どうも、ひげづら(@higedura24)です。
2020年4月現在、日本たばこ産業ことJTの株価は下落を続けています。
配当利回りは7.7%を超え、個人投資家の間でもかなり話題となっていますね。
そこでこの記事では「JTを長期保有するならどういったことに注目すべきか」ということを書きました。
株価下落局面で買い進めるのはリスクが高いので、JTの
- どのような点が魅力なのか
- 不安要素はどういったものか
という部分を知っておきましょう。
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JTは利回り7.7%の高配当株
JTは2015年頃まではちょっとした成長株として見られていました。
しかし、国内で
- たばこ税の増税
- 禁煙・分煙
- 法律や条令の改定
が進むにつれて流れが変わり、株価は下落基調となったのです。
チャートを見てわかるように4~5年ほど下げ続けていて、株価はピーク時から半分以下になっています。
しかし、その一方で16期連続増配という要素があるのも事実です。
このおかげで相対的な配当利回りが7.7%というかなりの高水準になっていて、市場から大きな注目を浴びているわけですね。
逆に言えば2015年頃までの成長株として差益を狙う目線から、配当や優待によって長期的な利益を享受していく目線がより強まったとも言えます。
株価が下がって利回りが上がっている以上、長期保有を前提にしないと利益は得づらいですね。
ちなみに具体的な配当推移としては
このような形になっています。
連続増配記録は16期でストップしていますが、配当性向が89%と高水準なことに変わりありません。
長期保有していく上では今後もこの高配当利回りが維持されていくかがポイントとなります。
仮に減配が起きたとすれば株価はさらに落ち込むでしょうし、何より利回りが下がると長期保有のメリットが薄れるからです。
そこで気になってくるのが1株あたりの利益推移ですが・・・
このように2015年から大幅に減少しています。
2020年12月期における配当とのバランスは
- 1株益:171.9円
- 1株配当:154円
- 配当性向:89.5%
というものですが、1株益が下がる中でこの1株配当を維持すればいずれ逆転が起きるかもしれません。
逆転後は財務的な余力が減っていくと予想されるので、
- 1株あたりの利益を上げる
- 1株あたりの配当を下げる
のどちらかです。
投資家としては1株あたりの利益、すなわち業績が上がってほしいですよね。
JTの事業セグメントは海外の売上高比率が60%と半分以上を占めているので、長期保有する上では海外事業の進捗が重要でしょう。
JTの株を長期保有するなら海外事業に注目
JTは国内唯一のたばこ事業を営む上場企業ですが、昨今では紙巻きタバコの販売数量が減少しています。
参照リンク:JT|国内紙巻たばこ月次販売実績
この背景には
- 社会的に健康への意識が高まった
- 禁煙や分煙の輪が広がった
- 2018年に健康増進法が改正
- 2019年に学校や病院などの敷地内で禁煙
- 2020年にすべての建物の屋内禁煙化
という流れが関わっているでしょう。
また、従来の商品から電子的な次世代たばこへの移行も進んでいますが、ユーザーはJTではなく海外製のものを選びがちです。
こういった国内の喫煙者減少などを考え、JTは以前から積極的なM&A戦略で海外への依存度を高めていきました。
現状では売上高の6割ほどを海外で稼いでいて、その鍵を握るのは「新興国のたばこ需要増加」だと言われています。
海外売上高は先進国と新興国に分けられますが、先進国はすでに紙巻たばこから電子へ移行していますよね。
しかし新興国はまだ需要が残っていて、紙巻の市場成長が見込めます。
そのため昨今のJTは
- フィリピン
- インドネシア
- バングラデシュ
など新興国のたばこ事業を積極的に買収しているわけです。
海外事業の成長は2015年の株価下落開始以降も続いていて、決算資料でも
- 数十市場で2桁成長
- 過去最高販売数
といった表現が目立ちます。
2019年の資料でも・・・
販売数量やシェア成長は続いているようです。
このまま新興国における海外事業の成長が続くのであれば、現状の業績を維持できる可能性は高いでしょう。
業績(1株利益)が維持できれば、高配当を維持しても財務的な余力が減らないので長期保有もしやすくなります。
また、数字が安定すれば株価もどこかで保ち合うのが普通なので、そういった状況に移行すれば長期ホルダーも増えてくるはずです。
JTを長期保有するのであれば
- 海外事業の進捗はどうか
- 今後の成長余力はどうか
といった点を考えると良いでしょう。
ESG投資の高まりは不安材料
株価が下落した先で安定してくれた場合、そこでホールドしてくれる投資家は機関投資家が望ましいと思います。
なぜなら国内個人投資家は特に握力が弱く、ちょっとの地合い悪化で容易に狼狽売りをする傾向があるからです。
その点、機関投資家は大型株に対して資産運用を目的とした長期保有を行ってくれます。
ただし、ここで懸念されるのは昨今のESG投資への高まりですよね。
ESG投資とは「環境や社会活動を重視して投資先を選定する考え方」を言います。
JTはメインがたばこ事業ということもあり、ESG投資の観点から外れやすいです。
また、この動きが世界各国の年金基金へ広がっていることも不安材料のひとつでしょう。
日本ではまだまだ広がりが小さいようですが、欧州や北米ではESGの投資残高が大きくなっています。
せっかく海外事業が成長しても投資先から除外されてしまっては資金流入が見込めません。
JTの長期保有では海外事業の進捗以外に
- 環境保全への取り組み
- 健康被害の低減
の2つにも注目していきたいところです。
最近では有害物質が少ない商品も出されているようですが、こういった材料に企業も投資家も意識を注ぐ必要がありますね。
株主優待の注意点
ところで、JTを長期保有すると
- 100株以上 200株未満の保有 : 2500円相当
- 200株以上 1,000株未満の保有 : 4500円相当
- 1,000株以上 2,000株未満の保有 : 7000円相当
- 2,000株以上の保有: 13500円相当
という区分で自社グループ商品を株主優待として送ってもらえます。
ちなみにグループ商品とはパックご飯・飲料水・カップ麺といった食品関係なのでご安心ください。
ただし、株主優待の条件には「100株(1単元)以上を1年以上継続保有」という条件がついているので注意が必要です。
1年以上の継続保有は株主番号が変わってしまうとカウントが最初からになってしまいます。
口座種別をNISAに変更したり、貸株サービスで名義が変わるともらえない可能性があるので気をつけましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はJTを長期保有するならどのような点に注意すべきかを述べました。
配当利回りが7.7%と高いのでついつい手を出したくなってしまいますが、自分なりに海外事業の考察をしてみると良いです。
今後も成長が続いて業績がどこかで下げ止まると思えば買ってみるのも悪くありません。
ただし、昨今ではESG投資の高まりもありますので多角的に判断する必要があるでしょう。
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がありますのでご参考ください。それではまた!