昨今の株式投資では誰もが簡単に信用取引を行えます。そのため初心者さんであろうとレバレッジをかけまくり、貸借銘柄にも触っている状況です。
反面、信用取引の仕組みについて学んでから活用している方も少ないのではないでしょうか。
そこで今回は
- 制度信用と一般信用の違い
- それぞれのメリット・デメリット
についてお伝えしました。
基本的な知識ですので、ポイントだけ頭に入れておくと良いでしょう。
制度信用と一般信用の違い
信用取引口座を開いて、いざアプリで売買画面に行くと
- 制度信用
- 一般信用
の文字があることに気づきます。
どちらも信用取引の類ですが、どのような使い分けをすれば良いのでしょうか?
制度信用のメリット・デメリット
制度信用とは
- 日本証券金融株式会社(日証金)から証券会社に貸し付け
- 証券会社から顧客に貸し付け
という流れを言います。
制度信用の返済期限は6ヶ月と定められており、制度信用ができる銘柄の中でも
- 信用銘柄:信用買いのみ可能
- 貸借銘柄:信用買いと信用売りが可能
の2つに区別されているんです。
外部参照リンク:日本証券取引グループ|信用取引のしくみ
制度信用のメリットは
- 銘柄の信用度が高い
- 金利・貸株料が安い
という点です。
制度信用銘柄は
- 流動株式数
- 株主数
- 売買高
- 企業業績
などの基準を設けた上で、日本取引所グループが選定しています。
外部参照リンク:日本取引所グループ|制度信用銘柄の選定・取り消し
選定基準が明確に定められているため、制度信用銘柄のリスクは一般信用銘柄よりも相対的には低いです。
また、一般信用と比べて金利や貸株料が安いのでコスト低減が可能です。
例えば手数料関連が格安で有名なライブスター証券(新:SBIネオトレード証券)の場合、
取引手数料 | 制度信用買い方金利 | 一般信用買い方金利 | 制度信用貸株料 |
0円 | 2.3% | 2.75% | 1.10% |
とかなり安い水準で信用取引が可能。しかも定期的にキャンペーンを行い、ここからさらにガクッと下げてくれることもありますね!
SBI証券や楽天証券の制度信用は2.8%なので、ライブスター証券(新:SBIネオトレード証券)は金利面で特にメリットが大きいでしょう。
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ただし、制度信用には「逆日歩」のデメリットがあります。
逆日歩をわかりやすく言うと「信用売り需要が信用買い需要を上回ったときに生じる特別な利息」のことです。
日証金が証券会社に貸し付けする際、あまりに信用売りが多いと外部から調達せざるを得ません。
そこで発生するコストは証券会社に、そしてその分は顧客に回ってくるので「逆日歩」は個人投資家の負担になるわけです。
逆日歩が発生する代表的な例は、株主優待目当てで制度売りが殺到した場合ですね。
現物株と制度売りが組み合わされ、一過性に信用売り需要が信用買いを上回りやすいので人気優待では注意が必要でしょう。
一般信用のメリット・デメリット
一般信用とは「証券会社から顧客に貸し付け」という流れを言います。
制度信用が日証金を含めた流れだったのに対し、一般信用は証券会社と投資家間で完結しているのがポイント。
一般信用は原則的に全銘柄が対象で、その中から証券会社自身が取り扱い銘柄を決められるので、
- 証券会社によって取り扱い銘柄数が大きく異なる
- 一般信用の在庫数も大きく異なる
という特徴があります。
株式市場全体としては一般信用の取り扱い銘柄数は制度信用よりも多く、これはひとつのメリットでしょう。
また、もうひとつの大きなメリットとしては「逆日歩リスクがない」という点が挙げられます。
制度信用では逆日歩によって大きくコスト増する可能性がありましたが、一般信用ではその心配はありません。
証券会社が指定する銘柄で、在庫が残っていれば逆日歩のリスクなくクロス取引ができるのは大きなメリットですね。
ちなみに、一般信用の取扱銘柄数が最も多い証券会社はカブドットコム証券です。
大手証券会社が後述する「無期限一般信用」を数百銘柄しかできないのに対し、カブドットコム証券では1500銘柄以上も取り扱っています。
カブドットコム証券の場合は無期限ではなく3年が長期期限になりますが、他社でできない売建てもカブドットコム証券ならできるわけです。
これだけでも口座を持っておく理由になりますね。
ちなみに一般信用は制度信用に比べて金利がやや高いデメリットがあります。
一般信用の短期と無期限の違い
一般信用は
- 短期
- 無期限
の2種類に大別でき、証券会社によってはデイトレードに特化した1日期限の一般信用もあります。
まず一般信用短期についてですが、
という特徴を持つ一般信用のことです。
株主優待目的のクロス取引に特化したサービスとして提供され、逆日歩を回避しつつ権利取りができるメリットがあります。
よく「金利が高いなら一般信用(無期限)でクロスすればいいじゃないか」と言われますが、
- 銘柄ごとの一般信用は無期限か短期どちらかひとつ
- 短期があれば無期限は選べない
という点に注意です。
A証券では一般無期限売りで、B証券では一般短期売りで扱われているというパターンもあります。
次に一般無期限についてですが、
- 返済期限は無期限
- 買建ても売建ても可能
- 制度信用より金利が高く、一般短期よりは低い
という特徴を持つ一般信用のことです。
金利は制度信用より高くなるものの、色々な銘柄で返済期限を気にせず買建ても売建てもできます。
まとめ
いかがでしたか?制度信用と一般信用にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
初心者さんは株主優待目的で信用売りを活用することが多いと思いますが、考えなしに制度信用売りをすると逆日歩に引っかかる可能性があるでしょう。
キャピタルゲイン狙いで空売りする場合は制度信用がおすすめですが、決算を知らないうちにまたがないように注意が必要です。
適材適所で制度と一般を使い分けることが大事ですね。
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