どうも、ひげづら(@higedura24)です。
孫正義氏が経営者を務めているソフトバンクグループという会社をご存じでしょうか。
もはや知らない人の方が少ないかと思いますが、実際にどのような事業を行っている会社かまで知っている人も少ないかもしれません。
また、事業内容を知らないということはどういったことに株価暴落リスクが潜んでいるのかもわからないということです。
そこでこの記事では
- ソフトバンクグループの事業内容
- ソフトバンクビジョンファンドとは
- 株価暴落を起こすリスク
について書きました。
孫正義氏ならではの事業戦略がありますのでぜひご参考下さい。
ソフトバンクグループとはどんな会社?
ソフトバンクグループは2020年3月時点で時価総額10兆円超えの大企業です。
主な業績は
- 売上高9兆6022億円
- 営業利益2兆3539億円
- 純利益1兆4112億円
と軽く1兆円超えの数字を持っている巨大グループと言えるでしょう。
経営理念は「情報革命で人々を幸せに」というもので、ここに事業内容のメッセージが隠れています。
具体的には
- 世界中のITテクノロジーなどに投資を行う
- 投資先と自社の関連事業を紐付け、技術革新を起こす
という事業を行っていて、300年に渡って成長し続ける企業を目指すのが目標です。
どれだけ生きるつもりなんだと突っ込みたくなりますが、次世代を担う後継者を「ソフトバンクアカデミア」という学校を開設して育成しているようですね。
ちなみに初代校長はもちろん孫正義氏です。
300年繁栄するための具体的な経営基盤としては「群戦略」という特殊な概念が挙げられます。
この群戦略とは
- 特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群
- 自律的な意思を持ちつつ資本関係を築くことで成長を遂げていく
- 基本的には投資先における20~30%の株式を保有する
という考え方です。
その言葉通り、ソフトバンクグループは2020年の時点で
- 子会社1302社
- 関連会社423社
- 共同支配企業26社
という状況となっていて、吸収合併を繰り返した巨大グループ企業と言えますね。
この群戦略のおかげで「ソフトバンクグループって結局何をしている会社なの?」という意見も多く、賛否両論ではあります。
ちなみに孫正義氏はここから30年以内に5000社規模にしたいと公言しているので、まだまだ買収は続くと考えられるでしょう。
群戦略では資本関係を築くという表現を使っているので、要するに「お金は出すから成長のためにやりたいことやってよ」という感じなのかもしれません。
この太っ腹精神が良いのか悪いのかはわかりませんが、後述するようにやりたい放題やられすぎて大きな損失と非難を呼ぶことにもなっています。
ソフトバンクやZホールディングス(ヤフージャパン)は子会社
ご存じの方も多いでしょうが、ソフトバンクグループの中には
- 大手携帯キャリアのソフトバンク
- ヤフオクでお馴染みのZホールディングス
も含まれています。
ソフトバンクもZホールディングスも東証一部に上場していて、これも孫正義氏は市場を私物化しているという批判を呼ぶ原因です。
ちなみにZホールディングスが子会社なので、格安携帯のYモバイルやLINEモバイルも傘下ということになります。
また、Tポイントを運営する会社(CCC)の株式を
- ソフトバンクグループ:17.5%
- ヤフージャパン:17.5%
という割合(合計35%)で保有しているので関連事業のポイント運営はTポイントがメインです。
この背景によって
- クレジットカード事業
- 電力事業
- インターネット回線事業
- 携帯事業
- EC事業
- キャッシュレス決済事業
などのポイントシステムを網羅的に連携させています。
持っている事業とTポイントの連携によって「ヤフー経済圏」を完成しつつあり、これは楽天経済圏の対抗馬となるものでしょう。
こういった群戦略が社会に良い影響を与えてくれるのであれば消費者としては大歓迎ですね。
孫正義氏の投資会社という側面
ソフトバンクグループの群戦略は多様な投資先があってこそです。
どちらかと言えば情報革新を起こすための投資事業が先であり、群戦略はそこから派生する要素かもしれません。
ソフトバンクグループはこれまでも積極的な吸収合併を繰り返してきましたが、2017年にはかなり大きな動きがありました。
それは「ソフトバンクビジョンファンド」の設立で、これはイギリス(ロンドン)に拠点を置く投資ファンドです。
ファンド事業を簡潔に述べると、
- 1000億ドル(10兆円規模)の巨大ファンドで存続期間は2029年まで
- 主にスタートアップ企業の、さらにユニコーン企業中心の投資業
といった内容。
ちなみにユニコーン企業とは
- 設立10年以内かつ未上場
- 時価総額約1000億円以上
のテクノロジー企業のことですね。
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ソフトバンクグループは中国ネット通販会社のアリババ株で
- 一部売却で1.2兆円を調達
- 2019年11月に香港市場へ新規上場
など大きな利益を手にしていますが、ソフトバンクビジョンファンドではスタートアップという区別がなされているようです。
ビジョンファンドの運営は100%子会社が行っていて、投資が成功すればソフトバンクグループも報酬を受け取ることができる仕組みになっています。
そんなソフトバンクビジョンファンドの主な投資分野は
- ECと物流
- フィンテック
- モビリティー
- BtoB
- ヘルスケア
- 不動産
