エクスプレス注文とは楽天証券が提供する高速注文機能のことです。以前は信用取引のみ対応していましたが、アイスピードへの実装とともに現物エクスプレス注文ができるようにアップグレードされました。したがってエクスプレス注文は
- スマホアプリ:アイスピード
- PCツール:マーケットスピード2
のどちらでも使用でき、うまく活用すれば様々なメリットをもたらしてくれます。
しかし、使うためには事前準備や知っておくべきことがいくつかありますので、この記事ではそういった部分をコンパクトにまとめてみました。エクスプレス注文は特にデイトレなどスピード感が求められる局面で出番が多いのでこの機会にぜひ使い方を知っておきましょう。
エクスプレス注文とは
エクスプレス注文とは冒頭で述べたように楽天証券が提供している高速注文機能で、
- IOC注文にて瞬時に約定させられる分だけ売買を行える
- 約定許容範囲を設定することでリスクを下げられる
- 板の動きが激しい場合でも常に最良気配で発注できる
- あらかじめ設定しておけば注文画面の切り替えも必要ない
といったメリットがあります。使う手順も至って簡単で、ispeed(楽天証券のスマホアプリ)であれば
- 個別銘柄ぺージの右上から注文タブを開く
- 現物もしくは信用エクスプレス注文をタップ
とやれば注文画面に入れますし、マーケットスピード2であれば
- 左側メニューよりマイページを選択
- どこか空いているページで「画面追加」ボタンを押す
- 投資情報タブよりエクスプレス注文を選択して追加
- 銘柄セレクターとエクスプレス注文をクリップマークで同期
とやれば使うことができます。では早速エクスプレス注文画面を実際に見てみましょう。
上図はマーケットスピード2からキャプチャーしてきたエクスプレス注文画面です。PCツールでは1画面内に収まれば複数パーツを配置できるので、チャート・板・歩み値を確認しながらこのエクスプレス注文で売買することができます。ちなみにスマホでも簡易的なチャートであれば下記のようにページ上のタブで切り替え可能ですし、板情報も右上のマークを押せば表示可能です(もちろん板発注もできますよ)。
最初に見せたマーケットスピード2のエクスプレス注文画面には赤・青・黄色で枠を設けてありますが、まず一番上の赤枠は「買いおよび売りの最良気配値」です。エクスプレス注文ではここをクリックするだけで発注可能で、最大のメリットはこのワンクリック注文ですよね。
スマホも同様の発注方法となっていてチャートからいちいち注文画面に移行せず発注できるので重宝しています。ちなみにスマホの場合は誤タップが起こりやすいですが、心配であればページ下部の「注文変更タブ」からダブルタップ発注に設定変更も可能です。
次に青枠部分ですが、ここには自分が取得している株数・平均取得単価・損益状況が表示されるのでページ切り替えせずに状況把握ができますね。スマホでは画面切り替えが面倒でしたが、エクスプレス注文画面に入ることで1画面完結できるのでおすすめです。
設定方法について
最後に黄枠についてですが、ここは最も重要なエクスプレス注文の設定内容で・・・
注文設定ボタンを押すと上記のような設定画面が表示されます。黄枠内の表示はこの設定内容が反映されていて、売買の前にあらかじめ設定しておかなければなりません。設定項目としては発注数量をはじめ
- 指値と成行選択
- 指値範囲
- 現物と信用選択
- 信用の場合は返済期限を選択
- 建玉指定
といったものがあり、例えば指値と成行を選択するのは当たり前ですが、指値の場合は「どの程度まで約定気配がスリップすることを許容するのか」も設定可能です。これはいわゆる指値範囲と呼ばれているもので、最良気配で注文した際に何刻みまで有効になるかを決定しています。
例えば現在の最良気配が7000円かつ呼び値が1円刻みだったとしましょう。この時の指値範囲を「2刻み」と設定して発注をかければ7002円の指値注文を瞬時に出せるわけですね。具体的には7002円以下の気配値であれば約定可能という発注内容になっていて、それより上の気配値になっていた場合は約定しません。
この指値範囲を設定するメリットは
- 板の動きが激しい場合でもリスク範囲を把握しやすい
- いちいち最良気配より数ティック上をクリックして発注する作業をしなくてもよい
といったことです。機関投資家も個人も入り乱れて板が動くような銘柄では時間帯によってはとても目では追えないスピード感で進んでいきますが、そういった場合でも誤約定がなく安心できますよね。
