どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株式市場では年に数回ほど大きな下落局面があり、その際には個人投資家がパニックに陥ります。
パニックとなった個人投資家は理論とはほど遠い損切りを繰り返し、資産を大きく減らすことが本当に多いですよね。
こういった行動を「狼狽売り(ろうばいうり)」と呼び、個人投資家が犯す大きな間違いのひとつとして昔から知られています。
狼狽売りは大きな損失を出しやすく、年間パフォーマンスを大きく下げる原因となるものです。
そこでこの記事では
- 個人投資家がなぜ狼狽売りをしてしまうのか
- 狼狽売りをしないための5つの対策
について述べました。
狼狽売りはちょっと意識を変えれば防げますので、ぜひご参考いただければと思います。
株の狼狽売りとは
まず狼狽売りという単語の解説と、なぜ個人投資家が狼狽売りをするのかを述べていきます。
狼狽売りとは図のように「何かしらのきっかけで株価が急落したことで極度な不安状態となり、持ち株を理論抜きで売り払ってしまうこと」です。
個人投資家がなぜこういった狼狽売りをしてしまうのか?
それはこれ以上下がってしまったらどうしようとパニックになるからです。
様々なメディアやサイトで狼狽売りについての説明がなされていますが、その説明の中で心理的な状況を書いていないものはありません。
狼狽売りは別名「パニック売り」と呼ばれるくらいで、先行きが全く想像できないという心理状態が思考を停止させている状況と言えます。
私を含めて多くの投資家が味わったことがあると思いますが、
- また明日も下がったらどうしよう
- もしこれくらい下がったら含み損はこうなる
- 資金がこれくらい減ってしまうかもしれないな
といった損益状況ばかりが気になって、本来考えなければならない
- 市場の状況
- 個別株の値動き考察
- 具体的な対応策
には考えが至らなくなります。
結果的には「これ以上損はしたくない」という理由のみで持ち株を全て売却してしまい、大きな確定損失だけが残るわけです。
株価が急落したあとにはある程度の自律的なリバウンドも多く、それを見てまた後悔の念が押し寄せてくることはあるあるネタではないでしょうか。
株価急落の正体は大体決まっている
狼狽売りのきっかけは予想していなかったタイミングで株価急落が起こることです。
この株価急落の正体は大体決まっていて、
- 海外情勢などの外部要因で市場全体がリスクオフとなった
- 機関投資家が売り仕掛けをしてきた
- 決算発表をきっかけに流れが変わった
というのが代表的なものでしょう。
外部要因で多いのは米国や中国関連のお話で、大体は前日のNYダウやドル円が急落しています。
いわゆる全体地合いの悪化というやつで、自分の持ち株以外にも急落している銘柄が多いです。
機関投資家による売り仕掛けとは、大口投資家がより有利な状況で株を買うために行われるまとまった売りのことですね。
例えば、個人投資家に人気がある銘柄に空売りを仕掛けて売りを出させます。
株価が節目を割れば
- それを見た投資家がさらに売り出す
- 元々仕掛けてあった逆指値が発動する
という連鎖が起きて、株価がどんどん下がるわけです。
機関投資家は空売りでも儲かりますし、売りがある程度出たところで買い直せば
- 割安な株価
- 内部的に売り圧力も少ない
という有利な状況で買うことができます。
何かあれば平気ですぐに売ってしまう個人投資家がふるい落とされた状態のため、値動きも軽くより高値を目指せるという理屈です。
どの機関投資家がどの銘柄に空売りを仕掛けてきたのかは下記のサイトで調べられるので、突然の急落があれば確認してみてください。
- 外部参照リンク:karauri.net
その他にも決算発表などわかりやすいきっかけで値動きが変わり株価急落となるケースもありますよね。
この傾向は特に成長株に多いですが、この点については後述します。
狼狽売りをしないための5つの対策
狼狽売りがどういうものかわかったところで、「狼狽売りをしないための5つの対策」を述べていきます。
信用取引を使わない
狼狽売りを起こす最大の要因は「不安」です。
また、個人投資家の不安感を大きくする代表的なものに「追証」があります。
株の世界には信用取引といって証券会社から借金をして買う方法があり、これにはいくつか条件があるんです。
そのひとつに「証券会社が定める割合以上の資金を保証金として口座内に残しておくこと」という条件があります。
もしその割合以下まで資金が減った場合は「追証」といって、
- 追加で保証金を入金する
- 信用取引で買っている株を条件クリア範囲まで売却する
のどちらかを行わなければなりません。
もしできない場合は強制的に株を売られてしまいますし、それでも足りなければ借金をしてでもお金を返さなければならなくなります。
こういった信用取引に関わる資金繰りが不安感を助長し、狼狽売りを引き起こす原因となるわけですね。
信用取引を使っている株価急落局面ではどこで追証が発生するかを計算する必要がありますが、冷静でない個人投資家は「わからないから全部売ってしまえ!」という短絡的なことをしかねません。
そもそも現物取引(自分の資金内)で株を買っていれば追証や借金の心配はゼロなので、よっぽどのことがあっても信用取引はしない方が良いです。
仮に使うとしても本当に短期間に留めておくか、なるべく資金に近い値の額にしておく必要があります。
注意喚起のためにあえて言葉を悪くすると、
- 取引が下手くそな人が大きな売買をしても意味がない
- 上手な人は現物取引でも十分に儲けられる
と考えておきましょう。
値下がりして極度に不安となる株は買わない
狼狽売りをしないためには「まともな株のみ買う」という意識が必要です。
その企業の株を買うということは将来的に値上がりすると見込んで買っていることに他ならないわけで、これは至って当たり前のことでしょう。
しかし、株式市場には万年赤字やボロ会社も存在していますよね。
そういった株ほどSNSなどで煽られやすく、まともな株を買う意識が足りない人が騙されやすいです。
