大和ハウスの株価暴落理由!不祥事続きの状況から反発できる?

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

国内の戸建てや賃貸のビッグネームとして知られている企業のひとつに大和ハウスという会社があります。

私も大和ハウスの賃貸に住んだことがありますが、築浅ということもあってかかなり住み心地が良かったです。

そんな大和ハウスの業績は2019年通期で連続最高益更新。

株価もぐんぐん伸びて・・・と言いたいところですが4500円だった株価は2500円ほどまで暴落しています(2020年5月時点)。

この記事では

  1. 大和ハウスの企業概要
  2. 株価暴落理由

についてご紹介しましたのでぜひご参考下さい。

参照リンク:大和ハウスグループ公式HPバフェットコード

    

大和ハウスってどんな会社?

大和ハウスは1955年に創業された東証一部上場企業です。

所属セクターは建設業で、その時価総額は2020年5月時点で1.7兆円を越すほど。

グループ会社は2019年の時点で387社を超え、住宅事業の建設実績も1795000戸となりました。

商業施設も51500件の実績、そして太陽光や風力発電所も315施設を建設しました。

経営の基本姿勢に「共に創る。共に生きる」というスローガンを掲げ、上記のような実績で私たちが住む家やマンション・アパートに生活に必要な商業施設などを建設してくれているわけですね。

また、海外展開も積極的に行っており世界各地で事業を行っています。

事業セグメント

大和ハウスの事業セグメント

大和ハウスの事業セグメントは

  1. Housing:戸建て、賃貸、マンション、リフォーム、インテリアなど
  2. Business:流通店舗、商業施設、物流施設、医療介護施設、事務所など
  3. Life:リゾートホテル、都市型ホテル、フィットネス、ホームセンターなど
  4. Global:アメリカ、中国、アジア圏などの建設

の4つです。

2019年3月期における売上高比率は

売上高比率

このようになっていて、大きな利益源となっているのは「商業施設」や「事業施設」ですね。

ただ、大和ハウスの元々の本業は戸建て・マンション・賃貸なので、このあたりももう少し頑張って欲しい印象もあります。

ちなみに大和ハウスにおける戸建ては

  1. xevoΣ(ジーヴォシグマ):持続型耐震性能、外張り断熱、2.72mの高い天井の鉄骨住宅
  2. skye(スカイエ):3・4・5階建ての鉄骨住宅

などに代表され、昨今ではライフジェニックというウェブ上で家造りを体験できるサービスを展開していますが・・・

2021年度は大幅な減益予想となっていますね。同様に・・・

賃貸(左)やマンション事業(右)も減益予想です。

これは新型コロナウィルスの影響を考慮した結果で、景気敏感な事業性質を感じさせられます。

直近業績と株価指標

大和ハウスの直近業績は

大和ハウスの直近業績

このように売上高や利益が連続的に最高益を更新しています。

事業セグメントを見ると戸建てやマンションなどが不調ですが、それを事業施設や商業施設が補ってくれているので全体としては成長している状況ですね。

キャッシュフロー推移も

大和ハウスのキャッシュフロー推移

2014年通期から営業キャッシュフローが拡大して、利益剰余金も大幅に伸びました。

大和ハウスの利益剰余金推移

ただし、2020年5月に発表された2021年通期予想は今のところ55.1%の減益予想となっています。

これを受けて予想PERも16.9倍まで上昇してしまいました。

その他の株価指標は

  1. ROE:13.5%
  2. 自己資本比率:37.3%
  3. 営業利益率:4.7%(減益予想前は8.7%ほど)

となっています。

配当利回りと優待

大和ハウスの配当推移は

大和ハウスの配当推移

このようになっています。

2020年までは連続増配でしたが、2021年予想では2017年度の水準まで減配される予定です。

とはいえ配当利回りを株価2600円で計算した場合、3.46%になるので高配当株と言えるでしょう。

減配にとてつもなくアレルギー反応を示す人やこれからも減配が続くと考える人でなければ、株価が低いうちに狙っても良いと思います。

次に大和ハウスの株主優待ですが、

大和ハウスの株主優待

このように保有株数に応じて1000円の割引券がもらえるようですね。

割引券は株主専用のグルメギフトサイトや関連施設にて使える仕組みです。

大和ハウスの株価暴落理由

では大和ハウスの株価推移について見ていきましょう。

大和ハウスの株価推移

月足では長期的な上昇傾向ですが、2018年から2年ほど下落し続けていますね。

高値4500円ほどから安値2300円を割り込み、その下落率は48.8%という暴落ぶりです。

このように大和ハウスの株価が急落することになった理由はいくつかあるのでご紹介します。

戸建てや賃貸の不祥事と低迷

まず前述のように戸建てや賃貸事業の落ち込みは投資家を不安にさせている原因のひとつでしょう。

大和ハウスが投資家向けに提供している受注速報から2019年度を見てみると・・・

受注速報

このように戸建てや分譲に集合住宅など、どれも前年比で1割以上も減っているので全体業績の足を引っ張っていることが感じ取れますよね。

また、そもそもなぜこんなにも住宅関連が厳しいのかというと

  1. 消費税の増税による需要減少
  2. 戸建てや賃貸で不祥事が発覚

という要因があります。

特に後者の不祥事では「4000棟以上が国の建築基準法を満たさない疑いがある」という内容だったので、根本的な信用問題となってしまいました。

また、この問題は2019年4月頃に表沙汰になりましたが、実際には「2年以上も前から内部的に発覚していたにも関わらず公表しなかった」という点が傷を深め大きな問題となったわけですね。

