時価総額なんて意味ない?株の価値を本当に決めるものは曖昧な感性

    

株式投資の世界では時価総額というもので企業の価値を決めています。

ただ、決めているとはいってもあくまで形式的なものであって、真の価値を考える上で時価総額など意味がないという考え方もあるんですよね。

初心者さんの中には驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、確かにこれは一理ある考え方です。

この記事では時価総額など意味がないと言われる理由をはじめ、そこからどういったことが考察できるのかを述べてみました。

正解はないのでしょうが、読み終わったあとにぜひご自身でも時価総額の捉え方について考察してみてはいかがでしょうか。

    

時価総額は意味がないと言われる理由

まず時価総額を理論的に表した式を紹介します。一般的に時価総額とは

  • 時価総額=発行済み株式数 × 株価

という計算式で表されています。ここでいう発行済み株式数とは企業が発行している株式の総数であり、株価は普段から私たちが気にしている株価に変わりありません。

時価総額が意味ないという根本的な理由はこのうちの「株価」です。

時価総額の式に株価が組み込まれているからこそ意味がないと言われていて、要するに株価というかなりいい加減なものが構成されているから時価総額も意味がないという考え方になります。

例えばマザーズ市場はこれから東証一部上場を目指していくぞという新興企業が上場している市場です。

このマザーズ市場の時価総額上位銘柄はヘビーローテーションの企業がいながらも、時期によって名前が入れ替わりやすいという特徴がありますよね。

少し前にはアンジェスという医薬品ベンチャー企業が上位にきましたが・・・

その中身を見てみると赤字だらけでほとんどキャッシュがありません。それでも投資家からの人気が集中して株が大きく買われ、需給だけで株価がうなぎ登りに。

その結果として時価総額2000億円を越してくるような時期があったため、マザーズ上位銘柄に名前が挙がってしまったわけです。

この背景には新薬開発への思惑があるのでしょうが、全くキャッシュを生み出さないような企業でも大きな時価総額がついてしまう状況を見ると「時価総額なんて意味がないよな」と感じても仕方ありませんね。

現状としては時価総額で株の価値を判断するという風習があるものの、特に新興株では非常に曖昧なものという考え方があります。

株における真の価値を判断するためにはどうする?

時価総額は意味がないと言われる理由を述べましたが、ではどうやって株の本当の価値を考えていけば良いのでしょうか。

例えば「同業他社をベンチマークに推測していく」という考え方はどうでしょう。まず当該銘柄の同業他社に目をつけ、それらの状況をざっくりと見た上で当該銘柄の売上高や業績推移を見るという手順です。

当該銘柄の増益率が20%でも同業他社が30%アベレージという状況なら微妙でしょうし、逆に同業他社が振るわないのに当該銘柄が順調に数字を積み重ねる一人勝ち状態となっていれば魅力的ですよね。

そのうえで現在の時価総額が妥当かどうか考えれば・・・まぁまだマシなのではと感じます。

ただし、これは売上高がそのままのペースで推移していくと仮定しているのが前提です。過去の例では業績が一気に落ち込んだ例もありますし、そうなれば株価もただでは済まないです。

また、そもそも発行済み株式数の規模も考えたいところで、その発行済み株式数も増資などで増える可能性だってあるでしょう。先ほど名前を出したアンジェスも開発費を捻出するために増資を何度も繰り返してきました。増資の場合は時価総額が理論的に変わりませんが、1株あたりの価値は下がるので株価には影響が出てきます。

もっと言えばバイオセクターのような赤字上等という銘柄群ではそもそも比べる業績そのものがありません。

それに思惑だけで株価が動いているので、「銘柄Aより銘柄Bの方が思惑は大きい」なんて比較することも難しいでしょう。結局は自分でリサーチしてある程度は推測のもとで判断していくしかないとは思います。

自分だけの枠組みを考える

ただ、それでは「時価総額は意味がない」という話で終わってしまうので、ある程度枠組みを考えておくようにすると良いかもしれません。

例えば、まず大前提として当該銘柄は投機的な目線なのか投資的な目線なのかを考えます。

なぜなら投機的な側面が強いほど思惑で株価が動きやすいということにもなり、時価総額の意味合いが薄れやすいからです。

バイオ銘柄やゲーム株などは明らかに投機的な分野ですので、時価総額うんぬんや業績推移などは関係ないものと判断しましょう。同様に材料がぽっと出た低位株や上場廃止から間一髪間逃れたような銘柄も思惑だけで動いているので関係ありません。

小型成長株の場合は投資面と投機面が混在しているので難しいですが、イメージ的には初期ほど投資面が強く後期ほど投機面が強い感じです。したがって月足で株価が急角度に上がっていくようなフェーズでは投機面が強いでしょうね。

一方、中大型株ではある程度企業が成熟してきて市場もなんとなく値踏みをしている状況です。そのため時価総額もそれなりに信頼度があり業績などとの相関も出やすいと考えます。

そういった企業同士の時価総額順位が入れ替わったときには業界内に変化があったと素直に受け止めて良いでしょうし、そこからどのような要因があるか考察するのは投資の勉強になるはずです。

非常にざっくりとではありますが、例えばこのような感じで当該銘柄の立ち位置を考えてあげることが「この時価総額に意味があるのか」を判断するヒントになると思います。

まとめ

今回は時価総額に意味はないと言われる理由について述べました。その背景には時価総額を構成する株価に「思惑で大きく動く」という性質があるからだと考えられます。

確かに小型株や一部セクターにはそういった側面が強く、時価総額などいい加減なものと考えられても仕方ないでしょう。ただ、全ての銘柄がそういったわけではないので、ある程度は自分なりに当該銘柄の立ち位置を考えてあげてから時価総額に対して判断を下す方が良いと思います。

それでもなかなか時価総額が本当に妥当な水準なのか判断するのに困ることもあるでしょうが、なんの目安もなく考えていくこともまた大変ですよね。

私個人としては投資目線で株を買うことも多いので時価総額には必ず目を通しますが、まぁ投機的な売買ばかりという方は時価総額がどれくらい小さいのか程度を知っておけば良いのかもしれませんね。

投資目線で売買を行っていきたいという方は株価の立ち位置に加えて業績推移や市場からの捉えられ方、そして自分なりにリサーチして得た情報をもとに正しい価値を判断していきましょう。

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