どうも、ひげづら(@higedura24)です。
2020年3月には新型コロナウィルスショックで株価大暴落が起きました。
史上最大の下げ幅を連発して、わけもわからずあっという間に資産価値が半分以下になった方もいらっしゃるでしょう。
私の知り合いも500万円あった含み益が跡形もなく消し飛んだと笑っていました。
このような相場は中々あるものではないでしょうが、多くの個人投資家に衝撃を与えたと感じています。
この暴落によってふと感じたのは「塩漬株が大量に発生したという方もいらっしゃるのでは?」ということです。
そこでこの記事では
- 配当利回り5%の株を10年間塩漬けしたらどうなるか
- そこから考察できることは何か
といったことを述べてみました。
利回りの高い塩漬株がある方はぜひご参考下さい。
5%の配当利回りを10年間塩漬けしたらどうなるか
塩漬け株とは「含み損のまま何年も放置された株」のことです。
株式投資の教科書には「含み損が何%になったら損切りしましょう」と書いてあるものですが、その教えを無視して放置された問題児が塩漬け株さんというわけですね。
新型コロナショックによる含み損を5年10年と放置する予定の方も多そうなので、この記事を執筆している時期は大量の塩漬け株が生産されたことでしょう。
普通はこの塩漬け株を邪魔者として扱うのですが、今回はそこに「高利回り」という条件が付加されていたらどうなるかなというのが趣旨です。
今回作成した表は
- 配当利回りは5%と仮定
- 塩漬け(元手)の額を100~500万円および1000万円で算出
- 税金や配当額の増減などは考慮せず単純な複利計算表とした
という内容で、この結果からどのようなことが言えそうかを考察しました。
最初に述べておくと、配当利回り5%は日本株だとそれなりに高い水準です。
また、塩漬け株の利回りがいくら高くても倒産して株式の価値がなくなればそれで終わりとも言えます。
今回の検証では減配や税金は考慮していないので、配当利回りは一定でコストもかからないと仮定しているのでご注意下さい。
では説明が済んだところで、実際の計算表を見てみましょう。
まず見ていただきたいのは100万円を塩漬けした一番左の列です。
配当利回りが5%なので1年塩漬けすると5万円の配当益が得られています。
2年目は105万円の5%が加算されて110.3万円になっています。
これが10年目まで続くと配当益だけで62.9万円を得られる計算で、単純に考えれば元手の塩漬け現物株100万円分に関しては62.9%の値下がりまでに収まっていればトータルで利益が出ているわけです。
同様のことを200・300・400・500・1000万円でも行い、それぞれ10年間の塩漬けで125.8万円~628.9万円の配当益になりました。
1000万円の塩漬け株ともなれば10年間の配当益が628.9万円とかなり大きいですね。
ここでは税金や再投資した分の現物株を無視していますが、塩漬けしても利回りが高ければどこかで助かるということは言えそうです。
ちなみにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、元手に関係なく配当利回り5%の株を10年塩漬けしたら配当による利益率はどれも62.9%になります。
つまり元手の違いで利益額が異なりますが、トータルのリターンは同じです。
15年や20年の塩漬けではどうなるのか
先ほど、塩漬け株に関しては10年間の含み損が62.9%を下回ればトータルで利益が出ると述べました(税抜きですよ)。
ただし、わざわざ高利回り資産を10年で手放す必要はないわけです。
仮にあなたが40歳だとしてもまだ20年以上は働けますし、寿命的にも折り返し付近。
そう考えれば15年、20年、40年と保有し続けることだってできちゃいますよね。
というわけで保有期間を20年まで延ばした表を見てみましょう。
まずこの表で最も面白い部分は「続けるほど損益分岐点が下がっていく」という点ですよね。
先ほど紹介した10年保有表から継続していくと、資産の上がり幅が加速します。
赤字で示した15年目を過ぎると「現物株の価値以上の配当益」が手に入っている計算です。
言い換えれば、「塩漬株でも配当利回り5%なら15年以上の保有でカバーできる」ということですね。
株価暴落相場では配当利回り5%超えの銘柄はごろごろ転がっているので、損益分岐点をもっとちゃんと計算してから長期保有するのも面白そうだと感じました。
ちなみに単純な計算上では20年の保有で塩漬株の価値は1.65倍になり、もはやこうなってくると塩漬株という名目ではないでしょう。
高利回りな塩漬株を10年や20年保有する際の懸念点
ここまでの話で配当利回りがいかに大事かわかってきました。
ただし株式投資はリスクを考えることが大事ですので、懸念点がどういった部分なのかも考えていきましょう。
税金面はしっかり計算しておきたい
やはり最初に懸念されるのは税金面ですよね。
株式投資の利益にはおよそ20%の税金がかかるので、仮に100万円の配当益でも
- 配当益100万円 - 税金20万円 = 80万円の利益
となってしまいます。
また、複利的に買い増している株にも手数料などのコストがかかるので、こういった要素が最終的なリターンにどれくらい影響するかは計算しないとわかりません。
ちなみに、元手100万円から始めて
