海運株買うならどれ?日本郵船と商船三井の違いは〇〇にある!

    

今回は「海運を買うならどれがおすすめか知りたい」という方向けに書いてみました。海運株はこの数年で飛躍的に株価が上昇したことで有名になりましたよね。元々このセクターは超不人気だったのにここへきてこれほど人気化しているのは投資家のお行儀の悪さが垣間見えているような気がします。

かく言う私はそれなりに早く注目していまして(ドヤ顔)、株価がまだこれほど上がる前の2021年始め頃につぶやいていました。

注目した理由は単純に値動きが良かったからなのですが、調べてみると同じ海運株でも事業内容に差があることなどわかり興味深かった記憶があります。この記事では調べた結果として

  1. どのようなことがわかったか
  2. 海運株を買うならどれが良いのか

といったことをお伝えしますので、よろしければ売買の参考にしてみてくださいね。

<関連記事>

    

日本郵船と商船三井の違いは事業別セグメント

そもそもの話からですが、みなさんは海運株とはどのようなものかご存じでしょうか。世界地図を見ればわかるように日本というのは島国で四方八方を海に囲まれていますよね。

そういった環境を考えると我が国の海運業がどれほど重要な存在か想像がつきやすいと思います。具体的には輸出入を合計した貿易量の99%以上が海上輸送を占めているようで、国内に入ってくる

  1. 食料品や衣類など生活に欠かせないもの
  2. 自動車などの機械
  3. 鉄鉱石、石油、ガスなどの資源

は海運業なくしては需要が成り立ちません。

参照:国土交通省:安定的な国際海上輸送の確保

そんな海運業の大手として挙げられるのは

  1. 日本郵船
  2. 商船三井
  3. 川崎汽船

の3社で、同じ海運株でもそれぞれに特色があります。海運株を買うならどれがおすすめかという判断もそういった事業の特色を加味してあげると良いでしょう。

日本郵船

まず2021年12月時点における日本郵船の基本情報です。

  1. 時価総額:約1.3兆円(株価8000円前後)
  2. 売上高:2.0兆円(22年3月期予想)
  3. 1株益:4202円(22年3月期予想)
  4. 1株配:800円(22年3月期予想)
  5. 配当利回り:10%前後

日本郵船は国内最大の三菱系海運株で、昨今では海運セクターの波に乗り売上高は2兆円にも昇る勢いとなっています。

そんな日本郵船の特色は海運業に留まらない幅広い事業ポートフォリオであり、会社自身も「海・陸・空にまたがる総合物流企業グループ」という特徴的なフレーズを掲げています。この言葉からも日本郵船が海運のみを行っている会社ではなく・・・

日本郵船の事業内訳

上記のように陸海空の物流やコンテナに不動産など多岐に渡る事業を持っていることがわかりますよね。日本郵船に頼めばワンストップで陸海空の物流を得られるという点は世界にもあまり類を見ない強みでしょう。

ちなみに海運業のみに着目すると定期船と不定期船で50%ほどの売上高を持っていることになりますが、ここをどう感じるかというのは銘柄選定に影響するところですね。日本郵船としては中期経営計画の中でも言及しているように

  1. 海運業のボラテリティに対して耐性を上げる
  2. ポートフォリオ最適化および運賃安定型事業の積み上げで業績を安定させる
  3. 長年培ってきたノウハウやネットワークを生かして継続的に成長させる

といった考え方があるようです。

投資家としても長期的な保有を考えるとこのような事業変革は好ましいものですが、ポートフォリオを広く構えるということは海運株の色がどうしても薄まることを理解しておきましょう。

参考:日本郵船公式HP|日本郵船のご紹介

商船三井

次に2021年12月時点における商船三井の基本情報です。

  1. 時価総額:約9500億円(株価7800円前後)
  2. 売上高:1.2兆円(22年3月期予想)
  3. 1株益:4004円(22年3月期予想)
  4. 1株配:800円(22年3月期予想)
  5. 配当利回り:10%前後

商船三井は日本郵船に次ぐ三井系海運大手であり、その事業別セグメントは・・・

商船三井の事業別売上高

このように1兆円を超える売上高の9割をほぼ海運業を専門に得ています。こうして売上高の内訳を見ると日本郵船と明確に差別化されていることがわかりますよね。

商船三井は日本郵船より運航船舶数が多く、世界最大級の艦隊を持っている点が強みです。海運業の比率が多いということはそれだけセクターのメリットとデメリットを受けやすいということでもあり、銘柄選定の判断材料となるでしょう。

