狼狽売りとは?この心理と秘策を理解しないと劇的勝利はない!

    

狼狽売り(ろうばいうり)とはどんなものか考えたことがありますか?

株式市場では年に数回ほど大きな下落局面があり、その際には個人投資家がパニックに陥ります。パニックとなった個人投資家は理論とはほど遠い損切りを繰り返し資産を大きく減らすことが本当に多いですよね。こういった行動は「狼狽売り」と呼ばれ、個人投資家が犯す大きな間違いのひとつとして昔から知られています。

狼狽売りは大きな損失を出しやすく年間パフォーマンスを大きく下げる原因となる最も代表的なもので、ここには心理面が深く関わっていることを理解すべきです。そこでこの記事では

  1. 狼狽売りとはどんな意味合いか
  2. 個人投資家が陥る心理状況
  3. 狼狽売りと損切りの決定的な違い
  4. 狼狽売りをしないための5つの対策
  5. 狼狽買いをする考え方

などについて述べました。狼狽売りは本当にちょっと意識を変えただけでかなり防ぐことが可能ですので、特に初心者さんはぜひご参考いただければと思います。

    

狼狽売りとは

まず狼狽売りという単語の意味と、個人投資家が狼狽売りをしてしまう心理状況を述べていきます。

株価急落で狼狽売り

狼狽売りとは図のように「何かしらのきっかけで株価が急落したことで極度な不安状態となり、持ち株を理屈抜きで売り払ってしまうこと」です。このうち最も重要なのは「理屈抜きで売り払う」という部分でしょう。ではどうして個人投資家がこういった狼狽売りをしてしまうのか?

それはこれ以上下がってしまったらどうしようとパニック状態になるからです。株の世界において狼狽売りはとても有名な言葉で様々なメディアやサイトで説明がなされていますが、その説明の中でこういった投資家の心理状況を書いていないものは見るに値しません。

なぜなら狼狽売りは別名「パニック売り」と呼ばれるくらいで、先行きが全く想像できないという心理状態が思考を停止させている状況と言えるからです。私を含めて多くの投資家が味わったことがあると思いますが、

  1. また明日も下がったらどうしよう
  2. もしこれくらい下がったら含み損はこうなる
  3. 資金がこれくらい減ってしまうかもしれないな

といった損益状況ばかりが気になって、本来考えなければならない

  1. 市場の状況
  2. 個別株の値動き考察
  3. 具体的な対応策

に考えが至らなくなることが最大の問題点です。だからこそ結果的に「これ以上損はしたくない」という理由のみで持ち株をごっそり売却してしまい、大きな確定損失だけが残るわけですね。しかし実際には株価が急落するとある程度の自律的なリバウンドも多く、それを見てまた後悔の念が押し寄せてくることまでが狼狽売りのテンプレ的な流れでしょう。

心理変化とリバウンド

ここで皆さんにお聞きしたいのですが、狼狽売りとリバウンドタイミングがかなり近くなることは偶然だと思いますか?

人によっては「偶然以外考えられない」とおっしゃられるかもしれませんが、私からすると必然ですね。なぜなら狼狽売りというものは心理的に最後の最後に起こるものだからです。想像してもらいたいのですが、投資家がパニックに陥る状況は「これ以上の損失にはもう耐えられない」という気持ちが最大限に高まった時ですよね。

ということはその前段階として

  1. 突然の地合い悪化で焦り始める
  2. 下げ止まらず含み損が拡大
  3. 予想以上の下げで損切りに悩む
  4. 損切りを悩むうちにさらに下げて売れなくなる

という心理変化があって、その最後にダメ押しの下げがくるから投げ売りさせられるはずです。

この心理変化は非常に多くの個人投資家に合致するだけでなく、信用取引を維持できなくなる(つまり強制的に売らされる)状況とも重複します。もうおわかりかと思いますが、投げ売りされた株が大きく買い手に吸収されたあとは売る人が少ない状況になりますよね。

つまり例え一過性でも買い手優勢のリバウンド局面が来る以外ありえないので、

  1. 地合いの急落
  2. 狼狽売り発生
  3. 買い手優勢のリバウンド局面
  4. 狼狽売りした人は指をくわえて見るだけ

という流れが最終的に出来上がります。ちなみにこのリバウンド局面で買った人は心理的にフレッシュかつ初動の損益状況が良いので安定的です。これは「リバウンドで拾った株はホールドしやすく上昇も続きやすい」と言い換えられます。

