日柄調整とは株価のデトックス!値幅調整との違いを含め解説!

    

株における「日柄調整」とは「時間的な株価調整」のことです。株をやり始めの方にとっては意味がわからないかと思いますが、後述するように時間的な調整期間というのは株価が末永く上がっていくためにも需給状況に折り合いをつけるためにもとても重要な要素になります。

また、類義語として「値幅調整」という言葉があり、こちらもまた株価が本来あるべき方向に向かうために必要な過程でしょう。結論としては

  1. 日柄調整:株価を下げずに行う調整期間
  2. 値幅調整:株価を下げながら行う調整期間

という違いがあり、この記事はこういった日柄調整や値幅調整の意味合いを具体例や個人的な見解を挙げながら理解を深めようという内容になっています。どちらも株をやっているとよく耳にする言葉ですのでこれを機会に覚えておきましょう。

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日柄調整とは

日柄調整とは冒頭で述べたように「株価が色々な側面で時間的調整を行うための期間」です。私個人としては3か月や6か月など3の倍数月が経過することをとても意識していて、この理由のひとつは四半期決算のスパンが関係しています。

四半期決算は通常3か月ごと行われるので、株価の動きとしても定期的に訪れる決算やその前後に出てくる材料で大きく反応しやすいわけです。材料の例としては

  1. 上方修正
  2. 増配
  3. 自社株買い
  4. 中期経営計画

など様々な適時開示があり、日柄調整はこの材料を待っていたかのように完了することもあります。

ただし、この3ヶ月や6ヶ月という調整期間はあくまで目安であり確実にそうなるというものではありません。場合によっては数週間や1ヶ月という短いスパンになることもあれば、9ヶ月以上ということもあり得ます。

信用取り組みや返済期限との関係性

何度も言いますが株の世界において時間調整はとても大事です。これは前述のような決算期との関係だけでなく、より具体的に需給状況と関係してくる要素もあります。その代表例は「時間が経過することによって信用取り組みが整理される」というものでしょう。

信用取引の返済期限は通常6か月(制度信用)が意識され、大きく出来高を伴って信用買い残が増えた時期から逆算して6か月経過した場合はある程度の返済売りが出てきてもおかしくはないです。

信用買い残が売り残よりも圧倒的に多い状況は「しこり」と呼ばれ上値を抑える原因となります。そのため銘柄選定時に敬遠もされやすいですが、日柄調整がなされることである程度解消される可能性はあるでしょう。

高値で株価を保ったまましこりが解消されればそこから高値更新もしやすく、特に人気化した銘柄ではその効果が高いです。例えば・・・

オイシックスの日柄調整

上記のオイシックスという銘柄は赤枠部分でかなり信用買い残が溜まっていたものの、高値で6か月ほど株価を保ち日柄調整をしたことで

  1. 出来高に表示された赤線(信用買い残)が一気に減る
  2. 黄色枠ではしこりが解消され、株価が大きく上に伸びる

と信用取り組みが整理されて株価が本来あるべき方向に進みました。ちなみに信用買い残がここまで溜まったのは

  1. 相場状況がかなり良かったため色々な銘柄に積極的な信用買いが入っていた
  2. 市場から大きく注目されるテーマ性を持っていた
  3. 実際に市場コンセンサス通りの好業績を叩き出していた

ということが関係しています。誰もが株価が上がると考えたことでしこりが起きたわけですが、そこから株価を持ち上げるためには日柄調整によって需給要因を解決する必要があったのではないでしょうか。

注目度合いの過熱感を下げる

時間が経過することで起きる需給変化は数字以外にもあるでしょう。私が思うに、個人投資家は手っ取り早く上がる株が大好きなので停滞している銘柄は見向きもされなくなっていきますよね。

オイシックスもあれだけ騒がれて物色されていたのに、高値でしこり始めて株価が停滞すると全く騒がれなくなってしまいました。個人的に日柄調整には「過熱した人気を冷ます効果もある」と考えていて、たんまり株を買い込んだ機関投資家は日柄調整が十分に行われたと判断できるまで寝かせているのかもしれません。

誰も見向きされない時期になれば信用買い残の増加にも歯止めがかかりピークを過ぎます。そのまま前述のように返済期限を迎えればやがてしこりは解消されますが、そこからの流れに乗るためには「現物保有で握っておくこと」がポイントですね。

値幅調整とは

ここまでの話は株価がある程度の水準を保ちながら行われる調整を想定して述べてきましたが、正直な話をすると私は株価の下落期間も日柄調整を意識して観察しています。

例えば「下降トレンド開始から6か月以上かけて下げているので売りたい人はそれなりに売った状況だろう」という考え方をしやすいです。厳密に言えばこういった株価下落が伴う調整期間は「値幅調整」と呼ぶのが正しく、特に好業績銘柄では重要視しています。

