どうも、ひげづら(@higedura24)です。
国内のコンビニエンスストアと言えば言わずと知れた「セブンイレブン」でしょう。
本当に都会・田舎・山奥などどこへ行っても店舗があって驚かされますよね。
そんなセブンイレブンを運営するのがセブン&アイホールディングスという会社で、小売業界ではトップを争う存在です。
当然ながら株価も堅調でうなぎのぼり・・・とはいかず、過去には株価暴落の経緯もあります。
そこでこの記事ではセブン&アイホールディングスの
- 企業概要や事業セグメント
- 直近業績
- 配当や優待
- 過去にあった株価暴落の事例
- 事業への懸念点
についてご紹介しました。
これからセブン&アイホールディングスを買おうと考えている方、現在保有している方はぜひご参考ください。
参照リンク:セブン&アイホールディングス公式HP、バフェットコード
セブン&アイホールディングスの企業概要
セブン&アイホールディングス(以下、セブン&アイ)はコンビニエンスストアから百貨店にスーパーそして金融など幅広い事業を営んでいる会社です。
その始まりは1830年に開業された古着屋「大和屋」で、これは後のそごうとなります。
そこから
- ヨークセブン(後のセブンイレブン)
- イトーヨーカ堂
- デニーズジャパン
- ヨークマート
などが作られ、2001年にはセブンイレブンジャパンのチェーン全店売上高が小売業界トップとなるほど成長しました。
2020年5月時点では時価総額3兆円を超えるほどの大企業となり、売上高も6.6兆円を超えるほどです。
企業としてはかなり成熟していて、私たちの生活を支える会社として今後も末永く残り続ける可能性が高いでしょう。
事業セグメント
セブン&アイの強みは
- コンビニや百貨店など世界中に約7万店舗も展開している
- この流通ネットワークを生かした総合的なサービスを提供できる
といった点です。
例えば「コンビニエンス事業にATMなどの金融事業を組み合わせる」といった他に例を見ないビジネスモデルを展開していて、これはセブン&アイだからこそできるものでしょう。
また、商品開発力が高くセブンイレブンで提供しているプライベートブランド「セブンプレミアム」はその売上高を着実に伸ばしています。
セブン&アイの具体的な事業セグメントは
- 国内コンビニエンスストア
- 海外コンビニエンスストア
- スーパーストア
- 百貨店
- 金融関連
- 専門店
- その他
の7つで、営業利益の多くは国内コンビニエンスストア事業が担っていますね。
海外コンビニ事業と合わせると7~8割ほどがコンビニエンスストア関連となっていて、文句なしの本業となっています。
事業セグメントの懸念点は百貨店やスーパーがあまり稼げていない点で、イトーヨーカ堂などの改革話はかなり前から言われていることですね。
セブン&アイの業績がより一層伸びていくためには早期の回復が見込まれ、その推移は注目したいところです。
直近業績
セブン&アイの直近業績は
このように安定した売上高と利益を保っています。
国内コンビニ事業は飽和状態ではあるものの下支え効果があり、2020年2月期決算は3年連続で最高益更新となりました。
百貨店やスーパーが足を引っ張る一方で、国内コンビニは沖縄県に初出店するなど拡大を進めているようです。
各種指標に関しても
- 予想PER:15~17倍前後
- PBR:1.25倍前後
- ROE:8.5%
- 売上高営業利益率:6.39%
- 自己資本比率:42.6%
と問題なしの水準となっています。
キャッシュフローに関しても・・・
安定した推移を見せていて5000億円以上の営業キャッシュフローを見込める状況です。
こういった状況を総合的に加味すると後述するような色々な問題はあるものの、個人的にはセブン&アイが倒産するという未来は想像しづらいですね。
配当と優待
セブン&アイにおける直近7年間の配当推移は・・・
このように増配傾向で、2020年5月時点で配当利回りが2.63%となっています。
配当性向は一時期高騰しましたが、おおむね40%ほどなので大きく業績が変化しない限りはこの辺りのラインで推移が続きそうですね。
株主優待についてですが、セブン&アイは実施していません。
利回りを総合的に考えると少し物足りないので今後の動向に期待しましょう。
セブン&アイホールディングスの株価暴落および急落理由
そんなセブン&アイの株価推移は・・・
- アベノミクス以降は上昇推移
- 株価6000円まで伸びたが2016年に暴落
- そこから横ばいを続けたが再び急落局面
- 2020年は株価下落途中
という印象です。
では過去に起きた2回の株価暴落および急落局面の背景を見ていきましょう。
2016年2月の世界同時株安から鈴木会長退任
まず2016年初頭の株価暴落ですが、これは世界同時株安の影響がありつつ小売りの神様と呼ばれた鈴木俊文会長が退任した流れだと推測されます。