- 100万円 + (100万円 × 5% ×0.8)= 1年目のトータル104万円
という計算を20年目まで行うと・・・
こんな感じです。
税抜きの複利計算では15年目が損益分岐点でしたが、簡易的に税込にすると18年目まで延長されました。
18年という長期保有をすれば配当益が102.6万円手に入り、そこに現物株の価値をプラスした資産価値になるわけですね。
一応18年の保有期間をわかりやすく例えると、「開始時に生まれた0歳児が義務教育を終えるほどの期間」になります。
30歳なら48歳まで、40歳なら58歳まで、60歳なら78歳まで頑張って保有しましょう・・・。
ちなみにNISAを活用すれば期間中に保有した分だけは非課税になります。
持ち株が倒産したらそこで終わり
次に大きいのはやはり倒産リスクです。
いくら長期保有で塩漬株を償却しようと考えても、倒産してしまえばそれ以上は回収できません。
ここで考えたいのは塩漬株の「財務健全性」でしょう。
要するに
- 自己資金が豊富にあるか
- 有利子負債(借金)がどれくらいあるか
など投資先の基本的な項目が大事になってきますよね。
お金をたくさん持っていて借金が少ないという状況は、配当維持にも役立つのでそういった意味でも大事だと思います。
とは言え、塩漬株になってから財務健全性を気にしても意味がないので「保有するタイミングでしっかりと調べておく」ということが最も大事ですね。
また、わざわざ塩漬け株に再投資する必要はないので、もらった配当益は同じかそれ以上の利回りを持つ株に換えていくことがリスク分散になるはずです。
減配による損益分岐点の延長
今回の話は「塩漬けすれば救われる」のではなく、「高利回りの塩漬株なら救われる」というものです。
また、税込では18年の長期保有が損益分岐点だと述べましたが、この間に減配があった場合は利回りが低下して損益分岐点はもっと延長されるでしょう。
ここで気になるのは
- 連続増配や減配履歴などの実績
- 直近10年以上の業績推移
- 企業の事業内容や配当方針
といった部分ですね。
もっと言えば、現物価値の大幅下落はなるべく避けたい所でしょう。
というのも、例えば
- 株価2000円
- 配当50円(利回り2.5%)
の銘柄が暴落によって
- 株価1000円
- 配当50円(相対利回り5%)
になったとしましょう。
この利回り変化は十分にあり得る話ですが、ここから
- 株価200円
- 配当50円(利回り25%)
は中々考えづらいですよね。
過去に減配したことがない企業ほど減配リスクが低く、利回り重視の長期保有がしやすいですが限度はあります。
ただし、逆に言えば塩漬株が大化けして株価も配当も上昇すれば利回りも上がっていくでしょう。
仮に先ほどの株価1000円(配当50円)の銘柄が60円まで増配されれば、利回りが6%まで向上します。
塩漬けするなら、例え何かしらの出来事で株価が下がっても
- 下値が限定的
- 業績が安定していて増配余地もある
といった企業が魅力的ですね。
実際には順調な複利計算にはならなそう
上記で紹介してきた表では、保有期間が延びるごとにどんどん配当益が増えています。
これは受け取った配当益を再投資しているからですが、実際には「1単元を購入できるだけの配当益がなければ保有株数は増えていかない」でしょう。
例えば株価1000円の銘柄であれば1単元(100株)購入するのに10万円必要です。
したがって、
- 配当益が10万円を超える
- 足りない分は入金して株数を増やす
のどちらかが必要になります。
配当益は自力で増やせないので残るは入金投資法ですが、入金してまで塩漬株を買い増し続けるのもそれなりの胆力が必要ですね。
そこで出てくるのが単元未満株を活用して株数を増やす方法でしょう。
単元未満株とは1株単位で売買ができるサービスのことで、こういった仕組みを活用すれば半端な配当益も有効活用できます。
ただし、単元未満株は
- 売買手数料が高い
- 対応している銘柄の選択肢が少ない
といったデメリットもあるので注意が必要ですね。
ちなみにこういったデメリットを抑えて、新興株から大型株まで手数料無料で買えるのは現状だとSBIネオモバイル証券だけです。
Tポイントも使えるので学生や主婦を始め、サラリーマンまで幅広い個人投資家に人気があります。
外部参照リンク:SBIネオモバイル証券公式HP
まとめ
いかがでしたか?今回は高利回りの塩漬株を10年以上長期保有したらどうなるかについて述べました。
単純な計算では15年や18年が損益分岐点となり、高利回りを生かした長期保有で含み損をカバーできる結果でした。
ただし企業そのものの倒産リスクや減配リスクなど考えなくてはならないことがあるので、そもそも塩漬株の前に売買時のチェック項目が重要だと思います。
そういった前提条件をクリアしているだろう塩漬株であれば、高利回りによって救われる可能性はあるでしょう。
繰り返し述べますが、今回の話は単純な計算結果ですので実際に行う際には必ずご自身でリスクや期待リターンを考えて下さいね。
そもそも塩漬株はあってはならないものですし、それをどう管理していくのかは自己責任ですよ。
塩漬株とどう付き合っていくのかは後悔しない選択肢を取りたいものですね。それではまた!
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