寄り天とは?可能性が高まる局面とリスク限定の売り方!

    

皆さんは寄り天という言葉をご存じでしょうか。株を始めたての頃、私はこの状況に何度も落胆させられた覚えがあります。そして心が折れた状況で持ち株を売るはめになり、また自己嫌悪に陥るというとても苦い経験がたくさんありますね。

今考えればそういった心理状況をヒントにどういう立ち回りをしていけば良いのか模索すれば良かったのですが、損益状況ばかりに目が行ってしまっていたのでそんな余裕はありませんでした。この記事ではそういった苦い経験から現状たどり着いた考察として

  1. 寄り天になる可能性が高い局面
  2. その際に役立つ売り方
  3. 空売りは有効か

について述べていきます。なるべく難しいことは抜きに書いてみたつもりですが、私と同じように寄り天に苦しめられている方の参考になれば幸いです。

    

寄り天とは

まず「寄り天とはどのような状況なのか」についてですが、これは「当日の始値もしくはその付近が高値になる」という状況ですね。例えば・・・

寄り天とはこんなローソク足

こんな感じで朝一の値が最高値で、そこからずるずると下げ続けたみたいな大陰線は代表的なものでしょう。こういった寄り天になる理由は「寄り付き前の高い気配値を利用して売りを出す人が多い局面だから」ですよね。したがって

  1. 背景:直近の地合いが悪化している
  2. 具体的な損益状況:信用評価損益率が苦しい所まできている(最重要)
  3. 投資家心理:含み損を抱えていて、実際に行った損切り分をどこかで補填したい

といった状況で出やすいと考えられます。場合にもよるでしょうが信用買残が溜まりに溜まっているという銘柄でも該当するかもしれません。

ちなみに例として挙げたのはJMDCというマザーズ銘柄ですが・・・

寄り天銘柄とマザーズ状況

直近のマザーズ指数およびそれに付随する信用評価損益率は-20%を下回るような水準まで下げていました。マザーズは個人投資家主体の市場なので、こういった状況から

  1. 苦しい損益状況となっている個人が多そうな局面
  2. 朝一で上がれば少しでも売って補填したいムード

が推測でき、個人投資家のセンチメントが寄り天を引き起こしやすくしているのでしょう。

寄り天時に有効な売り方

ではそんな寄り天となる可能性が高い状況で有効な売り方はどのようなものでしょうか。結論的には

  1. 指値で理想的な利食い位置を狙う
  2. 同時に最低限確保したいラインに逆指値を発注

という2つの売り注文を駆使して「寄り天リスクを限定しながらなるべく上の利食い位置を狙う」という戦略です。

ちなみに今回売りを出す状況としては寄り天予想の前日に当該銘柄を保有していたというものを想定していて・・・

寄り天の前日

JMDCであれば赤枠で囲ったような部分ですね。そのため売買全体の流れとしては

  1. 前日かその前に保有
  2. 寄り天予想日の寄り付き前気配値が高いことを確認(出来れば含み益スタート予想がベター)
  3. 理想的な指値位置を考える
  4. 最低限確保したい逆指値ラインを考える

といった感じになります。この戦略のポイントは

  1. 寄り付き前気配がどこになりそうかを確認
  2. そこを基準に狙えそうな高値と最低でもここまでの利益は確保するポイントを考える

という手順です。そもそも寄り天予想日の理想的な売り抜けというのは「朝一の高い所で売り抜け成功」というものですよね。でも

  1. 本当に寄り天になるかどうか
  2. 寄り天にならず日足陽線として高値を伸ばした場合のフォローをどうするか

という点が懸念される所です。だからこそ寄り付き前の気配値が重要になりますし、朝一の値動きはしっかりと観察しなければなりません。

狙えそうな高値について

ではここからは理想的な指値と最低確保ラインの逆指値に分けて解説をしていきます。まず理想的な利食い位置として狙えそうな高値についてですが、これは間違いなく日足を見た方が良いです。この理由は

