オリックスの株価暴落理由!95%下落から戻せない衝撃の背景とは?

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

皆さんはオリックスという大企業をご存じですか?

プロ野球観戦や保険関係でご存じの方も多いかと思いますが、株式会社として一流とも言える存在です。

金融に関する幅広い分野で事業展開をしており、業績も高い水準で安定しています。

しかし、そんなオリックスには下落率95%となった株価大暴落の時期があり、未だに元の水準に戻ってはいません。

この記事では

  1. オリックスという会社の概要
  2. 業績など基本的な数字面
  3. 株価が暴落した理由
  4. 株価暴落時に取られた対策
  5. 株価が戻らない背景
  6. 今後の株価動向といつ買うべきか

といった点についてお話しました。

オリックスは優秀な企業で長期投資向きの銘柄だとは思いますが、過去の歴史を知った上で投資すると良いでしょう。

外部参照リンク:オリックス公式ホームページ

    

オリックスってどんな会社?

オリックスは東証一部上場かつ時価総額2兆円(2020年3月時点)の大企業です。

業種は「その他金融業」で、普段の生活では保険・レンタカー・リースなどで関わることが多いでしょう。

プロ野球チームも持っていて、株主優待では割引価格にて観戦することが可能です。

そんなオリックスはもともとリース事業をメインに立ち上げた会社でしたが、成長とともに隣接する金融事業に進出して多角化した歴史があります。

ちなみに日本に「リース」という新しい金融事業を持ってきたのはオリックスだとご存じでしょうか?

それまで日本にはリース事業というものはなかったのですが、1964年に米国からそのノウハウを持ってきて設立された会社がオリックスです。

これがきっかけで「リース会社の設立ラッシュ」も巻き起こり、オリックスが金融業のパイオニアとして世に知られたきっかけだったろうと思います。

現代では隣接するそれぞれの分野で専門性を獲得して・・・

オリックスの事業セグメント

  1. 法人金融(金融、各種手数料ビジネス):6%
  2. メンテナンスリース(自動車リース、レンタカー、カーシェアリング、電子計測機器、IT関連機器のレンタルおよびリース):10%
  3. 不動産(開発、賃貸、管理、施設運営、資産運用):22%
  4. 事業投資(環境エネルギー、企業投資、コンセッション):10%
  5. リテール(生命保険、銀行、カードローン):21%
  6. 海外事業(アセットマネジメント、航空機・船舶関連、企業投資、金融):31%