の6つで、いずれも情報革新を起こすための次世代的なサービスに注目している特色があります。
ちなみに具体的な投資先の一覧は公式ホームページにて閲覧可能です。
外部参照リンク:ソフトバンクビジョンファンド|ポートフォリオ
ソフトバンクビジョンファンドの過去の投資実績として有名なのは
- Uber(ウーバー):アメリカの自動車配車サービス会社
- WeWork(ウィーワーク):アメリカのオフィスシェア会社
の2つですが、いずれも今のところはあまり良い結果になっていません。
特にウィーワークには時価総額が470億ドルになるまで2兆円規模の出資を続けましたが、問題が相次いで発覚したことで80億ドル以下にまで縮小しています。
その結果、あと少しのところで新規上場の話も白紙に戻る流れに。
ソフトバンクグループも2019年の上半期だけで25億ドルの現金損失が生じていて、2019年夏頃から起きた一連の流れは株価暴落のきっかけとなりました。
現在はウィーワークの再建を図る流れにありますが、しばらくはこの件がソフトバンクグループの弱みとなりそうです。
ソフトバンクグループの株価暴落理由
そんなソフトバンクグループの株価暴落要素にはどのようなものがあるでしょうか。
考えられるものとしては
- 投資先からの思惑
- サウジ関連
- 世界経済の低迷
があると思います。
投資先からの思惑
ソフトバンクグループは数多くの企業へ投資していますので、投資先の悪材料が思惑売りを発生させる可能性はあります。
例えば2018年にはニューヨーク市場のIT関連株が下落したことで、ソフトバンクが株式を保有するエヌビディアが7%超えの値下がりとなりました。
これを受けてソフトバンクグループの株価も
サウジ有力出資者への思惑
先ほど紹介したソフトバンクビジョンファンドは、ソフトバンクグループだけが出資しているわけではありません。
有力出資者にはサウジアラビア関係の名前があるため、サウジ関連の悪材料によって思惑売りが走りやすいです。
例えば2018年10月に起きたのは、「サウジアラビア出身のジャーナリストがトルコ総領事館に入った後に行方不明となった」という問題。
これを受けてビジョンファンドの先行きが不透明になったと思惑が走り株価が急落していきました。
その他にも、大きな暴落要因と言えるかはわかりませんが原油安もサウジ関連の悪材料として関連づけられる可能性があります。
ソフトバンクグループの株価はサウジ関連の思惑に影響を受ける側面があると考えた方が良いでしょう。
17兆円もの有利子負債と世界経済の低迷
ソフトバンクグループには17兆円もの有利子負債と5兆円ほどの利益剰余金があります。
もちろんここに投資先の株式価値も入ってくるので、ソフトバンクグループの財務面は
- 純負債保有株式率=純負債 ÷ 保有株式価値
という指標が用いられます。
計算式を見てわかるように、保有株式価値が大きくなればなるほど負債をカバーできるので財務としては安心できるでしょう。
基本的には負債カバー率が25%未満を目指していて、現状では安全圏にあると言われています。
ただし、この保有株式価値によって財務が左右される状況は逆にハイリスクだと考えていて
- ソフトバンクグループの投資先は世界各地にある
- 投資規模も半端ではない
ので世界情勢によって大きく株価が揺らぐでしょう。
2020年3月にはコロナウィルスがきっかけで世界的な株安が起きています。
ソフトバンクグループの保有株式価値も無傷では済まないと思うので、今後の世界経済の行方は気になる所ですね。
ソフトバンクグループの株価はなぜ割安なのか
ソフトバンクグループの時価総額は10兆円とかなり大きいですが、実はこれでも割安な水準だと言われています。
なぜならアリババ株など投資先の株式価値を合算し、そこから純有利子負債を引いた株主価値は時価総額の倍以上を有しているからです。
このことから外国の物言う株主から自社株買いを迫られている背景があり、実際に2020年3月には5000億円規模で行うと発表されています。
ソフトバンクグループの株価が割安な原因として言われているのはコングロマリット・ディスカウントです。
コングロマリット・ディスカウントとは、多様な事業で構成されている企業の総合価値は単純な総和とならないという考え方のこと。
代表例としてはオリックスやソフトバンクグループが挙げられ、その原因は「高収益事業と低収益事業が食い合ってしまうため」だと言われています。
(ちなみに孫正義氏は群戦略とコングロマリットは似て非なるものだと述べていますが。)
ソフトバンクグループの場合、コングロマリット・ディスカウントに加えて投資業への不信感が強いことも株価が安い理由かもしれません。
単純な株式価値だけで考えれば究極の割安株なのでしょうが、財務面のハイリスクさと世界経済への懸念を考えるといつ買うべきか悩んでしまいますね。
ソフトバンクグループの月足を見てみると・・・
短期間で株価が大きく上下しているので、投機性の強い銘柄と考えて対応したいところです。
まとめ
いかがでしたか?今回はソフトバンクグループの株価暴落要素や割安な理由についてお話しました。
色々な会社を吸収して何がしたい会社なのかわかりづらいですが、メインは投資業と群戦略による情報革新です。
次世代的なスタートアップ企業への投資を積極的に行っている背景があるので、同社の株価も投機性が高い側面があるでしょう。
財務面に株価暴落要素も見え隠れしているので、割安だからと長期保有するよりは投機的な売買の方が合っているかもしれません。
ウィーワークの件など関連材料に注意しながら慎重に売買したい銘柄ですね。
その他の株価暴落記事には
がありますのでご参考ください。それではまた!