海運株はなぜ上がるのか?その理由をバシッとまとめました!

    

海運株がなぜ上がるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。国内大型海運株は軒並み上昇、半導体株と並ぶ大相場が繰り広げられています。

2021年後半は失速した印象もありましたが、依然その注目度は高く配当利回りを狙っている方も多いことでしょう。そこでこの記事では

  1. 海運株はなぜ上がるのか
  2. 業績好調の背景となる運賃動向について
  3. 新型コロナが運賃動向にどのような影響を与えたのか

といったことをまとめました。海運株の好業績背景を知りたいという方はぜひご参考ください。

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海運株と世界の運賃動向

海運株はなぜ上がるのかというと好業績で配当金が増えたからでしょう。例えば国内海運株トップの日本郵船の実際の業績推移は・・・

海運株の業績はなぜ上がるのか

このように2019年3月期の赤字から大きく黒字転換しています。それだけでなく配当利回りは10%超えるほど増配され、一気に株式市場の話題をさらいましたよね。

しかし業績が跳ね上がったことで注目度が上がり株価も上がるなんてことは当たり前で、多くの方が知りたいのはなぜ業績がこれほどまで良くなっているのかということです。その原因は色々とあるのでしょうが、大きな要因は海運株の収益源になっている貨物運賃が急騰したからでしょう。運賃がなぜ上がったことがわかるのかというと、海運株の指標となる

  1. バルチック海運指数(BDI):英国のバルチック海運取引所が公表する運賃動向
  2. 中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI):上海の交易所が公表する上海発の運賃動向

が上昇したからです。一応、それぞれを簡単に説明してから運賃上昇の背景を述べます。

バルチック海運指数(BDI)

まずバルチック海運指数は海運株の動向を考える上で最も気にされている運賃指数です。英国から公表されているものなので扱いとしてはイギリスやその周辺の運賃動向という感じでしょうか。

以下、野村證券からの引用文です。

世界各国の海運会社やブローカーから、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を収集し、一日1回算出している。1985年1月4日を1000として算定、国際的な海上運賃の指標となっている。株式市場でも、海運会社、特に不定期船を主力とする会社との株価連動性が高いとされる。

注目すべきは最後の「不定期船を主力とする会社との株価連動性が高い」という点でしょう。海運株といっても銘柄数はそれなりに多く、それぞれ事業ポートフォリオが異なります。したがって自分が狙っている銘柄が不定期船を主力としているのかどうか、そして直近のバルチック海運指数の動向はどのようなものかを考えるべきですね。

中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)

次に中国輸出コンテナ運賃指数についてですが、こちらは中国のコンテナ運賃動向というイメージでこれまた重要なものです。例えば中国は世界で有数の鉄鋼生産国で鉄鉱石の輸入量としてはかなりさかんですよね。

また、世界のコンテナ生産の98%は中国で行われているというデータもあるほど海運との関わりが深く、中国のコンテナ運賃が上昇傾向にあるかどうかは世界的な物流動向指標でもあります。

国内の海運株としても中国の物流動向が好調なほど収益を上げやすい側面がありますので、バルチック海運指数と同様に株価動向に影響するものです。

海運株はなぜ上がるのか

海運株と運賃動向が深く関係することは簡単に述べましたがここからが本題です。なぜバルチック海運指数や中国コンテナ運賃指数が上昇したのかというと、大きな要因はやはり新型コロナだと考えられています。

2020年以降に猛威を振るっている新型コロナによって世界各地の都市が封鎖されました。また、そもそも作業員が減ったという背景もありコンテナ貨物が滞ってしまったわけですね。

海運会社自身も感染対策から運航便自体を減らしましたし、それ以前に2019年の米中貿易摩擦を背景にコンテナ生産量が減っていました。しかしその後の2020年後半からは製造業を中心に経済活動が急速に回復。物が少ない状態で需要が増加したため運賃が急上昇したという流れです。

ちなみにコロナ禍からの経済回復の動きだけでなく、インドの感染拡大も要因のひとつだと言われていますね。インドから仕入れていたものを中国に切り替える業者が増えたことでより中国海運への需要が増え、これもまた運賃上昇の理由となりました。

ではここでバルチック海運指数と中国コンテナ運賃指数を見てみましょう。まずバルチック海運指数からですが・・・

参照:投資の森

このように長期チャートでも大幅に上がっています。次に中国コンテナ運賃指数ですが・・・

両者ともに価格が跳ね上がっていて、この動きこそ海運株がなぜ上がるのかの答えとなっています。具体的な状況としては過去11年来の最高値を更新するほどの暴騰劇です。これだけ上がれば海運株が上がる理由としては十分ですね。

まとめ

今回は海運株はなぜ上がるのかその理由をまとめました。好業績かつ高配当は新型コロナが根本的な原因となっていて、具体的にはコンテナ生産や作業員の減少から経済が急回復したためです。現在でも世界各地でコンテナ船は滞っていて運賃の上昇傾向は続いています。

最近では運賃上昇の原因に新型コロナが隠れているという観点から感染拡大と海運株が結びつけられた値動きもあるほどです。この流れがどれほど続くか定かではありませんが、引き続き海運株の動向に注目していきましょう。

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