価格帯別出来高に隠された意外なデメリットに気づいてますか?

    

価格帯別出来高は使いやすく基本的なテクニカル分析の武器として初心者からベテラン勢にまで愛用されています。

この背景には現代の株式投資がPCやスマホ一台あればでき、なおかつ価格帯別出来高もワンクリックで表示できるという点があるでしょう。

しかし、実はこの点が価格帯別出来高の意外な罠を作り出していて、ちょっとした注意が必要です。

この記事では過去に書いた価格帯別出来高の記事からおさらいをするとともに、その意外な罠について述べました。

価格帯別出来高を愛用しているという方はぜひご参考下さい。

    

価格帯別出来高の意外なデメリットとは

まず価格帯別出来高について簡単に解説すると、価格帯別出来高とは「その価格でどれだけ取引が行われたか」を教えてくれるチャート上の情報のことです。普通、出来高といえば・・・

価格帯別出来高

ローソク足推移の下に表示されている縦の棒グラフ(青枠)ですが、価格帯別出来高は横方向に表示される棒グラフ(赤枠)になります。

この横棒はそれぞれの価格でどれくらい約定したのかを示していて、一般的には価格帯別出来高が厚い価格帯では株価の下支えになったり抵抗帯になると言われているわけですね。また、逆に厚い価格帯別出来高を抜けた時は抜けた方向に大きく値が進みやすいとも言われています。要は安値や高値と同じような作用があると考えられていて、通常の値動き判断と組み合わせてあげればより判断がしやすくなりますよとそういうことです。これらについては過去記事で解説しているのでそちらをご参照下さい。

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したがって価格帯別出来高を見るときは、

  1. まず自分が観察したい期間においてなるべく突出して横に突き出ているような部分を探す
  2. 突出した価格帯別出来高を意識しながらいつも通り値動き考察していく

という流れが考えやすいかなと思います。

価格帯別出来高と終値の関係性とは

価格帯別出来高の特徴がわかったところで本題に入りますが、実はこの価格帯別出来高にはちょっとした弱点があります。それは「終値ベースで計算されていることが多い」という点で、厳密には価格帯別出来高の弱点ではなく証券会社のツール上の弱点ではありますね。

どういうことかというと・・・

価格帯別出来高は終値ベースで計算されている

上記のような窓開け(ギャップ)や出来高を伴った大きめのローソク足があると内部状況とズレが生じやすくなります。例えば赤枠のローソク足。大きく窓を開けて寄りついたあとに大陰線となっていますが、価格帯別出来高を見てみると青枠のようにローソク足の胴体部分にはあまりつかず終値部分に大きく加算されていることがわかりますよね。

一般的にザラ場内で最も出来高がつきやすいのは朝の寄付きなので、普通に考えたら大陰線の場合は始値のこの高さに多く価格帯別出来高がないとおかしくないですか?

それなのに下の高さについているということは終値ベースで計算されている証拠で、この点が値動き観察において不都合となる可能性もあります。

仮に自分が株価の反発具合を見ていた場合、本来であれば大陰線もしくは大陰線上のギャップを超えてきて初めて安心できるところを「青枠内の突出した価格帯別出来高を超えたところで安心してしまう」と思いませんか?

本当は大陰線の始値や窓開け部分を超えてきて初めて安心できるのに、視覚的にはそれよりもかなり下に抵抗帯を見てしまうわけです。似たようなことは大陽線でも起こり得て、要は値動き判断に若干のズレが生じる可能性があるということですね。

価格帯別出来高のデメリットへの対策

価格帯別出来高を証券会社のツールで見る際の問題点を述べましたが、その対策方法にはどんなものがあるでしょうか。まずひとつ目は「なるべく長い期間で考えてあげる」ということです。例えば・・・

価格帯別出来高は長い期間で表示

こんな感じで先ほどより観察期間を延長してあげると価格帯別出来高も変化しますよね。

価格帯別出来高は表示範囲に対する約定情報を教えてくれるものなので、なるべく期間を広げて多くローソク足を含めてあげることでデータ数が増えてたくさんの終値で価格帯別出来高を判断することができます。

また、その際には「ローソク足がたくさん位置している価格帯をしっかりと意識してあげる」ということも重要になってきます。

例えば・・・

価格帯別出来高はローソク足の保ち具合も見る

この赤枠部分ではそれなりの期間で保ち合っているので、それだけローソク足も重なり価格帯別出来高としてもここはひとつの目安になりやすいでしょう。このようにひとつの棒だけではなくブロックで、塊で観察するという意識を持てば価格帯別出来高にだまされる懸念も減ると思います。

IPOでない限り色々な価格で取引されているはずなので、ひとつの価格だけに注目せず直近のそれなりに広い範囲に気を配ってあげてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は価格帯別出来高の意外な罠として「終値ベースで計算されていること」を挙げました。

価格帯別出来高は当該ローソク足すべての約定情報が終値に集約されてしまうため、値動き観察において若干のズレが生じる可能性を秘めています。

それらはなるべく表示期間を広げてデータ数を増やすことおよび、ローソク足の分布にも着目することで防ぎやすくなるでしょう。

価格帯別出来高は優秀なツールですが、現代ならではのデメリットもあるので気をつけて活用してみてはいかがでしょうか。