多木化学とバカマツタケ!松茸が絶滅危惧種入りで株価急騰!

    

日本の秋を代表する食材を連想すれば必ず出てくるのが「松茸」です。

実はこの松茸、昨今ではなかなか手に入らないと言われていましたが、ついに2020年7月に絶滅危惧種に指定されてしまいました。

これを聞いた日本国民は「大変だ!食卓から松茸が消えてしまう!」なんて思ったことでしょう。

ご安心下さい、そんな松茸の味を守るべく奮闘している会社があります。

その名も多木化学という東証一部上場企業で、株式市場ではもう何度もこの話題で注目を集めているんです。

この記事では

  1. 多木化学の企業概要
  2. 絶滅危惧種について
  3. バカマツタケと松茸について
  4. 多木化学の今後の見通し

などについて述べましたので、ぜひご参考ください。

参考:多木化学公式HP

    

多木化学ってどんな会社?

多木化学は東証一部に上場する化学セクターに属した企業で、本社は兵庫県加古川市にあります。

企業の時価総額は2020年7月時点で650億円とそれなりに大きな会社であり、もともとは肥料会社の先駆けとして有名でした。

現在の事業内容は

多木化学の売上高比率と事業セグメント

  1. アグリ事業:化学肥料などの製造や販売。売上高比率28.7%。
  2. 化学品事業:水処理剤や機能性ナノ材料、環境関連資材などを提供。売上高比率40.6%。
  3. 不動産事業:ショッピングセンターなどで地域活性化。売上高比率5%。
  4. 建材事業:安全で快適な住空間を提供。売上高比率9.8%。
  5. 石油事業:石油資源。売上高比率8%。
  6. 運輸事業:エネルギー効率の良い運輸。売上高比率7.9%。

の6つに拡大しています。

気になる事業業績ですが、売上高は

多木化学の売上高推移

このようになっていて、当期純利益は

多木化学の純利益推移

このようになっています。安定した売上高によって一定水準の純利益が出ている状況と言えそうですね。

また、自己資本比率も・・・

多木化学の自己資本比率

このように60%と高い水準を維持していて、安定業績から財務的な安全性を確保している状況です。

最後に株主にとって重要な配当金推移も・・・

多木化学の配当金推移

このように増配傾向なので嬉しい所ですが、企業がまだ成長途中ということもあり利回りは0.5%と低めになっています。

ただし毎年12月末に株主優待の権利確定が行われ、保有者には

  1. 100株以上:1000円相当のクオカード
  2. 400株以上:3000円相当のクオカード

が進呈されます。

また、多木化学の株価推移ですが・・・

多木化学の長期株価推移

このように深い押し目がありながら長期的に上昇しているのが特徴です。

まとめると多木化学は安定した事業で成長を続けている会社であり、安定的な財務と株価推移から中長期的に投資できそうな銘柄と言えます。

多木化学はバカマツタケの完全人工栽培に成功している

そんな多木化学の知名度を上げた研究は「バカマツタケの完全人工栽培成功」というものです。

松茸といえば国内流通の95%以上が外国産で、国産松茸はかなり希少なものとして知られています。

国産の場合は価格も高騰しやすく、普段は滅多に食べられない食材となってしまいました。

また、

  1. しいたけ
  2. マイタケ
  3. ブナシメジ

など他の安価なきのこは人工栽培が行われているためスーパーで簡単に手に入りますが、松茸は植物と共生する「菌根菌」という種類に分類されているので人工栽培は難しい背景にあります。

そんな状況の中、多木化学はバカマツタケという松茸の近縁類にあるキノコの人工栽培に成功したのです。

バカマツタケの特徴は

  1. 松茸より小ぶりだが香りが強く、味はバカマツタケの方が上と言われている
  2. 赤松以外のブナ科植物と共生し、発生時期は8月下旬~9月下旬と松茸より1ヶ月ほど早い
  3. 地域によっては早松(さまつ)と呼ばれ珍重されているが店頭に並ぶことはほぼない