バリューコマースの値幅調整

実際の例でわかりやすく説明すると、上記のバリューコマースの月足と日足の比較が最適です。月足では上昇トレンドをキープしつつ、日足ではしっかりと下げ込んでいることがよくわかり

  1. 月足ベースでは中期移動平均線で反発することが多い
  2. 下げ始めから反発まではちょうど3ヶ月や6ヶ月となっている
  3. 値幅調整を意識しつつ日足を観察することで買いタイミングをうまく捉えられる

と考察できますね。将来的な期待感が長く続いている銘柄が下げたとしても月足ではまだ上昇トレンドを描いているということは多々あるので、そういった場合に値幅調整を意識して観察することは非常におすすめです。

日柄調整や値幅調整はなぜ起きるのか

ところで日柄調整や値幅調整といった株価の調整期間はなぜ起こるのでしょうか。これはやはり投資家の心理や需給変化が関係していて、仮に株価が大きく上がったのであれば

  1. 利食いして現金化したい
  2. もっと株価が上がるだろうから信用取引をしてまで買い集めよう

と考える投資家が増えてもおかしくないですよね。通常では株価上昇が続くと信用買いは増える傾向にありますが、その状況で大きな利食い売りが出たらどうなるでしょうか。

まず溜まっていた信用買いは高値で捕まりそれが含み損のまま拘束されます。やがて返済期限を迎え、その損切りがまとまった売りとなって表面化してくるでしょう。

株価が下がり始めると最初は平気な顔をしていた投資家も段々と耐えきれなくなり、徐々に売り方に回る人が増えるので「株価下落+出来高増加」が起きます。

出来高が最大限に増加してセリングクライマックスを迎えると株価が横ばいに転じ、どこかで切り返して調整は終了・・・という流れが値幅調整の大まかなメカニズムかもしれません。

一方、日柄調整は株価が下がらず保ち合いに入るという点がポイントで、例えば初動からすぐに株価が横ばいに転じて株価が耐えている場合はどうでしょうか。

強材料からのヨコヨコ

株価が下がらないということは売りを吸収しながら少しずつ株が買い集められているのかもしれず、そこで勇気を出して買いじっくりと待つ戦略は時間がかかったとしても有効ではないかと感じます。

株価が下がったりヨコヨコになっている時期は不安が募りますが、最終的にその銘柄は上方向か下方向か意識していきたいですね。

楽天証券で日柄調整期間を計算する方法

売買概念としての日柄調整の説明はこんな所ですが、実はこの日柄調整の考え方はより具体的にテクニカル分析指標として役立てることができます。

ピークボトムで日柄調整を考える

結論的には上記の「ピークボトム」というテクニカル指標が存在するので、これを活用して株価の上下リズムを把握します。このピークボトム(黄色枠部分)では

  1. 1段目:高値から高値の期間
  2. 2段目赤文字:安値から高値の期間
  3. 2段目青文字:高値から安値の期間
  4. 3段目:安値から安値の期間

が表示されていて、例えば上記の日経平均株価チャートであれば2段目の情報から大体12日前後で上げ下げを繰り返されていることが読み取れますよね。ということは12日前後を目安に買いと売りを繰り返せばテンポよく値幅を取ることができそうではないですか?

こういったボックス期間では安値高値の位置を把握しつつピークボトムを読み取ることで効率よく売買が可能です。ちなみに、トレンド発生中でもピークボトム上で定期的に上げ下げを繰り返していることが確認できる銘柄では押し目取りの有効手段となります。

ピークボトムは楽天証券が提供しているマーケットスピード2というPCツールで簡単に表示できますので、興味のある方はぜひ一度表示させてみてください。視覚的になんとなく一定リズムを刻んでいる銘柄で表示させればそのリズムを数字として視覚化できますし、これ以外にも色々と使い道はありますよ。

まとめ

今回は日柄調整や値幅調整について具体例を挙げながら紹介しました。日柄調整や値幅調整はどちらも株価の調整期間として重要なものですが、

  1. 日柄調整:株価を下げずに行う調整期間
  2. 値幅調整:株価を下げながら行う調整期間

という違いがあります。株価にとって時間的な調整というものは決算月や信用取引の返済期限とも関係が深く、こういった要素は投資家のセンチメントや需給状況に影響を与えるでしょう。

テクニカル分析の中にはピークボトムと呼ばれる株価の上下期間を活用したものまであり、値動きリズムを掴むのに役立ちます。日柄調整や値幅調整はシンプルながら大事な要素ですのでぜひ意識してみてはいかがでしょうか。

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