どうも、ひげづら(@higedura24)です。
国内株式市場では株主還元策が足りない!なんて騒がれることも多いですよね。
ただ、最近では「自社株買い総額が増えてきた」なんてニュースも聞かれ、段々と企業側の株主還元意識が高まっているのかもしれません。
株主還元策には自社株買いの他に、「配当金」というものがあります。
配当金は個人投資家から人気があり、こちらの株主還元策の方が意識している方が多いことでしょう。
ここで質問。
- 配当金は信用取引でも受け取ることができますか?
- 受け取れる場合、現物取引と同額ですか?
この記事ではこれらの質問の答えと、その驚きの理由について解説しました。
意外に知られていないことですので、ぜひ覚えておいて下さいね。
信用取引では配当金は受け取れない
まず、1つ目の「信用取引で配当金は受け取れるか」という質問の答えから述べます。
答えは「No」です。
信用取引(信用買い)では株主としての権利を持てないため、配当金を受け取ることはできません。
信用買いは証券会社からお金を借りて株を買っているわけなので、所有は証券会社のものとなるからです。
しかし、これでは信用買いの需要が減る一因にもなりかねませんよね。
そこで、信用買いには「配当落調整額」というものが存在します。
配当落調整額とは、「信用売りをしている投資家から信用買いをしている投資家へ支払われる配当金と同等のお金」のことです。
配当金や株主優待には、それらを受け取る権利が確定する権利確定日が存在し、その翌営業日のことを「権利落ち日」と呼びます。
権利落ち日には、権利確定したから売ってしまおうという動きが出るので株価が配当金の分だけ下がるのが普通です。
これは理論的な話なので、それ以上に落ちたり、下げ幅がそこまでないこともあります。
現物取引で配当金を受け取れる投資家は良いですが、信用買いをしている投資家は株主としての権利がないためその分だけ損していますよね。
そこで、
- 権利確定日に信用売りをしていた場合、信用買い方に相当額を払う
- 買い方はそのお金を配当落調整額として受け取り、理論的な損を埋める
という流れになるわけです。
実際の株価下落の程度にもよりますが、現物も信用買いもこれでイーブンですね。
信用買いの配当落調整額は現物の配当金より小さい
現物取引では配当金を、信用買いでは配当落調整額をもらって解決・・・ではありません。
ここで冒頭2つ目の質問の答え。
信用買いの配当金(配当落調整額)は現物と同じか?
答えは「No」です。
なぜなら、配当落調整額は「配当額から所得税などが差し引かれた額」となるためですね。
具体的には配当金から15.315%を抜いた額を受け取ることになります。
また、配当落調整額は配当所得ではなく売却益(譲渡益)として課税対象となることも重要です。
現物取引で配当金を受け取った場合も20.315%が源泉徴収されますが、
- 配当金は売却益ではなく「配当所得」とみなされる
- 確定申告によって配当控除や損失相殺が可能
という違いがあります。
ちなみに、配当金と配当落調整額の差し引き%の違いは、住民税が含まれているかどうかの違いです。
配当金は住民税が含まれ、配当落調整額は含まれません。
上記の理由から配当落調整額の場合、結果的に配当金より小さい額の受け取りとなります。
外部参照リンク:SBI証券|信用取引における配当金の取り扱い
信用売り(空売り)は配当調整額を支払う必要あり
前述のように、信用売りで権利確定日をまたぐと配当落調整額を買い方に支払う必要があります。
そのため、配当金を受け取ろうとクロス取引をしても相殺されてしまうわけです。
ただし、信用売りを制度と一般のどちらで行っているかにもよります。
制度売りと一般信用売りにおける配当落調整額の支払い額の違い
配当落調整額の支払いは
- 制度売り:配当金の84.865%
- 一般売り:配当金と同額
という違いがあります。
またこれらは信用買いと同様に売却損(譲渡損)の扱いです。
この違いから、理論的には「現物買い+制度売り」を行えば
- 差し引き利益=配当金 - (配当金 × 84.865%)
となります。
しかし、実際にはここに
- 売買手数料
- 金利
- 逆日歩
などの要素が絡んできますよね。
証券会社によっても違いますし、逆日歩の有無や程度を予想することは難しいのであまりおすすめはできません。
まとめ
いかがでしたか?今回は配当落調整額についてご紹介しました。
現物で配当金をもらえば配当所得となり、配当控除や損失相殺が可能です。
信用取引でも配当落調整額を受け取れますが、税法上の扱いが違うので注意して下さい。
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