株とロット管理!数や大きさを決める上で重要な考え方とは?

    

株を買う際に「ロット」という考え方があるのをご存じでしょうか?

ロットとはその人が株を買うときに用いる単位のようなもので、いわゆる単元とは少し違う概念です。

この記事では

  1. 株におけるロットという考え方について
  2. ロット数や管理方法について
  3. ロットのメリットデメリット

などを述べました。この「ロット」という考え方があることで出てくるメリットやデメリットもありますので、初心者さんはぜひご参考下さい。

    

株におけるロットの役割とは

株の世界には1単元という考え方がありますよね。例えば「1単元=100株」と定められていれば「銘柄Aを1単元買ったよ」と誰かが言っているのを聞いたときに「この人は100株保有しているのだな」とすぐわかります。

その昔は1単元が100株の銘柄もあれば1000株の銘柄もありましたが、昨今では1単元は100株に統一される流れになりました。

言ってみればこの単元という考え方は誰にとっても同じ単位を表していて、1キロメートルが1000メートルというように誰が聞いても同じ量を想像するわけですね。

しかし、ロットという考え方は少し違います。というのもロットとは「それぞれの投資家が1回あたりに買う大体の金額」という意味合いが強いからです。

例えば「ひげづらホールディングス」という株価1000円の銘柄があったとしましょう。このひげづらホールディングスを買うためには1単元につき10万円必要です。

あるとき投資家Aさんと投資家Bさんがこのひげづらホールディングスの株を買いたいと思いました。

この時、投資家Aさんのロットは「1回あたり100万円」ですが投資家Bさんのロットは「1回あたり10万円」です。

ここで重要なのは投資家AさんとBさんが2人とも1ロットしか買わないとした場合、

  1. 投資家Aさん:100万円 ÷ 10万円 =10単元(1000株)
  2. 投資家Bさん:10万円 ÷ 10万円 = 1単元(100株)

という保有状況になるという点ですね。

つまり、1ロットと一言で表してもその売買金額は千差万別であり、1ロットとだけ聞いても売買規模はわからないわけです。

ロットの本質的な意味合いは後述していきますが、こういった背景からロットという概念は自分の資金力を隠す際にも使われる表現とも言えるでしょう。

あなたの周囲の人が1ロット買ったよと言った時、実は1000万円規模の売買をしているかもしれませんね。

ロットには2つの捉え方がある?

このロットという考え方ですが、色々な方の話を聞いていると捉え方が2通りあるような気がします。

ひとつ目は先ほど述べたような「1回あたりの売買金額」というものです。そしてふたつ目は「1銘柄あたりに入れる資金額」というものですね。

後者の場合、わかりやすく言えばどの銘柄にも1ロットだけ入れるという感じなので、どの銘柄も使っている資金額は統一されやすいでしょう。

この考え方は少数派のような気がしますが、コツコツドカンを防ぐという観点では有効なものだと思います。この記事では前者の1回あたりの売買金額という捉え方で話を進めますが、1銘柄あたり最大でどれくらいまでという考え方を取り入れても良いですね。

株の売買でロット管理をする意義とは

ところで、なぜ皆さんがそれぞれ1ロットあたりの金額を決めているのでしょうか。せっかく個人投資家なのですから、行き当たりばったりの気分次第で売買規模を決めても良さそうなものですよね。

なぜロット管理をするのか?その大きな意義として挙げられるのは「資金管理をして守備力を上げるため」です。

例えばある銘柄は100万円を突っ込み、ある銘柄には10万円しか突っ込まない。このような売買を続けた時、運良く100万円保有していた銘柄が上がれば良いのですがなかなかそういうケースばかりではないですよね。

もちろん、期待値が自分の中で高いと感じるものには大きく資金を入れるわけですが、その際にある程度の目安が必要なわけです。

その目安となるものがロットであり、1ロットはいくらと決めておくことでシステム的な売買が非常にしやすくなります。

簡単に言えば「自信がないから少なめに買っておこう・・・」とやるのと「自信がないから1ロットだけにしておこう」とやるのでは毎回のブレが減るということです。

また、このロットに追加して「どういった場合にロット数を増やすのか」という定義を明確にしてあげれば、自分の高い期待値を明確に説明できる状況でロット数を増やすことができます。

