売り上がりと買い上がりあなたはどっち派?最適解で株を売買しよう!

    

株式投資の売買というものは基本的にピンポイントで保有予定の全株数を取得するということはしません。

デイトレやスキャルピングの場合はピンポイントで買うこともありますが、保有期間を長く想定すればするほど分割売買をします。

これはリスクを分散させ自分の予想に反した値動きに対応していくための知恵やテクニックであり、できれば初心者時代から試行錯誤した方が良い部分です。

そこで今回は、分割売買の中でも

  1. 売り上がり
  2. 買い上がり

と呼ばれるやり方についてご紹介しました。どちらも複数の意味合いを持っていますが、中には逆にリスクを高めてしまうようなものもあります。

ぜひそれぞれのやり方がどのような行為なのかを理解した上で、ご自身の考え方に合致するものだけを使ってみて下さい。

    

売り上がりのやり方

まずは売り上がりという行為についてです。これは利益確定や攻めの売買、そして損切りという3つの面から考える事ができます。

利食いの売り上がり

最も売り上がりの意味として浸透しているのは利益確定の概念です。これは「株価上昇につれて株を売って利益確定を進めていくこと」を指していて、簡単に言えば利益確定の売り平均値を高める目的があります。

例えば・・・

売り上がりで利益確定

こんな形で

  1. 急騰したため半分だけ利益確定
  2. さらに上昇して1000円の節目を超えたのでさらに半益確定
  3. さらに上昇して株価1500円を超えたので全て売却

というように株価上昇のたびに保有株を売り払っていくわけですね。最初の急騰で全て売ってしまうという方も非常に多いと思いますが、株価が急騰したということはそれだけ人気が出て株が買われたということでもあります。

そこから多少下がったとしても、「再上昇して高値更新」というケースに対応するために幾分か株を残しておけばその後の上昇にも対応できますよね。

また、上昇する度に売るということは最終的な売却平均値が上にスライドするわけです。急騰で売った人よりも大きな利益を得られることになるので、全て売却した時の満足感も大きく異なります。

ただ、上記のようなメリットの反面、株価が急騰後に急落したというケースでは逆に利益が少なくなってしまうデメリットもあるでしょう。

個人的にはこのデメリットよりもメリットの方が大きいと感じますが、それはあなたの考え方次第ですね。

ちなみに最初の急騰から思わぬ上昇を継続した場合にはわざわざ全部売り払う必要はなく、「数単元だけ残して完全放置しておく」というのもひとつの手です。

ナンピン売り上がり

売り上がりには攻めの考え方もあって、それが「株価上昇にしたがって空売りを増やしていく」というやり方です。

これをナンピン売り上がりとも呼んでいて、要は空売り取得単価を高める目的があります。

例えば・・・

ナンピン売り上がり

このように100円、200円、300円でそれぞれ100株ずつ空売りをしたとしましょう。その場合の空売り平均取得単価は

  • ((100円×100株)+(200円×100株)+(300円×100株))÷300株=200円で300株空売り

ということになります。

いわゆるナンピン買いの空売りバージョンという感じなのでメリットやデメリットも同様です。具体的には

  1. メリット:取得単価をなるべく上にできること
  2. デメリット:含み損かつ値動きに反した状況で保有株数が増すこと

という特徴があり、なおかつナンピン売り上がりの場合は空売りに付随したコストも上がっていきます。

よほどの自信がない限りはあまりやるべきではなく、やるにしてもどこまでならナンピン売りしても良いか決めた上でやらないと際限なくリスクが高まってしまうでしょう。

逃げの売り上がり

最後は損切りという状況下での売り上がりについてです。これは損切り価格をなるべく上にスライドさせる目的で行うもので、逃げの目線で売り上がる考え方ですね。

例えば・・・

売り上がりで損切り

こんな形で思わぬ大幅下落をくらったあと、株価が戻るにつれて少しずつ損切りしていくというものです。

大前提として損切り価格を割り込んだら全て売却するという考えが理想ではあるのですが、あまりに大幅乖離した場合に塩漬けしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。

そういった場合には株価が少しでも戻って当初の損切り価格に近づいたところで売却していくというやり方もあります。

セオリーに反していてなおかつ逃げの姿勢ではありますが、被害を最小限に食い止められる可能性もあるわけですね。ただ、もちろんさらに下落していくということもあり得るのでそのリスクを負うことにはなります。

