52週高値戦略というものをご存じでしょうか?これは直近の相場環境において強い銘柄を狙うための戦略で、新値狙いの売買手法として有名です。
また、52週高値は米国有名投機家の著書にも記載されているほど重要な節目価格であり、この考え方は知っておいて損はないでしょう。この記事では
- 52週高値もしくは52週安値が示す意味
- 戦略としてどういった使い方がされているのか
- 52週高値を更新したものは全て割高なのか
といった点について考えを述べました。初めて耳にしたという方もぜひご参考いただき、今後の売買に役立ててみてはいかがでしょうか。
52週高値戦略とは
まず52週高値や52週安値について述べていきます。皆さんは52週という期間がどういった意味だと考えますか?
結論から言ってしまうと、52週は直近1年間を示す期間です。1年間は12ヶ月あり、1ヶ月は4~5週間含まれていますよね。ここから計算すると1年間は52週ほどで構成されているので、相場の世界では「1年間=52週」というのが一般的な解釈となっています。
つまり52週高値や52週安値というのは「直近1年間において最も高い株価(安い株価)」ということです。同じような考え方に「年初来高値」や「年初来安値」がありますが、これらは時期によって見ている期間が変わってしまいます。例えば
- 1~3月に年初来高値を見るという場合は前年の1月からの最高値
- 4月以降はその年の最高値を見る
という具合ですね。その点、52週高値や52週安値というのは単純な設定期間の中で高値や安値を考えているのでここが良い所でしょう。
52週高値戦略というのはこういった直近1年間における新値を更新した強い銘柄のみを狙っていく考え方で、この根本には
- 直近52週の中で買い向かった人の全員が含み益になっている
- 現状でホールドしている投資家の心理状況は良好である
- 新値を更新してくるような強い値動きがどこかにあった
といったものがあります。したがって52週高値から新値更新となった銘柄のみをピックアップして、さらにその中でも良さそうな銘柄だけで勝負していくという戦略を取るわけですね。
スクリーニング方法と考え方
52週高値戦略を取るために欠かせないスクリーニング方法ですが、これは非常に簡単です。というのもこの52週高値というものはとても有名なので、様々なサイトで無料スクリーニング条件として提供されています。例えばTradingViewという無料チャートサービスを提供しているサイトがありますが、こちらでは・・・
このように52週高値更新銘柄を一覧表示した上で現在値はもちろんのこと時価総額やPERにセクターといった情報までチェックすることができます。ちなみにこのスクリーニングページにも
52週高値は、しばしば強いレジスタンスレベルとなる1年間の株価の最高値を意味するテクニカル指標と考えることができます。52週高値に基づいた多くの投資戦略があります。そのような戦略の1つに、直近52週間に新しい高値をつけている株を購入し、直近52週間に新しい高値をつけられなかった株を売る戦略があります。
こういった記載があり、52週高値戦略の有名具合がわかりますよね。スクリーニングを提供してくれているサイトはその他にもありますのでお好みのサイトを使えば良いでしょう。
仮にスクリーニングをしている時期の地合いが弱いといった場合、その中で52週高値を更新してくるような銘柄には資金流入が起きている可能性も考えられますね!また、更新銘柄の共通点を探すという観点を持つとなお面白いです。例えば
- セクターや事業内容
- テーマ性
- 時価総額
に着目した場合に特定分野ばかり更新しているのであれば、その界隈が市場から注目されている可能性があります。ただ52週高値更新銘柄を拾うのではなくなぜ新値をつけられたのかまで考えると見えてくるものがあるでしょう。
ミネルヴィニは30%以内の株価位置を設定
ところで冒頭で米国有名投機家も注目していたと述べましたが、あれはマーク・ミネルヴィニという人のことです。ミネルヴィニはCANSLIMの考案者であるオニールと同じように新高値銘柄と好業績に着目して大きな利益を築いた有名投機家として知られています。
著書も非常に評価が高く売買エッセンスとして得るものもかなり多かったですね。まだ読んだことがないという方は記事末にリンクを貼っておくのでぜひ読んでみて下さい。
そんなミネルヴィニさんはそもそも上昇トレンドしか狙いませんし、なおかつそこに52週高値から30%以内の位置に株価がある銘柄に絞り込んでいました。要は52週高値を更新しやすいタイミングにある銘柄を狙っていて、実際に更新すればその強い値動きをホールドするというわけですよね。
そういった意味では先ほどの52週高値更新銘柄はタイミングとして遅いです。しかし、そう思うのであればミネルヴィニと同じような銘柄をスクリーニングできる方法を探せば良いでしょう。簡単かつ誰でもできる方法としては証券会社が提供しているスマホアプリを活用することがおすすめです。
例えば楽天証券であればスーパースクリーナーという機能が備わっていて、その追加条件の中に「52週高値からの下落率」というものが用意されています。これを活用すればミネルヴィニが提唱する30%以内という条件もクリアーできるので興味がある方はやってみてください。ちなみに業績伸び率などもその他の追加条件である程度はクリアーできます。
52週高値更新銘柄は全て割高なのか
ここまで紹介してきた52週高値戦略はいわゆる新値追いやブレイク投資の類です。これらには賛否両論あって、反対意見としては
- 新値をつけるような銘柄は割高な位置に決まっている
- 高値掴みになることが多いのではないか
といったものもあります。確かにそういったケースもありますが一概には言えないでしょう。例えばこの記事を執筆している時点の52週高値銘柄には・・・
こういった月足で見た時に完全な割高位置でないチャートもあります。直近値動きが強く、なおかつ月足の最高値まで1000円以上の上値余地がある状況です。また、業績の上方修正なども絡んでいるのでうまくいけば52週高値で買って上場来高値更新も狙えると思います。
52週高値を基準に考えると一番高い位置というイメージが出てきがちですが、探せばこういったケースはあるので思い込みはよくありません。
ちなみにPERなど指標的な観点で割高を考えることも多いでしょうが、業績の伸びを期待されているような銘柄では機能しないことも多い印象があります。
特に小型株では簡単にPER100倍を超えてくるので、指標を気にするというのであれば時価総額が数千億以上と大きい銘柄に的を絞るのも良いでしょう。
2倍や3倍といった業績伸び率を誇る小型株には負けてしまうものの、時価総額が大きくなってきた場合は10%とか20%の成長が継続されていれば問題ないです。
先ほど例に出した企業も・・・
このように2019年通期から2022年通期までで1株益が8割近く伸びる予想となっています。積み重ねていけば規模の大きな企業でも驚くほどの伸び率になるのでじっくりと成長を待てば良いでしょう。
そして成長が続くという思惑が消えない限りは52週高値を基準に投機することもできるのではないでしょうか。
まとめ
今回は52週高値や52週安値の意味合いをはじめ、それを活用した戦略について述べました。
過去1年における最も高い節目を超えてくる状況は値動きとして強く、そこにテーマ性や好業績といった思惑が加わると頼もしいですよね。この考え方はかなり昔からあるようで、株の世界でも浸透しているものだと感じます。
それを裏付けるように様々なサイトやアプリのスクリーニング条件としても採用されていて、これらをうまく活用していくことはおすすめです。
52週高値から新値をつけた銘柄は割高なのではないかと心配する方もいそうですが、そういった場合は割安性指標を時価総額で調整するなど工夫をしましょう。前述のように成長が継続されれば数年かけて大きな成長も期待できるので安定した企業成長を意識したいところですね。