ソフトバンクグループの株価暴落理由【2022年最新】

    

今回はソフトバンクグループの株価暴落理由についてです。具体的にはなんでこんなにも株価暴落になっちゃってるんだっていう理由と私自身の投資判断について述べます。

決算資料とか色々読んだ上で考えた内容ではあるんですが、あくまで一例としてご参考ください。

    

ソフトバンクグループの基本情報

最初にソフトバンクグループの簡単な概要について見ていきます。といってもまあ皆さんご存じですよね。ソフトバンクグループの基本情報なんですが・・・

2022年3月時点では株価が5000円割れです。時価総額は国内2位だったのですが、今では9位まで転落。子会社のソフトバンクに関しては配当利回りがかなり高いものの、親会社のソフトバンクグループの方は0.9%しかありません。ソフトバンクグループの全体像は

  1. ソフトバンクグループの投資事業
  2. ソフトバンクビジョンファンド
  3. ラテンアメリカファンド
  4. 国内の通信事業であるソフトバンク
  5. 傘下にZ ホールディングス(ワイモバイルやLINEなど)
  6. PayPay
  7. 海外事業投資(アームやアリババなど)

といった具合で、イメージでは投資事業を本業にしているところがあります。売上高や利益にブレが大きい理由も投資リターンによるものです。

そんなソフトバンクグループの主な資産ですが・・・

このような状況です。2021年12月末時点ではアリババ株という中国の会社で24%を占めていて、その他にソフトバンクビジョンファンド併せて41%を占めていますね。残りでアームやTモバイルやドイツテレコムが来ていて保有株式の上場割合は57%という風になっています。

ここで言われるのは、例えばソフトバンクビジョンファンドなど10兆円ファンドを持っているソフトバンクグループの時価総額がなぜ8兆円しかないのかということです。ということは

  1. ソフトバンクグループって超バリュー株なんじゃないか
  2. 株価暴落時に買えば見直し買いが入るんじゃないか

という判断をする人が結構多いんですね。どれくらい割安なのかを考える上で出てくるのがソフトバンクグループのNAVという指標です。これは net asset value と言われていて
保有株式から純負債を引いたものですね。

ここから先ほどの時価総額8兆円というものを引いてあげれば割引率が出るというこういう考え方になります。ただまぁ正直このあたりは人によって判断は変わってくるのかなとも思います。そんなソフトバンクグループ、さぞかし株価が上がってるんだろうなあと思うんですけれども・・・

ソフトバンクグループの株価暴落

このようにね日足をみると1年以上も株価が暴落してしまっています。数字で言うと60%近い暴落になっていまして、これは本当に一部の投資家からすると非常に不思議だということです。この時点での信用取組みは1800万株という買い残高になっていまして、信用倍率で言うと13.16倍です。

あまり需給状況としては良くないかなぁとは思うんですが、意外にも回転日数で見ると4.3日とそこまで長くはなっていませんでした。なので状況としては逆張り買いで入る人はけっこう多いんだけれどもインアウトも激しいのかなとそのように感じます。もしかしたら捕まっている人は思ったより少なく、みんな短期的な損切りを繰り返しているのかもしれません。

ソフトバンクグループの株価暴落理由

では続いてソフトバンクグループの株価暴落理由について見ていきましょう。

中国株の影響

まず1つ目は中国株との関係性です。さっき見たようにソフトバンクグループはアリババグループという中国版アマゾンみたいな会社の株を結構いっぱい持ってるわけです。以前より比率は減ったものの影響は依然として大きく・・・

アリババ株の暴落

アリババ株のこういった株価下落は暴落背景としてひとつあります。アリババ株が落ちているのには色々な理由があるかなと思うんですけれども、例えば「中国当局が3000億円の罰金を独禁法違反で課した」なんていう材料は有名です。

この罰金額は過去最大なだけでなく、アリババの取引先にもかなり圧力がかかるんじゃないかとかなり逆風状況と言えます。一説によると創業者の政府批判発言がきっかけではないかと言われていますが、実はこういった逆風状況はアリババだけじゃないんですよね。中国では国内企業への規制が非常に長く続いていまして、例えば教育・ゲーム・動画配信など多岐に渡る分野に規制が続いています。

特に海外上場に厳しい姿勢を示していまして、ここで出てくる話がソフトバンクグループが投資しているDiDiという中国の配車サービス会社です。こちらの会社は中国当局に内緒でアメリカ株の新規上場を狙ったものの結局は圧力をかけられて断念となりました。

こんな感じで中国は国内企業への規制をどんどん強めていたので・・・

ハンセンハイテク株指数の暴落

ハンセンハイテク株指数というものも歴史的な安値圏になっちゃったんですね。これって中国からしてもあんまり良い状況じゃないんじゃないのって個人的には思うんですけど、なぜかずっと規制規制を続けていたという状況です。