こういったロット管理のルールを自分なりに作っておくことは資金を守る上で大切なことなので覚えておきましょう。

売買金額の決め方

ロットという考え方を知ったあとに悩むのは自分にとっての1ロットをどのくらいの金額にするのかということでしょう。

これは大体どれくらいの資金間隔で売買することが多いのかという観点から考えてあげれば良いですが、ここでは初心者さん向けに簡単な決め方を述べておきます。

私が初心者さんにおすすめするのは「総資金の10%前後」という目安です。例えばあなたの総資金が100万円であれば10万円を1ロットにするという具合ですね。

なぜ総資金の10%までなのかというと、

  1. 買った銘柄が大暴落しても総資金全体に大ダメージが生じることを防ぐ
  2. 損切りが遅れて大幅な損失を出しても退場しないようにしておく

といった狙いがあります。

また、大体の場合が

  1. 数回に分けて目標ロット数を入れる
  2. 数銘柄の売買を並行して進める

ということが多いので、そもそも少資金であろう初心者さんではこれくらい小さくしながら分割買いしないと総資金全体への影響が大きくなってしまうんです。

例えば「2銘柄を並行して進めつつそれぞれ3回に分けて買う」という場合であれば最終的に総資金の60%が拘束されますよね。

何も考えずに毎回フルポジションを取ってしまっているような初心者さんにとっては物足りないかもしれませんが、自分の腕前を上げつつ10年20年と株を続けたいのであればこれくらいの規模で進めていった方が良いと私は思います。

1ロットあたりの金額は自分のさじ加減でいつでも増やせますが、失ったお金はなかなか元には戻りません。まずは失わないこと、守備力を上げることを念頭に1ロットの大きさを考えてみてはいかがでしょうか。

地合いによって入れ方を変える

もうひとつ、売買金額の決め方で大事なことを述べます。それは地合いや相場環境によってロットの大きさや入れ方を変えていくということです。

例えば年間を通すと

  1. 特に何もしなくても株価が上がる
  2. 株価が下げ基調で含み損が増えやすい

という時期がそれぞれあるものですよね。市場の考え方としては前者の場合は強気に、後者の場合は弱気になります。

ただ、ロットの入れ方というか保有状況としては

  1. 上げ基調:続くほどに利食いを進めて軽くなる
  2. 下げ基調:軽い状況で迎えて終わり際に重くする

というのが理想です。稀にバブルが思った以上に続いてポジションを軽くし過ぎることもありますが、基本的には上げるほど利食いを進めないと本当の意味で資金は増えません。

また、下げが市場ニュースの進みやセンチメントの悪化状況を鑑みながら最終的な局面では多めにロットを入れてあげることで、再び利食いする株数を安くたくさん確保できるわけですよね。

上げと下げそれぞれの終わり際判断をミスると

  1. バブル相場を眺めて終わる
  2. 一段安に巻き込まれる

という想いをしますが、相場状況でロット数を調整するという考え方は持つべきです。

常にフルポジでいると上げ相場ではウハウハですが、下げ局面では何もできません。今はどんな流れかをしっかりと考えてポジション調整をしていきましょう。

ロット管理をしないとどうなる?

株におけるロットという概念について色々と述べてきましたが、このロットという考え方があるおかげでどういったことが起こるのでしょうか。

まず一番のメリットはメンタル面でしょう。1ロットあたりの金額や最大ロット数を自分にとって適正な大きさに調整してあげることで冷静な売買を実現しやすくなります。

保有していてドキドキしてしまうほどたくさん買ってしまうとなかなか冷静な判断がしづらいですが、しっかりとロットを決めて守ればメンタル面で大きなメリットが生まれるという点は知っておかなければなりません。

ロット管理をないがしろにしている人は保有していてどうなるかハラハラドキドキという状況になることが多いでしょうが、ちゃんとルールを作って売買をすればそういったケースは減ると思いますよ。

ただし、ロット数やロットの大きさを見誤るとそれはそれで危険です。

  1. 買うべきところではないのに大きなロットを入れてしまう
  2. 自分に合っていないロット規模にしてしまう

といった場合にはロットの分だけそっくりそのまま自分に返ってきてしまうので、大前提としてロット管理をどのような運用で行うかをしっかりと考えなければなりません。

  1. 自分が冷静にいられるのはどれくらいの売買までか
  2. 想定ロットを入れて想定損失をくらった場合にどれくらいのダメージがあるか
  3. 想定ダメージにメンタルは耐えられるか

といったことをイメージしてデメリットを減らすように心がけましょう。

まとめ

今回は株におけるロットという考え方について述べました。ロットとは「1回あたりの売買金額」という意味合いで用いられる概念で、1ロットあたりの大きさはその人のメンタルや総資金に影響されます。

場合によっては1銘柄あたりに入れる資金額という捉え方もあり、これもひとつひとつの売買から受ける影響を揃えるために有効な考え方と言えるでしょう。

ロット管理は総資金の10%程度から始め、総資金や経験値が増えるにつれて調整してみてはいかがでしょうか。

また、地合いに応じてロットを変えていくという考え方はおすすめで、地合いが良くなるほどに利食いポジション余力を少しずつ高めます。高めた余力は下げ局面のメンタル面を守り、転換期に安く株を仕入れる状況を実現させてくれるはずです。

ロット管理をすることはメンタル面で大きなメリットがありますが、適正なルール作りをしないと自分に返ってくる側面もあります。

まずはそれぞれが自分自身について振り返り、しっかりとしたルール作りをするところから始めれば暴落時の事故も減ることは間違いありません。

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