オリックスは順調に業績を伸ばし、リーマンショック時でも黒字で乗り越えた企業として知られています。
また、高配当利回りや株主優待も人気で、長期保有銘柄として広く認知されているイメージがありますね。
こういった背景から個人投資家の中にも保有している方が多いと考えられますが、実は2020年の損している銘柄ランキングで上位に位置しているそうです。
というのも新型コロナウィルスの影響で株価が下がり、それに巻き込まれている方が続出したからだと考えられます。
そのためオリックスを損切りしようか悩んでいるという方も多いと推察され、今回はそういった方々に向けて記事を書いてみました。
あくまで個人的な見解ですが、現状で損切りすべきか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
オリックスは損切りすべきなのか
まず、この記事を書くきっかけとなったのは「オリックスを損切りすべきですか?」と質問を受けたという点があります。
個人的には自分の財産なのだから好きにすれば良いのでは・・・と感じましたが、私もオリックスの株を保有しているので私見を書いてみようかなと思った次第です。
結論的にはよほどの高値で買っていない限り、2020年8月1日の時点ではそんなに焦らなくて良いと思っています。
その理由は色々あるのですが、主なものを述べますのでひとつの意見としてご参考下さい。
そもそも何を目的にオリックスの株を保有したのか
オリックスに限らず、株を損切りすべきかという判断において大事なのは「なぜその株を保有したのか」という点です。
個人的なイメージでは「よし!オリックスを保有しよう!」と考えた人で多いパターンは
- 配当利回り
- 株主優待
を目当てにしているケースだと思います。
この時点でオリックスの保有目的は
- 使わない現金があるのでどうせならオリックスの株式に換えてみようかな
- 長期的に配当や優待をもらっていきたいな
- 長期保有で優待内容もグレードアップしたいな
というものになるので、すぐすぐ損切り判断をするような事態は訪れにくいと感じます。というか長期保有すると決めたのであればちょっとやそっとの含み損でうろたえてはいけません。
ちなみに、もしオリックスを短期売買の買い目線で保有しているのであれば銘柄選びを間違えているのですぐ損切りして下さい。
損切りを長期利回りという観点で考える局面の例としては
- 大幅な減配となってしまった
- 株主優待の内容が大幅に改悪された
といったことが考えられますが、オリックスが長期保有銘柄として人気な背景には
- 積極的な株主還元姿勢
- リーマンショック以降の配当政策
もあるので、現時点ではまだ大幅に悪化する事態は考えにくいかなと思います。
今後のオリックスの業績によっては減配も十分にあり得ますが・・・
- 配当性向(利益のうちどれくらいを配当に回すか)は30%前後が目安だった
- 2021年期に限り配当性向50%に設定
となっているので、とりあえずは配当維持の方向で考えてくれているのかもしれませんね。
仮に減益傾向が続く場合には配当性向30%を目安に配当を考え、ご自身で許容ラインの線引きをしてみてはいかがでしょうか。
オリックスをなぜコロナの時期に保有したのか
もうひとつ感じるのは、オリックスを保有し始めた時期がコロナ窩だったのかどうかという点です。
オリックスのような長期的に利回りを得ていくことを念頭にした銘柄は、相対利回りをなるべく上げるために株価が低迷しそうな時期を狙っていくわけですよね。
オリックスの月足を見てみると、現状はリーマン後の低迷から上昇してボックス推移という感じです。
増配を継続している中でのボックス推移ではより「ボックス安値を狙うこと」の意義も高まり、だからこそコロナの時期にオリックスの
- 景気に左右されやすいセクター特性
- 航空リースという事業内容によって株価が弱い
という点を利用してボックス安値を狙ったという方も多いのではないでしょうか。
これは「ボックス安値で高い相対利回りを得るためにあえてコロナ窩でリスクを取って保有した」という流れになるので、その点をどう考えるかも損切り判断のひとつかもしれません。
個人的には、以前からこの価格帯を狙っていて「あえてコロナ窩で買うことでやっと目標価格で保有できた」というのであれば様子見しても良いだろうと考えます。
一方で、ボックス高値である2000円付近で保有してしまっているという方は買い時を間違えてしまっている可能性はあるでしょう。
2020年8月時点の株価は1200円を割り込んでいる状況なので、すでに含み損は50%近い水準です。
これを利回りだけで全部取り返すことを考えると、ボックス安値(高値と800円以上の差)で保有しているホルダーとはかなりのタイムラグが出そうではあります。
原則的には利回りがどんどん下がっていかない限りは保有を続けたいところですが、自分自身の性格を考えた場合にとても耐えきれないという方は精神衛生を考えて損切りというのもひとつの考え方かもしれません。
まぁそうは言っても後述のようにオリックスの株価はそこまで高いものではないので、100株の保有数(含み損10万くらい)であればガン無視してしまう方も多そうですが。
