財務安全性指標まとめ!株をやるなら倒産リスクを測るべし!

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

株式投資では倒産リスクというものがあります。せっかく株を買ってもその企業が倒産してしまっては株式の価値は0となり、売買資金はまるごと損失となるということですね。

信用取引を活用して資金以上の売買をしていた場合には資金以上の損失を被り、資金管理の仕方によっては借金となるケースだってあります。

企業が倒産する理由としては「資金繰りが苦しい」ということが一番大きいでしょう。具体的には、

  1. 負債が大きすぎて利子が払えなくなってしまった
  2. 売掛金の回収がうまくいかなかった
  3. 在庫の回転がうまくいかず資金を無駄にしてしまっていた

などが挙げられます。

そこでそういった企業に投資しないために活用してほしいのが「財務安全性」に関する指標です。

投資したい企業の財務的な安全性を事前に調べておき、できるだけ倒産リスクを減らしておけば長期保有する際にも安心できますよね。

この記事では財務安全性に関する指標をまとめましたので、ぜひご活用下さい。

    

自己資本比率

財務安全性を見るための指標の中で最も基本的なものとして自己資本比率があります。

自己資本比率は

自己資本比率(%)=自己資本 ÷ 総資本 × 100

で計算され、「総資本のうち、返す必要のないお金がどれくらいあるか」を表しています。

総資本とは自己資本と他人資本を併せたもので、そのうちの自己資本は株主から集めたお金や利益剰余金など自由に使えるお金です。

それに対して、他人資本は借金をして手に入れたお金。自己資本が少ないことは借金が多いことを意味するので財務的には安全性が下がってしまいます。

業種によって他人資本が多くなりがちなケースもありますので、同業他社の水準も気にしたいところですね。

自己資本比率の目安や詳細については自己資本比率とは返す必要のないお金がどれくらいあるかを示す!で解説しています。

有利子負債自己資本比率とネットD/Eレシオ

有利子負債は「利子が発生する借金」という意味ですので、可能であれば自己資本でまかなえる範囲に収めることが好ましいです。

これは自己資本の範囲に有利子負債が収まっていれば、万一の時に自己資本を使って有利子負債を0にしやすいからですね。

そこで有利子負債が適正範囲かの目安となるのが「有利子負債自己資本比率」です。有利子負債自己資本比率は

  • 有利子負債自己資本比率(%)=有利子負債 ÷ 自己資本 × 100

で計算され、「自己資本に対して有利子負債がどれくらいの割合なのか」を表しています。

また、これを同じ意味合いかつ倍率として表した「D/Eレシオ」というものもあります。

有利子負債は借金ですので少ないほど利子が利益を圧迫することは少なくなりますが、事業成長を自己資本に頼る必要が増すことも考えなくてはなりません。

企業が借金するのは他人資本を活用することで、事業成長を早める狙いがありますので適度な負債は好ましいとも考えられるわけですね。

ちなみに、D/Eレシオに現預金を加味したものでネットD/Eレシオなるものがあります。ネットD/Eレシオは

  • ネットD/Eレシオ(倍)=(有利子負債-現預金) ÷ 自己資本

で計算され、「有利子負債から現預金を引いた上での、自己資本に対する有利子負債割合」を表しています。

現預金が豊富な企業ではネットD/Eレシオが低くなるので、間接的にキャッシュ情報が把握できるメリットがありますよね。

有利子負債自己資本比率の目安や詳細は有利子負債自己資本比率とは?目安や確認方法まで解説!で解説しています。

有利子負債対利益剰余金比率

有利子負債自己資本比率をより保守的に考えたもので、有利子負債利益剰余金比率という考え方があります。

  • 有利子負債利益剰余金比率(%)=有利子負債 ÷ 利益剰余金 × 100

で計算され、「自己資本のうち、利益剰余金のみに対する有利子負債の割合」を表したものです。

指標として周知されているわけではないですが、利益剰余金のみを分母に持ってきていることでより保守的な考え方として信頼できるものです。

仮に利益剰余金が有利子負債よりも多ければ、株主のお金には手をつけずにいつでも完済が可能という意味になります。

利益剰余金と有利子負債額をぱっと比べるだけでも、投資先の財務的な余裕が伺えますよね。ただし、利益剰余金ばかり多くて業績の伸びがいまいちな場合は印象が変わってきます。

