どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株式投資の世界では投機的な売買が人気ですが、長期的な目安を考えて早い段階で良さそうな株を保有しておくこともまた面白さがあります。
長期的な目安にも色々ありますが、そのひとつとして考えたいのは「市場規模」ではないでしょうか。
ただ、マーケティングの仕事をやっている方は市場規模について考える機会が多いとは思いますが、私たち素人からするとあまり縁はないですよね。
そこで今回は
- 市場規模とはどういったことを示すのか
- 市場規模の例にはどんなものがあるか
- 市場規模の調べ方
- 業界トップの売上高から事業成長を算出する例
などについて書きました。
私はマーケティングのプロでもなんでもありませんが、株をやっている人が少しでも株価目安を持つための参考になれば幸いです。
市場規模とはどんなものか
市場規模とは
- 1年間における経済活動の規模 ⇒ 売上高の規模で良い
- 一般に生産・卸売り・小売りの段階で計算され、フェーズが進むごとに規模も大きくなる
といったものです。
外部参照記事:Wikipedia|市場規模
市場規模がわかれば、その市場に関係する事業を営む企業がどれくらい大きな事業を営むのかもイメージしやすくなるでしょう。
例えば市場規模が1兆円の分野と10兆円の分野のトップ企業を比較した場合、後者の方が大きな企業になりやすいと思います。
トップ企業がどれくらいのシェアを誇っているかにもよるでしょうが、シンプルに10兆円という市場規模の1割でも占めてしまえば1兆円の売上高をもらえるわけです。
そう単純な話ではないかもしれませんが、個人的には成長余力におけるひとつの目安だと考えています。
また、市場規模が「1年間の売上高規模」を示してくれることは大きなポイントで、このおかげで通年の売上高を概算できますよね。
株式投資の世界でも通期業績が重視されるのでこれは嬉しい点です。
市場規模の例としては
- 携帯電話会社
- 段ボール会社
- 自動車や自転車
- 医薬品
- アパレル
- 旅行
- 自動販売機
などなどかなり色々な分野に分かれていて見るだけでも面白いです。
いくつ存在するのかは知りませんが、おそらく大別されているものから派生する市場まで含めていくと数えきれないのではないでしょうか。
こんな時代ですから新しい分野もどんどん増えていくでしょうし、今は市場規模が小さいけどこれから伸びていく分野を調べてみても面白いですよね。
というか投資の原点を考えればそれをしないとダメでしょう。
市場規模を調べる場合、個人的には似たような分野の売上高と関連付けて調べると効果的ではないかと思います。
例えば昨今ではビニール袋を撤廃する動きが大きくなっていますが、それに伴って紙袋の需要も上がりますよね。
ここからビニール袋と紙袋の市場規模を比較してみると気づくことがあるかもしれません。
- 紙袋の市場規模があまりに小さければ、ビニール袋から流れてくる割合も大きそう
- 逆にビニール袋の市場規模が大きければそれだけ紙袋の受ける恩恵も大きいかも
と想像を膨らませると面白さが増すのではないでしょうか。
また、これは「脱プラ」もしくは「廃プラ」と呼ばれる流れですので、
- プラスチックを無くすための事業(脱プラ)
- プラスチックを処理する事業(廃プラ)
- 新素材プラスチックを作る事業
といった関連事業の市場規模を考えていくことも大事なのかなと思います。
株式投資の目線で市場規模を考えたのなら、そこから時価総額(目標株価)まで独自目線で概算して割り出していきましょう。
市場規模の調べ方とは
市場規模を調べることは就職でもマーケティングでも株式投資でも効果的です。
調べ方はいくつかありますが、ざっくりと調べるなら
- 業界地図
- 市場規模マップ
- 業界大手が出す情報
- 省庁や民間団体が提供する情報
を参考にすると良いでしょう。
業界地図
業界地図とは会社四季報や日経新聞社などが出版している書籍のことで・・・
このようにその年ごとに市場規模などを調べて
- 業界の花形とされる業態はどんなものか
- トップ企業の関係図はどのようになっているか
- 業界のトレンドはどのようなものか
- 市場規模が大きな業界はどこで、どのようなランキングか
- 売上高や営業利益率はどの程度か
など投資や就職、マーケティングに嬉しい情報がたくさん載っている本です。
株をやっていてまだ見たことがない方は、そこまで高価なものではないですし一回だけでも読んでみることをおすすめします。
市場規模マップ
市場規模マップは割と有名なサイトですが、本当にざっくりなので参考程度に知っておくと良いですね。
トップページには
このような感じで市場規模が視覚的にわかるように配置されていて、クリックすると具体的な数字や情報のソースが表示されます。
規模が小さくなるとかなり見づらいのでざっくりとした検索になるかもしれません。
外部参照リンク:市場規模マップ
業界大手や官公庁の情報
市場規模は全てではないですが、業界大手や省庁および民間団体などが公表してくれているデータもあるので気になる業界は調べてみると良いですね。
例えば東京ディズニーランドの運営でおなじみのオリエンタルランドであれば・・・
外部参照リンク:オリエンタルランド|市場環境
公式ホームページに市場規模推移と自社のシェア推移をグラフで掲載してくれています。
大手企業が公表する情報から市場成長率や規模がわかることもあるので覚えておきましょう。
また、官公庁もこういったデータをもっと丁寧に公表してくれていて、例えば「体験型観光コンテンツ市場」であれば・・・
外部参照リンク:国土交通省観光庁|体験型観光コンテンツ市場の概観
こんな感じでOECD加盟国と比較して娯楽サービスの市場規模がまだ小さいことをデータで示してくれています。
日本は訪日外国人が増加している背景があるので、もしここから市場規模が成長していった場合は関連事業が大きく潤うことになりますよね。
こういった公的機関が発信している情報は裏返せば「これから盛り上げていきたいですね」というメッセージの可能性があるので、良さそうな情報は拾っておくべきです。
