東証の昼休み廃止説!その背景と変化を考えてみた!

    

国内株式市場には昼休みがあります。この昼休みがあることでいわゆる前場と後場という区切りができ、それによって現状の戦略というか個人投資家の頭の中でも動きがあることでしょう。

しかし、実は外国の株式市場を見てみると昼休みがあるケースは少ないのです。例えば米国株であれば現地時間9:30から16:00までがザラ場で、この中に昼休みはありません。

それなのに同じ先進国である日本にはなぜ昼休みがあるのでしょうか?

この記事では東証が設けている昼休みの意義をはじめ、個人投資家が述べている廃止論の根拠などについて述べました。

株に昼休みがあるのはなぜか

では順を追って国内株式市場の昼休みについて探っていきましょう。

昼休みの時間

まず東証が設けている立会時間は土日祝日を除く

  1. 前場:朝9時から11時30分まで
  2. 昼休み:11時30分から12時30分まで
  3. 後場:12時30分から15時まで

といった区切りになっています。当たり前のように「前場お疲れ様でした」と言っていますが、世界的には前場や後場という区切りがあること自体珍しいようですね。

ちなみに日本の他には中国株式市場でも昼休みがあります。

東証の昼休み廃止論は根深い?

実は前場の時間は以前だともう少し短い11時まででした。しかし、2010年4月頃に東証の昼休み廃止論が検討され始めたことをきっかけに2011年11月に現行の時間帯へ改正されました。

結果的に昼休みは廃止とまでなりませんでしたが、この背景には

  1. 欧米や韓国などでは昼休みがないこと
  2. 日中を通して売買ができないことで不利益が生じるケースが見受けられること
  3. 大阪証券取引所が先物の昼休みを取りやめると発表したこと

が挙げられます。

個人投資家としては昼休み中の材料発表やニュースによって大きな値動きが出てくる個別株があるという点が最も関係していることではないでしょうか。例えばですが、

  1. 決算発表が昼休みに行われた
  2. ニューリリースがサプライズ的に行われた
  3. 日経平均株価など地合いに影響するような出来事がお昼のニュースで流れた

といった場合は一刻も早く売買したい気持ちになるでしょうし、先物など地合いが動けば持ち株に少なからず影響は出るはずです。

実際、2020年9月30日には

  1. バイデン氏が大統領選挙優勢と報じられる
  2. 後場寄りから先物主導で大幅安
  3. 前場大引け比125円も突然下がってしまった

ということがありましたね。これを受けて大型株の多くがギャップダウンしたので、被弾したという個人投資家もいたことでしょう。

こういった先物主導の話で言えば、前述の「大阪証券取引所がデリバティブ取引の昼休み撤廃を発表したこと」はシステム的に大きなきっかけでした。

なぜならこれによって「先物は動くのに東証から売買はできない時間帯」が発生することになったので、この時間の穴を狙った仕掛けが発生する懸念も併発したからです。

海外勢が先物を売り建てれば機関投資家は先物を買い建てつつ現物株を売りますので、この流れで日経平均株価も下落することが多いでしょう。

これは昼休みうんぬんに限ったことではないとは思いますが、少なからずこういった背景から東証の昼休みを廃止してほしいという考えはあるようです。

昼休みがそもそも必要な理由とは

ところで、そもそもなぜ東証に昼休みがあるのでしょうか。上記のような背景があるのであれば最初から無ければ良かった話ですよね。

私は東証の人間ではないので明確なことは言えないのですが、いくつか仮説を立ててみたいと思います。

まず思い浮かぶのは東証などで働く方々に休憩時間が必要だという考えです。東証はすべてを機械が動かしているのではなく、トラブルなどに備えて人間も配置されていることでしょう。

また、昼休みが撤廃されて取引時間が伸びれば

  1. 立会時間の延長に対応するためのシステム変更や強化
  2. 取引量が増加した場合の人員配置変更

などが生じる可能性もあります。加えて昨今の働き方改革という風潮から勤務時間を伸ばすという施策も取りづらいのではないでしょうか。

もっと言えば、東証や証券会社には昼休みを利用して行っている業務もあるかもしれませんね。例えば大手証券会社ではバスケット取引というものが行われていますよね。

バスケット取引とは

  1. 多数の取引をまとめて1商品として扱うこと
  2. 15銘柄以上かつ1億円以上の大口取引
  3. 大口投資家の需要に対して証券会社側がコストを上乗せして反対売買する
  4. 立会い外でも可能

といった取引です(参照:野村証券|バスケット取引)。

前場引けで約定されたものが後場に執行されるケースが多いようなので、昼休みがないと取引の流れを変更しなければならない可能性があります。

次に考えられる昼休みの意味合いは「投資家に身体的かつ心理的な休憩時間を与える」ということです。

例えば専業投資家さんはそれこそ日中いくらでも売買ができるわけで、ザラ場に張りついているという方もいらっしゃると思います。そういった方にとって株式市場が休んでくれる昼休みの時間帯はかなり意義があるものではないでしょうか?

昼休みがあることで身体的な安息が得られますし、熱くなった時は頭を冷やして後場の戦略を立てる時間にもできます。

国内株式市場では相場を冷やすためのシステムというものが多くあり、ストップ高や特別気配などはその代表的なものでしょう。

  1. とてつもなく大きな材料が出た銘柄
  2. 地合いが一方向に動き続けている状況

などでは昼休みがあることで投資家の心理が時間的に区切られ、値動きも落ち着きを取り戻すという作用があるかもしれませんね。相場全体が強制的に停止することでいつの間にか得ているメリットが私たちにあるでしょう。

昼休み廃止のメリットデメリット

ここまでのお話を少しまとめておきましょう。まず東証や国内株式市場の昼休みを廃止するメリットは、

  1. 日中を通した売買が可能となり、昼に出た材料やニュースに応じて取引が可能となる
  2. 先物は動くが取引ができない時間は無くなり、仕掛けにも対応しやすくなる

といったことが挙げられます。それに対してデメリットは

  1. 東証や証券会社など受け手側の負担が増える可能性あり
  2. バスケット取引など昼休みに行われていた業務が滞る可能性あり
  3. 強制的に相場が止まることで得られていた身体的かつ心理的な休憩はなくなる

といったことが挙げられますね。個人的な意見としては昼休みが無くなろうとどちらでも良いのですが、どちらか選べと言われたら昼休みはあって欲しい派ですね。

よくよく考えれば

  1. 前場引けの時点で勢いがあるものをチェックする作業
  2. 後場寄り前の板状況で判断するケース
  3. 前場引けがあることで助かったケース

など今までの売買においてありましたので、やはり知らず知らずのうちに恩恵はあったのかなと思いました。

また、具体的なことは言えませんがおそらく昼休みを利用した売買手法などもあるでしょう。例えばPTSを活用している人などは昼休みがあるからこそ出来ていることがあるかもしれませんよね。非常に日本人的ではありますが、とりあえず現状維持を訴えてこの記事を締めくくることにします。

まとめ

今回は東証の昼休み廃止論について述べました。現状の国内株式市場では11時30分から12時30分まで昼休みとなっています。

しかし、この間に材料やニュースが出た場合には後場寄りから大きくギャップが生じるというケースもあり、昔から廃止論も根強いです。廃止にあたってはメリットとデメリットがあると推測されますので賛否両論でしょう。

個人的には昼休みがあったからこそ良かったケースもありますので、とりあえず現状維持で良いと思います。

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