以前書いた板読みの記事では「蓋」という概念を説明し、株価は蓋が置かれている方へ動きやすいという内容を書きました。
この蓋の考え方は割と一般的に知られている考え方で、その影響で「株価は板が厚い方向へ動く」なんて言われることも多いですよね。
ただ、個人的には必ずしも板が厚い方向へ動いていくわけではなく、あくまで値動きの流れがあってこそ機能する考え方だと思います。
この記事では板が必ずしも厚い方向へ動かない例をご紹介しましたので、ひとつの考え方としてご参考下さい。
板が厚くなる意味を値動きの流れから考える
まずこのチャートをご覧下さい。
これは寄付きから大きくギャップアップして始まっていて、なおかつ直近で話題となっている銘柄です。
200万株という出来高的にもそれなりに大きなプレイヤーが関わっていそうですね。
今回このチャートの中で注目するのは図の赤枠部分です。
ここは
- 寄付きから上がって
- 高値で売られてちょっと下がって
- 保ち合って踊り場を作る
という流れだと推測され、ここから
- 上がるのか
- 安値を割れていくのか
がトレードするにあたって読みたい要素です。
このいわゆる踊り場部分の安値は775円前後で、結論的にはここを割らずにまた上がってくれると予想したわけですが、その根拠のひとつに板がありました。
踊り場で耐える株価の様子
踊り場はトレードにおいて重要な要素で、この期間で株価が一定価格で耐えている様子が感じ取れるかを考えます。
今回の場合、このような板になっていて・・・
簡単に言えば
- 踊り場安値付近の買い板が連続的に厚くなっている
- 770円の買い板も厚い
という状況ですね。板が厚い方へ株価が動いていくという法則に従えば、この先は株価が奈落の底へ落ちていくことになりますが・・・
実際にはこのように再度コツンと上昇してスト高張りつきになっています。
こうなってくると「なぜ板が厚い方へ動かなかったのか」ということを考えますが、結論としては「単なる買い支えだったから」だと私は考えました。
チャートの流れが
- 寄付きから上がって
- 高値で売られてちょっと下がって
- 保ち合って踊り場を作る
という順序だったことを考えると、要はその価格(踊り場の安値)から下へ株価が行ってしまわないように買い板を厚くしていた状況で、これは株価が何かしらの意図で支えられていたというわけです。
私は証券会社で働いていたことも機関投資家の実際の売買も知らないのであくまで妄想でしかありませんが、ストップ高へと導いた大口資金の持ち主が支えていてくれたのかなと思ってしまいます。
その目的はストップ高へまた張りつかせるためであり、踊り場では個人投資家などすぐに手放してしまう人を売らせていたのかもしれません。
ちなみに先ほど出した板からもう7分ほど経過しても・・・
このようにむしろ株価がじりじりと上がってさらに厚い部分が増える状況が継続されていました。
やがて株価はジリ上げからコツンと上げてくれたわけで、やはり板が厚いからといって必ずしもそちらへ動いていくわけではないでしょう。
大事なことは値動きの流れ
思うのですが、たぶん株価の動きというのは暗記ではなくその時その時の流れとか思惑を読むことが求められてくるのではないでしょうか。
その読みが当たれば利益を受け取れるし、外れれば損切りする羽目になるのです。
板が厚いとか薄いとかはその過程で出てくるほんのひとつの要素であって、流れが大事なのかなと思います。
ただ、なんでもかんでも読み切れるかというとそういうわけではないので、
- なるべく同じような状況にあるチャートを狙っていく
- 同じような状況で何度もトレードをして読みの精度を上げる
ということが大事でしょう。
再現性あるトレードは期待値を高めてくれますし、自分がこういった状況の株を狙っていくということも必然的に明確にしてくれます。
「板が厚い方へ株価が動く」という点だけに囚われると盲目なトレードになってしまいがちなので、常に値動きの流れを考えていきたいものですね。
まとめ
今回は株価が必ずしも板の厚い方向へ動かない例をご紹介し、そこから値動きの流れを考えることの重要性を述べました。
今回ご紹介したのは買い支えによって板が厚くなった状況でしたが、「買い板が厚い」という様子は状況が違えばまた違った解釈ができる可能性もあるでしょう。
大事なことは株価がどういった意図でそうなっているのかを自分なりに考えることであって、暗記することではありません。
結果も大事ですが過程も考察しつつ、日々トレードを行っていきましょう。