株のティックとは?これ知らずにやっていくの無理ゲーまである!

    

株用語の「ティック」とはどのような意味かご存じでしょうか。このティックというのは2つの意味があり、一見すると非常にシンプルではあるのですが・・・実はよくよく考えてみるとかなり色々なことがわかる情報なのだなと感じるはずです。そこでこの記事では

  1. 株のティックとはどのような意味か
  2. ティックと出来高の違い
  3. ティック回数やティックチャートでわかること
  4. ティック数ランキングの調べ方

などについてまとめてみました。色々な考え方があるかと思いますが、ひとつの参考としてぜひ最後まで読んでみてください。

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株におけるティックとは

株における「ティック」とは一般的に「価格変化の最小単位(呼び値)」のことを指します。ご存じの方も多いかと思いますが、色々な銘柄の板を見てみるとそれぞれ最小の変動幅が違いますよね。

例えばTOPIX100に構成されていない株価100円の銘柄であれば1円が価格変化の最小幅となりますが、これが株価3000円を超えてくると最小変動幅は5円となります。したがって「1ティック動いた」と単純に言われてもそれがいくらの株なのかによって何円動いたのかも変わってくるわけです。

こういった株価によるティックの違いは呼び値の一覧表というものが作られていて・・・

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参照リンク:呼び値/呼値│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

上記のように変動します。わざわざこの表を見なくても板を見ればその銘柄の1ティックがいくらなのかはわかりますが、株価によってティック幅に違いがあるということは知っておきましょう。

ちなみにティックの語源は時計の針がチクタクと動く様子からきているようです。なぜ時計なのかと感じる方もいらっしゃるでしょうが、その謎は2つ目の意味合いを考えると解けてきます。

ティック回数と出来高の違いとは

ティックの「最小変動幅」という意味合いをお伝えしましたが、実はティックにはもうひとつ意味合いがあります。それは「約定回数」という意味合いで、デイトレやスキャルピングを頻繁に行っている方はこちらの方が馴染み深いかもしれませんね。

トレードの世界では意味合いを分けるためにもわかりやすく「ティック回数」と呼ぶことも多く、出来高と比較した考察方法が一般的ではないでしょうか。ということでここではティック回数と出来高の違いについて述べていきます。

まずティック回数の調べ方ですが、これは証券会社のアプリで個別銘柄を調べれば簡単にわかりますよ。株探やヤフーファイナンスなどの総合サイトでも見れるのでそこまで難しい話ではありません。ティック回数や約定回数は基本情報や株価情報に掲載されることが多いのでそのあたりを探せばすぐ見つかるでしょう。

ティック回数と出来高の決定的な違いは

  1. ティック回数:約定した回数そのもの
  2. 出来高:約定した合計株数

という点です。例えば10回売りと買いがぶつかって1回あたりの約定株数が100株だったという時は

  1. ティック回数:10回
  2. 出来高:1000株

ということになります。同様に売りと買いがぶつかった数が5回で、1回あたりの約定株数が200株だったという場合は

  1. ティック回数:5回
  2. 出来高:1000株

となりますね。ここで重要なのは合計の出来高が同じであってもティック回数は異なる可能性があるという点でしょう。

極端な話を言えばティック回数、すなわち約定回数が1回でも1000株約定してくれれば出来高は1000株になるわけですよね。ここが実際の売買をする際に役立つティックの考え方であり、機関投資家の存在を考えるヒントになると言われています。

ティック回数が少ないことの意味

出来高が同じ量でもティック回数が少ないということは「1回あたりの約定株数が多かった」ということです。同じ出来高や上昇率でも大きな売買注文で構成されたのかどうかは値動きの強さを考える上で気にする所であり、

  1. ティック数が多ければ細かく色々な人が買った可能性
  2. ティック数が少なければ大きな買いでドカッと買われた可能性

をにわかに醸し出してきます。

ただし、ここで注意しておきたいのは「ティック回数が多く1回あたりの約定株数が少ない」ことが必ずしも個人投資家主体であることにつながらない点です。例えば機関投資家が今日中に1万株買いたいと考えた場合、あからさまに1万株を一気に買い入れるということは考えづらいですよね。

集めていることがバレないように少しずつ買い集める可能性も高く、その場合は機械的に数百株ずつコツコツ買うと思います。最終的な仕上げでは大きく買いを入れて狼煙を上げるかもしれませんが、それまではひっそりと買ってくるのではないでしょうか。

たまにティック数は参加者の数と言っている方がいますが、厳密に言えばティック数の多い少ないで参加者の数はわからないのです。なぜなら

  1. 10人が1回ずつ約定させた
  2. 1人が10回約定させた

どちらも同じティック回数10回だからですね。

それでも日々の傾向を見ていく中で「ティック回数が出来高に対して大きく変化し始めた」というのであれば参加者の数や参加者の性質(個人なのか大口なのか)が読み取れる可能性はあるということです。

ではこれらの考え方を応用して例題を考えてみましょう。例えば「出来高が増加傾向にある中でティック回数はそれほど増えていない」という場合はどうでしょうか。こういったケースではあくまで可能性ではあるものの、誰かが大きな注文で出来高を膨らませているのかもしれません。

誰かというのは機関投資家のことを揶揄することも多いですが、ここで気になるのは「そもそもその銘柄を機関投資家が触れるのか」ということ。一般的には時価総額が100億円程度のあまりに小さい銘柄では大口投資家が参入しづらいと言われている一方、大型株は大小様々な資金規模の投資家が存在すると言われます。

仮に監視している大型株の「出来高に対するティック回数」が他の日と比較して極端に少ない値を示す日では大口売買が積極的であったと推測しやすいですね。

もちろん中には小型株が大相場化して大口投資家も参加してくるというケースはありますが、そういったケースは初動変化が大切かなと感じます。しこたま上がってしまった高値圏でティック回数がどうとか話してもあまり意味がないので、低空飛行から急騰してくるような時期に着目したいところです。