地合いの影響は仕方ないにせよセブン&アイにとって大きかったのは敏腕経営者が退いたということです。
鈴木敏文氏はセブン&アイHDの代表取締役会長、経団連副会長、日本チェーンストア協会会長などを務めた小売り界のレジェンド。
イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏とのつながりで同社に入社後、1970年代に日本初のコンビニエンスストアであるセブンイレブンを立ち上げました。
経営権を握った40年間の功績は偉大なもので、
- ドミナント戦略の徹底で店舗増加
- POSシステムを世界で初めてマーケティング応用
- セブン銀行を立ち上げ休日や夜間でもお金を下ろせるようにした
といった独自戦略でセブン&アイを大きくしていった張本人です。
ちなみにセブン銀行は現在でも事業別営業利益の12%ほどをコンスタントに稼ぐ3番手収益源となっています。
具体的なセブン銀行の直近業績は
2019年3月期の落ち込み以外は、銀行業が低迷する中でも一定ラインで利益が出ている状況です。
当初は素人が金融業に手を出すべきではないと言われましたが、結果的には見事に安定した収益をたたき出すことに成功しているのはすごいですよね。
こういった鈴木氏の経営戦略が次々に貢献した結果、グループ全体の数字としても
- グループ内国内店舗2万店
- 売上高10兆円
などを達成することになり、セブン&アイに小売りの神様ありという状況だったわけですね。
しかし、鈴木会長の退任事件は突然起こりました。
2016年2月15日にセブンイレブンジャパン社長の井阪隆一氏に退任を持ちかけ、最終的に井阪氏退任案は取締役会で審議されることになったのです。
その結果、鈴木会長の案は否決されてしまい同日中に辞任会見を行いました。
鈴木氏は自ら辞任した理由を「1票でも反対意見があるようでは信任されていない証拠」と述べ、経営者から名誉顧問という立ち位置になったようです。
小売りの神様が電撃辞任したことは株式市場にも衝撃をあたえ、セブン&アイの株価は急落しました。
投資家に内政的な問題を露呈しただけでなく、
- 次の経営者は大丈夫なの?
- 鈴木氏がいなくなったら業績低迷か?
- 少し様子を見た方が良いか?
と不安や迷いを与えた恰好ですね。
このセンチメントは株価にもしっかりと表れ、急落後の株価は見事に横ばいとなっています。
2019年3月の24時間営業から時短営業へ実証実験
セブン&アイの主力事業である国内コンビニエンスストアには大きな課題があります。
それは「店舗から出ている24時間営業への反発にどう応えていくか」をいう問題です。
例えば2019年2月に起きたのは「大阪府にあるフランチャイズ店オーナーが人手不足を理由に無断で19時間営業に踏み切った」という事件でした。
このFC店オーナーは規約違反によって1700万円の請求と契約解除となってしまい、これを発端に24時間営業に反発する現場の声がかなり強まったという状況です。
国内コンビニの時短営業は社会的な変化も起こすでしょうが、現場としては割に合わない賃金で長時間営業をしなければならないという悲鳴が上がっています。
セブンイレブンジャパンは急遽、時短営業を取り入れる改革案として2019年3月に「時短営業の実証実験に直営店だけでなくFC店も含める方針」を発表しました。
しかしセブンイレブンジャパンの社長交代という事態にまで進み、株式市場でもこの発表に反応して株価が急落し2020年5月現在ではまだ下落途中という状況です。
国内セブンイレブンは主力事業かつ2万店舗以上がFC店なので、投資家が不安になるのも無理はありません。
証券会社の試算では24時間営業と時短営業を選択制にした場合、
- 最大で売上高の1割ほどが減少する可能性
- FC店からのチャージ減少
- 水道光熱費などのコスト減少
が示唆される一方で、時短を選択する店舗は限定的という意見もあるようです。
確かに店舗オーナーとしても収益源は限定したいところでしょうし、営業時間を短縮すればコンビニエンスストアとしての強みも損なわれるでしょう。
コンビニエンスストアはいつ行っても開いていて
- 多少割高でも欲しいものが手に入る
- 色々なサービスが時間外でも行える
というのが良さなので、ファミレスの深夜営業廃止とは少し毛色が違うかなと思います。
2020年5月時点では時短営業に移行した店舗はコンビニ大手3社の合計で1900店ほど。
これは新型コロナウィルスの影響もあったのでしょうが、今後どのように広がっていくかは様子見の段階ですね。
セブン&アイの株価と懸念材料
セブン&アイの株価暴落局面について触れましたが、その他に懸念材料はないのでしょうか。
いくつか思いつくものを簡単にピックアップしておきます。
在宅ワーク移行の流れ
