どうも、ひげづら(@higedura24)です。
皆さんは「浮動株」という言葉を聞いたことがありますか?株式会社が発行している株は、
- 特定株(固定株)
- 浮動株(流通株)
の2つに大別でき、この記事では浮動株に関する知っておくべきお話をまとめました。具体的には
- 特定株と浮動株の違いや基本知識
- 浮動株と流通株式の違い
- 四季報と東証の浮動株定義の違い
- 浮動株比率の解説と調べ方
- 浮動株はどうやったら増えるのか
- 浮動株比率の目安はあるのか
- 浮動株比率0%はどんな意味か
- 浮動株以上の出来高がつく理由
について書きましたので、ぜひご参考ください。
浮動株と特定株の違いとは
まず単語の説明からです。特定株と浮動株を簡単に説明すると、
- 特定株(固定株):上場株式のうち、創業者や役員などが保有する市場に出回らない株
- 浮動株(流通株):大株主のように安定した保有がなされない、市場に出回りやすい株
という感じです。
特定株とは長期的に保有され、市場に出回りづらい株
特定株とは簡単に言えば大株主たちが持っているような市場に出回りづらい株のことで、固定株とも言います。特定株の主な保有先は
- 創業者やその親族
- 会社役員
- 信託会社
- 関連会社
などが挙げられます。これらの人間が保有する目的としては
- 経営権の維持
- 一定の割合を保有して外部から会社を守る
- 顧客の長期的な資産運用
- お互いの株式を保有して、提携や信頼関係を結ぶ
といったことが一般的です。
こういった背景から長期的に保有されることがほぼ確定的であり、それらの株式が市場に出回ることは滅多にないと言われています。個人投資家としても「経営陣がしっかりと保有している企業」というのは
- 経営陣のモチベーションが高い
- 経営権や会社としての安心感
- 外部企業からの防御力
といった意味で好まれますよね。逆に言えば経営陣がすぐ売りに出して、株価に影響が出てしまうような企業は嫌われる傾向があります。
浮動株は市場に流通している誰でも持てる株のこと
浮動株とは市場に普段から流通しているような誰でも持てる株のことで、流通株とも言われます。
浮動株の主な保有先は株式市場に参加している個人投資家や機関投資家です。私たちが日ごろ売買しているのはこの浮動株と呼ばれる株で、理論的には発行済み株式数から特定株を抜いた数が浮動株となります。
浮動株が少ないと
- 1株あたりのプレミアムが高く、値動きに与える影響が大きくなる
- 買い集めの標的となり仕手株化しやすい
といった特徴があります。
流通株式と浮動株の違いとは
流通株式と浮動株の違い、それは・・・特にありません。浮動株も流通株も同じことを言っていて、どちらを使用しても意味は同じです。
例えば、証券会社では浮動株の定義についてこんな記述をしています。
発行されている株式の中で、安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式のことをいいます。
この「市場に流通する可能性の高い株式」とは、一般の投資家等が市場で日々売買する株式のことを指します。
一方で、上場されている株式でも創業者一族やその企業の役員等の大株主が常時保有していて、市場には流通しない(出回りにくい)株式(=「特定株」または「固定株」)があり、株式総数の中でもそれらと分けてカウントされます。
外部参照リンク:SMBC日興証券|浮動株
ポイントは
- 安定した保有をされる株ではない
- 一般投資家が売買できるように流通していることが前提で、大株主が保有しているような特定株は含まない
といったことでしょう。一方で流通株式についてはJPXが定義していて、その記述がこちらです。
流通株式とは、上場有価証券のうち、大株主及び役員等の所有する有価証券や上場会社が所有する自己株式など、その所有が固定的でほとんど流通可能性が認められない株式を除いた有価証券を言います。
私の読解力がないだけかもしれませんが、おそらく同じ意味ではないでしょうか。中には
- 浮動株は大株主を含まない
- 流通株式は大株主を含んでいる
という違いがあると解釈している方もいらっしゃるようですが、定義を見る限りそれは違っていそうですね。ちなみにJPXでは流通性の乏しい株式についても言及していて、以下がその条件です。
- 上場会社(自己株式)
- 上場会社の役員
- 上場株式数の10%以上を所有する者又は組合等
また、新規上場や東証一部への鞍替えにおいては
- 上場会社の役員の配偶者及び二親等内の血族
- 上場会社の役員、役員の配偶者及び二親等内の血族により総株主の議決権の過半数が保有されている会社
- 上場会社の関係会社およびその役員
といったものも流通性の乏しい株式として認識するようですね。
仮に浮動株と流通株式の違いを見出すとすれば、この「流通性の乏しい株式をどこまでの範囲とするか」といったあたりが怪しいかもしれません。考えてみればJPXの出す情報でも「浮動株ベース」という表現や、「流通株式比率」という表現もありますね。
大まかに言えば同じ意味で良さそうですが、新規上場や一部指定替えなどの状況によっては「流通株式」の表現をするべきなのかも?