ただ個人的にはこういった出来高とティック回数の関係性を見るのは出来高が薄い銘柄ほどやりやすいと思います。わかりやすく言えば出来高が1万株しかない銘柄と100万株の銘柄ではティック回数に雲泥の差があるので、何かしら変化があった場合は板薄銘柄の方が気づきやすいからですね。

出来高が少ない銘柄というのはあまり触る方もいないのでしょうが、人知れず上がっている株ほど興味深い傾向が出やすいという見方もあるでしょう。

ティック数ランキングで活況株を探す方法

ここまでティックの意味合いやティック回数が示すことをざっくりと述べてきましたが、実際にティック数が多い銘柄を探すにはランキングの活用がおすすめです。ここではティック数ランキングやそれと同等のものを提供しているサイトやサービスをご紹介しておきます。

ちなみにティック数ランキングを見る意味は

  1. 売買が活発に行われている活況株を探す
  2. 突発的に話題沸騰している注目株を探す

といったものです。ティック数ランキング上位は約定回数が多い銘柄なので売買が活発に行われていますし、普段は見ない顔ぶれが突然出てきた場合は何かしらの材料を持っている可能性が高いでしょう。

楽天証券などのランキング機能

まず基本的に見ることになるのは各証券会社が提供しているランキング機能です。例えば楽天証券などでもティック数ランキングは簡単に見ることができて・・・

ティック数ランキング

上記のようにランキング銘柄とチャートを同時に確認可能となっています。ただしこれはマーケットスピード2というパソコン用の無料売買ツールです。スマホでもランキング機能は使えますが、チャートを同時に見ることはできません。

証券会社のサービスでティック数ランキングを見るメリットは

  1. 市場を設定することで大型株を除外できる
  2. 普段見慣れているチャートなので単純に値動きが見やすい
  3. そのまま売買もできる

といった点です。小まめにチェックして活況し始めた銘柄を探しましょう。

⇒楽天証券のティック数ランキングを使う

株探の本日活況銘柄

万が一、お使いの証券会社でティック回数ランキングが見れなかったという場合は株探の本日活況銘柄というページでも問題ありません。こちらはサイトベースなので素早くチャートチェックなどはできませんが、

  1. 市場などの指定はできる
  2. 個別銘柄情報を株探で直接調べられる

といったメリットはあります。

ティックチャートの見方

では最後にティックチャートについて述べていきます。ティックチャートとは

ティックチャート

  1. 縦軸:株価
  2. 横軸:時刻

という表示の中で「株価が何時に何円で約定したのか」を教えてくれるチャートのことです。通常のチャートではローソク足が描かれていて、

  1. 一定間隔の横軸を持つ
  2. 決められた時間内の四本値でローソク足がひとつずつ形成される

という特徴がありますよね。しかしティックチャートの場合は約定したらひとつ点が打たれるという特徴があるので、横軸の間隔やチャートが進むスピードに決まりがありません。

つまり売買が活発な銘柄であればどんどん線が書き足されていきますし、人気がなければ線はあまり書き足されないわけです。こういった特徴から

  1. 売買の活発具合
  2. どの高さの株価で売買されることが多く、その頻度はどの程度か
  3. 方向感が上なのか下なのか

といったことが視覚的にわかります。例えば先ほどお見せしたティックチャートであれば

  1. 数分の間にかなり線が書き足されているので比較的活況な銘柄
  2. 最初は下方向にどんどん突き進んだが、現在は一定価格で行ったり来たりしている

ということがパッとわかりますよね。したがってティックチャートに描かれた拾うべき安値と売るべき高値を基準に分単位のスキャルピングができそうです。

こういった特徴からデイトレやスキャルピングでよく使われるチャートとなっていて、個人的には

  1. その時間帯においてよく支えが入るもしくは抵抗を受ける価格を把握する
  2. そういった節目価格を突破する動きに乗っていく

といった使い方をしています。ローソク足チャートでも同じことができますが、ティックチャート上で見ると自然に価格帯別出来高やVWAPを考慮した値動きを捉えることができるメリットもあるわけです。

複数の線を見なくてもティックチャートの動きだけに集中すれば良いので、そういった意味でも気が楽ですね。ただしティックチャートには出来高や板情報がないので、

  1. その1ティックは大きな売り買いだったのか
  2. 板の中で大きな蓋が置かれているのか
  3. どの価格帯で買おうと考えている人が多そうか
  4. 節目突破が近そうか

といったことはわかりづらいでしょう。一長一短あるものの、デイトレやスキャルピングに興味があるという方はぜひ使ってみてください。

まとめ

今回はティックの意味合いやランキングおよびチャートの見方をご紹介しました。ティックには呼び値と約定回数という2つの意味があり、出来高と比較しながら考察されることが多いです。

一般的には機関投資家の存在を考えるために活用されますが、ティック回数で個人と大口どちらが主導しているかは明確にはわかりません。しかしながら普段の傾向を加味しつつ考察することで怪しさを感じることはあるので非常に興味深いものではあります。ティック回数と参加者の数はイコールにはなりませんが、少ないティック回数で普段より大きな出来高を形成した時は立ち止まって考えてみても良いでしょう。

ティック回数のランキング情報も証券会社やサイトで簡単にチェック可能で、活況株が知りたいなら活用しない手はありません。約定状況をストレートに表したティックチャートも視覚的に節目を把握するのに最適なツールで、デイトレやスキャルピングに使えるものです。ティックの意味をしっかりと考えてこれからの売買に生かしてみてはいかがでしょうか。