株価急落の正体

狼狽売りのきっかけは予想していなかったタイミングで株価急落が起こることです。この株価急落の正体は大体決まっていて、

  1. 海外情勢などの外部要因で市場全体がリスクオフとなった
  2. 機関投資家が売り仕掛けをしてきた
  3. 決算発表をきっかけに流れが変わった

というのが代表的なものでしょう。外部要因で多いのは米国や中国関連のお話で大体は前日のNYダウやドル円が急落しています。要するに地合い悪化による全面安というやつで、自分の持ち株以外にも急落している銘柄が多い状況です。

また、上記の「機関投資家による売り仕掛け」とは大口投資家がより有利な状況で株を買うために行われるまとまった売りのことですね。例えば個人投資家に人気がある銘柄に空売りを仕掛けて売りを出させ、株価が節目を割ることで

  1. それを見た投資家がさらに売り出す
  2. 元々仕掛けてあった逆指値が発動する

という連鎖が起きている状況です。機関投資家は空売りでも儲かりますし、売りがある程度出たところで買い直せば

  1. 割安な株価
  2. 内部的に売り圧力も少ない

という有利な状況で買うことができます。加えて何かあれば平気ですぐに売ってしまう個人投資家がふるい落とされた状態のため、値動きも軽くより高値を目指せるという理屈です。ちなみにどの機関投資家がどの銘柄に空売りを仕掛けてきたのかは下記のサイトで調べられるので、突然の急落があれば確認してみてください。

その他にも決算発表などわかりやすいきっかけで値動きが変わり株価急落となるケースもありますよね。この傾向は特に成長株に多いですがこの点については後述します。

狼狽売りと損切りの違いとは

ここまで狼狽売りの心理について述べてきましたが、いわゆる「損切り」とどういった違いがあるのでしょうか。狼狽売りと損切りの違いで決定的なものは「自分のルールに沿って行っているかどうか」です。簡単に言うのであれば

  1. 狼狽売り:心理的に追い詰められた一貫性のない売り
  2. 損切り:理論に基づいた説明できる売り

という区別があります。例えば銘柄Aは含み損3%で売っているのに銘柄Bは含み損20%で売っているという場合は一貫性がないと言えますよね。その一方で

  1. 銘柄AとBは今回の急落で含み損が10%になった成長株で、かなり高値で掴んでいるので早いうちに切ってしまおう
  2. でも銘柄CとDは業績好調の割安株だから長期的な目線で回復を狙おう

と判断した場合は狼狽売りをしているとは言えません。狼狽売りは「売らされた」という表現が正しく、損切りは聞かれれば理由を説明できるという点で大きく違いがあります。

この点から自分の考えを持たない人ほど狼狽売りをしやすいと言えるでしょう。特にその株を買った理由が他人に勧められたからだというケースは要注意で、売る理由も周りが売っているからになりかねません。

株の売買は結局のところ孤独なもので、いつでも結果は自分の資産にだけ影響します。他人に売れと言われたからではなく理由ある損切りをするように心がけたいものですね。

狼狽売りをしないための5つの対策

狼狽売りがどういうものかわかったところで、「狼狽売りをしないための5つの対策」を述べていきます。

信用取引を使わない

狼狽売りを起こす最大の要因は「不安」という心理状況です。また、個人投資家の不安感を大きくする代表的なものに「追証」があります。株の世界には信用取引といって証券会社から借金をして買う方法があり、これにはいくつか条件があるんです。

そのひとつに「証券会社が定める割合以上の資金を保証金として口座内に残しておくこと」という条件があります。もしその割合以下まで資金が減った場合は「追証」といって、

  1. 追加で保証金を入金する
  2. 信用取引で買っている株を条件クリア範囲まで売却する

のどちらかを行わなければなりません。

もしできない場合は強制的に株を売られてしまいますし、それでも足りなければ借金をしてでもお金を返さなければならなくなります。こういった信用取引に関わる資金繰りが不安感を助長し狼狽売りを引き起こす原因となるわけですね。

