安い株をたくさん買うは正しい!探すなら絶対こういうやつ!

    

個人投資家であれば「安い株をたくさん買う戦略」を実践しようか考える人も多そうですよね。

そもそも「安い」という言葉に弱い方もいらっしゃるでしょうし、初心者さんであれば普段の買い物と同じく安いものをたくさん買えばそれだけお得じゃないかと感じるでしょう。

この記事ではそういった安い株をたくさん買う戦略への意見を述べました。結論的には場合によりけりだと感じますが、その判断基準がどこにあるのかぜひ参考にしてみてください。

    

安い株をたくさん買うという意味は人それぞれ

最初に個人投資家が安い株をたくさん買う戦略に行き着きやすい理由を考察します。

そもそも安い株を買おうと考える投資家は何かしら資金に悩みを抱えているのではないでしょうか。ありがちなのは少ない資金でより良い分散投資をするために安い株を探すというものですよね。

昨今の株式市場はここ数年で大きく値上がりしていますから、株価1000円や2000円という銘柄も増えてきました。仮に資金が100万円しかなければ分散投資をするにも数銘柄がやっと・・・という状況も多いことが想像でき、今から株を始める方にとっては苦しい話ですね。

そのためなるべく安い株を探してたくさん分散投資しようとなるわけですが、上記のような流れで安い株をたくさん買うことを想定するのであればそれは間違いでしょう。

あくまで個人的な考え方ではあるものの、少資金を大きく増やすためには1銘柄や2銘柄に大きく資金配分した方が増えやすいと思います。

例えば5銘柄に20万円ずつ配分したとして、そのうち1銘柄が10%値上がりしたらどうでしょうか。20万円の10%はたかだか2万円ですので利益額としては少し物足りないですよね。一方で、100万円を1銘柄に投入して10%値上がりした場合は10万円の利益額なのでそれなりに資金は増えます。

同じ事を1000万円でした場合は5銘柄に分散しても20万円の利益なので新卒給料1ヶ月弱くらいにはなるのですが、少額資金の分散はリターンを必要以上に削る側面がありますよね。

また、株式投資を始めようと考える人はある程度の収入を持っていることも多いですし、仮に資金数十万円程度で失敗したとしても1年あればすぐにやり直せるという人も多いのではないでしょうか。

ただし、上記は安い株以前に資金サイズを含めた上での話ですが、いくら資金があっても安い株の定義によっては正解かどうか変わってきます。ここまでの話は安いことの定義を単純に株価のみに設定していましたが、ここからは色々と場合分けをして考えてみましょう。

低位株の場合

株を始めたての方はご存じないかもしれませんが、株の世界には低位株やボロ株という言葉があります。これらの言葉は「ほぼ価値のないような株」という意味で扱われることが多く、一般的に一攫千金を狙った博打手法やマネーゲームの標的と考えられやすいでしょう。

なぜこういった目的で扱われるのかというと単純に値動きが荒いからです。業績も赤字から上がらないし流動性もないような株は普通ならあまり物色対象にはなりませんので、何かしらの理由で物色対象になった瞬間から大きく跳ね上がる可能性は高いわけですね。

そういった色々な低位株をそれこそ大多数保有し、いつか起きるだろう噴火を狙って耐え忍ぶという流れがよくある低位株の放置戦略かと思います。

こういった意味合いでの安い株をたくさん買う戦略はあまり良いものとは考えられず、

  1. 分散した銘柄の多くが吹き上がることで得られるリターン
  2. 低位株の価値がどんどん希薄化するだけでなく、資金拘束や最終的に倒産するリスク

を比べるとリスクの方が大きくなるでしょう。したがってこういった低位株をたくさん買う戦略は間違いだと考えます。

ただ、吹き上がった瞬間の低位株に目をつけて株の売買をしていくという方法は投機的なやり方として論じられることがあるので、これが性格に合っているという方は検証してみると良いかもしれません。

時価総額が小さい

次に安い株の定義として考えたいのは「時価総額が小さい株」です。こちらは一見すると低位株に似ている表現ですが、価値がしっかりと見いだせる株が含まれてくる点で大きく異なります。時価総額が小さい株は一般的に小型株という呼ばれ方をされ、安い株(小型株)をたくさん買う戦略は賛否両論でしょうね。

というのも小型株の中には生まれたての企業も多く、20%を超えるような利益率や成長率を誇る会社も多いからです。そういった成長路線の小型株をたくさん買う戦略は低位株のそれよりもはるかに現実的な一攫千金術ではないでしょうか。

