個人投資家の中には配当金を目的に株を保有したいという方も多いですが、実際の受け取り方にはどのようなものがあるのでしょうか。
昨今では株式数比例配分方式というものが主流になっていて、これは2009年に新設された制度です。
この記事では
- 株式数比例配分方式とはどういうものか
- 株式数比例配分方式のデメリットはどんなものか
- 配当の受け取り方にはその他にどのようなものがあるか
といった内容をまとめました。これから配当を受け取ろうという方、初めて株式数比例配分方式を知ったという方はぜひご参考下さい。
配当金の受け取り方は4種類
まず配当金についてですが、これは企業が得た利益を出資者である株主達にも分け与えるという仕組みです。
すなわち配当金は事業利益から捻出されているものであり、事業が拡大して利益が増えれば配当金も大きくなっていきます。
投資家は配当金を自分の手元に入れる手続きをしなければならず、その方法には
- 配当金領収書:自宅へ郵送された領収書を金融機関へ持って行く
- 個別銘柄指定方式:振込み指定書を個別銘柄ごとに提出して振り込んでもらう
- 登録配当金受領口座:銘柄にかかわらず全ての配当金を指定口座に振り込んでもらう
- 株式数比例配分方式:銘柄にかかわらず全ての配当金を証券口座に振り込んでもらう
といった4種類があります。証券会社によっては選択できないものがありますが、一般的にはこの4つです。
ちなみに最初の2つは以前からある古典的な方法、そして後半の2つは2009年に新しくできた制度ですね。
よく「配当金の振込み書を捨てるところだった!」なんて話を聞きますが、あれは配当金領収書方式で受け取っている方の話でしょう。
そういった話を聞くと自分は大丈夫だろうかと焦ってしまいますが、例えばあなたが株式数比例配分方式を取っていれば問題ありません。
株式数比例配分方式とは
では次に、そんな株式数比例配分方式について述べていきます。
株式数比例配分方式とは前述のように銘柄にかかわらず全ての配当金をお使いの証券口座に振り込んでもらえるという仕組みです。
「お使いの証券口座」というのがポイントで、例えば
- A証券で銘柄Aを保有
- B証券で銘柄Bを保有
という場合には銘柄Aと銘柄Bの配当金がそれぞれA証券とB証券の口座に振り込まれます。
同様に、同一銘柄であっても保有している証券会社が違えばそれぞれの口座に振り込まれますので、これは手間が生じる可能性はあるでしょう。
メリットは手続きが必要ないこと
株式数比例配分方式のメリットはやはり手続きの手間が省けるという点ですね。
ただ保有をして決算をまたげばそれだけで配当金を受け取れますし、いちいち金融機関に行く必要もありません。
たくさんの銘柄数を保有していてももらい忘れる心配もなく、保有している証券会社を見れば銘柄ごとどの口座に振り込まれるかも一目瞭然です。
また、特定口座の源泉徴収ありにしておけば税金のお話も全て証券会社側でやってもらえるので確定申告も必要ありません。
デメリットは配当金の移し替えや損失時
ただし、前述のように配当金が振り込まれる口座は保有している証券会社に指定されてしまうので、場合によっては配当金をメイン口座に移し替える手間はありますね。
それが面倒だという場合は全ての証券会社の配当金受け取り方式を登録配当金受領口座方式に設定しておけば良いでしょう。
また、税金面の話で言えば「源泉徴収ありの状態で年間損益がマイナスだった」という場合は余計な税金が配当金からも捻出されてしまう可能性があります。
通常なら年間損益がマイナスの人は税金負担がない(払うべき税金がそもそもない)ので、自動的に税金が支払われる方式だとデメリットになってしまうわけです。
ただ、特定口座の源泉徴収なしだと確定申告が必要になるのでその手間は出てきます。
NISA口座では必須の方式
株式数比例配分方式のメリットとデメリットをお伝えしましたが、中には株式数比例配分方式が必須となるケースもあります。
それはNISA口座で株を買付けた場合であり、この点は日本証券業協会のホームページでも記載されていますね。
NISA口座で買付けた上場株式の配当金等を非課税とするためには、証券会社で配当金等を受け取る「 株式数比例配分方式かぶしきすう ひれいはいぶん ほうしき」に変更する必要があります。いま一度、お取引先の証券会社にご確認ください。
引用:日本証券業協会|NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項
要はNISA口座の非課税メリットを配当金にも適用するためには株式数比例配分方式が必須というわけです。
証券口座が分かれていてお金を動かすのが手間だとしても登録配当金受領口座方式などでは課税されてしまうので気をつけて下さい。
銘柄ごとに方式を変更できるのか
ところで、銘柄Aは登録配当金受領口座で銘柄Bは株式数比例配分方式というように個別に指定することはできるのでしょうか。
結論的にはそういったことはできません。
また、投資家の保有銘柄は証券保管機構(通称ほふり)にて管理されていて、この関係で証券会社ごとに指定するということもできません。
名寄せした時点で最後に登録されていた方式に指定されるので気をつけましょう。
株式数比例配分方式だったのに口座を閉じていた場合
株式数比例配分方式のトラブルとして考えられるのは、配当金が支払われる前に証券口座を閉じていたというケースです。
これは本来支払われるはずの口座に入金ができなくなりますが、その場合は登録していた金融機関あてに振り込まれるケースが多いようですね。
お使いの証券会社によっても違うと思いますので、気になる方は調べてみると良いでしょう。
配当金の受け取り方式を確認・変更したい場合
自分がどういった配当金の受け取り方式になっているか確認し、場合によっては変更したいという時はお使いの証券会社のマイページで可能です。
SBI証券の場合
例えばSBI証券であればログイン後に
- ページ上部から口座管理に進む
- ページ上部のメニュー下からお客様情報設定・変更に進む
- お取引関連・口座情報を選択
- 配当金受領サービスを選択
とやれば確認および変更が可能です。
変更した設定は1週間ほどで適用されまずので、変更タイミングに気をつけながら行ってみて下さい。
松井証券の場合
松井証券の場合はお客様サイトにログインする必要があります。PCでログインしたら
- 口座管理
- 登録情報
の順に進めば配当金受領方式を確認および変更可能です。
スマホの場合もお客様サイトから入り、
- 口座管理
- 配当金受領方式
と進めば確認および変更可能です。
楽天証券の場合
楽天証券の場合はログイン後に
- ページ上部のマイメニューを押す
- お客様情報一覧を押す
- 申込が必要なお取引に関する設定を押す
- 下の配当金受取方法を選択
とやれば確認および変更ができます。
まとめ
今回は株式数比例配分方式についてまとめました。配当金を受け取るための手続きが楽なおすすめ方式で、NISA口座では必須になりますのでぜひ使ってみて下さい。
ちなみに現代の配当金投資は思ったより少額から行うことができるんですよね。
例えばSBIネオモバイル証券であれば1株から購入できるので、配当利回りが高い銘柄を長い時間をかけてコツコツ買えます。
配当金が多く出る優良株を毎月の余裕資金から1万円ずつでも買っていけば、10年後にはそれなりにまとまったお金になっているはずです。
貯金の代わりに少額で配当株を買えるサービスを上手に使っている方も増えていますので、まだ始めていない方はぜひこの機会に検討してみましょう。