配当と優待額が含み損を上回るのはいつか
オリックスは株価がそこまで大きい銘柄ではありません。仮に先ほど見せた月足のボックス高値で買ったとしても100株で20万円ですし、ボックス安値付近であれば100株で12万円ほどです。
仮にコロナ後の株価1200円くらいで100株だけ保有しているなら、含み損の額的にもそこまで焦る必要はないでしょう。
仮にそこから株価が半分になったとしても6万円の含み損であって、これは言ってしまえば毎月のお小遣いを少し節約するだけで簡単に補填できてしまうくらいの大きさですね。
また、現状のオリックスの配当金と優待金額は
- 配当金:7600円
- 優待額:安く見積もって年間5000~6000円くらい?(長期保有なら+4000円くらい)
なので、合わせると12600円ほどになります。これを株価1200円で利回りを計算すると
- 12600円 ÷ 12万円 × 100 = 10.5%
です。NISA枠で保有している人はこのまま計算できますが、そうではない場合はここに0.8をかけて税引きにするので
- 10.5 × 0.8 = 8.4%
これを基準に含み損の補填年数を計算した場合・・・
- 20%:3年
- 30%:4年
- 40%:5年
- 50%:7年
となります。仮に明日からいきなり利回りが税引き5%まで下がったとしても
- 20%:4年
- 30%:6年
- 40%:8年
- 50%:10年
という計算ですね。
雰囲気的にはオリックスが月足のボックス安値を抜ける可能性もありそうですが、単純計算の机上の空論で考えると10年くらいは放置しても良いのかなと思ってしまいます。
100株や200株の少額保有で含み損が10万くらいであればなおさらのことで、優待で美味しいモノを年に2回食べながらお小遣いを節約しながら気長に行く末を見守ってみてはいかがでしょうか。
オリックスは上場廃止になるのか
上記はオリックスを含み損50%くらいのベースで単純に考えてみただけです。
株の世界で最もダメージを負う状況は持ち株が上場廃止になるというパターンで、オリックスも上場企業である限りはこの可能性があります。
ただ、オリックスという会社はその他金融セクター内でトップクラスに時価総額が大きな会社です。参考に2020年8月時点の時価総額を並べてみると
- オリックス:1.5兆円
- 日本取引所グループ:1.3兆円
- 東京センチュリー:7300億円
- アコム:5900億円
- 三菱UFJリース:4000億円
- 日立キャピタル:3100億円
- 全国保証:2500億円
- クレディセゾン:1800億円
- 芙蓉総合リース:1800億円
といった具合です。
当然ながらオリックスは売上高もセクター内でトップクラスなので、多少キャッシュフローが落ちたくらいでは上場廃止にはならないのかなと思います。
その他金融セクターは事業内容が様々ですが、おそらくオリックスが上場廃止に追い込まれるのであればその他企業も軒並みただでは済まないでしょう。
オリックスはセクター内でそれくらいの位置にいるイメージなので、上場廃止になるときは日本経済や世界経済に終わりが近づいているかもしれません(笑)
ちなみに先ほど挙げた企業における有利子負債自己資本比率(低いほど良い)は
- オリックス:154.2%
- 日本取引所グループ:17.59%
- 東京センチュリー:755.26%
- アコム:171.94%
- 三菱UFJリース:625.38%
- 日立キャピタル:782.61%
- 全国保証:20.68%
- クレディセゾン:493.59%
- 芙蓉総合リース:796.04%
となっています。その他金融セクターは決して良い数字ではないのですが、
- お金やモノを貸す
- 保険や金融サービスを提供する
といった事業内容を考えれば、素人考えながら一概に数字だけで判断はできなさそうですね。
いずれにせよオリックスがすぐに上場廃止になるような未来は今のところ思い浮かばないので、やはり直近値動きの一番良いところで買えているのであれば損切りはせずに様子見しても良いでしょう。
まとめ
今回はオリックスを損切りすべきか悩んでいる人向けに私見を書いてみました。
個人的には配当や優待利回りを目的に保有したのであれば、多少の含み損は目をつぶって今後の利回りや業績推移をしっかりと見守った方が良いと感じます。
また、少額保有であればそもそも焦るほどの含み損ではないでしょうし、直近の安いところで保有していれば単純計算上は含み損50%でも10年ほどで補填できそうです。
最も大きなリスクは上場廃止ですが、オリックスのセクター内ポジションを考えても想像しづらく、その他企業にはオリックスよりも(数字上は)財務面が悪い企業もありそうですね。
オリックスよりも弱い立場の企業が続々と上場廃止になる状況ならまだしも、とりあえずは様子見で良いのかなと思います。
色々難しい話は抜きにしてもそこまで痛い金額でなければ配当や優待を楽しみに暮らしていった方が精神的に良いと思いますので、気長に保有していきましょう。
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