逆指値せずに終値で損切り判断するメリットとデメリット

    

株の世界では損切りのやり方として「逆指値」が頻繁に用いられます。

逆指値とは

  1. 買いの場合:任意価格以上になったら買う
  2. 売りの場合:任意価格以下になったら売る

と通常の指値注文とは逆の設定で発注する方法です。

この逆指値を使えば「あらかじめ想定していた損切り価格にきたら問答無用で成行売りする」という条件が設定できるので、特に売買目線がブレてしまいがちな初心者さんには重宝します。

私も初心者さんが逆指値を使ってちゃんと損切りを実行していくことは賛成なのですが、その一方でいくつかデメリットもあるわけです。

そこで今回はそういったデメリットの紹介と、それに対抗する方法として「終値で損切り判断する」という考え方をご紹介しました。

逆指値でよく失敗してしまうという方はぜひご参考下さい。

    

逆指値で損切りするデメリットとは

冒頭で述べたように逆指値で損切りすることは機械的で、自分の感情に関係なく損切りを実行できることがメリットです。

また、機械的ということは損切りし忘れもなくザラ場を監視する必要もないですよね。

こういったメリットは初心者さんや兼業投資家さんにとって嬉しいもので、色々な所で逆指値が推奨されています。

ただし、世の中には逆指値狩りというものもあって、

  1. 逆指値がたくさん入っていそうな株価までわざと下げる
  2. 逆指値を大量に発動させてさらに株価を落とす
  3. 再び買い上げて売り圧力を減らした状態を作る

なんて考え方もあるようです。

実際に株価の動きを見ていると大きな節目を割ってからぐーっと戻してくる流れは頻繁にあるので、機関投資家は個人投資家の売りを刈り取っているという事実はあるのかもしれません。

大きく戻しただけならまだしも、そこから高値更新していったなんて場合にはやるせないですよね。

こういったことから逆指値で損切りするデメリットには「まとまった逆指値は標的にされやすい」ということが言えそうです。

終値で損切り判断するメリットとデメリット

逆指値で損切りするとうまくいかないのであれば逆指値を入れずに損切りしなければなりません。

といっても目視で株価を見て、損切り価格にきたと同時に成行売りを手動で入れてもほとんど変わらないですよね。

そこでおすすめなのが「終値で損切り価格を下回っていたら売却する」という考え方です。

例えば日足で損切り判断をするとして、前場終わりの状況が・・・

このような場合、逆指値であれば前場中に損切りが執行されているはずですよね。

しかし、今回は「終値で損切り価格を下回る」という状況でない限り売らないので前場引けの時点ではスルーです。

仮に大引けの時点で状況が変わっていなければ損切りを行いますし、逆に・・・

ザラ場でいくら下げようとも大引けの終値が損切りラインを上回っていればセーフです。

むしろ長い下髭で大きく戻したのであれば「なるほどね」と感じることもあるでしょう(図はちょっと割り込み過ぎですが!)。

まとめると、終値で損切り判断をすれば

  1. そもそも逆指値はしないので狩られることはない
  2. その他の投資家がふるい落とされても自分は落とされない
  3. 大引けまでじっくり待ってから判断するので時間的な余裕もある
  4. 自分が意識していた価格が本当に機能しているか判断しやすい

といったメリットがあるわけです。

ただし、その一方で「想定していた損切りラインを大きく下回って大引けとなる可能性」もありますね。

本来であればもっと上で損失を食い止められていたのに終値まで様子見したことで傷口を広げてしまう可能性もあり、このへんは

  1. 損切りしたあとに大きく戻されるリスク
  2. 損切りを見送ってさらに下げるリスク

のどちらを重視するのかによって損切り方法を判断するべきでしょう。完璧な方法などないとは思いますので、自分が納得できる方を選択してください。

兼業投資家でも大引け直前の状況を確認できるのであれば終値ベースの損切り判断もありでしょう。

損切り価格を下髭でまくって来たときに考える事

先ほど「自分が意識している価格が本当に機能しているか」ということを述べましたが、個人的にこれはとても大事なことだと考えています。

損切り設定は自分がどのあたりの価格を意識するかによって具体的な株価を割り出すのが普通なので、例えば

  1. 直近安値
  2. 材料発生付近の安値

などを基点にこれくらい下までなら許容すると設定するわけです。

その上で損切り価格付近での値動きを実際に見て、

  1. 板の動き的にも支えがある
  2. 厚い注文が固まっている
  3. 下がってもすぐ買われる
  4. チャート上でも下髭が多い

となれば「あぁ自分が意識している価格はまんざら間違ってないかもしれないな」と考えます。

分足だけでなくメインに見ている日足上でもしっかりと下髭を引いていればさらにそこを基準にして・・・とまた少し具体的なトレードイメージも持てるでしょう。

ちなみに、逆に言うと意識している価格で全く的外れな値動きをしていれば早々に損切りすることもあります。

損切りは想定と違っていた場合に行うものなので基本ルールを持ちつつ柔軟に考えることも大切ですね。

まとめ

今回は逆指値で損切りするデメリットと終値で損切り判断する考え方について述べました。

終値で判断する場合は大引け直前の状況を忘れずに確認する必要がありますが、逆指値のようにふるい落とされるケースは減るはずです。

また、自分が意識している価格が市場にどう捉えられているかも判断しやすくなるメリットもあるでしょう。

ただし、大引けまで待つことで傷口を広げる可能性もあるので、自分がどういったリスクを重視するかで選択すべきですね。

逆指値を仕掛けてもふるい落とされることが多いのであれば、一度終値ベースの損切りを試しても良いのかなとは思います。

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