買い上がりのやり方

では次に買い上がりのやり方についてです。こちらも複数のやり方や概念があって、中には禁止行為とされているものもあります。

攻めの買い上がり

まずは攻めの買い上がりについてで、これは株価が上昇していくにつれて買い増しをしていくというやり方です。

先ほど紹介したナンピン売り上がりの真逆と感じがちですが、個人的には単純にそうとは言い切れないポイントがあります。

それは

  1. なるべく平均取得単価を下げるために最初の買いを多くすること
  2. そのためにも下げから転換してきた初期段階を狙うこと
  3. 上昇トレンドに転換してきたことを確信するにつれて買い増すこと
  4. 上昇トレンドに転換するための後ろ盾があること

という点です。

買い上がりのポイント

基本的には上記のようなトレンド転換期に買い始め、最初に多く買って買い増しはそこそことやらないと平均取得単価が下にきてくれません。

また、株価が上がっていくと必ず売り圧力が生まれ、買い上がること(取得単価を上げること)のリスクも高まりますよね。

だからこそリスクを最初に取っておくことで含み益を持った状態で買い増しができ、安定したメンタルで握ることができます。

ただ、トレンド転換期に大きく買い始めるということは「本当にトレンド転換するかわからない」という意味でそれなりに怖いことでもあるので、リスクを取るために何かしらの根拠は必要でしょう。

したがって、攻めの買い上がりの際には

  1. トレンド転換を疑う値動き
  2. 材料やカタリスト

を背景として持つことが大事だと感じます。

相場操縦とみなされる買い上がりのやり方

買い上がりの中には相場操縦として禁止されている行為があり、これは

  1. 買い指値をどんどんつり上げて他の投資家の買い注文を誘いこむ
  2. 最終的に株を大量売りする

というやり方を指します。

一般的な個人投資家レベルの資金では多少買い上がったくらいなら問題にならないのでしょうが、時価総額が低く需給が薄い銘柄で露骨に行った場合は禁止行為として認定される可能性があるようです。

例えば現在価格を100円とした場合に

  1. まず110円の売り板を大きく買って株価をつり上げる(株価上昇+注目を集める)
  2. さらに120円、125円と断続的に需給以上の買いを入れていく
  3. 突然の株価上昇につられて他の投資家が買いを入れ、需要が上がる
  4. 株価と需要が上がった所で全て売り払う

といった具合に自分の注文によってあたかも当該銘柄の株価が上昇しているように見せ、相場の需給状況を故意に変化させると相場操縦とみなされてしまいます。

すでに需給状況が十分に多いものはその限りではありませんが、板があまりに薄い銘柄では注意が必要ですね。

ちなみにこういった買い上がりを空売りで行うことを「売り崩し」と呼び、同じく相場操縦としてみなされる可能性があります。

売り上がりとナンピン買いの決定的な違いとは

ここまで売り上がりや買い上がりの色々なやり方について述べてきましたが、売り上がりとナンピン買いの決定的な違いはどのような点だと思いますか?

ナンピン売り上がりとナンピン買い下がりを比較すれば上方向か下方向かというだけで大した差はないのでしょうが、利食いという意味での売り上がりとナンピン買いではメンタル面で大きな差があります。

まず、売り上がりは利益確定をしているわけですからその時点で嬉しいことです。

また、株価が上がって売り上がるほどに精神的に楽になるので頭はすっきり冷静な判断もしやすいでしょう。

一方でナンピン買いは含み損を前提にした話なのでその時点でつらく、買い下がるほどにより精神的にきつくなっていくわけです。精神的に追い詰められていく状態というのは中々冷静な判断がしづらく、売買を良い方向に持っていくことも難しくなります。

したがって、結果的に売り上がりとナンピン買いのどちらが成功しやすいか比較した場合には前者の方が良い結果となりやすいです。

この記事を読んでいるあなたがどのような売買をしてもそれは自由ですが、個人的には売り上がりを目指すべきだと思います。

また、含み益を持った状態という意味では買い上がりもメンタル的に成功しやすいやり方なのかもしれませんね。

まとめ

今回は売り上がりと買い上がりについて述べました。色々なやり方があるのでお好きなやり方で売買していけば良いのでしょうが、リスクやメンタル面については考えるべきでしょう。

また、中には相場操縦とみなされてしまうものもあるので注意が必要です。

個人的には初心者の場合、なるべく含み益を持った状態で分割売買していく方がやりやすそうだと感じるので参考にしてみてくださいね。

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