どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株主優待ではリスク低減のためつなぎ売り(クロス取引)が行われます。
つなぎ売りをすれば株価変動によるリスクがなくなりますが、複数の注文を組み合わせるためコストが余分にかかるのがデメリットです。
そこでこの記事ではつなぎ売りに必要なコストや種類をまとめ、どのように計算をすれば良いのかを述べました。
ここさえわかっていれば優待投資のリスクをコントロールしつつ、着実に利益を出すことが可能です。
つなぎ売りの性質をしっかりと理解して適切なリスクを取っていきましょう!
優待投資とつなぎ売りのメリット
まず簡単につなぎ売りについてご紹介しておきます。
つなぎ売りとは取得したい優待銘柄に対して
- 現物買い
- 信用売り
を同時に注文する方法です。
具体的には権利確定日の寄り付き前に上記ふたつを成行で出しておく流れですね。
こうすることで現物も信用売りも同じ約定価格で保有することが可能です。
また、権利落ち日に行う「信用売りの決済」を現渡(保有している現物株を差し出す決済方法)で行えば優待権利のみ獲得して値動きの影響を無視することができます。
優待銘柄は権利落ち日に大きく下落するのが一般的ですが、つなぎ売りをすれば値動きが無視できるので単純に注文にかかったコストのみが支出として計算できるわけですね!
つなぎ売りのポイントとしては
- 必ず権利落ち日よりも前の営業日に「寄り付き」で「同時に同じ株数を」注文しておくこと
- 同時に成行を出さないと約定価格がズレてしまうので注意
- 信用売りの決済は現渡で行うこと
です。
また、信用売りには
- 制度信用:返済期限が6か月
- 一般信用:返済期限なしor15日前後
があり、つなぎ売りで活用すべきは「一般信用売り」だと覚えておきましょう。
この理由は
- 制度信用では逆日歩によって余計なコストがかかるリスクあり
- 一般信用売りであれば逆日歩リスクはない
- 短期の一般信用売りは無期限一般信用売りがない銘柄でもつなぎ売りができるように用意されている
といったものです。
短期一般信用売りは制度信用売りと違って在庫制限がありますので、人気優待銘柄では権利確定日のかなり前段階で売り切れてしまうこともあります。
そのため短期一般信用売りをどうしても逃したくない場合は、返済期限を目いっぱい使ってつなぎ売りをすることになりますね。
例えばお使いの証券会社の短期一般信用売り期限が15日であれば・・・
このように「権利確定日(現渡実行日)」を入れて15営業日前からつなぎ売りを開始するわけです。
後述するようにその分だけ貸株料がかかるのでコストはかさみますが、短期一般信用売りの在庫さえ掴めれば確実に優待がもらえます。
優待額が大きい銘柄ではコスト負けすることが少ないので、返済期限を目いっぱい使ってつなぎ売りすることも有効ですね。
ちなみに短期一般信用売りができなかった場合は制度信用売りを活用する必要があります。
その場合でもつなぎ売りは可能ですが、人気化した制度売り銘柄は株不足になり「逆日歩」という特別なコストが発生するのがデメリットです。
逆日歩は優待権利確定日に発生する可能性が高く、場合によっては優待金額を何倍も上回るコストとなります。
毎年のように逆日歩が発生する人気銘柄では制度売りを避け、一般信用売りができなかった場合はつなぎ売りをあきらめましょう。
つなぎ売りに必要なコストと種類
では、そんな株主優待のつなぎ売りに必要なコストと種類について詳しくまとめてみます。
考えられるコストとしては
- 現物買い手数料
- 信用売り手数料
- 信用売り貸株料(日数計算)
- 現渡手数料
- 逆日歩(制度信用売りの場合のみ)
- 現物買いと信用売りによる配当調整
の6つですね。
それぞれについて解説していきます。
現物買い手数料
優待をもらう権利を取得するには現物株を保有しなければなりません。
したがって、まずは現物買いの注文が必要となります。
現物買いは通常の売買と全く同じで、優待をもらうための必要株数(約定金額)に応じて手数料も変化するので注意しましょう。
証券会社が異なれば現物買いの手数料も異なるので、まずはしっかりとお使いの証券会社にて手数料表を確認してください。
ちなみに楽天証券であれば
- 1日信用買いを必要株数だけ行う
- 1日信用買いした株を全て現引きする
とやれば現物株の手数料をかなり浮かせることができます。
約定金額が100万円以上であれば1日信用買いの手数料は無料ですし、楽天証券の現引き手数料は約定金額に関係なく無料です。
信用売り手数料
つなぎ売りでは現物株が値動きによって損益が発生しないようにしたいので、
- 制度信用売り
- 一般信用売り
のどちらかを組み合わせる必要があります。
