あなたが売ったそこが底!
株の世界にはこんなフレーズがあります。これは株価の暴落に耐えきれずに投げ売りをしてしまった人々に向けて贈られるありがたいお言葉であり、あなたが2度と同じ過ちをしないための煽り文句でもあると私は考えています。
もちろん私もこの煽り文句通りの状況になったことがありますし、それによって心に深い傷を負ったことだってあるのです。というかおそらく誰もが同じ過ちを一度は経験するものだと考えていて、これは人間の心理上仕方ないことでしょう。
この記事ではなぜ個人投資家が「あなたが売ったそこが底」という状況に陥ってしまうのか、この現象のメカニズムについて考察してみました。また、そこから考え得る対策についても言及しましたので何かの参考にしてみてください。
あなたが売ったそこが底はなぜ起きるのか
まず「あなたが売ったそこが底」という状況がどうして起こってしまうのかについて考えていきましょう。私の結論としては
- 思いがけない株価の下落に驚き焦ってしまう
- 信用取引の場合、証拠金維持率の関係で売らざるを得ない状況になる
- 現物取引でも「これ以上は損したくない」という感情論に走ってしまう
といったことが前提にあるのかなと思います。
例えば急激な株価の変化に驚くというケースでは「実際に株価が大きく下がるまで急落ケースを想定していなかった」という場合が多いのではないでしょうか。もちろん想定以上に株価が下げたということはあるのでしょうが、あらかじめ株価が下がる可能性を考えていた人とそうでない人では急落への感じ方も異なります。
株価下落を想定していない人は余力パンパンまで信用取引を行ってしまったり、現物取引でも焦った挙げ句に感情論で売却するということになるでしょう。
個人的に一番傷口が深くなるケースは「最初は余裕ぶっていたものの段々と冷汗が止まらなくなる」というものだと考えています。要するに最初は余裕ぶっているので損切りなんてしないよとタカをくくって、含み損が増えていくほどに投げ売りしたい気持ちが強くなるというパターンですね。
急落の最後はドカッと下げやすいのでじわじわと強くなっていた売りたい気持ちが最後のひと下げで背中を押されて投げ売り。まさに「あなたが売ったそこが底」となるわけです。このケースが最も底売りに近く、その分だけ傷口も深くなるでしょう。
こういった資金的にもメンタル的にも最悪の状況になってしまうかどうかは、実際にそうなる前に逆説的に対策を講じていたかどうかにかかっています。
対策は根本的な意識改革から
前述の逆説的な対策というのは原因を分析してそこから対策を編み出すということです。例えば証拠金維持率によって売らされてしまうのであれば
- そもそも信用取引をしない
- するとしてもレバレッジは1.5倍までに留める
といった具合ですね。急激な下げには信用ポジションを投げるような売りも含まれていますから、みんなと一緒に売らざるを得ない状況にならないよう常に余力を維持することは有効だと思います。
また、投げ売りの根本的な思考として「売りたい!」という感情に任せて売ってしまうというものがありますよね。この「みんなが売りたい所で売ると底売りになりやすい 」という考えを意識することも大切で、極論的には急落時にポジションをひとつも持っていないことが望ましいです。
例えば株式市場が平穏時には一切売買をせず、底をさらに掘り下げるような急落劇がきた時にだけ買い向かうという作戦はどうでしょうか。暴落時には「あなたが買ったそこが底」になることだけに全意識を集中して買い場を探り、みんなが投げ終わったような時期に買えたらあとは放置です。
株式市場が平穏を取り戻すと共に自分は逆に売り払い再び次の買い場を待つというスタイルであれば兼業投資家にも十分実現できると思います。
もしあなたが「どうしても株を持っていないと気が済まない」という考えの持ち主であれば今すぐキャッシュを何百万円か用意して長期保有口座にぶちこんでおいて下さい。その口座には適度に割安な優良株を数銘柄買っておくか、もしくはS&P500に連動するようなインデックスを2.3回に分けて買っておけばそれで気が済むでしょう。
日々の株式市場の変化は長期口座で楽しみつつ、その上で短期リバウンド狙いの株を虎視眈々と狙うスタイルであれば問題ありませんよね。
値動きで考えたい場合
もしあなたが思考論ではなくもっと具体的な対策を考えたいというのであれば、オシレーターを使うこともひとつの方法でしょう。オシレーターというのはテクニカル分析の一種で、株価の上げすぎや下げすぎを測る為にチャート上に表示させる様々なツールを言います。
簡単に言えば「視覚的な天底」をチャート上に作ることができ、複数設定を表示すれば短期と長期目線どちらの天底もある程度は測ることが可能です。よく使用されているのは
- RSI
- RCI
- スローストキャスティクス
などですが、それぞれに特徴があるので得手不得手を知るために多少のお勉強は必要でしょう。
オシレーター以外だと、ローソク足のパターン分析として有名な酒田五法を勉強することもおすすめですね。例えばたくり線は個人的に意識することが多いもので、大きな下げから発生した場合にはそこを基点に値動きを考えています。
いずれもテクニカル分析の類ですので確率や可能性という言葉が付いてまわりますが、何も頼るものがない状態で売り判断した挙げ句に「あなたが売ったそこが底」になるよりはマシでしょう。
まとめ
今回はあなたが売ったそこが底について考察しました。基本的にはみんなと一緒に投げ売りしてしまうとそうなる可能性が高く、そのためには売らされるという状況を回避するしかありません。キーワードとしては余力管理やメンタル管理が浮かび、極論的には暴落がこない限りは買わないという選択肢もありでしょう。
もし値動きで考えるのであればオシレーターや酒田五法などを活用することもおすすめで、何かしら値動きの中で目安にするものを作ると良いですね。
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