どうも、ひげづら(@higedura24)です。
初心者の頃、同日中に現物売買を何度も行おうとしてエラーが出たことがあります。
資金は足りているはずなのに「資金不足で株を買えません」と表示され、非常に驚きました。
もしかしたらお金が知らないうちに減っているのでは!?と焦ったことを覚えています。
しかし、実際には「差金決済」と呼ばれる理由で資金不足取引と判定されていただけでした。
今回はそんな初心者さんがとまどいやすい、差金決済取引についてわかりやすい言葉で説明していきます。
場合分けをしてなるべくわかりやすく解説しますので、ぜひご参考下さい。
差金決済取引をわかりやすく解説!
まず差金決済取引の定義を見てみましょう。
差金決済取引とは「有価証券の受け渡しをせずに、売却金額と買付金額の差額授受により決済する取引」のことです。
なんだか難しそうな言葉が並んでいてわかりづらいですね。単語をざっくり説明すると、
- 有価証券:株のこと
- 売却および買付け金額:売買で受け取るお金のこと
- 差額授受:売買金額の差を受け取ること
です。
これらをふまえた上で、もう少しわかりやすく差金決済取引を表現すると「株の受け渡しをせずに反対売買で出た差額を受け取り、支払いを済ませる」という意味になります。
要するに、「一度お金を株に買えたらしっかりその受け渡しまで行って下さいね」ということでしょうか。
この差金決済取引は法令で禁止されている行為のため、株式市場では同日中に同じ銘柄を同じお金で繰り返し売買できないようになっています。
差金決済取引の例をわかりやすく解説!
定義で聞くよりも、具体例で考えた方がわかりやすいのでいくつか場合分けをして差金決済取引を考えてみましょう。
同日中に同銘柄を買おうとして差金決済取引になる例
あなたは手持ちの資金が100万円の状態で、株価600円の銘柄Aを1000株(60万円分)購入しました。
当日中に銘柄Aは株価700円まで値上がりしたので、あなたの株は70万円の価値になりました。
そこで急遽、銘柄Aを株価700円で全て売却して70万円を資金に戻しました。
ところが再び銘柄Aは株価600円まで戻りました。
あなたは同じ価格でまた銘柄Aが保有できると考え、株価600円で1000株(60万円分)買い戻しました。
さて問題です。差金決済取引にあたるのはどの部分でしょうか?
正解は最後の「株価600円で1000株買い戻している部分」が差金決済取引にあたります。
銘柄Aを資金一杯まで買うことも、それを当日中に売却することも可能ですが、銘柄Aを同じ資金で当日中に再度買うことは出来ないのです。
本来であれば銘柄Aを600円で2000株購入するには120万円(60万×2回)必要ですよね?
しかし、銘柄Aを同価格で買い戻せてしまうと足りていない20万円分を、
- 売却で得た10万円
- 値下がりで得た、いわば10万円割引
で補って実現できることになってしまいます。
これは「銘柄Aを売買する際に発生した差額で決済する」という取引に該当してくるので出来ません。
もし、同日中に銘柄Aを買いたければ
- あらかじめ120万円以上の手持ち資金がある
- 同日中に20万円を追加入金して、最初に使った60万以外の60万円で買う
のどちらかである必要が出てきます。したがって銘柄Aを売却することで得た資金は、
- 違う銘柄の売買資金として活用する
- 翌日以降に銘柄Aの購入資金にあてる
といった使い方になりますね。
こういった考え方は売りから始めるケースでも同様のことが言えますので覚えておきましょう。
現物取引の場合は、
- 買い ⇒ 売り
- 売り ⇒ 買い
までしかできません。
同日中に複数銘柄を買おうとして差金決済取引になる例
あなたは手持ちの資金が100万円の状態で、株価1000円の銘柄Xを1000株(100万円分)購入しました。
銘柄Xは当日中に1100円まで値上がりしたので売却し、手持ちの資金は110万円になりました。
次に株価1100円の銘柄Yを1000株(110万円分)購入しました。
銘柄Yは当日中に1200円まで値上がりしたので全て売却し、手持ちの資金は120万円になりました。
再び銘柄Xを見てみると株価1150円まで値上がりしているのに気づきました。
これは1200円まで上がりそうだと思い、銘柄Xを1000株(115万円分)買い戻しました。
さて問題です。差金決済取引にあたるのはどこでしょうか?