昨今では新型コロナウィルスをきっかけに在宅ワークを導入拡大する企業が増えてきました。
もし在宅ワークへの移行がこのまま進んでいけば、国内セブンイレブンの売上高にも影響するかもしれません。
例えばオフィス街など都市部での売上高が落ちる可能性や、深夜営業の短縮との悪い相乗効果はあり得そうです。
百貨店の低迷
事業セグメントで述べたようにセブン&アイはほとんどの利益をコンビニエンスストアで稼いでいます。
しかし、その一方で百貨店は減収傾向かつ雀の涙程度です。
これまでイトーヨーカ堂・そごう・西武に何度もメスを入れてリストラや不採算店の閉店もしてきましたが、それでも会社目標の半分も届いていません。
コンビニ事業には前述のような問題もあり、この状態で国内コンビニ事業が崩れればあっという間に業績低迷になる可能性があります。
百貨店の早期回復が望まれ、スーパー事業ももっと成長してもらいたいところですよね。
2020年5月の段階ではスーパー事業に新たなる試みが見え始めていて、ヨークフーズという首都圏スーパーの新型店が新しい経営戦略として発表されました。
これは傘下であるヨークマートが出店し、
- 生鮮食品や総菜の内製化
- 共働き世帯からの需要が大きい総菜強化
- 都市部での小型店の積極展開
などがコンセプトのようです。
イトーヨーカ堂が持っていた食彩館やザ・プライスなどを統合して効率化を図り、2024年度までに売上高営業利益率を0.4%から3%まで引き上げる計画となっています。
2020年6月以降はヨークマートを順次改装して切り替える流れなので、この戦略がどうなっていくかは注目でしょう。
参照リンク:セブン&アイ、首都圏スーパーの新型店「ヨークフーズ」開店
海外コンビニ事業の拡大
セブンイレブンの国内出店はかなり飽和していると言われていて、次に狙うのは海外コンビニの拡大です。
と言ってもそれなりに拡大化が進み、すでに世界の店舗数は2019年12月時点で7万店舗を超えていて17の国と地域で展開されてはいます。
米国内でも9000店舗を展開する大手ではあるものの寡占化とまではいっていないので、目先のターゲットは米国内のコンビニ事業にM&Aを仕掛ける作戦です。
実際に米国のコンビニ併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」へ大型買収案件が浮上していましたが、提案が折り合わずに断念しました。
2兆3500億円をかけて店舗数拡大および海外売上高拡大を狙う流れでしたが、市場としてはこの頓挫をポジティブ材料と見ているようでしたね(材料で買い気配)。
ただ、海外売上高比率を上げるためには買収が手っ取り早いので次にどのような話が浮上するか注目です。
ちなみに昨今ではセブンイレブンのプライベートブランドである「セブンプレミアム」をグローバル化していく流れも強まっていて、こちらも注目しています。
2021年2月期中に海外取扱店舗数を従来の2倍である16000店まで拡大しつつ、添加物減少や脱プラといった健康志向と環境保護に応えたグローバルブランドに成長させる計画です。
海外でヒットした商品が国内に逆輸入される流れもありそうなので色々な意味で楽しみですね。
セブン&アイHDの買い時はいつか
ここまでセブン&アイに関する色々な要素をご紹介してきましたが、株の買い時はいつか私見を述べます。
まず前提としてセブン&アイは
- 国内コンビニ事業に変革期がきている
- 海外コンビニは確実に拡大路線を再構築中
- 百貨店事業は低迷中
という状態ですが、それでも買うのであれば2020年5月の段階で買い時が近いというのが結論です。
アベノミクス開始時の株価水準は2000円ほどですが、記事執筆時点では地合い暴落の影響もあって3000円台にまで落ちてきています。
1株あたり利益が2019年実績値で229.5円まで成長しているにも関わらず、アベノミクス開始時の水準に株価がくるようならさすがに行き過ぎではありますよね。
株価推移を見ていても「ナナコ不正発行による売上水増し」の悪材料に反応しませんでしたので、悪材料の織り込みが進んでいるように感じました。
企業内部の問題はありつつも株価としてはかなり魅力的な位置にきつつあるのでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はセブン&アイHDの株価暴落理由や懸念点についてご紹介しました。
経営者問題やコンビニ24時間営業問題、そして百貨店の改革など要素は盛りだくさんですね。
ただ、株価としてはかなり下げてきたので手を出しやすい位置まできていると感じます。
買うのであれば内部状況に納得した上で買わなければなりませんが、悩ましいところです。
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がありますのでご参考ください。それではまた!