仕手株の冷やし玉とは?チャートで流れを追ってみよう!

    

株式投資の世界には冷やし玉という考え方があります。

冷やし玉とは一般的に仕手株に関連する言葉として浸透していますが、この記事では

  1. 冷やし玉の本来の意味合い
  2. 仕手株関連の考え方

について述べました。仕手株に関しての内容は正しい知識か確かめることができないのですが、一般的な話として知っておいても良いのかなと思います。

    

冷やし玉とは

最初に「冷やし玉」について簡単に説明していきます。

読み方

冷やし玉の読み方ですが、これは「ひやしぎょく」と読みます。「ひやしだま」と読んでしまいそうですが、正しくは「ぎょく」ですのでご注意ください。

株の世界では信用取引で買ったり売ったりすることを

  1. 買い建て(かいだて)
  2. 売り建て(うりだて)

なんて言います。そしてそれぞれのポジションを買い玉(かいぎょく)や売り玉(うりぎょく)と呼ぶので、冷やし玉もこの名称を受け継いでいるというわけですね。

参照リンク:冷やし玉|SMBC日興証券

本来の意味

ではそんな冷やし玉の本来の意味ですが、これは新規上場株いわゆるIPOに関連するものです。

具体的には「人気IPO銘柄が過熱化して初値気配を切り上げすぎてしまう場合に主幹事証券会社が大株主から株を借りてまとまった売りを落とすこと」を言います。

要するに相場が過熱しすぎることを抑制する作用があり、市場を冷やすというニュアンスですよね。

しかし、最近ではこれが広がったのかはわかりませんが仕手株の世界のお話が主流になっているように感じます。

例えば小型新興株が短期急騰した際に高値圏でまとまった売りが出ることがありますが、これを冷やし玉と呼び

  1. このまま短期的な上昇で終わるのか
  2. 繰り返したあとに本格上昇するのか

といった判断が必要です。

例えば底値付近で頻繁に上昇しては長い上髭を引くような銘柄をたまに見かけますが、ああいった値動きは冷やし玉が落とされているのかもしれませんね。

冷やし玉は不要な急騰を防ぎ安値圏に留める作用があるので、怪しいと思えば自分も安値圏で買っておけば良いでしょう。

なぜ必要なのか

ところで、株価が勢いよく上がっているのであればそのままそっとしておけば良いのになぜ冷やし玉という考え方が必要なのでしょうか。

それは「株価の上昇がなるべく長く続くようにするため」です。例えば株価500円だったあなたの保有株が1週間で株価1000円になったらどう思いますか?

おそらく「よくわからないけどこんなに株価が上がっているうちに売ってしまおう」と考える方も多いのではないでしょうか。

冷やし玉にはこういった考えを持つ保有者に早い段階でさっさと売らせてしまおうという目的があります。

仮に目標価格が1000円ではなく3000円だったとすればまだまだ株価を持ち上げたいわけで、早い段階ですぐ売りたくなってしまう保有者は後々の売り圧力でしかありません。

したがって「早い段階でそういった握力が弱い人達には安値圏の段階で降りてもらい上値を軽くしたい」というのが一般的な冷やし玉の本質です。

仕手株の一般的な流れ

冷やし玉についての簡単な説明が終わったので、次は仕手株目線で一般的な流れをざっくりと述べてみます。有名な流れではありますが、知らないという人は覚えておいてください。

玉集め(買い集め)

仕手株は誰も注目していない時期からすでに流れが始まっています。最初は玉集めや買い集めと呼ばれる期間があり・・・

仕手株の玉集め

例えばこんな感じで

  1. 上場後の出来高増加
  2. 安値に戻したあとの細かい上下動
  3. 本格上昇が始まる直前の出来高増加

などで安値を集めているのかなと考えています。

仕手株を操縦するのは機関投資家ですので、大きな資金を持っている人がひっそりしっかりと集め終わった段階で株価がまた上がり始めるのでしょう。

冷やし玉

本格上昇が始まると集めた玉を適度に売って過熱感が出ないようにします。これが冷やし玉を呼ばれるもので・・・

仕手株の冷やし玉

例えばこんな部分がそれに該当するのでしょう。上記の場合は株価が5倍になる過程の中で

  1. 本格上昇が始まってすぐのタイミング
  2. 上場来高値を超える直前のタイミング

で売られているように感じます。

あくまで推測でしかありませんが前者は本格上昇の出だしを良くするために、後者は上場来高値を超えてからまとまった売りが出ないように冷やし玉を落としているのでしょう。

冷やし玉はチャートを見てわかるように押し目とも取れますので、上昇に乗り遅れた人はこの下げを利用して保有するのもひとつの手ですね。

ちなみに先ほど述べたような底値圏で定期的に上下する例としては・・・

底値圏での冷やし玉

こんなものがあります。上がっては同じような価格帯で叩かれて上髭や大陰線になっていることがわかりますね。しかしこの銘柄はその後・・・

冷やし玉の後

新型コロナショックで底値を割り込んでいますが、その後は急騰しています。

もしかしたらこういったパターンの方が冷やし玉の例としては相応しいのかもしれませんので両方覚えておくと良いでしょう。

売り抜け

最初のケースに例を戻します。冷やし玉を落としながら株価が十分に上がったあとは集めた玉を処分しなければなりません。

仕手株の売り抜け

それが上記の部分だと思いますが、正直このケースではこれで相場が終わりか判断するのは難しそうですよね。

高値で出来高が急激に増えて特徴的な下げをしていればわかりやすいですが、上記のケースではそんな感じでもないからです。

上昇過程でもある程度処分していたのかもしれませんが株価を動かしていた人は見事だなぁと感じました。

ちなみにわかりやすい例としては・・・

仕手株のわかりやすい売り抜け

こんな感じで高値圏の頻発する出来高増の上髭があります。これもこなして上がるようだと逆に強い値動きですが、個人的にはこういった傾向が見られたら下がることを前提に警戒するパターンです。

まとめ

今回は冷やし玉についての情報を簡単にまとめてみました。一般的には新規上場株についての考えですが、個人投資家の間では仕手株関連の知識として浸透しています。

いずれにせよ冷やし玉は株価の過熱感を防ぎ、円滑に相場が進むために行われるものです。

仕手株の情報は一般投資家には絶対に回りませんが、お見せしてきたようにチャートにはその形跡が表れています。

個人的には

  1. 上場間もない期間の値動き
  2. 上昇前の頻繁な上下動
  3. 上昇初期の動き
  4. 重要な高値を超えるタイミング

に注目していますので皆さんもぜひチェックしてみてくださいね。