。

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赤枠の最初に大陰線で落としてから連続陽線で戻してるのわかりますか?

急騰したチャートだとこういった突然大きく下げてから戻す動きが入ることがありますよね。

しかし急騰時の出来高と比較して割と少ない出来高で大陰線となっています。板の状況も関係してますが、そこまで大きな売りではなかったんだとわかりますよね。

こういったパターンでは大陰線前の価格まで反発したあとが分かれ目になることが多いです。

反発後に値を戻したことで買いが集まればより高値まで戻せますし、今回のように青枠内で売りの出来高が増えているようだとうまく上がれません。

局所的なふるい落としでは時間をかけずに売りをこなしているので大局的にふるい落とす場合に比べて上昇力がつきづらいです。

オーバーシュートと呼ばれるような値動きもこういった部類ですので、リバ狙いで入るときは覚えておきましょう。

ふるい落としチャート(大局編)

次に大局的なふるい落としの実例です。ふるい落としの本来の形はこちらですね。狭義のというべきか。

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このチャートはある銘柄の日足チャートです。流れとしては

  1. 下降トレンドから反転上昇期に移行し、長期線を超えて上昇
  2. やがて青枠内で下落と反発を繰り返す(このとき中期線と長期線が活用されている)
  3. 青枠を抜けると一段高となる

という感じ。このチャートでいう青枠内がふるい落とし部分にあたります。

ポイントは

  1. 底値から反転して、ある程度上昇すると必ず売りたい人が出てくる
  2. 青枠内のおよそ2ヶ月間で直近値動き以上の上げ下げを繰り返す
  3. 最初の下げで「もうこれ以上上がらないんだ」となり、反発で「やっぱり上がりそう!」、さらにまた下げて「やっぱダメかも!」と思わせる
  4. 最初の下げよりも2回めの下げがより低い位置まできたので、1回目の下げで拾った人全員が含み損になる
  5. 上げ下げを繰り返してできた結果、ダブルボトムと呼ばれる形状に

ということでしょう。特に大事なのは青枠部分のここです。

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ダブルボトムの2つ目の安値が1つ目の安値を下回っていることがおわかりでしょうか?

しかも長期線の上で寄り付いたあとにわざと長期線を下抜いてから反発させています。

こうすることでダブルボトムの1つ目の安値で拾った場合でも長期線で拾った場合でも含み損にさせることができますよね。

まとめると青枠内のダブルボトムでふるい落としているのは

  1. 反転上昇の高値圏で拾った投資家
  2. ダブルボトム1つ目の安値で拾った投資家
  3. 長期線で拾った投資家

ということになります。上下にブンブン振ることでこういった人達がロスカットしていくので、その後の上昇を邪魔しなくなるんですね。

大局的なふるい落としというのはこのように時間をかけて広い範囲の取得価格をふるい落とす特徴があります。

時間をかけてじっくり落とすことで幅広い価格帯の売り圧力が消化され一段高になりやすく期待値が高いです。

ダブルボトムの他にもこんな形状でふるい落としを行うこともあります。

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このチャートは底値から50%ほど上昇したあと、「なべ底」や「カップウィズハンドル」と呼ばれる形状でふるい落としを行っているものです。

名前の由来はそのシルエットが取っ手付きのティーカップに似ていることからきていて、これは投資家の間でかなり有名なチャート形状。

ポイントは

  1. カップ形成開始からおよそ2ヶ月間かけて売りを消化している
  2. なるべくゆっくり下落して、底値に近づくほど出来高が減少
  3. カップウィズハンドル形成開始時の株価に戻すときは出来高が増加
  4. 急騰する前にもう一度下落させてふるい落としている(ハンドル部分)

ということでしょう。

時間をかけてしっかりと売り圧力を消化したことで再度50%以上の上昇を見せています。

ダブルボトムやカップウィズハンドルは形状は違えど、両者とも「上昇前のベース形成」という過程を担っています。

局所的にエッジが聞いたローソク足も含まれていますが、本質的には時間をかけてじっくりと全体の流れで売り圧力を消化しているのが特徴。

5分足だろうと日足だろうと週足だろうとベース形成される可能性があります。しっかりと観察して見抜きましょう。

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ふるい落としのポイント

実例を解説してきましたが、ふるい落としで大切なこと・・・というか大前提はなんだと思いますか?