の6つのセグメントにて事業展開されています(2019年3月期発表)。

ちなみにオリックスの事業は「金融」と「モノ」の2つに大別でき、金融関連事業では

  1. 融資
  2. 投資
  3. 生命保険
  4. 銀行
  5. 資産運用事業

というカテゴリーをカバーしていて、モノの分野でも

  1. 自動車
  2. 不動産
  3. 環境エネルギー事業

と多角化が広がっていますよね。

海外進出に関しては1971年の香港進出を皮切りに世界37カ国に拠点があって、気になる海外売上高比率は31%と利益内訳でトップです。

事業セグメントにおけるポイントをまとめると

  1. そのほとんどが景気に敏感な事業
  2. 海外売上高比率が高い

ということが挙げられます。

これらの点は投資家が最もリスクだと感じている部分で、世界景気の後退局面では株価暴落が生じやすい側面があるでしょう。

安定した業績面

オリックスの2009年以降の業績はこんな感じです。

オリックスの純利益推移

最近の売上高は2兆円規模で、経常利益は3000億円~4000憶円をコンスタントに稼いでいます。

これはオリックスの経営基盤がしっかりしているからこそであり、実は

  1. 後述するリーマンショック時代でも赤字を出していない
  2. 50年以上も連続黒字

というほどです。

ただし、業績が景気に影響されないわけではないので株価暴落には注意が必要ですね。

高い営業利益率で収益性を確保

コンスタントに数字を稼いでいるオリックスの収益面はどうでしょうか。

2020年3月時点での主な収益性指標は

  1. ROE:10.9%
  2. ROA:2.6%
  3. ROIC:3.6%
  4. 売上高営業利益率:13.53%

となっています。

最も目立っているのは売上高営業利益率の高さで、これはその他金融業に所属している34銘柄の中でも上位に位置する水準です。

売上高の10%以上が営業利益となる状況が定着しているからこそ、純利益もしっかりと残るのでしょう。

自己資本比率が低めな財務

オリックスはその他金融業ということもあり自己資本比率は23.7%と低めです。

ただし、有利子負債の半分以上となる利益剰余金を持っているのですぐに倒産することはないでしょう。

オリックスの利益剰余金

また、その他金融業のリースという事業形態を考えれば長期的に入ってくるお金もありそうですよね。

金融事業のリスクを考えると財務面は100%安心というわけでもないですが、前述の業績や収益面を加味すれば過敏に怖がる必要はないと思います。

今後もリーマンショックのような金融恐慌が起こるかはわからず、その時にオリックスの数字面がどうなっていくか予想がつかないのでそれだけは意識しておきたいですね。

セクター内でも屈指の割安性

オリックスは経営基盤がしっかりしていて数字もしっかりと稼いでいる企業ですが、割安性指標を見るとここ何年も割安な水準で停滞しています。

例えばJPXが提供している業種別PERおよびPBRデータを参照しても

<PER>

  1. その他金融業平均:9~10倍前後
  2. オリックス:6.3倍

<PBR>

  1. その他金融業平均:1倍前後
  2. オリックス:0.64倍

とかなり割安な位置にあることがわかりますよね。

外部参照リンク:JPX|業種別PER・PBR

割安性が維持されている原因は暴落から株価が戻らないことが影響しているので、株価暴落理由で一緒に後述します。

配当と株主優待

オリックスは投資家から

  1. 高配当株
  2. 人気優待銘柄

と見られている部分があります。

まず配当状況ですが、

オリックスの配当状況

こんな感じです。

配当方針は

  1. 内部留保を事業基盤の強化や成長投資に活用することで株主価値を高める
  2. 業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施
  3. 自己株式取得も内部留保の水準や経営環境の変化を考慮して機動的に行う