参考:商船三井|財務データ

川崎汽船

最後に2021年12月時点における川崎汽船の基本情報です。

  1. 時価総額:約6300億円(株価6800円前後)
  2. 売上高:6900億円(22年3月期予想)
  3. 1株益:3966円(22年3月期予想)
  4. 1株配:300円(22年3月期予想)
  5. 配当利回り:4.4%前後

川崎汽船は国内海運株の3番手かつ唯一の非財閥系企業で、その事業別セグメントは・・・

川崎汽船の事業別セグメント

製品物流で半分以上を占めています。実は川崎汽船も企業理念に「海運業を母体とする総合物流企業グループ」というフレーズを挙げていて、日本郵船と同じく海運に留まらないサービスを提供する考え方があるようです。

ドライバルク船事業も割合としては多いものの、陸運や倉庫も含めた総合物流には及んでいない状況だとわかります。

参考:川崎汽船|事業別セグメント

海運株を買うならどれがおすすめか

ここまで海運業が国内経済にとって重要な役割を持っていることや大手3社の違いを述べてきましたが、では海運株を買うならどれがおすすめなのでしょうか。個人的には

  1. 海運大手の特徴
  2. 海運株の売買方針

を照らし合わせて考える必要があると思います。

例えば日本郵船は陸海空を組み合わせて安定的な業績を築こうとしているのに対し、商船三井は海運のみを突き詰めて日本郵船と同じくらいの売上高を出しています。川崎汽船は日本郵船と同じく総合的な物流サービスで安定業績を築こうとしていますが、営業利益などを勘案するとあまり数字の見た目は良くありません。

これらのことから海運業のみに着目して

  1. 海運セクターの活性化や利益を享受したい
  2. 投機的に海運セクターを触りたい

と考えるのであればその色が最も濃い商船三井が良いでしょう。

ただし、海運業は3~4年先の未来を読む業界と言われるようにこの先も順風満帆か読みづらいセクターです。この点を加味しつつ安定配当や末永い業績の伸びを重視したいなら、事業ポートフォリオを陸海空で構成しながら安定化を図っている日本郵船が候補に挙がります。

日本郵船は22年3月期予想の1株配や配当性向から考えるともっと増配されても良いとも言われていますね。しかし、2021年12月時点において予想配当利回りは10%とかなり高い水準です。商船三井も同じく高い配当利回りとなっていますが、事業別セグメントを見てわかるように売上高や利益のボラテリティは商船三井の方が高くなりそうではあります。

長期保有する株は安定的かつ継続的に業績を伸ばしてもらい、その上で配当利回りも徐々にせり上がることが好ましいです。海運株がこの先も同じくらいの利益を叩き出すかは別として、大手3社の中で長期保有に向いているのは日本郵船なのかもしれません。

海運小型株という選択肢

ここまで海運株を買うならどれがおすすめかという話をしてきましたが、これらはあくまで海運大手3社に限定した話です。海運セクターの中には小型株もありますので、海運株の人気に乗っかった投機をしたいのであれば時価総額がより小さな銘柄を選んだ方が値幅は取りやすいと思います。

例えば明治海運、乾汽船、飯野海運などは急騰後でも時価総額1000億円に満たない海運関連株です。日足チャートを見てもらえばわかりますが、その分だけ値動きも軽いので値幅は取りやすいわけですね。海運株というと大手3社が注目されやすいのですが、セクター全体にスポットライトが当たっている時期は小型株にも目を付けると良いかもしれません。

その他にも海運株から連想した関連株に対象を伸ばすのもひとつの手です。例えば海運されたものが倉庫に保管されることも多いでしょうから、倉庫株も関連物色対象になりやすいと思います。投機する際は人気株から関連銘柄へ連想を広げることも大事なので関係性が深い株を探しておくと良いですね。

まとめ

海運株は国内流通にとって欠かせない存在であり、日本郵船・商船三井・川崎汽船という大手3社が有名です。それぞれ事業別セグメントに特徴があり、日本郵船と川崎汽船は総合物流を、商船三井は海運を専門にしています。

こういった事業特性は銘柄選定に影響する所で、最も海運の色が濃い株で投機をしたいのであれば商船三井が候補に挙がりやすいでしょう。しかし、事業安定性という意味では日本郵船の方が一歩進んでいる可能性はあるので、長期保有であれば日本郵船も捨てがたいです。

投機という意味ではその他の小型海運株を買うというのも一つの手ですし、関連セクターを探す戦略も良いですね。海運株を買うならどれが良いか悩んだらこういったことを考えてみてはいかがでしょうか。

<関連記事>