どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株式投資初心者さんには小売業への投資がおすすめできます。なぜならご自身の生活に関係した会社を選びやすく、売り上げ状況なども適時開示から入手しやすいからです。
事業の状態が月次報告で把握しやすいので最初にチャレンジする業種としてはわかりやすいものだと感じます。
ただし、大切なのは業績が伸びていく企業に投資できるかどうかですよね。
売上がしっかりついてきていればそれで良いのかもしれませんが、在庫を適切に抱えているかどうかなど経営効率に関しても知っておきたいところ。
そこで今回は経営効率を測るための指標として「棚卸資産回転率」「棚卸資産回転期間」をご紹介します。
小売りに限らず、在庫の概念があれば棚卸資産回転率から経営効率を測ることができますのでぜひご参考ください。
棚卸資産回転率の計算式や考え方とは
棚卸資産とはいわゆる「在庫」という意味です。
在庫に該当するものは例えば、
- 販売商品
- 完成製品
- 未完成製品
- 製品の材料・部品
- 建築資材
などがあります。
要するに事業をやる上の原料となったり商品そのものを指すわけですね。仕事をしていても年末や期末に「各部署の在庫を記録して教えてください」と言われませんか?
あれは事業所における在庫残高を仕入れ価格から計算するための作業ですよね。
株式会社でも同じように決算ごと棚卸資産をカウントしなくてはなりません。
カウントした棚卸資産で年間の売り上げを割ってあげると・・・
- 棚卸資産回転率(回)=年間売上原価 ÷ 棚卸資産
という式で棚卸資産回転率が算出でき、この数字が高いほど棚卸資産を抱え込まず有効に消費していると考えられます。
計算式を見ておわかりいただけるように、棚卸資産回転率は「年間売上が棚卸資産の何回分にあたるのか」ということを意味です。
これは言い換えると「棚卸資産を何回使い切りましたか?」ということ。
棚卸資産が増えるほど使い切るのに時間がかかり、計算式の分母が増えることからも棚卸資産回転率は下がります。
通常、在庫が膨れてしまう状態は売り上げが伸びていかなかったり、一時的に生産や販売効率が滞った時でしょう。
モノが売れなかったりすると在庫を抱えて倉庫がいっぱいになってしまうからですね。
来るべき時に備えて在庫を増やしているのであれば良いのですが、商品に使用期限があったりブームの移り変わりが激しい場合にはそっくりそのまま廃棄となることもあります。
ただし、逆に在庫が少なすぎてもいざというときに売り上げを増やせないのでそれも困ります。棚卸資産はその名の通り資産なので、適度に資産を保有して有効に活用しているかは収益性や経営効率を考える上で重要な概念です。
棚卸資産回転期間の計算式や考え方とは
先ほどの棚卸資産回転率は棚卸資産を何回転使って売上げたかという考え方でした。
類似指標として「棚卸資産回転期間」というものがあり、計算式は以下のようになります。
- 棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産 ÷ (売上原価 ÷ 365)
これは年間売り上げを365日で割って1日あたりの売上を出したあと、それに対して棚卸資産がどのくらいの割合なのかを表したものです。
意味合いとしては「棚卸資産を使い切るのに何日かかりますか?」ということですね。
計算式の365を12に変えてあげれば「棚卸資産を使い切るのに何か月かかりますか」という月ベースの指標にもできます。
在庫水準が適正かどうか見る場合はこの月ベースの棚卸資産回転期間が活用されることが多いです。
ちなみに、お気づきの方も多いかと思いますが上記の計算式は「365(もしくは12)を棚卸資産回転率で割ってあげたもの」に等しいです。
そのため棚卸資産回転率がわかっていれば棚卸資産回転期間まで簡単に計算できます。
棚卸資産回転率、回転期間の目安と活用方法
ではこれらの棚卸に関する指標はどのように活用すればよいのでしょうか。
活用方法としては月ベースの棚卸資産回転期間から「売り上げに対する在庫水準」が過剰かどうかを確認することがセオリーです。
これを行うことで
- 売上低下
- 長期にわたる不良在庫
- 粉飾決算
の可能性を探ることができます。例えば、
- 棚卸資産回転期間がどんどん悪化 ⇒ 最近売上が伸び悩んでいるのかな
- 棚卸資産回転期間が長期間改善しない ⇒ 不良棚卸資産の積み増し、粉飾決算の可能性
といった具合ですね。
ちなみに粉飾決算でよく扱われる方法は
- 売掛金や売り上げの水増し、架空計上
- 棚卸資産の水増し
です。こういった悪質な形状を見抜くのに棚卸資産回転期間は有効だと覚えておきましょう。
粉飾決算についてもう少し詳しく知りたい方は以下の外部リンクをご参照ください。
<外部参照リンク>
ビジネスパーソンの心技体|【5分でわかる】粉飾決算 よくある粉飾の3つの基本パターンを解説
また、棚卸資産回転期間の目安としては業種別に水準が異なるものの、全体的には3か月を超えてくると危険水準と考えられます。ただし、
- 金融・保険・不動産は回転期間が長くなっても倒産確率に影響が少ない
- 鉄鋼・繊維・化学・製造は長い傾向がある
という特徴は知っておきましょう。
業種別の傾向や倒産確率についてのデータは
からご参照ください。
棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間の調べ方
棚卸資産回転期間を調べるには、
- 証券会社の指標欄で棚卸資産回転率をチェック
- 「12 ÷ 棚卸資産回転率」で棚卸資産回転期間を算出
という手順を踏みます。ただし、証券会社によっては指標欄に載っていなかったり単年のものしかわからないです。
そういった場合は貸借対照表などから必要な数字を取ってくるか、バフェットコードなどの情報サイトを活用しましょう。
バフェットコードであれば・・・
こんな形で売上原価と棚卸資産(製品&仕掛け)が通期ごと掲載されていますので、エクセルなどを活用しながら計算してあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は経営効率や売り上げ停滞、粉飾決算などを見抜くための「棚卸資産回転率」、「棚卸資産回転期間」について解説しました。
時系列で調べることは少し手間がかかりますが、在庫推移を調べると収益性のヒントとなりますので覚えておきましょう。
関連記事には
がありますのでご参考ください。それではまた!