株の板にはOVER(オーバー)とUNDER(アンダー)という表記がありますよね。これは売りや買いの注文が合計でどれくらい入っているのかを表してくれているものです。
このOVERとUNDERに対する考え方というのはかなり個人差があって、全く見ないという人もいればかなり入念に見ている方もいらっしゃいます。そこでこの記事では
- 板のOVERとUNDERとはどういうものか
- 基本的な考え方はどんなものか
- どういった場面で見るべきか
といったことを一個人の考え方としてまとめてみました。個人的には絶対に必要というほどでもないにせよ重宝する場面はあるという考えです。参考になるかわかりませんがぜひ読んでみて下さい。
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株の板にあるOVERとUNDERとは
まずOVERとUNDERという表示を実際の板で見てみましょう。
簡単に説明すると、
- OVER:これ以上の売り板にどれくらい注文が入っているのか合算したもの
- UNDER:これ以下の買い板にどれくらい注文が入っているのか合算したもの
という意味合いがあります。ポイントは
- 見えていない部分の注文総数
- 合算した
といった部分で、どういった価格にどういった比率で注文が込められていても総和が変わらなければOVERやUNDERも変わりませんし自分の知らないところで大きな注文が出た可能性もあるということです。
基本的な意味合い
結論的にはOVERとUNDERはそれぞれ
- OVER:売り需要
- UNDER:買い需要
と考えて良いと思います。なぜなら
- OVERが多い:株価が上がっても消化する売り注文が多くて上値が重い
- UNDERが多い:株価が下がっても消化する買い注文が多くて下値が固い
と考えられるからですね。
例えば日足で上げ基調や下げ基調になっている銘柄の寄付き前もしくは大引けの気配値を見てみると・・・
このように強く買われている銘柄はUNDERが、強く売られている銘柄はOVERが優勢になっていますよね。したがって如実に需給が偏っている時はそれぞれの比率を見ることで流れがわかるということです。
しかし、こういった考え方がどのような場面でも通用するかというとそんなことはありません。後述するようにOVERが優勢でも株価は上がっていくケースがありますしその逆もあるでしょう。したがってどちらに流れが傾いているのかよくわからないような時は特に気にしなくて良いと考えています。
鵜呑みにしてはいけない?
通常時はOVERとUNDERがどのようになっているのかあまり気にしなくても良いと述べましたが、これはなぜなのか説明します。先ほど述べたようにこれらは見えていない部分の総和であってどのような注文の置かれ方でも良いわけですよね。
例えば「OVERがとても大きな数字になっているので見えない部分に大きな売り注文を察知している」という場合。この時ちょうど直近価格のすぐ上に蓋が置かれていて、それをぶち破った瞬間だったらどうでしょう?
- 蓋をぶち破る
- 株価がそれなりにアップティックしていく
- OVERにあらかじめ置いていた売りが見えてくる
- 到達して大口の利食い
という流れの中で一過性に株価は上昇しますので、それに便乗して利益を得ることはできるしょう。でも長い目で見たら大口の利食いによって株価は下がるので板の流れとしては下げ目線ということになります。したがって、
- 自分が短期的な値動きを考えているのか少し長めの目線なのか
- その時の流れや自分のポジション位置
などによってOVERへの捉え方は変わってきますよね。
ただ、経験的には蓋をぶち破ったあとに「OVERがガリガリと減ってUNDERがもりもり増える」という状況を見たこともあります。こういった場合は素直に「転換点をぶち破ったことで買い需要がかなり優勢になった」と捉えて順張りするべきでしょう。
ちなみに先ほどから出てきている蓋というのは「注文が厚くなっている部分」という意味で、板読みにおいてかなり大切なものです。一般的には最終的に蓋がある方へ株価が動いていくと言われていて、これはOVERとUNDERの意味合いとは逆ですね。
見るべきポイント
OVERとUNDERは板において売りや買い需要を知るためのものですが、鵜呑みにしてはいけないことも多いと述べました。ではどういった点に気をつけて見ていくべきかなるべく例を挙げながら述べていきます。
まず基本的な要素としては
- 値動きの転換点となるタイミングでどうなっているのか
- 参加者が多く需給が如実に表れる状況でどうなっているのか
- OVERとUNDERの比率
- 日々の継続的な監視でどう変化していくのか