  1. そもそも寄り付き前の段階ではまだザラ場が始まってないので当日状況からの推測はできない
  2. 日足の直近高値はデイトレでもかなり参考になる節目価格だから

ですね。例えば先ほどから例に出している・・・

利食い指値を入れる抵抗帯

こういったチャートであれば

  1. 大陰線の最高値
  2. 包まれてしまったカラカサの高値(翌日の大陰線によってカラカサで保有した全員が含み損だから)
  3. 移動平均線が重複している価格帯

などが目安の例になります。実際、チャートを振り返ってもこういった所は抵抗帯にかなり近い水準になったことがわかりますよね。

したがって株価が寄り付きから上に伸びた場合を想定したひとつ目の利食いポイントはこういった部分を目安に入れていくことになります。この銘柄は実際に私が売買をした銘柄なのですが、上記の考え方で指値売りを出しました。(結果的には後述するように違う価格で約定)。

逆指値ラインについて

次に寄り天になったとしても「ここまでは最低ラインとして確保したいポイント」についてです。先ほどの寄り天にならずに上方向に進んだ際のフォロー用指値に追加して「逆指値として発注する成行売り」がこれにあたります。

ちなみに2つの売り注文を同時に出すのはOCO注文という仕組みを使えば可能です。おわかりかと思いますが、今回のケースだと

  1. 理想とする価格に指値売り
  2. 割ったら最低限の確保ラインとして出す成行売り

の2つをOCO注文として出すわけですね。そしてこの成行売りが発動される価格は「ここを割ったら弱い証拠だな(寄り天濃厚)」というポイントに設定する必要があります。例えば私が保有したのは・・・

逆指値を入れる目安

左側の日足チャートにおける青枠部分の引け値ですが、保有翌日は右側の5分足チャート赤枠部分で示したように寄り付き時点で前日終値からギャップアップしました。

この場合であれば保有日である前日の高値(青丸)や終値(黄色丸)を基準に「そこを1ティック下回った時点で成行売りを発動させる」とかそんな感じですね。ちなみにこれらを基準に逆指値を発動させる理由は「ギャップアップ分を寄りついてすぐ埋めてくる値動きは売り圧力が大きく弱い」と考えるからです。

このケースであれば4980円(前日高値)や4930円(前日終値)が目安で、自分は前日終値で保有していたので

  1. 4980円であれば微益確保
  2. 4930円ならほぼ同値撤退

となるイメージです。もちろん窓埋めからドギャーンと反発する可能性もあるのですが、全てのパターンに対応することなど不可能なのでそうなったら仕方ないと割り切るしかないでしょう。

少しごちゃごちゃしてしまいましたが、こんな感じで逆指値を入れてあげれば指値売りが約定する前に株価が垂れてきても寄り天でかぶるリスクをかなり限定できます。

ちなみに割ったら弱い価格という考えからは外れますが、「基本的に損益重視で微益撤退や同値撤退となる価格に逆指値を置いておく」という考え方をデフォルトにするのも悪くはないでしょう。ただし、この場合は寄り付きの段階で含み益がないと選択はしづらいとは思います。

ザラ場安値を見ながら逆指値設定を切り上げる

全体の流れは以上になりますが、最後にこの寄り天売り戦略をより良くするためのコツをお話します。それは「逆指値発動タイミングはザラ場安値を見ながら訂正していく」というものです。例えば私が保有した翌朝における5分足は先ほど見せたように「寄り付きから少し上に伸びたあと垂れていく」といった流れでした。

そのため私は寄り付きの時点では前日高値付近に逆指値を設定していましたが、朝一の動きから上に伸びる可能性もありそうだと感じてからは

  1. とりあえず寄り天ではなく上に伸びそうだ
  2. しかし少しでも弱さが出てきたら利益確保しつつ撤退したい

という考えに切り替えました。そしてこういった場合に考えたい対応策は

  1. 寄り付き安値を割ったら撤退
  2. 直近安値を切り下げたら撤退

といったものでしょう。このケースであれば赤枠で囲ったようなヨコヨコ部分を割ったら撤退も良いと思います。実際に私はここまで逆指値を切り上げていて・・・

割ったタイミングで狩られる結果になりました。理想的な利食い位置ではなかったにせよ、それでも1泊2日で130円抜きなので悪くはないですね。ちなみになぜ寄り付き安値や直近安値が訂正目安になるのかというと