ただし、ここで考えたいのは

  1. 小型株全体に言える値動きの荒さ
  2. 業績の不安定さ
  3. 過度な分散によって1銘柄あたりのリターンが薄れる

です。小型株はマザーズ市場に代表されますが、このマザーズ市場は個人投資家が主体となって盛り上がっている市場なわけです。

個人投資家の売買判断というものは機関投資家などプロのそれとは違い、日々迷いの中で簡単に真逆の方向に走る傾向があります。

  1. 少しでも利益が出れば即座に売るのに含み損はいつまでも放置
  2. かと思えばどこかのタイミングで投げ売り祭りが一斉に始まる
  3. ほとぼりが冷めればまた良さそうな株を雰囲気で買い漁る

といったことが年がら年中行われている点がとてもやっかいです。この市場心理はマザーズ単体の信用評価損益率や売買代金上位銘柄のローテーションなどを見ていても明らかでしょう。

小型株の値動きの荒さは発行済み株式数の数も関係ありますが、こういった市場心理こそが元凶だと感じます。そのためいくら良い小型株でもこの値動きの荒さを耐えきって長く持ち続けるということを性格的にできる人とできない人に分かれてしまうという点は否めませんね。

また、業績伸び率の変化もかなり激しいので保有銘柄の中でも一寸先は闇となってしまう株も出てくるでしょう。仮に大きく伸びてくれた株が表れても大きく分散しているとリターンがかなり薄れますので、単純に時価総額の小さい株だけをたくさん買うという戦略はポートフォリオとしてバランスが悪いとは思います。

ちなみにここで言う「たくさん買う」というのは複数銘柄という意味です。調べ上げた将来有望な小型株に対してたくさんの資金を投じて集中的に買うという戦略であれば大きく資産を増やせる可能性はあります。

通常なら手堅い中大型株や米国株ETFなども組み込みつつリターンの底上げで厳選した小型株を入れる方がバランスは良いのでしょうが、少資金を効率良く増やすのであれば小型株はうってつけですね。

割安株

最も有効な安い株をたくさん買う戦略に合致するのはこの割安株をたくさん買うという意味合いです。この考え方には今までのように単純に株価が小さい株や時価総額が小さい株では実現できなかったメリットが多く含まれています。

ポイントは企業価値に対して現在の株価が割安なのかどうかで、もしそうであれば安い株をたくさん買うという選択は正しいです。個人的には市場環境が悪くなった際に起きる暴落相場でこういった企業価値に対して割安な株を買う戦略が好きで、経験的にも後々良いリターンを生むことが多いですね。ただ、ここで重要なのは

  1. 株価が将来的な業績悪化を織り込みにいっている可能性もある
  2. 成長株は割安基準が判断しづらい
  3. 懸念材料が多いので敬遠されている可能性や業種的に常に割安という可能性

といった点でしょう。

例えば昨今ではテレワークの浸透などを背景に判子を無くそうという流れが進んでいて、判子業界の先行きはあまり良くありません。こういった流れが背景にあると将来的な業績悪化に先駆けて株価が動く可能性は大いにあり、最新の業績と比較して割安でも買ってはいけないということになります。

また、成長スピードが早い小型株では企業価値の何倍もの株価がつけられることは珍しくありません。このようなケースでは本当にその水準まで業績が伸びるのか定かではないため判断が難しくなります。

加えて、仮に割安な株が見つかったとしても何かしら物色されない懸念材料がある可能性も捨てきれません。例えば銀行株は昨今の低金利政策のおかげで万年割安株状態ですし、他にも商社株や金融株も割安傾向が強いです。単に割安株を見つけるだけであれば難しくないのですが、こういった注意点はありますよね。

そこで考えたいのは「企業価値に対して割安な株を見つける方法」でしょう。例えば一般的に安い株というのは

  1. 単純なPERの数値
  2. 同業他社のPER水準

などで判断されることが多いですが、先ほども述べたようにPERは成長小型株にはあまり通用しません。こういった成長株に対する割安判断の対策として出てくる方法が「PSRによるスクリーニング」です。

PSRは売上高をもとに割安度を測る株価指標のひとつのため成長株や赤字企業であっても判断しやすくなります。一般的にはPSRが20倍未満であれば割安圏内にいると考えられ、ここをひとつのボーダーにすると良いでしょう。

PSRはスクリーニング条件のひとつとして組み込まれていることもありますから、地合い悪化時にお好みのスクリーニングツールを使って安い株を探してみて下さい。重ねて述べておきますが、その際には将来的な業績悪化を織り込む動きでないか考えることをお忘れなく。