なぜ株価が下がらない?そんな時に考えたい理由と取引タイミング

    

皆さんは株価が下がらないという状況を見たことがありますか?2021年1月の日経平均株価はまさにそんな時期でしたね。通常なら年末に調子が良いと年明けから急落という状況になってもおかしくはないのですが、それでも株価は下がらずしつこく高値圏に居座っている状況です。

この記事ではこういった日経平均株価が下がらない理由をはじめ、個別銘柄などの株価が下がらない状況にも触れています。そしてそこからわかる株価が下がらない背景を述べてみました。また、株価が下がらない状況で狙いたい買い場についても言及しましたのでひとつの考え方としてご参考下さい。

    

日経平均株価はなぜ下がらないのか

2020年は日経平均株価にとって大波乱の年でしたね。新型コロナウィルスによって世界が未曾有のパンデミックに見舞われ、あらゆる業界に影響が及びました。自動車業をはじめ人材派遣や食品・外食産業なども大打撃です。

世界的にも経済成長率がマイナス5%と後退、失業率も大恐慌以来過去トップクラスの数字を記録しました。日本でも休業者数や非正規者雇用数が大幅にダウンしたことが大きな話題となり、それを先回りするかのように日経平均株価は最初の数ヶ月で大きな下落を見せました。

ところが・・・

日経平均株価が下がらないのはなぜか

このようにそれからの日経平均株価は大リバウンドを見せ、それどころか株価がひとつも下がらないバブル状態に移行。個人投資家の間ではもう何か月も「このバブルは弾ける寸前だ」と言われる状況に発展しているのにいつまで経っても株価が下がらないわけです。

この理由は各国の中央銀行がお金をジャブジャブ流し込んでいるからで、要は下がらないように国ぐるみ世界ぐるみに供給しているのだから下がりっこないというわけ。金余り相場なんて言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは株価チャートにも形となってしっかり表れています。

サポートを割っても株価は下がらない

この日経平均株価チャートを見てわかるように、もう説明不要なくらい明らかに買い支えられています。

例えば図の時期はどうでしょう。一見するとただのトレンドラインに沿った安定上昇ですが、注目すべきはサポートライン付近で頻繁に大陰線が発生している点です。私が今まで幾度となく見てきたチャートパターンであれば「高値圏の大陰線は調整ムードを意味する」という解釈です。

それなのに何度発生しても、いや何度サポートを割り込んでも不死鳥の如く舞い戻り高値を更新していったのは本当に驚きですね。挙句の果てに例年の年末に向けた上昇はちゃっかり残し、年明けのご祝儀相場も忘れなかったのだからもう何がなんだかわからない。一方、この時期はどうでしょうか。

ヨコヨコになっても株価は下がらない

高値圏でヨコヨコして、あぁついにここで明確な抵抗帯が出てきたなという感じですよね。株価がヨコヨコのまま推移するのは

  1. ここまでくると売られるという価格帯
  2. ここまできたら下がらないように買うという価格帯

のぶつかり合いに他なりません。最終的にはその競り合いに勝った方向へ株価が進んでいくわけで、今まで大きく上昇してきた手前降り注ぐ利益確定売りも大きいというもの。

しかし最終的には買い手側が勝利し、年末の上昇へと向かった流れです。ここで考えるのは「もし買い手側がジャブジャブ資金を流し込んでいる中央銀行なのであれば負けるわけがない」ということでしょう。

真偽はともかく日銀は10月から12月にかけてETFの新規買付を積極的にしていましたし、結果的に日経平均株価は青枠時期でも下がらずにこの価格帯をこなして上がっていったというのが事実です。なぜ株価が下がらないのか?この背景には私たちが想像するよりもっと大きな存在が買い支えている事実があるのかもしれません。

株価が下がらないと起きること

日経平均株価が下がらない理由やその実際の値動きについて触れましたが、こういった流れを見ていて気付いたことがあります。それは「株価が大きく上昇したとしても下がらなければ過熱感はなくなる」ということです。例えば・・・

先ほど見せた年末に向けた急上昇劇はどうでしょうか。この上昇期の1か月で日経平均株価は4000円上がりました。そこには過熱感があって、これを背景に多くの投資家にバブル最後の上昇と思わせたわけです。それでもなぜか株価が下がらないことで中期移動平均線が追い付き、最終的には過熱感ではなく株価がこの価格帯に定着しました。