浮動株の定義とは
浮動株や特定株の基本的な説明は前述の通りですが、実は
- 四季報
- 東証
では浮動株の定義が異なります。
四季報の定義
四季報の浮動株定義は、「1単元以上50単元未満の株主が保有する株式数」というものです。この四季報が算出する浮動株の特徴は
- 保有単元数で区切ることで少数保有を浮動株とみなす
- 浮動株に定義を設けて直接カウント
ということで、より市場実態に近い浮動株数を算出するためだと言われています。
外部参照リンク:四季報|浮動株比率
東証の定義
東証の浮動株定義は前述のもの以外に「大株主上位10名の保有株以外の株数」というものがあります。東証の浮動株数の特徴は「浮動株ではなく固定株を算出して全体から引いている」ことでしょう。
ちなみに、大株主上位10名をなんでも固定株とするのではないようで・・・
東証が浮動株だと認めたものは除外されるようです。
外部参照リンク:東証|浮動株比率定義PDF
浮動株比率の調べ方
全体の発行済み株式数において浮動株がどれくらいの割合かを「浮動株比率」と呼びます。浮動株比率は前述のような定義の違いから、どこで調べたかによって異なる特徴があるんですね。
浮動株比率の一般的な傾向として、
- 四季報の浮動株比率:実態に近いが過小評価気味
- 東証の浮動株比率:過大評価気味
と言われています。
四季報で調べる方法
四季報の浮動株比率は、各証券会社から個別銘柄の四季報欄を見れば簡単に確認可能です。
例えば楽天証券であれば・・・
このように大株主情報欄に浮動株比率が掲載されています。浮動株比率の調べ方はこの四季報欄を見るのが一般的で、最も簡便な方法ですので覚えておいてください。
東証で調べる方法
ここまで紹介しておいて申し訳ないのですが、東証の浮動株比率はサービス終了のため知ることはできません。ただし、TOPIXの構成銘柄であれば自分で算出することも可能です。
算出するためのデータは
でエクセル取得できます。四季報欄を見れば簡単に浮動株比率を知ることができますので、あまり自分で計算する機会はないでしょう。
SBI証券のスマホアプリで調べる方法
最も簡単な方法はSBI証券のスマホアプリで調べる方法です。
上記のように個別銘柄ページに企業情報が掲載されていますので、この数字から浮動株比率を知ることができます。上記の画面を出す手順は
- SBI証券のスマホアプリを開く
- 個別銘柄ページに入る
- 銘柄詳細タブを開く
- 企業情報を押す
というものです。上場株式が発行済み株式数、浮動株式が浮動株を示しているだけでなくそれぞれがどの程度の時価総額なのかも表示されています。
流通株式比率の目安や基準について
流通株式や浮動株式の比率に目安はあるのでしょうか?