どちらも現物買いと同じく手数料がかかる可能性があり、ここも証券会社によって異なる部分です。
最近では信用取引の手数料を無料化する流れがあり、証券会社によっては約定金額に関係なく無料としているところもありますね。
信用売り貸株料(日数計算)
信用売りを行った場合、「証券会社から株を貸してもらって売る」という仕組みのため「貸株料」という特有のコストがかかります。
貸株料は制度信用と一般信用でそれぞれ年間利率が異なっていて、例えば
- 制度信用売り:1.1%
- 一般信用売り(無期限):1.1%
- 一般信用売り(短期):3.9%
といった感じですね。
つなぎ売りでは
- 最短で2日間
- 最長で15日間
ほど信用売りを継続しますが、貸株料は日数計算で割り出されるので場合によってコストが変化します。
具体的な計算式は
- 貸株料コスト = 約定金額 × 信用売りの年率 × 保有日数 ÷ 365
というものですので、ご自身の状況に合わせて事前に計算しておきましょう。
仮に先ほどの年率で一般信用売り(短期)を約定金額10万円で2日間行った場合は
- 10万円 × 3.9% ×2日間 ÷ 365日 = 約21円
が貸株料によって生じるコストとなりますね。
ポイントとしては
- 約定金額(銘柄や優待条件に依存)
- 信用売りの年率(証券会社に依存)
- 保有日数(個人の考え方に依存)
が大きいほど貸株料も大きくなるということです。
ちなみに制度信用売りは一般信用売りよりも年率が低いですが、逆日歩リスクを考えた上で選択するべきでしょう。
現渡手数料
信用売りは返済期限が設けられていますし、日数が長いほどコストも大きくなります。
したがって優待権利を頂いたら速やかに決済しなければなりません。
この時の決済方法は「現渡」といって現物株にて信用売りを決済するものです。
この現渡は証券会社によっては手数料が必要なので、ここもお使いの証券会社にて確認する必要があります。
逆日歩(制度信用売りの場合のみ)
どうしても欲しい優待銘柄だったのに一般信用売りでつなぎ売りができなかった場合、制度信用売りをしなければなりません。
制度信用売りでは逆日歩発生のリスクがあり、発生した場合は権利確定日の翌営業日にわかります。
逆日歩は1株あたり何円というもので、超人気銘柄で逆日歩をくらった場合には100株でも何万円も支払うことがあるので注意してください。
優待金額は数千円程度が多いですので、その何倍ものリスクを負わないように銘柄の人気度合いを考えてから制度売りをしましょう。
現物買いと信用売りによる配当調整
配当権利確定日に信用売りをしていた場合、配当落調整額というものを信用買いをしていた人達に支払わなければなりません。
簡単に言えば株数に応じてもらえる配当金を100%支払う必要があり、仮に
- 1株あたりの配当金:10円
- 保有株数:100株
という場合であれば1000円ものコストがかかる計算です。
ただし、自分も現物買いによって配当金がもらえるので、実質的にはこれが丸々コストとなるわけではありません。
また、現物買いをしたことで自分も配当金を受け取れますが、もらえる配当金は税金が差し引かれた状態です。
株における税金はおよそ20%ですから、現物買いでは
- もらえる配当金 = 1株あたりの配当金 × 保有株数 × 0.8
がコストから差し引かれます。
言い換えれば前述の信用売りによる配当落調整額と合算して
- 配当支払いによるコスト = 1株配当金 × 保有株数 × 0.2
と考えても良いでしょう。
- 配当金:10円
- 保有株数:100株
であれば現物買いで800円もらえて、信用売りで1000円失うので200円が大体のコストです。
まとめ
いかがでしたか?今回は優待のためのつなぎ売りに必要なコストをまとめてみました。
具体的には
- 現物買い手数料
- 信用売り手数料
- 信用売り貸株料(日数計算)
- 現渡手数料
- 逆日歩(制度信用売りの場合のみ)
- 現物買いと信用売りによる配当調整
がかかってくるコストです。
このうち逆日歩に関しては一般信用りであれば除外できますし、証券会社によっては現物買い手数料も現渡手数料も除外可能となります。
ポイントとしては
- 最大リスクは「逆日歩」であり、なるべく一般信用売りで排除したい
- 信用売り手数料と貸株料は証券会社によって異なる
- 1株あたりの配当金に保有株数をかけた金額の約2割もコストとなる
といった点ですね。
こういった点をしっかりと把握した上でつなぎ売りを行うと、より着実に利益を積み上げられるでしょう。
ちなみにつなぎ売りに活用される証券会社で多いのは楽天証券です。
前述のように現物買い手数料の裏技的削減をはじめ、幅広い低コストと一般信用売り銘柄のラインナップが特徴なのでぜひご活用くださいね。
外部参照リンク:楽天証券公式HP