あなたは短期売買と長期投資の違いをしっかりとイメージできていますか?
「さぁ株を始めよう!」と思いついた方が最初に悩むのは自分の売買スタイルです。どちらの選択肢を取るのかはそれぞれがどのような目線で株を買っていくのかがわかっていないと中々判断がつきませんよね。
短期売買はなんだかかっこよさそう、長期投資は楽そう・・・という漠然としたイメージだけで選ぶのは危険なので、この記事では私が感じるそれぞれの特徴や違いについて初心者さん向けに書いてみました。
それぞれの要点を掴むことで自分が望むスタイルはどちらか判断しやすくなりますので、ぜひご参考いただければと思います。
短期売買と長期投資の違いとは?
今回は短期売買と長期投資それぞれの要点はどのようなものかと言うお話ですが、まず皆さんはそれぞれどのようなメリットデメリットがあると思いますか?
以下では短期売買と長期投資それぞれについて特徴を述べますが、その前にぜひご自身でもざっくりとしたイメージを思い浮かべていただきたいです。
その上で読み進めていけばより自分が求める売買スタイルはどちらなのか考えやすくなると思います。
短期売買の特徴
短期売買とは当日や数日、長い場合でも数週間ほどのスパンで株の売り買いを繰り返していくといったスタイルです。
一般的な短期売買のメリットと言えば「資金効率が良い」ということで、これは・・・
こういった短期的に株価が勢い良く吹き上がるチャートに入れては出して、また同じようなチャートに入れては出す・・・ということを繰り返せるという意味だと思います。
簡単に言えば資金の滞在時間が短くその巡りも早いので、たった100万円ほどの少ない資金でも有効活用できれば短期間で大きくできるというわけですね。
まぁ現実問題として100万円を毎回フルポジしていくのはリスクが高いのでできないでしょうが、それでも小分けにした資金が勢いよく吹き上がるチャートに入ってくれれば数銘柄に長期投資するよりは格段に成長速度が早いはずです。ただし・・・
いくら勢いが良くても、資金投入のタイミングが天井付近だったという場合には逆にあっという間に資金が溶けてしまいます。
したがって、短期売買は資金効率を高めることと並行して経験やセンス、利食いや損切り時における判断の速さが求められるわけですね。
短期売買の一般的な特徴はこんなところですが、個人的に短期売買の最も重要な要素は「インアウトの位置をいかようにも変えられる」ということだと感じます。例えば・・・
この銘柄はこのように上下に大きく振られている銘柄です。仮に自分が赤枠部分のような直近の大底でポジションできたとしても、数年単位の長期投資を目的とした場合では下げの全てをくらってしまうということになりますね。
一方、短期売買では青枠部分のような位置で「ここから大きく下げるかもしれない」と思えば、
- どこであろうと一旦抜けて下げが止むのを待てる
- そしてその間に他の銘柄を触れる
という点が大きいでしょう。もっと言えば再度赤枠部分の水準まで落ちてきたら拾うのも良いですし、その後はまた上で売り抜けるのも自由なわけです。
ただし、例え底で拾えていても「どこでも抜けられる」ということが邪魔をして変なところで早売りしちゃう可能性もあるでしょうね。この点がこそが短期売買のパフォーマンスに差を生じさせる部分であり、要は
- なるべくド天井に近い位置で利食いできるか
- 危険を察知して素早く逃げられるか
がセンスや腕前を見せるところです。
長期投資の特徴
では次に長期投資について述べていきます。長期投資のメリットは「企業が成長してくれれば基本的に利益が出やすい」ということです。とはいえ・・・
図の青枠のような「上にぶっ飛んでとてつもなく割高な水準」となる前に買っておかなければならないデメリットもありますが、定期的に銘柄発掘をして早い段階でポジション位置をシビアに考えられるのであれば企業の成長とともに利益は出るという考えです。
また、地合いというか指数の恩恵を良くも悪くもしっかりと享受できるという点もあります。例えば・・・
図の青枠部分ではITバブル崩壊やリーマンショックなどで日経平均株価という指数は非常に弱い時期でした。もしあなたがこういった弱い時期に長期株を持っていたとするとパフォーマンスはかなり悪いことが予想されます。
