持ち株がある日突然に紙切れとなってしまう、こんなことが株式投資では起こり得ます。
まぁ現代では株券を自宅に置いておくなんてことはないので、実際には紙きれという表現はおかしいのかもしれませんが。
しかし、株式会社が倒産してしまった場合にはほとんどの場合でその価値はないに等しくなります。
この記事ではあなたの持ち株がそういった状況になった場合、どういったケースが考えられるのかを簡単にまとめてみました。
この記事に書いたような状況に陥って欲しくはないですが、一応知っておいた方が良いことですのでご参考下さい。
倒産した株はどうなるのか?
まずお伝えしたいのは「株式会社が倒産した場合は上場廃止になる」ということです。
上場廃止になれば株価が0円もしくはそれに近い水準まで落ちるので、少なからず投資していた分はダメージを受けることになるでしょう。
ただし、どのような流れで上場廃止になるのかという点ではいくつか種類があるので、そこを解説していきます。
会社更生法の適用申請とは
代表的な倒産ケースは会社更生法の適用です。会社更生法とは「経営困難である会社に対して事業更生を目的に行われる倒産の形」という感じでしょうか。
更生とは「好ましくない状態を好ましい状態に変えていく」という意味合いがありますから、いわば不死鳥のごとく蘇らせるための措置というものです。
過去に会社更生法の適用となりうまくいった例としては日本航空(JAL)が有名で、
- リーマンショックをきっかけに起きた不景気が原因
- 航空機など多大な費用がかかる事業内容である
- ホテルなどサブ事業の採算も合わなかった
など経営破綻した原因は数多く挙げられています。
会社更正法の適用となったJALはどうなったかというと、まず前述のように上場廃止という流れになりますね。
しかし、上場廃止となっても更正法の場合は会社自体がなくなるわけではなく、JALの場合だと再生の指揮は京セラ創業者である稲森氏が行い紆余曲折ありながら今日には再上場して私たちがJALの株式を売買できています。
昨今では新型コロナウィルスのせいで再び窮地に立たされていますが、今後航空業界がどうなっていくか非常に気になりますね。
民事再生法の適用申請とは
もうひとつ会社が倒産する際の形があり、これを民事再生法と言います。
民事再生法とは「経済的に窮地に立たされた債務者の事業や経済生活を再生するための法律」です。
民事再生法では「事業を継続しながら経営陣が再生案を作り、それが決議されれば実行に移される」という流れが一般的でしょう。
会社更生法と同じく組織は残る流れであり、時間をかけて事業をまた持ち上げていくことが目的となります。
会社更正法と民事再生法の違い
上記の会社更生法と民事再生法はどちらも上場廃止となるものの会社自体は存続させ、可能であれば再上場させるというのが主な流れです。では両者の違いは一体どんなものなのでしょうか?
一般的に会社更生法は
- 比較的規模の大きな会社に対して行い、流れも複雑
- 裁判所が選出した人材が再建を行う
- 元々の経営陣は刷新される
という点が、そして民事再生法では
- 手続きが行使恵方よりは簡素化されている
- 元々の経営陣が再生案を提出して実行する
という点が特徴です。特に大きなポイントとなるのは経営陣が入れ替わるかどうかという点で、新たなスポンサーとなる存在との関係性もかなり影響されてしまうでしょうね。
また、民事再生法では元々の経営陣が
- スポンサー探し
- 財産処分
などを行えますが、会社更正法では行えません。こういったことは手続きなどのスピード感にも影響しますが、その後の再建を考えるとしっかり経営陣が入れ替わることは好ましいことなのかなと感じます。
破産申請
株式会社が倒産する形として一番悲惨なケースが破産申請です。
会社更生法や民事再生法ではスポンサーがつくことで「資金性質の変更+会社存続」という形を取れますが、破産申請の場合は会社そのものが無くなってしまいます。
更正法や民事再生法では会社が残るため株価も0円より少し上で止まるケースが多いですが、破産申請では会社が解体されますので株価は1円に近づいて上場廃止になりやすいでしょう。
昨今の株式市場で破産申請となった例としては
- Nuts
- レナウン
などがあり、例えばNutsは株価5円で上場廃止となっています。
破産申請の場合は再上場ということにはなりませんので、その銘柄のファンだった投資家さんにとってはつらい結末ですね。
上場廃止となる株を空売りできるのか?
ところで、上記のような上場廃止が決まった株に対して空売りはできるのでしょうか?
上場廃止になる会社は「整理ポスト」や「整理銘柄」という区分分けが市場内でなされ、他の銘柄と一線を画されます。
区分分けがなされた後は1ヶ月で実際に上場廃止となりますが、その間に空売りすることはできなくなります。
したがって結論的には新規に空売りなどをして値下がりで利益を得ることはできませんが、上場廃止銘柄を使ったマネーゲームが勃発して盛り上がるというケースはあり得るでしょう。
100%減資と99%減資
上場廃止銘柄のマネーゲームでひとつの要因となるのが減資割合です。
上場廃止となれば通常は「既存株主から得ている資本を100%カット」となりますが、中には99%というケースもあります。
その場合は株価1円ではなく数十円レベルで値動きすることが多く、このわずかな値幅を利用したマネーゲームが可能となるわけです。
最終的には売れない(買い手がいない)リスクがありつつババ抜き大会が始まるので投機勢にとっては楽しい局面なのかもしれませんね。
倒産するような危ない橋は渡らないことが大前提
ここまで株式会社の倒産について色々述べてきましたが、そもそもそういった危ない橋を渡りたいという方は少ないはずです。
倒産となれば株価は限りなく1円に近づき、投資していた分はそっくりそのまま損失となるので株式投資における最大のリスクと言っても過言ではないでしょう。
株式会社が倒産となる代表的な原因は有利子負債の返済遅延など債務超過だと私は考えています。
また、債務超過になるということは資金繰りがうまくいっていなかったということですので
- 借金を返済するための現金がなかった
- 現金を生むためのキャッシュフローがなかった
- 事業がうまく回っていなかった
といった財務面や収益性のお話になりますよね。
したがって、倒産という最大のリスクを避けるためには
- そもそも増益傾向にある会社なのか
- 現状の財務面に問題はないか
- 今後も安定したキャッシュフローを生める事業か
といった点を考えた売買が求められるでしょう。短期売買を生業としている方はその限りではないですが、長期投資目的で保有株を増やしているという方は必須項目になります。
上場廃止はすなわち投資資本の減少につながるので、まともな株以外には投資しない意識が必要ですね。
まとめ
今回は株式会社の倒産についてお話しました。倒産の形には会社更生法・民事再生法。破産申請の3つがあり、どれも上場廃止になります。
ただ、前者2つに関しては会社そのものが無くなるわけではないので再上場というケースもあるでしょう。
そもそも倒産するような会社に投資しないことが一番ですから、売買の前にしっかりと調べるべきことは調べておきたいですね。
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