成長率や市場シェアも考えよう
市場規模は現状でどれくらいかも大事ですが、考えるべきは
- 成長率
- シェア比率
だと思います。
就職活動の観点から考えるとすでに成熟して安定企業となっている分野に行きたい人が多いかもしれません。
しかし、株式投資やマーケティングの観点で考えれば「これからどんどん成長して旨みが増す分野」にお金を投じたいと考えるのは普通のことですよね。
特に新しい分野に言えることでしょうが、市場規模は年々大きくなっていくはずで
- 売上高
- 企業の時価総額
- シェアを維持向上した時の旨み
もそれに伴って大きくなるでしょう。
そう考えると「より成長率が大きくて寡占的な市場」に身を置いている企業は特に狙い目です。
大きく時価総額が動けば株価への影響も違ってくるわけで、投資家としてもそこに目をつけたいと考えられます。
ただし、それは新興企業に投資するという意味でもあるのでリスクも大きくはなりますね。
昔から存在していて大きな業界でも
- トップがどれくらいのシェアを占めていて
- 売上高がどれくらいか
- 時価総額がどれくらいか
- 特定企業の成長率やシェア変化を考えてどうなりそうか
は考えたいところです。
市場規模の算出方法
ところで、市場規模は他人が出している情報以外でも自分で概算を出すことができます。
例えば、先ほどのオリエンタルランドが出している情報から「2018年におけるテーマパーク事業の市場規模」を算出してみましょう。
オリエンタルランドの2018年の状況は
- 売上高:約4790億円
- 市場シェア:48%
というものでした。
また、オリエンタルランドの事業セグメントを考えるとテーマパーク事業は全体売上高の80%となっています。
ということは、ざっくりと全体の市場規模を算出するのであれば
- テーマパーク事業の売上高:4790億円 × 0.8 =3832億円
- テーマパーク事業の市場規模:3832億円 ÷ 0.48 = 約8000億円
という計算になりますね。
実際には8500億円が2018年におけるテーマパーク事業の市場規模ですが、それなりに近い値が概算できたと思います。
このように手元にある情報から独自に市場規模を算出することも可能だと覚えておきましょう。
また、今度はその情報をもとに今後成長しそうな企業の将来的な時価総額(目標株価)を算出することも可能です。
市場規模から時価総額を考える例
例えば、どこかの商社が既に上場している何の変哲もない遊園地「ひげづらランド」に目をつけたとしましょう。
そこに加えて「東京ディズニーランドの人気に匹敵するような新しいテーマパーク事業を提供する」といった材料が出ました。
あなたはこのひげづらランドに投資したいと考えていますが、どの辺の株価を目安に考えたら良いのか悩んでいます。
そこで前述のような手順でテーマパーク事業全体の市場規模を算出し、そこから市場シェア別に期待時価総額を算出しようと考えました。
全体の市場規模が約8000億円だった場合、ひげづらランドの市場シェア別の売上高は
- 10%:800億円
- 20%:1600億円
- 30%:2400億円
となりますね。
まずこれ自体が期待する売上高となりますし、ここから
- 営業利益率
- PER
を活用すれば時価総額までたどり着きます。
仮に市場シェア10%の売上高で営業利益率を考えると、
- 5%:40億円
- 10%:80億円
- 15%:120億円
- 20%:160億円
が営業利益になる計算ですね。
材料の内容は「東京ディズニーランドに匹敵する遊園地」ですから、オリエンタルランドの営業利益率に合わせて考えると20%(160億円)が一番近いです。
目標とする営業利益が出たので、ここからPERを使って時価総額を出しましょう。
PERの意味合いは「何年先の利益まで織り込むか」ですので、一般的な平均PERである20倍を目安に考えた場合・・・
- 160億円 × 20倍 =3200億円
が目標とする時価総額という算出結果になるわけです。
まとめると、
- 全体の市場規模8000億円に対して
- 市場シェア10%(800億円)の売上高を獲得して
- そのうちの20%(160億円)が事業利益となり
- 20年先までの利益を織り込む時価総額3200億円の企業に成長する
というのが算出結果になります。
もし現状の時価総額が320億円であればそこから株価が10倍になるという計算です。
仮に事業が大コケして算出結果の3分の1しか達成できなくても、株価は3倍にはなってくれると考えられます。
時価総額まで算出する最大のメリットとは
上記の流れを聞いて「そんなの妄想に過ぎない」と感じる方もいるかもしれませんが、ここで大事なことは自分の中で目標ができるということです。
これは非常に大きなメリットで、
- 短期的な株価に惑わされない
- 他人の意見に左右されない
- 長期的なホールド力が身につく
など色々な効果があります。
もちろん、この他にもここまで株価が落ちたら一旦は身を引くというラインを決めなくてはなりません。
しかし、銘柄を監視して再度勢いが出てきたら目標までは乗っかるという目安があるわけです。
これは非常に大きな利点で、もし失敗したとしても自分で考えた結果なので
- 後悔は少ない
- 得られる経験値も大きい
と思いますね。
他人の意見ばかり聞いている人は一生わかりませんが、こういった考え方は非常に大事なので覚えておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?今回は市場規模やそこから時価総額まで算出する流れをお伝えしました。
色々な角度から調べることでざっくりとでも市場規模が掴めれば、それを参考に独自の見解も持てます。
ぜひ皆さんも大手企業や公的機関の情報などに目を向けてみてはいかがでしょうか。
株の基本知識と組み合わせれば時価総額や目標株価までたどり着くことも可能ですよ。
また、全体を知るという意味では業界地図も投資において重要ですので一度読んでみてください。
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