信用取引を使っている株価急落局面ではどこで追証が発生するかを計算する必要がありますが、冷静でない個人投資家は「わからないから全部売ってしまえ!」という短絡的なことをしかねません。そもそも現物取引(自分の資金内)で株を買っていれば追証や借金の心配はゼロなのでよっぽどのことがあっても信用取引はしない方が良いです。

仮に使うとしても本当に短期間に留めておくかなるべく資金に近い値の額にしておく必要があります。注意喚起のためにあえて言葉を悪くすると、

  1. 乗り切れる自信がないのに大きな売買をしても意味がない
  2. 上手な人は現物取引でも十分に儲けられる

と考えておきましょう。

値下がりして極度に不安となる株は買わない

狼狽売りをしないためには「まともな株のみ買う」という意識が必要です。その企業の株を買うということは将来的に値上がりすると見込んで買っていることに他ならないわけで、これは至って当たり前のことでしょう。

しかし、株式市場には万年赤字やボロ会社も存在していますよね。そういった株ほどSNSなどで煽られやすくまともな株を買う意識が足りない人が騙されやすいです。また、大抵はボロ株や仕手株を買う理由を突き詰めると「あの有名人が上がると言ったから」であって明確な根拠ではありません。

そんな理由で株を買えば急落局面で不安になるのは当たり前ですので、狼狽売りを防ぐためには

  1. 株を買う根拠を自分の考えで明確にしておく
  2. 値下がりしても株価が戻る可能性が高い株を買う

ということが本当に大切ですね。そのためには事業内容・時価総額・会社の収益性や財務分析といった当たり前のことを調べておく必要があります。

短期急騰株を買わない

株価の性質として「過熱感をどこかで調整する」というものがあります。株価が異常なペースで大きく上昇していれば

  1. その分だけ大きく値下がりする
  2. 高値でしばらくもみ合う

のどちらかをしなければ釣り合わず、前者の場合は狼狽売りの原因となるでしょう。例えば・・・

高値掴みで狼狽売り

この銘柄は短期的にストップ高や大陽線を繰り返して急上昇しすぎてしまい結果的に高値から急落しています。もしあなたが天高く上がっているタイミングで買っていた場合、買った金額の30%以上を短期間で失ってもおかしくありません。

株価の特性上、こういった動きは仕方ないのでなるべく高値掴みをしないように心がけることはとても大切ですね。ひとつの目安としては移動平均乖離率があり、これは「移動平均線から株価がどれくらい離れているか」を教えてくれるものです。時価総額によっても違うのですが、

  1. 短期移動平均線から20%以上
  2. 中期移動平均線から30%以上

も離れているような場合に高い過熱感が考えられるでしょう。仮にすでに保有している株であっても、あまりに株価が行き過ぎた上昇をしたら早めに利食いするなど急落に備える意識が必要です(長期保有株は別です)。

ちなみに成長株の場合は移動平均乖離率に関係なく、株価水準として過度に割高となっているケースがあります。決算発表を重ねる度に市場の期待感も高まりやすく、それに伴って株価も行き過ぎた上昇をしてしまうわけですね。そういったケースでもどこかで巻き戻しが生じることはあるのでそのつもりで買うことをおすすめします。

もちろんフェアバリューな株なら絶対に急落しないわけではないですが、小型成長株より値下がり率を抑えられる可能性は格段に高いわけです。

個人投資家が群がる株を買わない

個人投資家がわらわらと集まって出来ているような銘柄に触らないことも狼狽売り対策のひとつです。例えばバイオ株やゲーム株などはその代表例で、何かあればすぐに株価が逆行してしまいます。個人投資家が大勢集まっているとダメな理由は

  1. 保有者の性質としてメンタル面と資金面がとにかく脆い
  2. SNSやネット掲示板から影響を受けやすい
  3. 材料が出る度に大きく動く
  4. 機関投資家に狙われやすく意味不明な株価変動も多い
  5. 結果的に狼狽売りをする人が多く、巻き込まれやすい

というものが挙げられるでしょう。個人投資家に大人気かどうかはSNSの検索エンジンに銘柄名を入れてみれば一発でわかりますし、チャートなびというサイトでもSNSでつぶやかれている回数が多い株を調べられます。