よく株価に対するレポートで「足固め」とか「こなす」なんて表現がありますよね。これらの表現は「価格の定着」という意味合いがあって、要するに誰もが「日経平均は25000円以上が当たり前だよね」と思ってくれるまでそこに居座るのが目的でしょう。

少し前は日経平均株価が15000円なんて夢のまた夢だと言われていたのに、それが2万円になり25000円になり、今回は3万円になろうとしているわけですよ。そのための過程として起きるのが

  1. ヨコヨコ推移
  2. ボックス形成
  3. 安定上昇の継続

などではないでしょうか。同じことは個別株でも確認できます。例えばソニーの日足チャートを見てください。

ソニーの株価も下がらない

最初は中期移動平均線との乖離率が10%以上ありましたが、上がったあとに少し保ち合ってから安定上昇を続けたことで中期線が追い付いています。これは中期線を形成するデータの数値が大幅上昇したことで、大きな下落なしで乖離率を自動的に減らしたのでしょう。

一般的に大幅な株価上昇では売り物が降ってくるという解釈が付きものですが、上げ続けることで調整するパターンもあるんですね。

ただ、個人的にはどこかで踊り場を作ってくれることが望ましいと考えています。日経平均株価の例は特にわかりやすいのですが、株価が踊り場を作り移動平均線を待つことで過熱感が減っていますね。

上げ続けたという表現からは離れるものの大きく下げずに価格を保つという状況もまた強い証拠。ヨコヨコと踊り場を作ることでその価格帯が当たり前になりますし、それによって

  1. この価格は高すぎる
  2. いずれ下げるから逆張り売りしてやろう

といった投資家心理にも変化が生まれます。具体的には売り手から買い手に寝返る人が増え、耐えきった時にブレイクするわけです。上げ続けてしまうといつまで経っても売る人が減りませんが、ヨコヨコやボックスでは買い手も増えやすいのではないでしょうか。

もし私ならそういったヨコヨコ時期に買います。買おうと思っていたのに上がってしまった株が下がらないのであればヨコヨコで集めるしかないので、粘り強い監視と勇気を出して指値することは必要です。

マクドナルドの株価はなぜ下がらないのか

ここまで一般的な売買目線で物を述べてきましたが、株価が下がらない背景には根強い保有者という要素も必要です。その代表的な例となっているのが日本マクドナルドのチャート。

マクドナルドの株価は下がらない

もう3年半ほど同じような株価のまま下がらない状態ですが、これは誰かが買い支えているといった状況ではないでしょう。結論的には(合っているかわからないですけど)大きく売るような人がいないからマクドナルドの株価は下がらないのだと思います。

マクドナルドはコロナ禍の売上高でもその人気ぶりを発揮していましたが、そんなみんなが大好きな商品の無料引換券を株主優待として提供していますよね。年間にすれば1万円近い相当額だと推測でき、この優待目的で長期保有している人も多いはず。

株価も変わらず、なおかつ結構な優待相当額と地味な配当金がもらえるので持っておこうと考えているのでしょう。ちなみに2020年7月には親会社である米国マクドナルドの持ち株比率を下げますという材料が出て需給懸念から株価が下がりましたが、結局いつもくらいの安値に収まっています。ここから大きく割り込む可能性もあるものの、その下にはコロナショックの安値もあるのでここでのサポートも期待できるでしょう。

ちなみに日本マクドナルドの時価総額は7000億円前後です。それに対して日々の出来高は50万株にも満たないことが多いですね。これだけ認知されていて人気がある企業にしてはかなり小さな出来高で、こういった側面からも活発に売られたり買われている状況ではないと推測できます。

マクドナルドの例からわかるように、株価が下がらない背景には

  1. ホールドしている人が多い
  2. そもそも活発に売買されていない

といったことも考えられそうです。

まとめ

今回は株価が下がらない時に考えたいことを日経平均株価とマクドナルドの例から述べてみました。買い支えやホールドされる理由に加えて売買出来高といった角度から考えてみると何か見えてくるものがあるかもしれませんね。

なぜ株価が下がらないのか不思議に感じた際にはぜひこういった観点で考えてみて下さい。そしてあわよくばヨコヨコ時期に下がらない株を買ってみること。

ヨコヨコを経てブレイクしてくれればうれしく、そのまま上昇継続して過熱感が無くなれば最高ですね。