といったもので、松茸の代替品となる品種と言われています。

多木化学はこのバカマツタケの完全人口栽培に成功し、その手法特性から

  1. 植物と共生させないことで培養期間の短縮に成功
  2. 室内環境での栽培のため虫の混入も少なく、年中供給が可能

というメリットも備わっているようですね。

気になるお味ですが「天然のものに比べて大きく香りや食感も問題ない」とのことなので早く食べてみたいなと感じました。

多木化学としては2021年度中に商品化する計画なので、また新たな材料が出てくる可能性は高いでしょう。

人工栽培に成功したということは本家よりも安価に手に入ると予想されるので、近い将来に松茸の味は身近なものになるかもしれません。

参考:多木化学プレスリリース|バカマツタケの完全人工栽培に成功

松茸が指定された絶滅危惧種とは

2020年7月に報道された「松茸が絶滅危惧種に指定」というニュースはバカマツタケの完全人工栽培に成功している多木化学の株価にも大きく影響を及ぼしました。

多木化学の株価が松茸絶滅危惧種ニュースで反応

当日朝の寄付きでは前日比で大幅上昇となり、最高値では11%以上の値上がりとなっています。

これは

  1. 松茸が絶滅危惧種になったということはもう食べられなくなるのではないか
  2. そうなるとバカマツタケの人工栽培が注目を浴びるのではないか
  3. 多木化学の売上高が上がる前に株を買っておこう

という思惑が投資家に走った結果だと推測されますね。

ところでこの絶滅危惧種指定には3段階のランクがあることはご存じでしょうか?

  1. 一番目のランク:イリオモテヤマネコなど野生では絶滅する危険が極度に高い
  2. 二番目のランク:ニホンウナギなど野生では絶滅する危険が非常に高い
  3. 三番目のランク:クロマグロなど野生では絶滅するリスクに直面し始めている

今回の件で松茸が指定されたのは三番目の「絶滅リスクに直面し始めた」というランクで、この理由や根拠としては

  1. 松茸は日本や中国、北欧などに分布するが過去50年で3割以上減少している
  2. この背景には環境破壊や森林伐採などが関係している
  3. 日本においては松枯れ被害や過剰採取が原因

としています。

ちなみに松茸と同時に

  1. ヤシガニ
  2. アカテンコバンハゼ

も三番目のランクに指定されました。年々、動植物の絶滅危惧種は増えているので環境問題についてより考えていかなければならないですよね。

クロマグロやウナギの養殖をしている会社はある?

先ほど、クロマグロやニホンウナギも絶滅危惧種に指定されていると述べました。

松茸が騒がれるなら過去にこれらも騒がれているだろうということで、マグロやウナギの養殖をしている企業を調べてみたところ

  1. クロマグロ養殖:マルハニチロが近畿大と共に取り組んでいる
  2. ウナギ養殖:近畿大が取り組んでいる

と近畿大とマルハニチロがメインとなって進められているようですね。

「完全養殖と言えば近畿大!」と個人的にもイメージしているので、回遊魚や高級魚の養殖話では近畿大やマルハニチロの周辺を洗った方が良さそうです。

多木化学の株価と今後の見通し

多木化学とバカマツタケについて色々と述べてきましたが、投資家としてはバカマツタケを気軽に食べられるかどうかより株価はどうなっていくのかという事の方が気になりますよね。

ここからは完全な私見ですが、多木化学の株価は上昇傾向が続きそうだなと考えています。

ただし、日足推移を見ると・・・

割と深い押し目が何度もあって、買い場はこういったタイミングなのかなと。

また、売上高が安定しているものの業績は完全な増益傾向ではないと思います。

株価の割安度を簡易的に表してくれるPERも40倍以上になっていて、連続増益であればまだ良いのですがここもちょっと気になりますね。

それでもここまで株価が順調に伸びているのはバカマツタケのパワーなのかもしれませんが、時価総額も650億円ほどになってしまっているのでのどから手が出るほど欲しいというわけでもありません。せめて数百億程度であったなら認識も変わってくるのですが・・・。

また、バカマツタケの量産化によってどれくらい業績推移に影響が出るかもわからないので、とりあえずは様子見で値下がりを待つの方向で良いでしょう。

まとめると

  1. 業績の安定性や財務面、材料は問題ない
  2. ただし、株価が割高に位置するならもっと増益傾向が強い方が好ましいし持ちやすい
  3. 定期的に大きな下げがある傾向なのでそこを待って買うのでも良い
  4. 気長に待って「株価が上がったら仕方ない、下がってきたらちょっと拾っておく」くらいがちょうど良さそう

という印象です。

株価の伸びは良いので、深めの押しを待って拾うような戦略でいきます。

まとめ

今回は多木化学とバカマツタケについてご紹介しました。松茸が絶滅危惧種に指定されたことで再び脚光を浴びそうですが、中長期で見たいので慌てて拾わなくても良いでしょう。

実際に2021年度中にバカマツタケが量産化されれば社会貢献にもなり消費者にも喜ばれますが、それによって株価がさらに上がるかはわかりません。

むしろそこに向かって動いていたのであれば出尽くしで下げる可能性もあるので、慌てず株価推移を見守りましょう。