アパート大手のレオパレスでも建築基準法違反のニュースが出ていたので、これもタイミングが悪かったと思います。

大和ハウス側は否定していますが、一連の騒動と同時期に「中興の祖」と呼ばれた樋口会長が引退されたので引責辞任ではないかとも言われてしまいました。

樋口会長は2001年に大和ハウスの社長に就任して以来、売上高を大幅に押し上げた成長の立役者です。

そんな会長の引退時期にこんな不祥事が発覚してしまったのは残念ですね。

企業としての信頼性もかなり落ちたので、戸建てや賃貸の回復はもう少しかかるかもしれません。

中国合弁会社の不正流用

大和ハウスの不祥事は戸建て問題の少し前から相次いでいます。

その最初となるのが2019年3月に発覚した「中国の合弁会社が約230億円以上も不正流用していた」という問題です。

この影響で、不正流用された資金を回収することは困難として会社持ち分および資産評価損合計125億円を2019年3月期に損失計上しています。

温泉水の不正表示

2019年8月には大和ハウスが所有する大阪府と兵庫県の温泉施設に不当景品類および不当表現防止法違反が発覚し、大阪府知事から措置命令を受けてしまいました。

これは「工業用水や井戸水を温めて使用していたにも関わらず、やけどや皮膚炎に効用がある温泉水として表記していた」という内容です。

大和ハウスは「当初は温泉だったが条例改正によって入湯税の課税対象となったので切り替えた」と述べましたが、であればその時点で表記を改めるべきだったと多くの方が思ったことでしょう。

何より利用者は温泉施設として活用しているので、これも信頼問題に関わりますよね。

施工管理技士の技術検定試験問題

大和ハウスの不祥事はまだあります。

2019年12月には「施工管理技士の受験資格を得るために必要な経験年数を満たしていないにも関わらず資格を取得していた」という問題も発覚しました。

その不正取得者数は349人にものぼり、実務経験を充足していない社員までいたそうです。

また、不正取得した社員が現場に派遣された事例もあり大和ハウスの管理不行き届きがこれまた露呈されたわけですね。

大和ハウス側の言い分としては

  1. 受験手引きを理解しないまま実務経験証明書を記入してしまったケースあり
  2. 内容確認や照合を行う管理部門のチェックが甘かった

とのことですが、やはり一番困るのは顧客ではないでしょうか。

ちゃんとした流れで資格を取得していない人が自分の所有する物件を担当したとなれば不安でしょうし、新規で頼もうと考える人も減って当然です。

総額2億円超えの架空発注問題が発覚

大和ハウスの不祥事はまだまだあります。

2020年に入ってからは東北工場に勤務していた課長が建設用鉄骨を2013年~2017年にかけて架空発注していたことがわかりました。

その総額は2億数千万円と報道され、「また大和ハウスか」と感じた方も多かったはずです。

本質的な問題はガバナンスの甘さにある

大和ハウスの株価が暴落することになったのは戸建てや賃貸などの低迷が直接的なものかもしれませんが、その裏には度重なる不祥事によって企業への信頼性が損なわれているという問題があると思います。

ほんの1年ほどの間に5つもの問題が発覚してしまったのは投資家にも消費者にも大きな不安を与えることになったでしょう。

言ってしまえば株価暴落の本質的な問題は大和ハウスのガバナンス(企業統制)の甘さにあって、ここがしっかりと改善されない限りは

  1. これからも不祥事が出続ける可能性あり
  2. 顧客からの信頼が回復しない

と言えそうです。

ちなみにガバナンス強化については2019年11月に基本方針と対応策が発表されていて、

  1. 経営体制および管理監督のあり方を再検討する
  2. 業務執行の機動性およびリスク対応体制の強化
  3. リスク情報の収集と共有の強化
  4. 持続性・実行性を支える環境の強化

の4つが掲げられました・・・が、正直あまり信用なりませんよね。

忘れた頃に次の問題が発覚しては信用したくてもできませんし、株を買おうという人も少なくなってしまいます。

ガバンス問題は難しい言葉を並べるより「しばらく何事もないこと」が最も信頼できますので、せめて数年くらいは何事もなく過ぎてほしいものです。

大和ハウスの今後の見通しと買い時

色々と述べてきましたが、大和ハウスの株を買うのはいつが良いのでしょうか。

正直言って不祥事がありつつも最高益を更新し続けている株は魅力的ではあります。

減配されたとはいえ配当利回りも高く、優待までもらえるので買いたいという方も当然いらっしゃるでしょう。

ただ個人的にはまだはっきりとしていないと感じていて、その理由は「新型コロナウィルスの影響がどの程度かわからない」という点が大きいと思います。

大和ハウス側が2021年度予想を大幅に下げてきたことが最も気がかりで、具体的な会社予想は1640億円の純利益です。

しかし、コンセンサスとしては2664億円(前年比27.5%減)と大きく乖離しているので、思ったより影響は少ないのかもしれません。

ただ、戸建てや賃貸の回復時期がわからない以上は値ごろ感で買うのも危険だと思うので、ここは少し様子見をして反発の兆しが値動き的に見えてきたところで拾う方が無難かなと。

悪い受注速報を出したのに株価が上がっていくなど悪材料に反応しないような状況が続けばチャートも良くなっていくはずなので、そこが買い時だと思います。

まとめ

いかがでしたか?今回は大和ハウスの株価暴落理由についてご紹介しました。

直接的には戸建てや賃貸の低迷が投資家を不安にさせているようですが、本質的には度重なる不祥事に代表されるようなガバナンス問題が挙げられます。

失った信頼は時間だけが解決してくれるので、しばらくは何事もなく過ぎてほしいものですね。

最高益更新や配当利回りは魅力的ですが、まだ今後の業績推移がはっきりしないのでもう少し様子見をして値動き重視で考えたいと思います。

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