と公表されています。

現状の配当利回りは株価暴落の影響が残っていることも相まって5.1%とかなり高いです。

ちなみにリーマンショック後の配当状況は

オリックスのリーマンショック時の配当

こんな感じで配当性向は減ったものの2009年~2012年までちゃんと増配を続けていました。

配当方針から考えると今後の業績次第で減配もあり得そうですが、リーマンショック時代の実績が頼もしいことからも高配当株として人気があります。

また、株主優待の内容も100株で

  1. 株主優待カード:プロ野球公式戦、レンタカー、水族館入場料、ホテルなど割引
  2. カタログギフト:自社製品で選択肢がかなり多い、3年保有でグレードアップ

がもらえるので非常に人気です。

このようにオリックスは株主還元策が充実しているため、配当と優待をもらいながら株価暴落の影響が消えるのを待つ長期ホルダーも多いでしょう。

オリックスの株価暴落理由と打開策

そんなオリックスですが、冒頭で述べたように過去20年における株価推移ではすさまじい暴落劇がありました。

こちらをご覧下さい。

オリックスの株価暴落

月足チャートで目を引くのは、やはり2007年以降の株価暴落局面です。

この株価暴落理由は「サブプライムローン問題~リーマンショックの流れで金融恐慌が起きたため」と言えます。

この時期はあらゆる大型株が暴落しましたが、オリックスは特にその影響が大きかった銘柄のひとつです。

背景には

  1. その他金融業というセクターに属している
  2. 事業セグメント全体で金融恐慌の影響をまともに受けることが予想された

というものがあり、2009年に底打ちするまで下落し続ける結果となりました。

2007年の高値は3665円となっていますが、2009年の安値は170円なので

  • (3665-170)÷ 3665 × 100 = 95.36

というかなり悲惨な下落率となったわけですね。

ただし、前述の通りオリックスの業績がリーマンショック後に倒産寸前レベルになったわけではありません。

むしろ金融恐慌でも黒字を残したという優秀な実績で、株価は

  1. 行き過ぎた下落率であった
  2. ここから赤字転落になる未来を織り込もうとした

という状況だったかもしれませんね。

個人的にはこの株価暴落局面の裏側にこそオリックスの強みが隠されていると考えたので、その背景をご紹介していきます。

2000年代における歴史を紐解いてみると、オリックスが株価暴落の裏でどのように経営基盤を変遷させたのかがわかりますよ。

3つの両面展開と事業の多角化でオンリーワンに

2000年代はオリックスにとって革新の時代で、そのひとつに「両面展開」がありました。

  1. 国内と国外
  2. 個人と法人
  3. アセットとフィー

といった正反対ともとれる両面事業を展開することで幅広い顧客を獲得し、収益基盤が強化されたのです。

  1. M&A事業
  2. 環境エネルギー事業
  3. 米国の投資銀行を買収
  4. 不動産業をレジャーから福祉・オフィス・ホテル業まで多岐に展開
  5. 中国からサウジアラビアまで海外リース法人を立ち上げる

と国内外問わずに事業の垣根を越えて多角化をさらに進めた時代と言えるでしょう。

その他金融業の中でここまで多角化が進んでいるのはオリックスのみですよね。

こういった展開策が功を奏して2004年~2007年は4期連続で過去最高益を記録することとなりました。

ちなみに2007年の純利益1965億円に対して2019年の純利益は3237億円です。

リーマンショックを乗り越えてからも企業として着実に成長していることがわかり、金融恐慌で株価が暴落する前にこういった経営基盤を築いていたことは非常に大きなポイントではないでしょうか。

サブプライムローン問題を発端に経営方針を転換

2007年3月期まで4期連続で最高益更新を達成したあと、オリックスに最大の危機が訪れました。

サブプライムローン問題からリーマンショックの流れで金融恐慌が発生し、国内外の大手金融機関が軒並み赤字に転落したのです。

この時にオリックスが取った対策は

  1. 企業体質の強化
  2. 事業の再構築

というものでした。

具体的には「財務の安定性」と「金融+付加価値」を重視した経営方針に切り替え、

  1. 金融業のリスク面
  2. 量的拡大が難しい局面

の2つに対応できる企業へと変貌を遂げたのです。

財務面の安定性は金融業へ投資する個人にとって非常にありがたいもので・・・

オリックスの利益剰余金推移

これは暴落後の利益剰余金の伸びにも表れているでしょう。

ただ、今のオリックスらしさが出る背景となったのは「金融+付加価値」を意識したサービスの方です。

例えば、意外に知られていませんがオリックスは環境エネルギー事業の一環としてメガソーラー事業を展開しています。

最近では2018年に新潟県内で最大規模となる四ツ郷屋発電所の竣工式を行っていて、これは

  1. ゴルフ場の跡地を活用して20万5920枚もの太陽光パネルを設置
  2. 年間発電量は一般家庭1万6700世帯以上の消費電力に匹敵
  3. 発電分を東北電力に売電する

という事業です。

オリックスはここに

  1. 再生可能エネルギーを学習できる展望スペース
  2. 周辺道路の整備
  3. 防犯灯・防犯カメラの設置

を付加価値として提供していて、環境問題への取り組みや地域住民に対するサービスが兼ねられた事業となっています。

こういった取り組みは2010年以降に加速していて、単なるその他金融業で終わらない強さがオリックスに備わっていると言えるでしょう。

オリックスの株価は確かに暴落しましたが、その時代を乗り越えた強い企業として成長している側面もあります。

オリックスの株価はなぜ安いままなのか

ところでオリックスは株価暴落を乗り越え、2019年3月期には

  1. 10期連続増益
  2. 5期連続最高益

を達成するほどの経営基盤を持っているのにも関わらず、なぜ株価が安いままなのでしょうか。

その理由として考えられるものは

  1. 複雑な事業形態
  2. 親会社の存在

の2つです。

複雑な事業形態

オリックスは金融に絞っているとはいえ、多角化が進みすぎて

  1. 本業がどの分野なのか掴みづらい
  2. 投資対象として選定しづらい

と市場から認識されている可能性があります。

また、一般的に事業の多角化が進みすぎた企業は成功しづらいとも言われていて、その根拠のひとつが「コングロマリット・ディスカウント」です。

コングロマリット・ディスカウントとは「多くの複合事業を持つ企業(コングロマリット)の価値が、全ての事業をトータルした時に100%より低くなる」という考え方を言います。