逆に図の赤枠部分ではアベノミクス相場やトランプ相場などで日経平均株価が非常に強く、もしあなたがこういった強い時期に長期株を持っていればパフォーマンスはかなり良いことが予想されますね。
相場が良い時期に年単位で長期株を増やせばよほどのボロ株でない限り無条件で利益が出るので、長期投資のこういった特徴はメリットにもデメリットにもなります。
では一方で、長期投資にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。まずひとつ目は短期売買に比べて圧倒的に資金効率が悪いという点です。
長期投資は年単位で利益を狙う考え方が根底にあって、イメージで言うとお金を株式に換えてしばらく置いておくという感じでしょう。したがって、短期売買のように一回ここで売ってまたここで買ってというような細かな売買は基本的にしません。
ではどうするかというと、ここまできたら明らかに買いでしょという位置にくるまでひたすら待って節目価格で買っていくのです。
例えば2018年末の米中問題悪化や2020年初頭の新型コロナウィルスショックのような大きな下げを利用しながら、目星をつけておいた株をこれ以上はないだろうという良い位置で買うわけですね。もしそれが実現できればしばらくは様子見をして、使ってしまった資金はしばらく株式に変わったままなのでないものと考えます。
定期的に入金しながら得た配当とともに買い増していく必要もありますが、基本的には買い場は少ないと考えて良いでしょう。
また、保有期間が長いとそれだけ変動幅も大きくなるので「メンタル的につらい時期が定期的に訪れる」という点がふたつ目のデメリットです。
例えばコロナショックでは・・・
このように日経平均株価が一気に2016年や2017年くらいの株価水準まで落ち込みました。ということはこの4年間に買ってきた長期株の多くは利益が大きく目減りするか含み損に転じる可能性は高いです(実際に私の持ち株はそうなりました)。
それから程なくして大きく戻してくれたものの、コロナショックでは長期投資のデメリットを改めて痛感したというのが正直なところです。
株初心者は短期売買と長期投資どっちがおすすめか
最後に株初心者さんは短期売買と長期投資どちらがおすすめなのか簡単に意見を述べて終わります。
資金が圧倒的に少ない場合
まず資金が少ない、加えて入金もあまりできないという方は圧倒的に短期売買がおすすめです。
あなたがどのくらいの期間でどの程度の利益を狙うかによるものの、100万円程度をずーっと寝かしていても大した利益は得られないでしょう。
それよりは素早く資金を出し入れして、まとまった種銭を作ること。そして出来た種銭を少しずつ長期株に回しながら短期売買を継続していく方が良いと思います。
継続的な入金が可能な場合
ただし、長期投資のメリットである「相場環境が良ければそれだけで利益が出る」という点もできれば享受したいものです。したがって、毎月の収入に余裕がある方はインデックス投資も良いでしょう。
インデックス投資とは例えば投資信託などで指数に連動した商品を買っていく方法です。例えば・・・
上記は米国株の主要指数であるNYダウの推移を年単位で表したものですが、見てわかるようにずーっと上がり続けていますね。
一昔前の投信では手数料が高かったのですが、それでも米国株に長期投資していた人は大きな利益が出ていることがおわかりいただけるでしょう。最近では投信のコストが劇的に下がっているという背景に加え、つみたてNISAやiDeCoといった国からの支援策も充実してきています。
収入に余裕があるという方はそういったものを上手に活用しつつ長期投資の恩恵を受けるのもおすすめですね。ただし、インデックス投資は
- 最低でも10年以上は続けないと旨みが少ない
- 長く続ければ続けるほど資産変動額が大きくなってくる
という点は忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は短期売買と長期投資それぞれの特徴や違いについて述べました。どちらも一長一短ありますので、株初心者さんはどちらが良いのか考えながら基本スタイルを選択しましょう。
少額資金の場合は短期売買、資金に余裕があれば長期投資も視野に入りますが、最近ではインデックス投資もやりやすくなっています。
その人の性格によって向き不向きもありますが、ぜひ納得いく売買スタイルで投資を楽しんでくださいね。