どうも、ひげづら(@higedura24)です。
携帯電話の大手キャリアとして有名なKDDIは、株式市場でも人気があります。
事業内容や株主還元策も安定していて中長期的に保有できる優良企業ですが、実は株価が暴落や急落する場面があるのはご存じでしょうか。
この記事では
- KDDIの企業概要
- 詳しい事業内容やリスク
- 過去の暴落理由
- 買い時はいつか
といった点についてお話しました。
私も含め長期目線で株式を保有する多くの方がお世話になっている銘柄ですが、リスクについても知っておく必要があるでしょう。
外部参照リンク:KDDI公式HP
KDDIとはどんな会社なのか
まずKDDIの企業概要について見ていきます。
KDDIは記事執筆時点で時価総額7.5兆円の大企業です。
所属セクターは情報通信業で、主な事業は携帯電話の通信網や光回線の提供として知られていますよね。
2000年頃の携帯通信キャリアといえばiモードを提供していたNTTドコモが大人気で、まさに一人勝ち状態でした。
私の学生時代も周囲はドコモユーザーばかりで、auを使っている人は少なかった記憶があります。
当時はNTTの時価総額が40兆越え(売上高1兆円)を誇っていたそうで、その人気ぶりがうかがえますよね。
とはいえ、そこから2010年に入るとiPhoneやMNP(番号持ち運び)などが台頭し始め利用者がかなり分散された経緯があります。
携帯通信業の競合は3社と今もなお寡占的な市場ではあるもののKDDIやソフトバンクにもユーザーが分断され、2017年には楽天が携帯キャリア業に参入すると発表しました。
このように2000年からガラリと市場状況が変わっていることに加え、携帯通信業は政府との関係性もネックです。
というのも携帯通信業を営むためには通信周波数を政府から割り振ってもらう必要があり、立場的にはどうしても下になってしまう側面があります。
KDDIはこういった
- 情報通信業の変遷
- 政府との関係性
といったリスクを緩和するために収益の柱を育成中です。
事業セグメント
具体的な事業セグメントと売上高比率を覗いてみると
- パーソナル(au、UQモバイル、auひかりなど固定通信業など):69.9%
- ライフデザイン(コマース、金融、エネルギー、エンターテインメント、教育など):10.4%
- ビジネス(AIやIoT、セキュリティなどで企業連携):14.2%
- グローバル(国際通信、無線、衛星、海底ケーブルなど):3.7%
- その他:1.8%
と携帯通信業以外にも広がりを見せていることがわかります。
ちなみに、KDDIの事業展開で注力されているのは
- 5Gに向けたイノベーション
- 通信とライフデザインの融合
- グローバル事業の拡大
- ビッグデータの活用
- 金融事業の拡大
- グループとしての成長
- サステナビリティ
の7つです。
売上高比率としては携帯通信業が含まれているパーソナルが突出していますが、上記の注力事業を含めここからどう変わっていくのかがKDDIへ長期投資する楽しみのひとつではないでしょうか。
例えば、売上高比率2番手のビジネスセグメントは注目です。
経済新聞を読んでいる方はおわかりだと思いますが、小型~大型まで企業との提携もそれなりに見かけるので企業内部としても改革が進んでいるのでしょう。
半分とはいかなくても売上高の3割程度を担う収益源として成長すれば、KDDIの業績をさらに安定させてくれると思います。
直近業績と各種指標
そんなKDDIの直近業績や各種指標について見ていきます。
まず直近業績ですが、
売上高も利益も増益傾向で、しかも売上高営業利益率がかなり高いですね。
2019年に至っては20%を超え、売上高の2割は営業利益として残っていることがわかります。
営業利益も1兆円の大台に乗っているので中々頼もしい業績ではないでしょうか。
また、2020年4月時点の各種指標に関しても
- PER:11.5倍
- PBR:1.7倍
- ROE:14.3%
- ROA:6.6%
- ROIC:12.1%
- 自己資本比率:45.9%
- 利益剰余金:約4兆円
- 有利子負債:約1.5兆円
と非常にバランスの取れた良い銘柄だと感じます。
特に好財務面は後述する配当や株主還元面の安定性につながり、安心して長期保有できる理由のひとつとなるでしょう。
配当と株主優待
KDDIが長期投資家に人気な理由は、安定した株主還元にあります。
例えば配当政策は
- 配当性向(事業利益をどれくらい配当金に回すか):市場平均が30%だと言われているのに対し40%を明言
- 利益成長に伴った持続的な増配を目指す
というものです。
実際に直近配当推移は
増配傾向で、これは2002年から17期連続増配(18期連続予定)となっています。
記事執筆時点の配当予想は115円(株価3200円)ですから、配当利回りは約3.6%と高水準ですね。
ちなみに一時期は株価2500円でしたので、この時の相対利回りは4.6%となっていました。
また、株主優待に関しても
- 100株以上かつ5年未満の保有:3000円相当
- 100株以上かつ5年以上の保有:5000円相当