正解は「最後の銘柄Xを115万円分買い戻す部分」ですね。
銘柄Xで得た売却金額を、違う銘柄Yの購入金額に充てることは可能です(これをサーフィントレードと言います)。
しかし銘柄Xを買い戻すことは、一度違う銘柄を売買したとしても「銘柄Xの受け渡しをせずに差額だけ受け取った」ということに変わりありませんよね。
本来であれば資金以上の売買なのに、差金決済取引により実現しているとみなされるので、銘柄XもYも同日中に再度購入することは出来ないのです。
もし買い戻したければ、先ほど同様に複数回購入できるだけの資金が必要になります。
差金決済は信用取引であれば可能
ここまでのお話でおわかりいただけたように、差金決済取引が認められると資金以上の取引が実現できてしまうため法令で禁止されています。
しかし、差金決済は2013年1月から信用取引であれば認められるようになりました。
信用取引は担保を差し出すことで、資金以上のレバレッジ取引が可能となります。
同日中であっても同一銘柄を何度でも売買が可能になり、これを回転売買と呼ぶので覚えておきましょう。
あらかじめ回転売買を行うつもりなのであれば、信用取引を活用しておくことをおすすめします。
ただし、信用取引を行うたびに1日分の金利が発生するので注意が必要です。
現物取引よりは手数料など優遇されていますが、金利は毎回コストとして計算されるデメリットは知っておくべきですね。
一日に何度も売買する信用取引を想定して、証券会社に「いちにち信用」というものが用意されていることが多いです。
回転売買の際には手数料や金利面でメリットがありますので活用しましょう。
差金決済取引はなぜ禁止されているのか?
差金決済取引が禁止されている一般的な理由としては
- 少額資金で売買出来高を故意に膨らませることを未然に防ぐため
- 資金一杯の取引を何度も行うようなギャンブル性の高い株式投資法を防ぐため
です。
例えば資金が100万円しかない個人投資家でも、スキャルピング感覚で数千万円レベルの売買出来高を簡単につけることができてしまいますよね。
また、そもそも前述の例のように信用口座を開設した上で行うような行為を現物取引でできてしまうこと自体問題があります。
需給を不当に崩さないためにも、資金以上の取引をギャンブル的に行わせないためにも差金決済は必要な仕組みということですね。
信用取引を活用すれば上記のことは出来てしまいますが、逆に言えば信用口座を開設できない人は規制できるわけです。
過去に破産しているなど証券会社から信用されていない場合は、信用取引すらできません。
差金決済取引は先物取引でも可能
株式の場合、信用取引を活用して差金決済や回転売買を可能にしますが、先物取引では差金決済が認められています。
先物取引は将来売買をするという前提で行っているものですので、決済までに商品と代金のやりとりはありません。
したがって、決済後に差額のやりとりのみ行います(差金決済)。
また、株は企業成長を見込んだ純粋な投資目的もありますが先物はヘッジや投機目的が強いです。
相場参加者の多くは短期売買を繰り返す背景から、差金決済を解放して資金効率を良くしているのでしょう。
また、商品先物などでは輸送の問題などから現物決済できない事情もありそうです。
まとめ
いかがでしたか?今回は差金決済取引についてわかりやすくお伝えしました。
株式投資の世界では必要とする資金がなければ同日中に現物取引で回転売買することはできません。
ただし、信用取引を活用すれば何度でも回転売買が可能となります。差金決済の関係で回転売買できない場合は信用取引を活用しましょう。
デイトレードで信用取引を何度も行う際のコストについては「一日信用取引を楽天・松井・SBI証券で比較!メリットが大きいのはこれ!」で比較しています。
日に何度も売買をして、それが長期に渡ると何十万もの差になりますのでくれぐれも注意してくださいね。
株初心者さんに注意していただきたい口座種別に関しては「株は源泉徴収あり・なしどちらがお得?システムで損してませんか!?」で解説しています。
それではまた!