どうも、ひげづら(@higedura24)です。
皆さんは決算短信という言葉を知っていますか?
企業の決算内容は有価証券報告書というものに詳しく記載されて、株主にその内容を周知します。
しかし、有価証券報告書が株主に渡るのは決算から数か月も経過してからです。
そのため決算短信という重要なポイントのみをまとめた資料が先出しされるんですね。
この記事では
- 決算短信に記載される内容
- どこをチェックすればよいのか
について解説しました。
初心者さんが決算短信を確認する際に知っておいてほしいことです。ぜひ参考にしてみてください。
決算短信とは業績速報のこと
決算短信は有価証券報告書の前に先出しされる資料のことです。
具体的に言うと
決算期末日から30~45日以内
に提示されるべきとされています。
例えば、3月本決算の企業の第1四半期期間は4月~6月の3か月間です。
6月末を期末日として、そこから30日~45日なので大体7月初旬~中旬くらいに決算短信が出てくるというわけですね。
本決算の場合は少し遅れますが、決算短信は
決算発表から1~2か月くらい遅れて出る速報値
だと覚えておきましょう。
決算短信の中身を大まかに分けると
- 連結経営成績
- 連結財政状況
- 連結キャッシュフロー
- 配当状況
- 連結業績予想
- 財務諸表など添付資料
が記載されています。
ちなみに「連結」というのは子会社や関連会社を含めたグループ全体のものですよ、という意味。
また、決算短信が業績速報だと言われているのは四季報と比較した場合を指しています。
四季報は
- 3月
- 6月
- 9月
- 12月
に発行されるものです。
そのため先ほどの例で考えると、3月本決算の企業の第1四半期が4月や5月に出たとしても四季報に反映されるのは6月になります。
当然、証券会社のアプリで四季報欄を見ても反映されていません。
業績速報値は更新されているのに、四季報欄の業績予想値などの更新は6月になるので情報の新鮮さがページごとに変わってくるわけですね。
3月本決算の企業は非常に多いですが、四季報発売後1か月以上経過している場合には決算短信で新しい情報を確認すると良いです。
決算短信の数字はどこからきている?
まず実際の決算短信における1ページ目をご覧ください。
決算短信の冒頭には
- 連結経営成績
- 連結財政状況
- 連結キャッシュフロー
- 配当状況
- 連結業績予想
が記載されています。
この図には決算の数字に関するものがずらーっと1枚にまとまっていますよね。
これらの数字の出どころは
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
という添付文書の中でも重要視されている「財務諸表のメイン部分」から転載されているものなんです。
連結経営成績
連結経営成績は財務諸表の損益計算書から転載されています。
損益計算書についてはこちらの記事で解説。
連結経営成績では主に企業の業績に関する数字が記載されています。
さらに言えば、損益計算書の売上高や各種利益の数字を引っ張ってきたうえで、前年同期比との比較を行っている欄です。
企業の業績の良し悪しを考える場合、この前年同期比という考え方が非常に重要。
株式投資でよく言われるのは
ある四半期で前年同期比大幅上昇を叩き出した銘柄は、その後の四半期決算でも高い前年同期比となる傾向がある
ということ。
もっと言えば、
- 営業利益増加:本業利益増加
- 経常利益増加:事業全体利益増加
- 純利益増加:収益性アップ
の全てが確認できれば、本業も経営戦略もうまくいっていると判断され株価が上昇傾向となりやすいです。
また、前年同期比は過去の推移でも重要な概念。
例えば、今期の各四半期の全ての連結経営成績を並べたときに、それぞれ前年同期比で30%増加していたとしましょう。
同じように、前年度と前々年度の連結経営成績における前年同期比も確認したところ
- 前々年度:前年同期比10%増加
- 前年度:前年同期比20%増加
- 今年度:前年同期比30%増加
となっていました。
ここからわかることは
- 確実に前年同期比でプラスとなっている
- 増加率も年々増加している
- 利益を底上げするビッグチェンジの可能性
- 来年度以降も増加する可能性
ということですよね。
逆に、今まで順調だったのに前年同期比で大幅減少していた場合にはなにが原因なんだ!?と感じるはずです。
このように連結経営成績では前年同期比を追っていくことで
- 上がる株や下がる株の検討がつく
- リサーチするきっかけをもらえる
