株式市場はお盆休み期間にどうなるかご存じですか?
一般的にお盆期間は機関投資家が夏休みに入るので閑散相場になりやすく、薄商いから下落基調になると言われています。果たしてこれは本当なのか気になりますよね。
そこでこの記事では
- 本当にお盆休みに株式市場は下落基調になるのか直近10年の傾向を調査
- お盆休み明けから年末にかけてどうなるのか直近10年の傾向を調査
- それらの結果と考察から導かれる戦略
- お盆休みを過ぎた後に買うべき株
などをまとめました。お盆期間は個人投資家にとってあまり良いものではないのですが、だったらどうするべきかという視点でぜひ最後までお読みください。
株式市場はお盆休みでどうなるのか
株式市場がお盆休みでどうなるのか述べる前に、簡単にお盆の特徴をおさらいしておきます。冒頭で述べたように株式市場がお盆休みに下がりやすいと言われる理由は
- 機関投資家が夏休みに入るので薄商いになる
- 個人投資家主体の閑散相場のため株価指数を持ち上げる大口資金が乏しい
- 個人投資家は新興株ばかり触るので大型株の動きが鈍い
といったものです。一般的に国内株式市場へ資金流入させている主な存在は外国人投資家や機関投資家だということは皆さん知っての通りですが、そういった存在は夏休みをそこそこ長い間取ることで知られています。
株式市場そのものにはお盆休みという特別な休場期間はないのですが、株の売買をする投資家は夏休みをとってそれぞれ帰省したりするわけですよね。機関投資家全員が夏休みを取って売買をしないというわけではないようですが、東証の売買金額を見ても通常時より閑散としやすいことは間違いないでしょう。
では本当にお盆休みになると株式市場が軟調になるのでしょうか?
今回の調査では2012年から2021年の10年間における「8月1日から20日前後」を対象に始値から終値の騰落率を調べました。
お盆休みなので8月15日を目安にしたいところですが、個人的には20日前後まで影響が残る印象が経験的にありましたので、今回は少し長く終値を取っています。では早速ですが調査の結果をお見せしましょう。
結論的には直近10年においてお盆休み中に上昇したのはたったの3年しかありませんでした。2017年は年間を通して特に強い相場だったはずですが、それでもお盆休みは市場に活気がなかったようですね。
ちなみに20日間の中で考えると安値はもっと下ということも多く、例えば8月前半にきつい下げがあったけど少し持ち直したケースもあったので実際には結果表よりお盆休みの威力は上な気がします。また、調査期間を直近20年にしても同様に軟調相場となっていましたのである程度信頼できるアノマリーだと考えられそうです。
こういったことを踏まえると個人的な考察としては
- 機関投資家の事情は知る由もないが確かにお盆休みに株式市場は軟調になる
- お盆休みはあまり手を出さず大口投資家が戻ってくる時期に合わせて動き始める
という考えが好ましいと思いました。ただ、ここで気になるのはお盆休み明けの株式市場にはどういった傾向があるのかということですよね。
ということでついでにお盆休み明けから年末にかけて株式市場にどういった傾向が見られるかも調査しました。具体的には8月20日終値から12月最終営業日の終値で騰落率を計算した結果をまとめています。ちなみにこの記事を執筆している時点ではまだ2021年が終わっていないので、2021年のみ9月24日時点の終値を使って計算しました。
2021年8月相場はきつい下げとなりましたので9月の傾向でも十分に参考になるはずです。では気になる結果ですが・・・
このようになりました。結論的には直近10年においてお盆休み明けから年末にかけてマイナスとなったのはたった1年しかありませんでした。それだけでなく上昇率も2桁以上を連発していて、指数の勢いが明らかに上がることがこれだけでも感じられますよね。
こういったことを踏まえると個人的に考察としては
- お盆明けは下げた所を積極的に買う姿勢が好ましい
- お盆休みは様子見に徹するだけでなく休み明けに買いを入れる銘柄を選定しておく
といった戦略が好ましいと感じました。そのためには8月の弱い時期に無駄に手を出さず、しっかりと余力を蓄えておくことが何よりも優先事項になるのでしょう。今回の結果はあくまでアノマリーかつ直近10年の傾向ではあるものの、これだけはっきりとした傾向があると従ってみた方が良いとは思います。
お盆休み明けから年末にかけてどんな株を買うべきか
先ほどお盆休みが明けたら株を買うということを述べましたが、ではどのような株を買えば良いのでしょうか。個人的には優良配当株や年末に向けて需要が高まっていく株が良いのかなと思います。例えば年末に向けて上がりやすい株の代表にはクリスマス関連銘柄がありますので、その関連銘柄を事前にリスト化しておくことはおすすめです。
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ただ9月頃に買うのは少し早い気もするので、10月のハロウィンや11月の七五三などといったイベントに目を向けるのも良いでしょう。ハロウィンや七五三はイベント投資としてはそこまで強いテーマではないのですが、考え方としてはこのようなイメージです。その他にもシンプルに10月から12月にかけて配当や優待の権利確定がくる銘柄を狙ってみたりと、需要を取れる方法は色々あるので試行錯誤してみてはいかがでしょうか。
この記事で伝えたいことは
- 例年の傾向として株式市場が弱くなる時期に無理して買うことはない
- その時期が過ぎたらゆっくりと買い始めれば良い
- 株式市場がお盆休みを経て下がったとしても、その下げを利用して少しずつ買う姿勢が何より大事
ということです。ただし、「ゆっくりと」とか「少しずつ」という表現を使った理由はお盆の夏枯れ相場がどこまで続くかわからないからでもあります。
場合によっては年末でも下げることもあり得るかもしれないし、そういったリスクを考慮しながら資金を少しずつ市場に入れていくという意味を込めて使ったのでそこをお忘れなく。
また、一応注意しておくとお盆期間に株を買うのではなくあくまでお盆休み明けに一段落したら買う意識ですね。下げ期間に手を出すと大やけどになる可能性もあるので気をつけて下さい。
この記事を書いていて思ったのですが、確かにお盆相場というのは株式市場にとって悪影響ではあるものの年間の流れを考えると買い場を作る期間として重要なのかもしれないです。例えば株価指数が高値圏でお盆休みを迎えたのなら良いクールダウン期間になる可能性は高く、年末に向けてもう一段高になる布石になると思います。
今まで堅調だった銘柄を買うのか下げ止まっていそうな銘柄に目を向けるのかは個人の考え方次第ですが、どの投資家もうまくお盆休みを活用できると良いですね。
まとめ
今回はお盆休みが株式市場に与える影響を調査しました。直近10年の傾向を調べた限りではお盆休みに下落基調になる可能性は高く、逆にお盆明けからは大きく上昇する可能性も高いです。
年間の流れを考慮するとお盆期間は株式市場の調整期間と考えられ、明けたら目ぼしい株を買う意識が欲しい所ですね。買う銘柄としては優良高配当株などを長期目線で買うことや、年末にかけて需要が高まる銘柄も良いでしょう。
中でもクリスマス関連銘柄や優待権利確定月に向けた物色はシンプルで考えやすい戦略だと思います。どの投資家さんもうまくお盆休みを活用して良い株を安く手に入れていきましょう。