こういった株は値動き変動幅(ボラティリティ)が大きいですし、ちょっとの風で大きく傾きがちです。また、そもそも個人投資家がわーっと集まっている時期に買っているのでは遅いとも考えられます。買うのであれば大人気株となる前段階が望ましく、遅ければ遅いほど先ほどの「天高く昇っている株」になりやすいでしょう。

損切り局面をあらかじめ考えておく

前述のように狼狽売りと損切りの違いは理由があるかどうかです。したがって自分がどういった時に損切りするのかあらかじめ考えておくことは、狼狽売りを防ぐためにとても有効な手段です。また、その際に全て同じ損切り条件である必要はなく

  1. テクニカル分析で保有したのであれば値動き
  2. ファンダメンタルズで保有したのであれば業績や未来への期待値
  3. 材料きっかけで保有したら注目度や需給状況

を考えて損切り条件を考えるのがおすすめです。

なぜなら、仮に「含み損が10%を下回ったら」というルールにしてしまうと急落場面では全てを売らないといけない状況になりやすいからですね。近い将来に株価が戻る可能性が高い現物株であれば売らずに耐えるのもひとつの手です。

狼狽買いをするために

ここまで狼狽売りについて色々と述べてくる中で、よく信用取引という言葉が出てきましたよね。それくらい信用取引や追証は関係性が深いものだと理解してください。

また、逆に言えば「大衆が追証に苦しむ中で自分だけ買い向かえばリバウンドを取れる」ということにお気づきでしょうか。つまり、極論的には追証が出るほどの全体地合いの悪化を待ってその狼狽した気持ちを買ってあげるだけで勝ててしまいます。いわば狼狽買いといった考え方ですが、では追証が出るタイミングをどうやって把握するのか?

これは「信用評価損益率」を確認すれば良いです。信用評価損益率とは「信用取引を使っている個人投資家の損益状況」を表したもので・・・

信用評価損益率と追証

参照:松井証券

上記のようにマイナス20%を下回ってくると追証売りが出始め、その時期を過ぎると株価がリバウンドし始めると言われています。ちなみに東証全体とマザーズ市場では追証ラインが変わってきて、

  1. 東証全体:マイナス15%前後
  2. マザーズ:マイナス20~25%前後

という目安です。コロナショックのような未曾有の状況はさすがに例外でしたが、通常ならこのあたりのラインで買い向かえば良いでしょう。

ちなみに信用評価損益率は松井証券のみが当日分の信用評価損益率を公表しています。松井証券の口座を持ってさえいれば誰でも信用評価損益率の推移が確認できますので、ぜひご活用下さい。

参照リンク:松井証券公式HP|サービス詳細

狼狽売りで後悔しないために

今回は狼狽売りとはどういった心理状況で、損切りとの違いはどういった点にあるかを述べました。狼狽売りは株式市場が急落したことでパニック状態になることが最大の原因です。その裏には追証売りなど心理的に追い詰められた状況も考えやすく、その点で信用評価損益率は重要でしょう。

投げ売りさせられたタイミングとリバウンドが重なりやすいのは狼狽売りがパニックの最終局面で出やすい点が関係しており、買い手優勢の局面まで生き残れるかが分け目です。

狼狽売りの対策としては

  1. 信用取引を使わない
  2. 値下がりして極度に不安となる株は買わない
  3. 短期急騰株を買わない
  4. 個人投資家が群がる株を買わない
  5. 損切り局面をあらかじめ考えておく

といったことが挙げられますが、極論的には大勢が狼狽売りをする中で自分だけ買い向かえば投げ売りされて安くなった株のリバウンドで儲けることができます。

いわば大衆の狼狽した気持ちを買ってあげるわけですが、これは大きく勝てる可能性が高い考え方です。そのためにもやはり信用評価損益率を観察し追証タイミングで買い向かうことが重要でしょう。そのために必要な前日分の信用評価損益率は松井証券だけが口座開設者のみに限定して提供してくれていますので、まだお持ちでない方は必ず口座を持っておいてください。

絶好の買いタイミングを逃すどころか自分が狼狽売りをして後悔することだけは避けるよう心がけましょう。

参照リンク:松井証券公式HP|サービス詳細

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