ということですね。
連結財政状況
連結財政状況は財務諸表の貸借対照表から転載されています。
貸借対照表についてはこちらの記事で解説。
連結財政状況では企業の自己資本が資産全体に対してどれくらいあるかを記載しています。
いわゆる自己資本比率というもので、これが多いほど会社として財政面での体力があると考えられるんです。
当然、自己資本がたくさんあれば倒産しづらく、安心して株式を買えると判断できます。
ただし、貸借対照表の解説でも話したように業種内での水準が重要です。
業種内の水準と比較して自己資本比率がどんなものかを連結財政状況では確認しましょう。
連結キャッシュフロー
連結キャッシュフロー財務諸表のキャッシュフロー計算書から転載されています。
キャッシュフロー計算書についてはこちらの記事で解説。
キャッシュフロー計算書では企業の現金の動きを
- 営業
- 投資
- 財務
の観点から教えてくれていましたが、それは連結キャッシュフローでも同様です。
キャッシュフロー計算書のポイントと同様に、
- 営業:プラスで本業が順調か
- 投資:マイナスで将来の投資を行っているか
- 財務:順調に借入金が返済されているか
といったことを確認しましょう。
また、ここでも前年同期比の考え方が有効です。特に営業キャッシュフローがどんどんと伸びていっているのかは重要なポイントですね。
配当状況
決算短信には配当状況も記載されています。
配当は企業の利益から捻出されているものなので、配当が
- 維持されているか
- 増加傾向にあるか
ということは重要なポイントです。
必ず上がっている必要はないかと思いますが、配当性向が高い企業で減配が起きたときはかなりの影響があります。
連結業績予想
業績の上方修正や下方修正があった場合に連結業績予想に記載があります。
変更前と変更後でどのくらいの差が生じたかを%で記載してくれますので、欠かさずチェックしましょう。
また、上方修正などがあった場合には、合わせてお知らせが添付されています。
修正の理由が書かれていますので、こちらもしっかりと確認してください。
同業種で後日決算を控えている銘柄でも、同様の理由で業績に影響を受けていることもありますので色々と連想していくと面白いですよ。
EPSとは
連結経営成績の欄に「1株あたり当期純利益」というものがあったことにお気づきでしょうか?
これは別名「EPS:Earning Per Share」と呼ばれ、
EPS=税引き後純利益÷発行済株式数
で求めることができます。
株主の利益を最も端的に示しているものですが、
- 米国株:EPS
- 日本株:経常利益
にそれぞれ注目する背景があります。
国内株式で経常利益や純利益が重視される理由のひとつに、株式分割の影響があると考えています。
EPSの計算式を見てわかるように、株式分割を行うとEPSも必然的に分割されてしまいますよね。
EPSの推移を追っていても株式分割で大きく変化してしまうのを嫌がる方もいるようです。
ちなみに、株価は
株価=EPS×PER
で表されます。また、時価総額は
時価総額=株価×発行済み株式数
で表されます。すなわち株価の式のEPSを分解すると
株価=税引き後純利益÷発行済株式数×PER
これを変形してあげると
株価×発行済株式数=税引き後純利益×PER
時価総額=税引き後純利益×PER
PER=時価総額÷税引き後純利益
となります。これらの式を活用することで
- 理論的に株価水準を考える
- PERから株価にアプローチする
- 時価総額ラインから株価にアプローチする
といったことが可能となります。
決算短信に表れる△表記の意味とは
ところで、決算短信を見ていると時々三角(△)表記が出てきますよね。
数字の欄に突然記号が出てくるので驚かれる方もいらっしゃるでしょう。
実はあれはマイナスという意味です。
いわゆる赤字ですね。
マイナスの一本線だと数字と混同しやすいため、など理由はいくつかあるようです。
詳しくは
で解説しているのでご参考ください。
まとめ
いかがでしたか?今回は決算短信のポイントを解説しました。
決算短信は四季報よりも早く企業の状況を知ることのできる唯一のものです。
初心者さんでもポイントを抑えながら確認するべきものなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、株式投資の世界には企業価値を測るために割安性・財務安全性・収益性に関する指標があります。それぞれの指標については
でまとめていますのでこちらも併せてご参考下さい。
それではまた!