総還元性向の平均や活用方法とは?日米の比較も行いました!

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

株式投資の世界では、株主に対して積極的に還元していく企業ほど好感される傾向にあります。

まだまだ成長余地を残している企業であれば事業拡大に投資した方が良いという声もありますが、企業の株主還元の姿勢は重要です。

一般に株主還元の指標として用いられるのは配当性向ですが、今回はもっと広い範囲の「総還元性向」についてのお話をします。

この記事では

  1. 総還元性向の説明や企業の平均値
  2. 総還元性向の活用方法の提案

を行っていますので、ぜひご参考ください。

    

総還元性向の平均値はどのくらい?

総還元性向とは「企業が株主に対して行っている還元が純利益に対してどのくらいの割合か」を教えてくれる指標です。

一般に、株主還元策というと

  1. 配当金
  2. 自社株買い

の2つになりますから、この両者を行った総額が年間でどのくらいの金額だったのかという意味になります。

外部参照リンク:野村證券|総還元性向

総還元性向の計算式とは

総還元性向の計算式は

  • 総還元性向(%)=(配当金捻出額 + 自社株買い総額)÷ 当期純利益 × 100

です。

例えば、1兆円の当期純利益の企業が

  1. 配当金捻出額:4000億円
  2. 自社株買い総額:1000億円

という株主還元を行った場合は

  • 総還元性向(%)=(4000億 + 1000億)÷ 1兆 × 100 = 50%

という計算になるわけですね。

株主還元策をしっかりと行う企業には株主も定着しやすい、すなわち長期資金が居座ってくれるので

  1. 配当投資目的の個人投資家
  2. 資産運用系の機関投資家や年金機構
  3. 外国人投資家

からの資金流入が見込め、株価も安定しやすくなると言われています。

そのため、昨今では配当性向だけでなく総還元性向の目標値を掲げている企業も増加傾向です。

総還元性向の平均と日米差

ではここで生命保険協会が提供してくれている資料を活用しながら総還元性向の平均値や日米差を見てみましょう。

まず国内上場企業における総還元性向の平均値ですが、40~50%が目安となりそうですね。

それに対して米国では90%が目安となりそうです。

総還元性向だけで見ると日米でかなりの差があるとわかります。

以前書いた「配当性向の平均についての記事」でお話したように、この差の主な原因としては自社株買いの差があるんでしたね。

日米の自社株買いの差を見てみると・・・

日本が17%に対して米国は71%と圧倒的に多い結果です。

総還元性向平均の活用方法とは

日米では総還元性向の差が大きく、特に自社株買いの差が激しいことがわかりました。

しかし、国内において総還元性向が高まりそうな企業は狙い目だということではないでしょうか。

「株主還元策を自社株買いを含めて積極的に行う国内企業」があれば、その恩恵を受けない手はありません。

したがって私達が次に考えることは「総還元性向が高くなりそうな企業はどんな企業なのか?」ということでしょう。

一般的に、株主還元を行う企業は

  1. ある程度の成長を遂げていて事業が安定している(ある程度の時価総額)
  2. 内部留保が多く、キャッシュリッチである(ネットキャッシュが豊富)

という特徴が重要だと考えられます。

こういった要素を頭に置きながら、以下のものを銘柄スクリーニングに活用するのはどうでしょうか?

  1. 時価総額が1000億以上
  2. 配当性向が30%以上
  3. ネットキャッシュ倍率が小さい
  4. 自己資本比率が50%以上

時価総額が1000億以上

事業が成長して時価総額が大きい企業であれば、

  1. 業績は黒字で安定
  2. 成長投資に加えて株主還元策も開始

という可能性が高まります。新興企業でも段々と業績が頭打ちになってくると初配を出したりしますよね。

多額の負債を抱えなくてなならない事業内容だと困りますが、時価総額が1000億円ともなればおそらく業績も安定していると感じます。

もし心配であれば時価総額をもう少し増やしてみれば良いでしょう。

配当性向が30%以上

自社株買いはかなりの差があり、まだまだ積極的に行う企業も少ないかもしれません。

しかし、国内の配当性向平均である30%を長年維持しているような企業であれば、今後総還元性向を積極的に高めてくる可能性が高そうですよね。

自社株買いを除いた株主還元への姿勢を担保するために配当性向30%は必要でしょう。

ネットキャッシュ倍率が小さい

ネットキャッシュとは「現金及び現金同等物から有利子負債を引いた額」のことです。

つまり企業のキャッシュとしての体力を表すものですね。

このネットキャッシュが時価総額に対してどの程度の割合かを表したものがネットキャッシュ倍率です。

ネットキャッシュ倍率の計算式は

ネットキャッシュ倍率(倍)=時価総額 ÷ ネットキャッシュ

であり、時価総額以上にネットキャッシュがあれば1倍以下となります。

ネットキャッシュが企業価値に対して豊富にあれば、そのお金を使って株主還元してくれる可能性がありそうですね。

自己資本比率が50%以上

現金があるだけでなく、株主に還元できるお金が充分にあるかを担保するために自己資本比率を加えます。

一般的に50%以上あれば合格点ですが、心配であれば70%くらいまで高めても良いでしょう。

以上、これらの要素を満たしていて、企業平均の総還元性向50%やそれ以上を目指してくれそうな企業を探していきます。

総還元性向が高まりそうな企業をスクリーニング

これらの要素を銘柄スクリーニング機能に入れていくとなると、バフェットコードが最適かなと感じます。

バフェットコードに入れる条件としては、

  1. 時価総額1000億以上
  2. 配当性向30%以上
  3. 自己資本比率50(70)%以上
  4. 有利子負債が0
  5. 現金及び預金が1000億以上

という感じでしょうか。

ネットキャッシュ倍率の条件がなかったので、「現金が時価総額の条件以上」かつ「有利子負債が0」になるように入れて後でチェックするようにしました。

(四季報オンラインのスクリーニング条件には「ネットキャッシュ÷時価総額(%)」がありました)

例えばこんなような条件で銘柄スクリーニングをして、絞り込んだ企業の

  1. PER
  2. ROE
  3. 業績

などを見て選定してあげれば良いでしょう。

その上で、当期における自社株買いに関するIRをチェックして、総額がいくらになるかを見ていく流れになります。

また、企業のホームページに総還元性向の目標値が掲げられていないかも確認しましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は総還元性向についてお話しました。

配当性向や財務的な体力から総還元性向を高めてくれそうな企業を探し、割安な位置で投資できると良いですね。

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