といった点を見ていけば良いでしょう。
最初の「値動きの転換点となるタイミングでどうなっているのか」という点ですが、これは
- 蓋をぶち破る前後
- 節目や直近で意識されている高値
などが考えやすいです。まぁ正直言って毎回見ているわけではなく「ここはいつも意識されている株価なんだよな」という時は見るくらいのものではありますが。
こういった時にあからさまにUNDERが増えてきたといった場合はいよいよ超えていくのかと期待してしまいますし、逆に言えば株価が調子良く上がっているのに全くもってOVERが減っていかないとなれば次から次へと売りが湧いているのかと不安になります。
こういった要素は「参加者が多く需給が如実に表れる状況」で強く出るので、例えばバイオ株やゲーム株をはじめ個人投資家が群がっている値動きの荒い板を見る時は参考になるかもしれません。
また、観察する際はOVERとUNDERの比率に注目します。例えUNDERが多いとしても
- わずかながらに多いのか
- OVERの倍以上の比率なのか
で捉え方は変わりますよね。そしてこういった比率が「日々の継続的な監視でどう変化していくのか」も大事です。
例えば日足で何連騰もしている銘柄の寄付き前気配を継続監視してみてください。観察を続ける中で
- 初日:UNDERがOVERの何倍にもなっている
- 2日目:変わらない状況
- 3日目:少しだけUNDERが減ったがそれでもかなり多い
- 4日目:OVERもそれなりに増えてきたがザラ場は強い
- 5日目:両者の比率がだいぶ縮まってきた
- 6日目:株価はまだ上がっているがOVER優勢
- 7日目:ある日急落してOVERがかなり優勢
という変化があれば7日目の急落は必然かもしれません(こんなにわかりやすくはないでしょうけど)。
他には売り枯れを考えていくという場合に、比率ではなくOVERやUNDERそのものの大きさを観察しても良いでしょうね。
例えば最初は100万株以上もOVERやUNDERに入っていたのに、1ヶ月後に見たら数万株まで減っていたとすれば「市場の関心が薄れてそもそも売買する人がかなり減ったのだろう」と考えやすいです。その上で
- 出来高:おそらく激減している
- ローソク足:おそらく値幅が極小
といった傾向を見ていくわけですね。
板全体で市場の心理変化を掴みたい
ここまで色々と述べてきましたが、これらは私が経験してきたなかで印象に残った要素を羅列しているに過ぎません。
そのためあなたが同じような場面でOVERやUNDERを見たときに真逆の方向に動いてしまう可能性もありますし、実際に私も上記のような考えで売買をしたのに「なんでそうなるの!」ということはありますからね。
もしそうなったら大変申し訳ないのですが、株の板というのは生ものという側面があるので仕方ないのです。前述のようにその時どういった流れだったのかがとても大事で、それは市場の心理状況がどう変化していったのかということに尽きるでしょう。
いくら売り優勢な銘柄でも超絶材料が出ればあっという間にUNDERが優勢になってストップ高に張りつくでしょうし、大口注文を出している投資家の考え方ひとつで印象はガラリと変わります。
また、寄付き前の気配値もそうですが見せ板は法律的に禁止されているとはいえ日常的に行われているので、これがあまり鵜呑みにできない理由につながっているのはもどかしいですね。
とはいえ嘆いていても仕方がないので、私たち個人投資家がやるべきことは
- 見るべきポイントや状況を考える
- 直近価格付近の板でどんな動きがあるのか
- 銘柄が置かれている状況や持っている材料に加え、板全体で市場心理を考える
といったことではないでしょうか。
まとめ
今回は株の板にあるOVERやUNDERという表示について色々と述べてみました。基本的にこれらは板に見えていない部分の売りや買い需要を表しているものです。
見せ板はいくらでもできるので鵜呑みにはできませんが、
- 値動きの転換点となるタイミングでどうなっているのか
- 参加者が多く需給が如実に表れる状況でどうなっているのか
- OVERとUNDERの比率
- 日々の継続的な監視でどう変化していくのか
といった点に気をつけて観察すれば需給が読めることもあるでしょう。銘柄の持っている材料や属性を含めつつ板全体で市場心理を読めると良いですね!
ちなみに記事中で述べたようなOVERが減ってUNDERが増えていく様子と、それに付随する解説を行った動画はYouTubeにアップロードしてあります。こちらを見ると私が言いたいことがさらに伝わるはずなのでぜひ併せてご参考ください。
<該当動画はこちらから>
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