- 1000株以上かつ5年未満の保有:5000円相当
- 1000株以上かつ5年以上の保有:10000円相当
という割り振りで全国47都道府県のグルメカタログギフトがもらえます。
10000円相当ともなると前沢牛ステーキ肉やとらふぐセットなどかなり高価なものが選べるのでおすすめです。
配当金と合わせればかなりの高利回りになりますね。
内需株としての人気
KDDIの人気は株主還元策以外に「内需株」という性質もあります。
というのも携帯事業など情報通信インフラは景気が悪くても多くの方が必要な内需事業ですよね。
そのためKDDIとしても24時間365日安定したサービスを提供するために企業努力を行っているわけですが、この内需要素が
- 安定した売上高
- 安定した財務
- 不景気に比較的強い
- 為替変動に比較的強い
といったディフェンシブ性を生み出す要因のひとつとなっています。
長期保有を前提に考える場合、安定した推移は魅力的なので情報通信セクターは人気がありますね。
外部要因によって株式市場がリスクオフになった場合、内需株に資金が行くケースもあるのでそういった側面も覚えておくと良いでしょう。
KDDIの株価暴落局面
上記のように優良企業として知られるKDDIですが、過去には何度か株価の暴落および急落場面がありました。
ここではその株価推移や理由について見ていきましょう。
2000年のITバブル崩壊
まず最も古い株価暴落局面は2000年頃に起きたITバブルの崩壊です。
ITバブルとは
- 正式名称:インターネットバブル
- 1999~2000年代にかけてアメリカ中心に起きたIT関連企業の異常暴騰
- バブル崩壊によってIT不況を引き起こす原因となった
- 日本では主に携帯通信関連・コンピュータ関連・半導体関連などに資金が向かった
というものですね。
外部参照リンク:インターネット・バブル|Wikipedia
KDDIも新規上場株として注目されたひとつで株価が急騰しましたが、バブル崩壊とともに暴落したわけです。
現代の発行済み株式数で言うとバブル高値は2350円でしたが、ITバブル崩壊によって338.3円まで一気に急落しています。
ちなみに日本におけるITバブル崩壊のきっかけとなったのは「文藝春秋が光通信の携帯電話売買を巡る不正を報じたため」と言われていて、
- 光通信は20日間連続ストップ安で株価100分の1になった
- その他ITバブル関連銘柄は軒並み暴落した
という結末を迎えました。
これらはKDDIの立派な暴落劇ですが、KDDIそのものに問題があったわけではありません。
業績も増益傾向でしたし、異常なまでにIT関連へ資金集中したことが背景ではないでしょうか。
2015年の安倍総理発言とそれに伴う値下げ
次に起きた株価暴落劇は2015年の「値下げ合戦懸念」です。
この思惑浮上のきっかけとなったのは「安倍総理が携帯料金の値下げに向けた方策を指示した」と報じられたためでしょう。
実際にKDDIとソフトバンクがiPhone6sの発売に合わせて、「5分以内の通話はかけ放題」という割安な料金設定を発表したことで株価が大きく暴落しました。
当時の高値3375円から2519円まで25.36%もの値下がりとなり、この背景には「ARPU(一人当たりの売上高)が急激に落ち込むのでは」という不安が保有者に走ったからです。
KDDIは前述のように携帯通信業の売上高比率が大きいですし、特にその影響が大きいと考えられてもおかしくはないですね。
ただし実際には大きな値下げ合戦にはならなかったため、そこから株価が大きく戻り・・・
このような推移となりました。
携帯料金が顧客にとって
- わかりづらい点が多い
- やたらに高い
といったことが問題視されていたとはいえ、まさか政府が真っ向から圧力をかけるとは驚きですよね。
個人的には格安スマホが2015年頃から本格的に広がり始めたことも関係していそうだなと感じていて、知らずに大手キャリアを使い続ける人は大損する流れにあったと思います。
この2015年を皮切りにKDDIの株価は「値下げ合戦の思惑」に何度も苦しめられることになるので、事業リスクが表面化し始めた印象深い出来事ではないでしょうか。
2017年に楽天が携帯事業参入を発表
2017年には楽天が携帯事業への参入を発表したことで、KDDIだけでなく大手キャリアの株価が急落しました。
この背景には
- 値下げ合戦への懸念が再燃した
- 楽天がどういった路線でくるのか不透明だった
という点が挙げられ、一番のネックは「楽天モバイルがどのような戦略でくるのか」でした。
格安スマホの楽天モバイルは料金が安かったですし、そのままの路線でこられれば既存キャリアから顧客流出は真逃れません。
また、顧客流出が
- 大手キャリアにとってどれくらいの規模になるか
- 本当にそうなるのか
わからなかったので不透明さが強かったですね。
こういった考えがセクター内にリスクオフムードを広げ、KDDIの株価も・・・
高値3260円から2551円まで21.74%の急落となりました。
これだけの時価総額を誇る企業の株価が、これほどまで一気に暴落したのでインパクトがありましたよね。