そういったケースでは「貯め込んだお金を効率的に使っているのか」という意味で収益性も入念に調べる必要があるでしょう。

有利子負債と利益剰余金の関係や目安については利益剰余金の使い道!有利子負債との関係から金の卵を掴みとれ!で解説しています。

キャッシュフロー対有利子負債比率

有利子負債を返しながらお金を貯めるには営業キャッシュフローが豊富にあることが非常に重要です。

もし営業キャッシュフローよりも有利子負債額があまりに大きい場合は利子を返すだけでも精一杯な状況になる恐れがあります。

そこで、営業キャッシュフローに対して有利子負債額が適正範囲にあるかを調べるためにキャッシュフロー対有利子負債比率が登場するわけです。これは

  • キャッシュフロー対有利子負債比率(倍)=有利子負債 ÷ 営業キャッシュフロー

で計算され、「有利子負債が営業キャッシュフローの何倍にあたるか」を表しています。

営業キャッシュフローが増えて有利子負債が減っていけば低下する指標ですので、財務安全性だけでなく収益性にも関係している指標です。

キャッシュフロー対有利子負債比率の目安な詳細はキャッシュフロー対有利子負債比率で借金の支払い能力が簡単にわかるよ!で解説。

インタレストカバレッジレシオ

企業が倒産する理由のひとつに「お金がなくて借金の利子が払えない」というものがあります。

したがって企業の借金支払い能力をあらかじめ知っておくことは、倒産リスクを把握することにつながるわけですね。

そこで登場するのがインタレストカバレッジレシオです。インタレストカバレッジレシオは

  • インタレストカバレッジレシオ(倍)=営業利益 ÷ 支払利息

で計算され、「本業利益が支払利息の何倍にあたるか」を表しています。

インタレストカバレッジレシオが高いほど借金支払い能力が高く、企業の信用力も高いです。

より詳細なインタレストカバレッジレシオの計算や、目安についてはインタレストカバレッジレシオとは!財務的に安全な企業に投資してますか?で解説しています。

棚卸資産回転率

棚卸資産とはいわゆる「在庫」のことです。この棚卸資産回転率は

  • 棚卸資産回転率(回転)=年間売上原価 ÷ 棚卸資産

で計算され、「年間売り上げが棚卸資産の何回分にあたるのか」を表しています。

在庫を多く抱えてしまうと使い切るのに時間がかかるので、棚卸資産回転率は低下するわけですね。

また、棚卸資産は粉飾決算でよく水増しされる部分なので、棚卸資産回転率からその徴候を見抜くこともできます。

棚卸資産回転率の目安や、粉飾決算については棚卸資産回転率、回転期間とは?計算式から活用方法まで解説!で解説。

流動比率と当座比率

資産や負債は短期的なものと長期的なものに区別でき、そのうちの

  1. 1年以内に現金化できる資産:流動資産
  2. 1年以内に返済する負債:流動負債

と呼んでいます。

流動負債は1年以内に返す必要がある借金ですので、1年以内に動かせるお金に対しての割合が重要です。

そこで流動比率という指標が出てくるわけですね。流動比率とは

  • 流動比率(%)=流動資産 ÷ 流動負債 × 100

で計算され、短期的な負債支払い能力を表します。

ただし、短期負債における実質的な支払い能力という意味では「当座資産」というすぐにでも現金化できる資産で考えるのが好ましいです。そこで、

  • 当座比率(%)=当座資産 ÷ 流動負債 × 100

を計算し、より現実的な支払い能力を測る必要があります。

流動比率や当座比率の詳細や目安は貸借対照表とは?読み方やポイントを簡単に解説しました!で解説。

固定比率と固定長期適合率

企業によっては建物や設備など固定資産と呼ばれるものが多いですよね。

固定資産の支払いは返済義務のない自己資本でまかなうことが好ましく、資本のうちどれくらいが固定資産にあたるのかを固定比率という指標で考えます。固定比率は

  • 固定比率(%)=固定資産 ÷ 資本 × 100

で計算されます・・・が、実際に固定資産を自己資本でまかなっていくのは厳しいのが現実です。

そこで固定長期適合率というものが出てきます。固定長期適合率は

  • 固定長期適合率(%)=固定資産 ÷ (資本+固定負債)× 100

で計算され、「実質的な固定資産に対する資金繰り」を表しています。

固定比率や固定長期適合率の目安や詳細は貸借対照表とは?読み方やポイントを簡単に解説しました!で解説。

営業・投資・財務キャッシュフロー

キャッシュフローは収益にも関係しますが、財務安全性においても重要な要素です。

なぜなら、利益剰余金を増やしたり負債を返済するためにはお金の出入りが適正に働いていなければならないからですね。

  1. 営業キャッシュフロー:本業によって入るお金
  2. 投資キャッシュフロー:将来のための先行投資
  3. 財務キャッシュフロー:負債の出入り

を表すので、入るべき部分が入っていて出るべき部分が出ていることを確認しましょう。

それぞれのキャッシュフローはキャッシュフロー計算書に記載されており、その数字が四季報などにも掲載されます。

キャッシュフロー計算書はキャッシュフロー計算書とは?どこを見れば良いのかだけ簡単にまとめました!で解説していますので、その他の財務諸表と一緒に覚えておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は財務安全性に関する指標をまとめました。

倒産リスクを下げ、安心して株式投資が行えるように必ず見ておきたい部分です。

業種などによって特徴もありますが、今にもつぶれそうな企業の株を買うことだけは避けたいですね。

財務安全性以外の指標まとめとして

  1. 株の割安性指標まとめ!特徴を知って最適なものを選択しよう!
  2. 株は収益性指標を活用すれば誰でも「稼いでいる企業」に投資できる!

がありますので併せてご参考下さい。それではまた!