最近やっと中国政府は絶え間なく続けてきた国内企業への規制を抑制するなんていう声を出しましたので、ここから中国株がポーンと跳ねていく可能性(つまりソフトバンクグループの株もそれにつられて上がる可能性)はあるんですが、現状はまだ本当に最初の部分なのでここからどうなるかは全然わかりません。

ただひとつ言えるのはやっぱり中国株の流れっていうのはソフトバンクグループに影響しやすいので、投資を考えているのであれば中国株の状況はチェックしていかなきゃいけないと思います。

ちなみにソフトバンクグループにはLTV(ローントゥバリュー)という指標があり、純負債を保有株式で割ったやつです。ソフトバンクグループからすると平時で25%未満に抑えるという風に言っていて、どんなに市場環境が荒ぶっても35%までに抑えるとしています。

現状は21.6%なので少し高まっていて、アリババ株はこのLTVの最大因子です。言ってしまえばソフトバンクグループの財務状況に影響を及ぼしやすく、本業の根本を揺るがしかねない立ち位置にいるわけですね。こういった側面からも中国株やアリババ株の影響って言うのは非常に大きなものだと考えられますね。

米国株の状況

続いて2つ目の暴落理由なんですが、中国株同様に米国株の下落も原因になっています。ソフトバンクグループの資産状況からもわかるようにソフトバンクビジョンファンド1と2で41%を占めています。そしてそのビジョンファンドの時価ベース地域比率をみると・・・

米国株の比率は34%とそこそこ高いわけです。ソフトバンクグループと世界経済は本当に深い関係性があり、2021年3月期の決算のようにマイクロソフトを抜かすほどの利益を叩き出すこともあれば反対に損失を被る可能性もあります。

投資家もこの部分を大事な因子として考えていて、米国株の状況とソフトバンクグループは連動性が高いのです。こういった側面を考えるとNAVから割引率を考える方法は見せかけになってしまう可能性もあるのかなと思います。

利上げによる投資コスト増

3つ目の暴落理由として忘れてはいけないのがアメリカの金融政策の影響です。アメリカのFOMCでは3月に利上げサイクル開始を正式決定されましたし、バランスシートの縮小計画もあります。金利が上がっていけば資金調達コストは増え、

  1. ソフトバンクグループ:お金を借りて新規投資をしづらくなる
  2. 投資先のハイテク株:事業投資が非常にしづらくなる

となりやすいでしょう。したがってこういった金融政策の方向転換はソフトバンクグループにとってはあまりいい話ではないのかなと思ってしまいます。

その他にも2022年の新悪材料としてアームの売却中止もありました。エヌビディアという半導体会社に売却しようとしたものの、規制当局から圧力を受け断念しました。結果的には2022年度の上場を目指すという方向転換になったのですが、そもそもアーム売却はソフトバンクグループにとって4兆円規模の大型現金化策だったわけです。

安定的な財務基盤を持ちながら投資事業を営みたいというソフトバンクグループの目的を考えると非常に大きなネタだったのでしょうが、断念せざるを得なくなってしまったので投資家としても企業側としても失望感があったはずです。

また、その他の2022年悪材料としては後継者問題もあります。クラウレ氏という孫正義氏の右腕的幹部が辞任してしまい、長期的な目線ではこちらもかなり痛かったんじゃないかなと感じました。

ソフトバンクグループの投資判断

ではこういった話を踏まえましてソフトバンクグループの投資判断について述べていきましょう。ソフトバンクグループは孫正義氏が創業した国内を代表する大企業ではあるんですが、ちょっとこの状況を見た限りではすぐ買うのは怖いのかなと個人的には考えています。

冒頭で述べたように需給状況もあまりよくないですし、アメリカや中国の市場環境も良くはありません。なのでいくら株価が60%安くなってるとはいってもちょっと厳しそうです。また、S&P500とソフトバンクグループの比較チャートでは・・・

S&P500とソフトバンクグループの比較

安定上昇の S&P500(緑)か乱高下のソフトバンクグループ(オレンジ)どっちがいいですかっていう話にも見えます。ソフトバンクグループは米国株との連動性がそれなりにあるものの、個人的にはねそれならば退屈なくらい安定的に上がってくれるS&P500だけで十分じゃないかと思います。

ソフトバンクグループが米国株や中国株の下げを利用してうまく投資益を稼ぐ可能性もあるので、ここから大きな利益額がドーンと出て急騰する話もなくはないのですが、こういう比較チャートを見ちゃうと非常に投機的な判断にはなるのかなと感じますね。

投資判断っていうのは個々の判断で大きく変わりますので買う選択肢もアリだと思います。ただ、それにしてももう少し株価に勢いがついてからでもいいんじゃないかなと現状では考えています。

ソフトバンクグループは配当利回りも高くないですしキャピタルゲインを稼ぐ意味では株価が強い時に短期的に稼ぎたい考えが根本的にあるので、ソフトバンクグループが悪いとかいう話ではなく勢いがついてから狙った方が良さそうです。