またエクスプレス注文の仕様上、押したい箇所が板のようにピカピカ動くことはありません。いかなる場合でも常にボタンの位置は一定なので、そういった意味でも誤発注リスクは下がります。
その他には現物と信用取引の区分を設定しておく必要があるでしょう。例えば信用取引を設定した場合には
- 新規発注なのか返済発注なのか
- 返済期限は1日なのか6か月なのか
など細かな種別がありますので、ここを設定しておかないと思わぬコストを背負ってしまう可能性があります。
ちなみに「いちいち新規か返済か選択するのは面倒だな」と感じた場合は「AS(オートセレクション)」という注文区分を使えば問題ありません。ASではその名の通り
- 建玉がなければ新規注文
- 建玉があれば返済注文
というように自動で新規と返済が選択されますので、「返済売りのつもりだったのに新規に空売りを仕掛けてしまった」という事故が起きません。また、返済注文の優先度も事前に
- 建日が新しい順か古い順
- 評価損順か評価益順
- 保有数量が多い順か少ない順
のように指定可能です。
エクスプレス注文では例えば上記のような内容を事前に設定しておかないと本番でかなり焦ってしまいますので気をつけてください。設定内容をいくつか考えて使い分けたいという場合はテンプレート保存ができますし、場合分けも含めて考えておくと良いでしょう。そこまで難しい作業ではないですが、念のためテンプレート保存手順を書いておきます。
- 設定内容を全て打ち込む
- 設定画面内にある「テンプレート保存」を選択
- テンプレート名を決める
- 発注するタイミングで再度設定画面を開く
- 「テンプレート呼び出し」を選択
- 任意のものを選んでOKを押す
現物エクスプレス注文とは
ところで、冒頭でも少し述べましたがエクスプレス注文は導入当初だと信用取引のみの対応でした。しかしアイスピードにエクスプレス注文を導入するにあたり現物エクスプレス注文が実装された経緯があります。
現物エクスプレス注文とはその名の通り「現物取引でもワンクリック発注ができる」という機能です。信用取引との使い分けも簡単で、上記の設定画面内にて現物を選択するだけで切り替えられます。
現物エクスプレス注文も同様に指値範囲などを設定できますが、信用取引と違い返済区分分けはもちろんありません。ただし注意点がひとつだけありまして、それは「差金決済に気をつける必要あり」という点です。差金決済とは「有価証券の受け渡しをせずに売却金額と買付金額の差額授受により決済する取引」を言います。
簡単に言えば「同日中に同じ銘柄を同じお金で繰り返し売買できない」ということですね。例えばあなたの資金が100万円しかない場合、
- 1単元が100万円の銘柄Aを現物で買う
- 値上がりした銘柄Aを売って110万円を得る
- 当日中に銘柄Aの株価が戻ったところでまた現物で買い戻す
ということはできません。
これが同日中にできてしまうと資金100万円の人が200万円や300万円分の売買をできてしまうことになります。もしそういったことがしたければ信用取引を行う必要がありますので、エクスプレス注文でも同様に
- 現物エクスプレス注文は狙っている中長期銘柄を素早く現物確保するのに向いているが回転売買には向かない
- 同じ銘柄でデイトレするなら信用エクスプレス注文を使う
といった使い分けとなりますね。
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エクスプレス注文の使い方は簡単!
楽天証券が提供するエクスプレス注文の使い方を紹介してきましたが、基本的には前述のような内容を押さえておけば大丈夫です。使い方もそこまで難しくはなく、ispeedでもマーケットスピード2でもお手軽に活用できる部類だと思います。
メリットは指値範囲を限定しつつ高速発注ができる点で、AS(オートセレクション)機能など痒い所に手が届く使用でうれしい設計ですよね。スマホでもPCでもチャートや気配値を見ながら発注可能なので、割と汎用性も高いと言えます。
ただし現物エクスプレス注文では差金決済の心配があるのでそこだけは注意が必要でしょう。エクスプレス注文は使い方を覚えればとても有効なツールになるのでぜひご活用ください。まだ楽天証券の口座をお持ちでないという方はこの機会に無料口座を持っておいても損はありませんよ。
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