そういったボロ株や仕手株を買う理由は「あの有名人が上がると言ったから」であって、明確な根拠ではありません。
そんな理由で株を買えば急落局面で不安になるのは当たり前です。
そうではなく、
- 株を買う根拠を自分の考えで明確にしておく
- 値下がりしても株価が戻る可能性が高い株を買う
ということが本当に大切ですね。
そのためには事業内容や時価総額、会社の収益性や財務分析といった当たり前のことが必要となります。
天高く昇っている株を買わない
株価の性質として「過熱感をどこかで調整する」というものがあります。
株価が異常なペースで大きく上昇していれば
- その分だけ大きく値下がりする
- 高値でしばらくもみ合う
のどちらかをしなければ釣り合わず、前者の場合は狼狽売りの原因となるでしょう。
例えば・・・
この銘柄は短期的にストップ高や大陽線を繰り返して急上昇しすぎてしまい、結果的に高値から急落しています。
もしあなたが天高く上がっているタイミングで買っていた場合、短期的に買った金額の30%以上を失っていてもおかしくありません。
株価の特性上、こういった動きは仕方ないのでなるべく高値掴みをしないように心がけることはとても大切ですね。
ひとつの目安としては移動平均乖離率があり、これは「移動平均線から株価がどれくらい離れているか」を教えてくれるものです。
時価総額によっても違うとは思いますが、
- 短期移動平均線から20%以上
- 中期移動平均線から30%以上
も離れているような場合に過熱感を考えられるでしょう。
保有している場合でもあまりに株価が行き過ぎた上昇をしていれば早めに利食いするなど、急落に備える意識が必要です。
ちなみに成長株の場合は移動平均乖離率に関係なく、株価水準として過度に割高となっているケースがあります。
決算発表を重ねる度に市場の期待感が高まりやすく、それに伴って株価も行き過ぎた上昇をしてしまうわけですね。
そういったケースでもどこかで巻き戻しが生じることはあるので、成長株ではそのつもりで買うことをおすすめします。
もちろんフェアバリューな株だから急落しないわけではないでしょうが、小型成長株より値下がり率を抑えられる可能性は高いです。
個人投資家から大人気な株を買わない
個人投資家がわらわらと集まって出来ているような銘柄に触らないことも狼狽売り対策のひとつです。
例えばバイオ株やゲーム株などはその代表例で、何かあればすぐに株価が逆行してしまいます。
個人投資家が大勢集まっているとダメな理由は
- 保有者の性質としてメンタル面と資金面がとにかく脆い
- SNSやネット掲示板から影響を受けやすい
- 材料が出る度に大きく動く
- 機関投資家に狙われやすく意味不明な株価変動も多い
- 結果的に狼狽売りをする人が多く、巻き込まれやすい
というものが挙げられるでしょう。
個人投資家に大人気かどうかはSNSの検索エンジンに銘柄名を入れてみれば一発でわかりますし、チャートなびというサイトでも・・・
外部参照リンク:チャートなび|Twitterで話題の銘柄ランキング
SNSでつぶやかれている回数が多い株を調べられます。
こういった株は値動き変動幅(ボラティリティ)が大きいですし、ちょっとの風で大きく傾きがちです。
また、そもそも個人投資家がわーっと集まっている時期に買っているのでは遅いとも考えられます。
買うのであれば大人気株となる前段階が望ましく、遅ければ遅いほど先ほどの「天高く昇っている株」になりやすいでしょう。
信用評価損益率を確認する
先ほど株価急落の原因を述べ、その中に全体地合いの悪化がありました。
もし全体地合いの悪化で狼狽売りをしそうになったら、一度深呼吸をしてから現状の信用評価損益率はどのようなものか確認してみましょう。
信用評価損益率とは「信用取引を使っている個人投資家の損益状況」を表したものです。
一般に信用評価損益率が20%を下回ってくると追証売りが出始め、その時期を過ぎると株価がリバウンドし始めると言われています。
狼狽売りでやるせない想いになるのは「あなたが売ったそこが底」という状態になってしまうことですよね。
あなたが狼狽売りをしそうなくらいつらい時は、他の個人投資家も苦しい時期である可能性は高いです。
その時期を乗り越えればリバウンドを望めるので、信用評価損益率の推移に注目してみるのもひとつの手でしょう。
ちなみに信用評価損益率は松井証券のみが当日分の信用評価損益率を公表しています。
松井証券の口座を持っていれば誰でも信用評価損益率の推移が確認できますので、ぜひご活用下さい。
メンタルを強く保つことが大前提
狼狽売りをしないための対策を色々と述べましたが、最も大前提となるのは「強い精神力」に他なりません。
狼狽売りの根本には「もうダメだ・・・」という弱気な心があり、そうならないように強く心を保つ必要があります。
メンタルを正常に保つためには
- 自分が焦ってしまうほどの売買規模にしない
- 株の売買は余剰資金で行い、仮に無くなっても生活に困らないようにする
- 自制するための売買ルールを作り、必ず遵守する
といった当たり前のことを遂行していくことがスタートラインです。
その上で、この記事述べたような対策を取っていけばパニック状態になる確率を下げられることでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は株の狼狽売りの解説と5つの対策について述べました。
まずはメンタルを正常に保つことが大前提で、その上で
- 信用取引を使わない
- 値下がりして極度に不安となる株は買わない
- 天高く昇っている株を買わない
- 個人投資家から大人気な株を買わない
- 信用評価損益率を確認する
といったことに注意してみてはいかがでしょうか。
中でも信用評価損益率は大底で狼狽売りしないために重要なことですので、つらい時でも忘れずに確認してください。
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がありますのでご参考ください。それではまた!