それは下がっても反発する見込みがなくてはならないということです。ふるい落とすということはそれ以上に株価が上がっていく可能性を示唆しています。

しかし、株価が上がるにはなにかしらの理由が必要。

デイトレにファンダは関係ないですが、その日上昇するにはこじつけだろうとなんだろうと理由があることが多いです。

日足や週足であれば上昇が続くだけの思惑や業績が必要です。

そういった理由がないものは、ふるい落としではなくただの下落に終わってしまうのはごく自然なこと。

押したら反発すると考えるからエントリーするわけですし、保有中であればふるい落としのあとに上昇すると考えてロスカットしないのです。

しかし、思惑を理由に上昇していたのに「その思惑が消えてしまった」という場合は買いが続かなくてもおかしくないですよね?そういうことです。

ふるい落としだともし判断するのであれば押しても反発する理由が背景にあるか考えることも重要ですね。

ふるい落としの見分け方

さて、ここまでふるい落としについて実例紹介してきましたが見分け方はあるのでしょうか?

答えは「明確な基準はないがコツはある」です。

私が考えるふるい落としを察知するためのポイントは

  1. 銘柄の背景や注目度
  2. ベース形成の種類や詳細を知る
  3. 経験値

ですね。

銘柄の背景や注目度

まず先程申し上げたようにその銘柄がなぜ買われているのかを考えましょう。これは単純にファンダが良いかどうかということではありません。

株式投資は「美人投票」なんて比喩が使われるほど人気や需要が大切なのです。

極端な話、業績が伴っていないようなボロ株だって全然構いません。

大事なのはその時期の雰囲気や話題テーマに合致しているかどうか。

内閣が解散されて総選挙の真っ最中であればマニフェストや選挙後の国策銘柄に資金が行きますよね?

ニュースでオリンピックやカジノ法案の話が盛り上がれば関連銘柄はしばらく物色されますよね?

Twitterの有名人が徒党を組んで盛り上げている銘柄であれば人気が出ますよね?

そういった背景が非常に大事なんですよ。

よくTwitterで騒がれている銘柄はダメだなんて言う方を見かけますが、私からすればそういった銘柄に乗らないでどうするの?と感じてしまいます。

明らかに出来高が盛り上がっていて、下がれば反発する時期なのに乗らないのは勿体無いことです。

この銘柄は市場でどう扱われていて需要がまだ続いているのか?

この下げはふるい落としの形状になっていきそうか?

そういったことを考えるとふるい落としに気づきやすいですね。

ベース形成の種類や詳細を知る

銘柄の背景を考えてもふるい落としの型となるものを知識として持っていないと意味がありません。代表的なもので言うと先程紹介したようなダブルボトムやカップウィズハンドルが挙げられますが、実はそれ以外にも種類はあります。

ふるい落としに活用されるベース種類について知りたければオニールやミネルヴィニの著書が非常におすすめです。特にオニールの本はチャート1000本ノックが載っていたり、ベースについての解釈が詳細に書かれていますのでまだお読みになられていない方はぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか?

経験値

当然ですが、ふるい落としを見分けるには経験値も重要です。これは特にデイトレで言えることでしょう。

日足や週足であればじっくり考える時間がありますがデイトレではそうもいかない場合がどうしてもあるわけです。

しかし、最初はそれでも全然良いでしょう。

大して経験も積まずに「これはふるい落としだからロスカットしない!」なんてやっていると大怪我することもあります。

最初のうちは素直にふるい落とされて経験値を積んでください。

経験値を積む上で、特に気にしていただきたいのは出来高推移です。

  1. どこで出来高が増えたのか
  2. ローソク足の大きさと出来高水準はつり合っているか
  3. 下げたときに出来高がどんどん増えていかないか

といったことを意識しながら監視すると本格的な下げなのか、ふるい落としなのか区別できるようになってきます。

段々と「これはふるい落としだからエントリーしてみよう」とか「この下げを利用して買い増してみよう」とかわかってきますので焦らずゆっくりといきましょう。

ふるい落とされてから再エントリーしたって何も問題はありませんよ。

まとめ

いかがでしたか?今回はふるい落としチャートの解説や見分け方についてお話しました。

ふるい落としを拾えるようになるより本質を理解することが重要なのでご自身でも色々なチャートを考察してみることをおすすめします。

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