ちなみに楽天としては長期的な固定収入減を得る狙いがあったのですが、設備投資や先行投資費用の大きさに波紋が広がったため株価がだだ下がりとなりました。
また、楽天のその後の決算では確かに先行投資の影響で業績が落ち込んでいます。
2018年は菅官房長官の批判とNTTドコモの値下げ
KDDIの株価暴落は2018年にも起こりました。
その背景には
- 菅官房長官が繰り返し料金の高さを批判
- それに伴ってNTTドコモが2~4割ほど値下げすると発表
というものがあり、また値下げ合戦への懸念が再燃した形です。
ソフトバンクも同時期に急落したのですが、やはりKDDIは携帯事業の売上高比率が大きいので特に影響が大きく・・・
高値3173円から安値2331円まで26.5%の暴落となりました。
ただしKDDI側が「ドコモと同等の値下げはしない」と明言したことや5G関連銘柄の盛り上がりで・・・
株価が一気に戻り高値更新となりました。
また、同時期には楽天との提携ネタが飛び出したので市場がかなり驚いたことも記憶に新しいですね。
提携内容としては
- KDDI⇒楽天:通信ネットワーク
- 楽天⇒KDDI:ペイ決済プラットフォームや物流網
を提供するというもので、KDDI側としては「楽天ユーザーが追加データ容量を購入すると手数料が入る」という仕組みをもらったようです。
これが伏線となり2020年に「楽天が割安な料金発表をした」という材料では、「顧客が流れてもKDDIにローミング手数料が入る」という思惑でKDDIの株価が上がりました。
・・・もはや何でもありですね。
KDDIの事業リスク
株価暴落理由を見てわかるように、KDDIには2つの事業リスクがあります。
政府からの圧力
ここ5年くらいは政府が大手キャリアの割高な携帯料金について言及することが多く、それによって株価も反応しやすいです。
事業実態としても政府側が
- MNP(携帯番号持ち出し)
- SIMロック解除
など顧客が会社間を移動しやすいような環境を整えているので、ドコモ一人勝ち時代とは状況がかなり変わってきています。
前述のように政府より企業側がどうしても下手に出ざるを得ないので、圧力をかけられたら値下げに応じる傾向があるでしょう。
どこかが応じたら競合他社も少なからず動く可能性があるので、そういった「他社との値下げ合戦」は事業リスクのひとつです。
ただ、実際には激しく値下げ合戦になっているわけではないので株価的には思惑で済んでいます。
情報革新による先進化
2000年頃から携帯電話が急激に進化を遂げ、スマホはもはや小型パソコンとなっています。
例えばLINEやスカイプなどを使えばアプリ上の機能で電話ができ、通話料に高いお金を払う人はかなり減ったはずです。
他にもラジオ・ゲーム・Youtubeなどなんでもスマホの中に入っていて、しかも無料で使えるものばかりですよね。
これらに通信量はかかるものの、Wifiもかなり普及したので職場や学校までくれば問題ありません。
KDDI側で色々な有料サービスを提供しようと思っても、すでに無料アプリで提供されていてユーザーが移行しづらいかもしれません。
こういった状況から顧客を獲得していくには、他サービスと連携して割引するなど付加価値が必要となってくると思います。
そういった意味でもビジネスセグメントを拡大し、KDDIだからこそ出来るライフデザインをしていかなければならないでしょう。
KDDIの買い時はいつか
色々と述べてきましたが、KDDIの買い時はいつでしょうか。
株価暴落局面とその後の推移を見る限りでは「事業リスクが再燃した時」が買い時と言えるかもしれません。
例えば値下げ合戦が思惑として浮上しても、結局はそうならずに事なきを得ていますよね。
今後もそうなるかは保証できませんが、過去の株価推移から考えれば暴落時に拾っておくことは悪くないです。
実際に私がKDDIの買い増しをするタイミングはそういった時期ですし、結果的に悪い事にはなっていません。
今後の携帯通信業がどうなっていくかは予想がつきませんが、もうしばらくは4社の争いになると思います。
個人的には大手携帯キャリアで買うならKDDIですので、情報通信セクターで何か保有したい場合は暴落時を狙ってみてはいかがでしょうか。
楽天の参入によって売上高がどう変化するか気になりますが、色々なレポートがあるので漁ってみるのも良いですね。
まとめ
いかがでしたか?今回はKDDIの企業概要や株価暴落理由についてご紹介しました。
内需株として人気が高い情報通信セクターの代表格として知られ、万全な株主還元策から中長期保有に向いています。
ただし、メイン事業である携帯通信業は政府との絡みや競合他社との値下げ合戦というリスクも内包しているでしょう。
また、昨今の情報革新は目覚ましく、顧客を獲得していくには企業連携による付加価値も必要だと思います。
今後、携帯通信業がどのような状況になっていくかはわかりませんが、その他の収益柱も育成して成長を続けていってもらいたいですね。
過去の状況を考えると株価暴落は買い時とも言えそうなので、状況を見ながら買い増していきたいと思います。
関連記事には
がありますのでご参考ください。それではまた!