コングロマリット・ディスカウントの原因としては

  1. 事業のメリハリが減って相乗効果が薄れる
  2. 高収益事業の利益が低収益事業に吸収される
  3. 資源が分散されて高収益事業を伸ばしづらくなる

といったことが挙げられ、結果的に投資家から敬遠されがちです。

オリックスのように事業を多角化することは「利益の分散効果で業績変動を抑える効果」がありますが、その一方でデメリットもあるわけですね。

コングロマリット・ディスカウントでは実状の6~7%程度の低評価を受けると言われているので、オリックスの株価もこういった背景で割安状態が続いていると考えられます。

個人的には多角化でも連続黒字で安定している点を評価したいのですが、市場評価としては低いようですね。

現状のオリックスは

  1. 海外事業
  2. 不動産業

が伸びてきている状況ですが最初はリース業がメインでしたし、少し前は不動産よりも事業投資の割合が高かったはずです。

こういった事業セグメントの割合がどんどん変化していくことも投資家を不安にさせているのかもしれません。

利益割合が変化していくことを機動的と捉えるのかデメリットと捉えるのかは意見が分かれそうですね。

外部参照リンク:日経新聞|コングロマリット・ディスカウントとは

親会社の存在

オリックスはその他金融業に属している企業ですが、同セクターの中大型株には「株価暴落前の水準に戻せていない銘柄」もちらほらいます。

その他金融業の中大型株でリーマンショック時に上場していたのは全部で8銘柄。

そのうち株価を戻せていない顔ぶれは

  1. オリックス
  2. クレディセゾン
  3. オリコ

の3銘柄で、逆に株価水準が戻っているのは

  1. 東京センチュリー:伊藤忠系
  2. 日立キャピタル:日立系
  3. 三菱UFJリース:三菱UFJ系
  4. アコム:三菱UFJ系
  5. イオンフィナンシャル:イオン系

の5銘柄ですね。

暴落前の株価水準に戻せた銘柄の共通点は「親会社がいること」と考えられ、投資家の買い材料となっている可能性もあるでしょう。

オリックスをどこかが買収してくることは中々難しいので状況は変わらないでしょうが、個人的には株価を暴落前に戻せない理由のひとつと考えています。

オリックスの株価は今後どうなるのか

では今後、オリックスの割安な株価はどうなっていくのでしょうか。

もしコングロマリット・ディスカウントが主な原因だとすれば、そうそう株価の割安状態は変わらないと思います。

というか、もはやPER6倍程度がオリックスの適正株価となっているかもしれません。

これは

  1. リスク分散のため多角化したいという企業の経営意思
  2. 選択と集中によって事業を集約してほしいという市場の意思

の2つが合致していないことが原因なので、まずはここが解消されないとダメでしょう。

いつ買うべきか

上記を加味すると、オリックスの株を買うタイミングとしては

  1. 事業の集中と選択が進み、多角化が解消される思惑が生じた時
  2. 多角化に対する市場評価が変わるようなきっかけがあった時

が有力です。

どちらもすぐに生じそうな状況ではないですが、事業の多角化が焦点になっているのであれば考えるべき点でしょう。

テクニカルで考えれば・・・

オリックスのボックス推移

2014年頃から形成されているボックス帯を抜けたタイミングがブレイク買いとして有力です。

ボックス高値を抜ければ次のステージに進んだと考えやすく、併せて市場評価が変わるような出来事があればなお良いでしょうね。

くれぐれも値動きとその根拠となっている材料を照らし合わせて考えるようにしたいところです。

ただし、優待や配当目的で保有したいのであれば現状の割安な株価水準こそ適正タイミングではあります。

その場合は先ほど示したボックス帯の安値を狙うのが有力で、なるべく安い株価を買うことがポイントでしょう。

まとめ

いかがでしたか?今回はオリックスの会社概要と株価暴落理由について述べ、株価が戻せない理由にも言及しました。

リーマンショック後の危機を救ったのは事業の多角化によって業績が向上したおかげですが、それが逆に株価の戻しを邪魔しているのかもしれません。

分野を絞って多角化することで成功した例だと個人的には思いますが、市場評価が低いうちは割安なまま停滞しそうです。

優待や配当狙いであれば現状の水準は悪くないと思いますが、キャピタルゲインを狙って買う場合は材料と高値ブレイクに注目していきましょう。

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  2. 株価大暴落への対策記事10選+個別株の暴落原因まとめで備えあれば憂いなし!

がありますのでご参考ください。それではまた!