一般的に浮動株比率は銘柄によってまちまちですが、一応は基準が設けられています。
外部参照リンク:JPX|流通株式の基準
この表によれば、上場廃止に抵触してくる流通株式比率は5%ですね。
したがって「上場企業で浮動株比率5%未満に近い場合ほど少ない」というのがひとつの目安と言えるかもしれません。
比率0%やそれに近いケースとは
証券会社のアプリでは四季報欄が閲覧できて、その中の株主構成(大株主欄)に浮動株比率も掲載されています。場合によってはその中に0%や0.3%など5%より遥かに小さい数字が記載されていることがありますよね。
これは主に直近IPOなどで、四季報欄に情報が間に合わなかったのではないかと推測されます。ほとんどの銘柄では浮動株比率が5%以上になっているかと思いますが、そういったケースもあり得ると覚えておきましょう。
ちなみに大型株で浮動株比率が小さいものはたくさんありますが、上場廃止が近いわけではありません。大型株は特定株も多いですが発行済み株式数も桁違いに多いですよね。
浮動株比率が数%でも十分市場には株式が流通しているので安心してください。
浮動株より多い出来高があり得るのはなぜか
ところで、普段からチャートを見ているととんでもない大きさの出来高を目にすることがありますよね。例えば値上がり率ランキング上位にくるような仕手株では数千万の出来高も全然ありえます。
2019年9月時点の発行済み株式数4億5000万で浮動株5800万ほどのコロプラも・・・
4000万近い出来高を記録していましたね。これは浮動株にかなり近い値ですが、だからといって浮動株を持っている投資家のほとんどが売ったわけではないでしょう。
と言うのも、チャートの出来高は同じ人が何度取引してもカウントされるものだからです。極端な話、機関投資家が1万株単位で10回売買を繰り返せばそれで10万株が出来高として計上されてしまいます。
仕手株のような話題性があってボラティリティが拡大している銘柄では、日常的にデイトレードが行われていますよね。デイトレは一度取引して終わりではなく、取れる限りは何度も同じ銘柄で売買するのが普通です。浮動株以上や、それに近い出来高がつく理由はこういった回転売買が背景にあると言えるでしょう。
ただし真っ逆さまに株価が落ちて、ロスカットの嵐となった銘柄はホルダーがガラッと入れ替わった可能性があります。売られた分だけ機関投資家が買って、そこから急激に株価を持ち上げられるケースもあると知っておくべきではないでしょうか。
流通株式比率はどうやって増えるのか
浮動株比率でも流動株式比率でも同じことだとは思いますが、これらはどのような場合に増えることになるのでしょうか?
大まかに言えば市場に流通する株式が増えればいいわけなので、
- 大株主が一般投資家に分け与える
- 新株が発行され、それが市場にも出回る
といった場合には浮動株が増えることになります。
例えば立会外分売によって一般投資家が大株主さんからディスカウント価格で買ったりするケースはその代表例ではないでしょうか。
新株が新たに発行されることを「増資」なんて言いますが、あれも発行済み株式の母数が変わるので流動株式比率は変化するはずです。
比率は多い方が良いのか?
市場に出回る株式が減れば、自分の保有している株式の相対的な価値は上がりますよね。もしあなたが長期保有を目指していた場合は「1株あたりの価値」という意味では良いことです。
しかし、時価総額が小さくて市場に流通している株式が少ない場合には値動きが激しい可能性があります。逆にそういった企業が東証一部への昇格条件を満たすために流通株式を増やすことを公表したのであれば、
- 短期的には需給悪化
- 長期的には市場変更による恩恵
と良い面も悪い面もあり得るでしょう(おそらく長期的な恩恵の方が大きい?)。
要はどういった目的で株式を保有しているのかに加え、浮動株の増減によってどんなことが生じるかで良いことも悪いことも考えられるわけです。浮動株や流通株式の増減は一概に善し悪しを言えるものではないですね。
まとめ
いかがでしたか?今回は浮動株や浮動株比率に関する基礎知識およびよくある疑問について解説しました。株をやっていく上で重要な基礎知識ですので、ぜひ覚えておいてくださいね。
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