銀行株の今後は?セクターの特徴と一緒に考えてみた!

    

この記事では銀行株と呼ばれるセクターの

  1. 基本的な特徴や下落要因
  2. 金利との関係性
  3. 株価や配当
  4. 今後の見通し
  5. おすすめ銘柄

について簡単に意見を述べました。

最近では万年割安株としての地位が確立されつつある銀行株ですが、反転上昇する日はくるのでしょうか。

銀行株の基本的な特徴を知って、利益機会を逃さないようにしましょう。

    

銀行株の下落要因は金融緩和

私たちの生活に欠かせないもの、それは銀行です。

もし銀行が無ければ預貯金は全てタンス貯金となり、泥棒に取られるのではないかと安心して寝てもいられません。

また、何か事業をやろうとしても悪い人くらいしか貸してくれる人も見つからないでしょう。

さらに言えば、私たちがお金のやりとりをしたくてもその仲介を担ってくれる媒体がなければ非常に困ります。

銀行は私たちの生活にとって重要な存在であり、知名度が非常に高い業種です。

それもあって、株式投資を始めたばかりの方も「銀行株買ってみようかな!」と感じる方も多いようですね。

自動車株もそうですが、知名度がある業種とはそういう考えで買われることもあるでしょう。

しかし、2019年の現状では銀行株は非常に厳しい株価推移となっています。

以下は銀行株の御三家であるメガバンク3行の月足です。

どれも2006年を境に強い下降トレンドとなっていて、現在は安値圏での横ばい真っ最中という印象。

これは銀行株の株価を左右する長期金利が下がっているためです。

長期金利とは「1年以上の貸付期間を持つものに対する金利」のことを言い、一般的な指標として「10年国債利回り」が用いられています。

以下はその10年国債利回りの10年分の推移を表したものです。

外部参照リンク:日本相互証券|10年国債利回り

ご覧の通り、10年国債利回りは長期的な下落を経て底這いを続けていますね。

2016年には日銀のマイナス金利策が導入されるなど、銀行がお金を貸しても儲かりづらい時代が続いているわけです。

銀行株の収益方法は「お金をたくさん貸して利息をもらうこと」です。

それが仕事なのに、長期金利がこれでは積極的にお金を貸すことなどできませんよね。

長期金利が底這いのままでは利益率が悪いことは明白です。

2019年現在でもその状況に変わりはなく、それに伴って国内の銀行株も苦戦を強いられている状況です。

長期金利が上がるためには「お金を借りたい」という需要が増える必要があります。

要するに、景気が良くなった実感が出て

  1. お金を借りてでも大きな家を買いたい
  2. お金を借りて事業をしたい

などと考えてもらう必要があるということ。

本来であれば金利が低い時期がチャンスと見られ、お金を借りる人が増えてもおかしくはないのですが・・・まだ景気が良いという実感がないのでしょうね。

メガバンク3行の課題とは

国内の利益が見込めないわけなので、銀行は

  1. その他の利益形態
  2. 経費削減

を進める必要があります。

そこでメガバンクの課題だと言われているのが

  1. 海外事業の収益化
  2. リストラ

です。

海外事業の収益化とは

  1. 近隣アジアなどの地銀を買収・出資
  2. 海外M&A事業

などが挙げられます。

リーマンショックの影響が比較的軽かった国内メガバンクは、2008年ほどから海外事業への転換を図ろうとしました。

海外では傷跡が深い企業や銀行なども多くあり、そこに出資してあげたりM&Aを仕掛けたというわけです。

中にはあのモルガン・スタンレーもあり、三菱UFJが資本提携という形を取っています。

みずほFGや三井住友FGも同様に出資活動を行い、海外比率を上げています。

リストラに関しては度々話題に出ていた時期もあったので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

AIや業務の自動化などが進むにつれて、生身の人間がする仕事量は減っていくわけです。

また、ネットバンキングが普及するにつれて、実店舗に行く人も減りますよね。

それに伴って必要な人材も減り、世の中の流れとしては「メガバンクに入れば安泰!」という時代でも無くなってきているのかもしれません。

メガバンク3行は

  1. 三菱UFJ:2023年度までに9500人分の業務量削減
  2. 三井住友FG:2020年度までに4000人分の業務量削減
  3. みずほFG:2021年度までに8000人分の業務量削減

という目標を掲げています。

低金利時代を生き延びるため、無駄な人材は削減する課題もあるようです。

銀行株の株価や配当

前述のような背景から、2019年の現状としては安値圏の銀行株が多いでしょう。

また、もともとの業種としての性質や株価が下がっていることも相まって相対的に配当利回りが高い傾向にあります。

日本は統合が進んだとはいえまだまだ銀行が多い国で、銀行セクターには80銘柄以上が所属しているのはご存知ですか?