  1. 寄り付きの始値や安値というのは出来高がつきやすい部分であり、仮にそこを割ったとしたら当日のイメージは大きく変わりやすい
  2. 安値切り下げはトレンド転換の可能性があるため(そもそも強い値動きは安値切り上げ)

といった理由があるからです。したがって、もし上がってもこういった状況になったら早めに逃げておくというのはおすすめの考え方ですね。場合によっては指値売りの位置も少し下げたりしながら、なるべくその日に見つけた目安を上手に使って寄り天を立ち回っていきましょう。

寄り天の見極めポイント

寄り天になる理由は

  1. 個人投資家が追証になるくらい苦しい状況下にある
  2. 地合いが久しぶりに好転したことを利用して補填する

というものだと述べてきました。しかし、そういった状況でも時に寄り天とならず大きくリバウンドすることがあるんですよね。そういったケースでは何かしらの理由で一気に市場センチメントがリスクオンになった可能性が考えられますが、この見極めを行うポイントをひとつだけ述べておきます。

それは「当日の始値が直近抵抗を超えた高さになったかどうか」です。例えばシェーマで表すと・・・

寄り天の見極め

こんな具合に直近抵抗を超えた所で寄り付くと上に伸びていってしまうことも多い印象があります。抵抗帯の確認は高値や連続する上髭の先端部分などが考えやすいですが、そういったわかりやすい抵抗を超えた始値となった場合は流れをしっかり見極めた方が良いですね。

寄り天予想の空売りは有効か

ここまでの解説は自分が寄り天予想日より前に買い向かっていた状況を前提としていました。しかし、株のポジションは売りから始めることもできますよね。いわゆる空売りと呼ばれるものですが、寄り天が濃厚な状況で新規空売りをすることは有効なのでしょうか。

個人的な結論としては

  1. ギャンブル要素が含まれるものの見立てが合っていれば有効な戦略である
  2. 追証の発生状況を信用評価損益率からチェックすること
  3. 指数に連動している銘柄かつ逆日歩などの無駄なコストが少ない銘柄で行うこと
  4. 空売りポイントは買い手から考えた場合に利食いポイントであること

といった条件を頭に入れるのであればやっても良いと考えます。

前述のように寄り天に本当になるかどうかは誰にもわかりません。だからこそ買い手の場合は理想的な利食いと最低限確保したい利食いを複数の指値で狙っているわけです。空売りでもこの点は同様で、仮に寄り付きから売りを仕掛けても朝一すぐに下げてくれるかは運次第でしょう。

しかし勝率を少しでも上げるために信用評価損益率をチェックしたり、逆日歩などのコストを排除することは自分次第でできることです。その上で・・・

利食い指値を入れる抵抗帯

先ほど述べたような買い手側の利食いポイントを逆に空売りエントリーポイントに活用すれば、買い手側と売り手側の売り指値が合致するので利益も出やすいと思います。

ちなみに前日の信用評価損益率状況を知ることができる唯一の証券会社は松井証券です(口座開設者のみに無料公開)。寄り天狙いで売買する際には追証状況の見極めが必須で、例えばマザーズ市場の信用評価損益率がー20~25%を下回る状況が好ましいでしょう。このラインだと多くの個人投資家に追証が発生している状況と考えられるので寄り付きが高くても下げやすいです。

この信用評価損益率は寄り付きうんぬんを抜かしても地合い把握の必須情報ですので、まだ松井証券の口座を持っていないという方は必ず持っておきましょう。

参照リンク:松井証券|サービス詳細

まとめ

今回は寄り天になりやすい局面とその際に有効な売り戦略について述べました。寄り天は朝一付近の高い気配値を利用して売る人が多い局面でなりやすく、直近の市況が関係しています。また、その際の戦略をざっくり言うならば「理想的な指値と最低確保ラインの逆指値を同時発注する」というものでした。

シンプルな考え方ではありますが、寄り付き前の気配値から始まり朝一の値動きや安値などをヒントに売りを入れていくのかがポイントではないかなと考えています。参考になるかわかりませんが、この記事を読んだ方が寄り天でうまく売り抜けられれば幸いです。

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