そのうちの50銘柄以上は配当利回り3%超えと優秀な配当利回りを誇っています。

今後の景気次第で株価が上がれば相対利回りは下がります。

しかし、配当維持のため増配が続く可能性もありますし、今のうちに配当をもらって最後にキャピタルゲインで手仕舞いというシナリオもありますね。

銀行株とPER・PBR

銀行株は配当利回りが高くなっている反面、株価は低くバリュー株の位置づけとなっているのが現状です。

メガバンク3行のPER・PBRは

  1. 三菱UFJ:PER 8.52倍、PBR 0.46倍
  2. 三井住友:PER 7.25倍、PBR 0.49倍
  3. みずほ:PER 8.92倍、PBR 0.49倍(財務PERは44倍)

となっています。

かなりの割安水準で、特にPBR 0.4倍が特徴的ですよね。

しかし、これは銀行事業の「純資産がはっきりとわからない」という特徴から、鵜呑みにしてはいけない可能性もあります。

日本の銀行は元々持ち合い株という風習があります。

現在ではほぼ解消されていますが、今でも貸出先の株を持っていたりと実質的な資産価値を測りづらい性質があるでしょう。

景気が悪ければ預金も減少しますし、株の価値も下がります。

かといって銀行業は革新的なサービスを発信したり、補填するための策も少ない。

結局は流動性の高い資材の売却や増資が必要となる背景もあるでしょう。

そのため銀行株はPBR1倍という基準があまり関係なく、

  1. 景気
  2. 貸し出し動向
  3. 金利

などの増減で株価が左右されやすいと思います。

もちろん循環物色の中でバリュー株に見直し買いが入る時期はあるので、銀行株も買われることはあるでしょう。

でもそれは「PBRが0.4倍だから買う!」という観点とは少し違うのではないでしょうか。

銀行の価値は内部の人間など、銀行業に精通している人でないと測れないかと思います。

銀行株の今後の見通し

結局のところ、銀行株が上がるかどうかは景気や金利動向次第です。

そういった意味では、「さすがにもうこれ以上金利が下がることはなさそう?」と個人的には感じています。

したがって高配当狙いで長期的にコツコツ買っていくのは全然ありですね。

というか銀行株を買うならそういった時期に買わないと意味がないです。

金利が景気動向に左右される以上は

  1. 景気が悪い;銀行株も安値
  2. 景気が良い:銀行株も高値

となります。

長期的に見たら下値は限定的だと感じるので、コツコツ買って置いておくのは投資としてアリ。

ただし、スイングの場合は循環物色に合わせてメガバンクなどをトレードするのが良いでしょう。

銀行株を買うならどれか

銀行株を買うのであればこんな銘柄がおすすめというものをピックアップしてみました。

ポイントとしては「エッジが効いていること」ですね。

三菱UFJフィナンシャルグループ

三菱UFJフィナンシャルグループはメガバンクの中でもトップの銘柄です。

メガバンクにはそれぞれ特徴がありますが、三菱UFJは「最も海外進出が進んでいるメガバンク」として有名ですね。

例えば貸出金の割合も40%を上回る基準まできています。

一応、比較として同じメガバンクであるみずほFGの貸出金割合を載せると・・・

海外への貸し出し比率は20%を下回っています。

同じメガバンクでも海外事業への割合が異なるので、そういった意味では海外収益にエッジを持つ三菱UFJは魅力的でしょう。

ただし、為替の影響を受けやすくなる側面もありますね。

あおぞら銀行

あおぞら銀行は配当性向が50%と高い銀行として有名です。

ちなみに三菱UFJは2023年度までに配当性向40%を目指しているところ。

なるべく配当利回りにエッジが欲しいのならあおぞら銀行はおすすめです。

セブン銀行

セブン銀行はセブン&アイホールディングスの子会社。

セブンの実店舗に置いたATMから入る手数料を収益源としており、他の銀行とは違った独自路線と言えます。

最近ではセブンイレブンの出店数が鈍化したためATMの新規設置数も鈍化傾向にありますが、業績としては安定している部類ですね。

増配傾向にあり配当利回りも3%後半でまずまず。

事業形態にエッジがあるのでおすすめできます。

群馬銀行

群馬銀行は地銀の中でも優秀だと有名です。

群馬県内の金融機関でもダントツの強さがあり、地方や地銀内での強さが魅力的。

最近では埼玉・東京・神奈川の展開強化をしています。

業績は減益気味ですが、その他の大手銀行と併せて地銀を持ちたいのであれば群馬銀行はおすすめですね。

2019年9月にはSBIホールディングスが第4のメガバンクとも期待される地銀連合の構想を発表しました。

地銀に注目し始めた方もいらっしゃるのでは?

外部参照リンク:産経新聞|SBIが島根銀に25億円出資

まとめ

いかがでしたか?今回は銀行株についてお話しました。

景気に左右される特徴がありますが、景気が悪いときに買っておくのは投資としてはありでしょう。

銀行株は数多くありますが、それぞれの特色を考えて最適なものに投資していきたいですね。

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