株の握力とは?激ヨワ投資家に多い8つの特徴は全力回避しよう!

    

株の世界には「握力(あくりょく)」という表現があるのをご存じでしょうか。

握力とは「株を長く保有を続けられる能力がどれだけあるか」を比喩した独自表現で、投資をしていない方にはどれほど胆力がいる能力かわかってもらえないでしょうね。

買った株をすぐに売ってしまうような人は握力が弱い、逆にいつまでも保有を続けられるような人を握力が強いと表現するわけですが・・・皆さんはいかがですか?

この記事では株における握力について私見を述べた後、継続保有する能力が弱い方に見られる8つの特徴をご紹介しました。当てはまるほど握力が弱い傾向にありますのでぜひご参考下さい。

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株の握力とは

では最初にざっくりと株の握力について述べておきます。冒頭で述べたように株をすぐ売ってしまう人は握力が弱いと言われますよね。握力が桁外れに弱い人を赤ちゃん握力、桁外れに強い人をゴリラ握力と表現することもありますが、そもそもなぜこういった握力という表現が株の世界に出来たのでしょうか。

おそらくこの理由は保有を続けることが想像以上に難しくパフォーマンスにも大きな影響を与えるからです。株における握力というのは含み益を持った時にこそ重要な意味が出てくるわけで、逆に含み損ではそれほど大事なことではないでしょう。

極端な話を言えば含み損を8%とか10%で確定させたとしても同じロットで含み益が30%や50%出ていればお金は増えているので全く問題ないです。

しかし実際には多くの人が含み益をさっさと手放して含み損をいつまでも持っているので「握力は大切だ」という話がSNSなどでも横行しているのでしょう。これは人間の心理として普通のことらしいですが、株で利益を出すためにはダメな行動を排除して意識を変えていかなければなりません。

株の握力が弱い人が起こす8つの行動

含み益は伸ばし含み損はなるべく早い段階で見切りをつけて手放すことが大事だと述べましたが、実際に行うとなるとかなり難しいです。例えばせっかく優良株をこれ以上ない取得単価で保有できていても含み益が10%以上になってくると「そろそろ売ろうかな」となってしまう人はとても多い。

そしてもっと株価が上に伸びた時にどうして自分はあんなに早売りしてしまったのだろうと後悔する経験は私を含めて誰もが通る道ではないでしょうか。ここからは幾度となくそういった経験をしてきた私が思う握力が弱まる行動を書いていきます。

大した理由もなく保有

握力を強めるための最も効果的な方法は保有を続ける理由を明確に作ることです。根本的な問題として人間が何か行動するためにはそれなりの理由がなければ成立しないからですね。

まずは配当でも優待でもなんでも良いので理由を作ること。そして可能であればより自分の生活にとって身近な銘柄から実践していくことが良いでしょう。例えば生活範囲内で出店を見かけることが多い銘柄といったケースは実感が湧きやすいです。そして、そこから一歩踏み込んで

  1. 年間の出店数
  2. 中期経営計画の進捗具合
  3. 売上高の増加率

など数字で確認すると実感が「これはいずれ株価が大きく伸びそうだぞ」という核心に変わることがあります。

上記はあくまで例ですが、長期保有というのは企業が将来的に大きくなっていくことを前提に行いますので「自分から調べて長期保有の理由を見つける」という作業は大切です。

値ごろ感でなんとなく保有

理由なき保有でよくある例は値ごろ感で売買しているというケースです。値ごろ感というのは「よくわからないけどこれだけ下げたから大丈夫だろう」という感覚的な割安感であり、テクニカル分析だけで株の売買をしている人に多い傾向でしょう。なんとなく買っている人は売る理由もなんとなくになってしまうのは当たり前なので、握力を強めるためのシナリオが欲しいところです。

初心者さんにおすすめな方法としては「実生活とリンクさせて保有銘柄を考える」という戦略があります。例えば十年に一度といった超大型台風は意外に短いスパンで日本にやってきますが、そういった時期に物色される銘柄は決まっているものです。

  1. 水害後の復旧作業を行う建設会社
  2. 災害対策のコンサルを行う会社
  3. ホームセンター関連

などそれぞれ代表格がいますので、なるべく割安であまり株価が動いていない銘柄に先回りすると利益が出ることも多いですね。こういった時事ネタに関連する銘柄は買う時期も手放す時期も明確で判断がしやすいので割とおすすめです。

毎日欠かさず含み益をチェック

個人的な経験としては含み益を毎日眺めてしまうと握力が弱まりやすい気がします。例えば含み益がどんどん増えていく様子を毎日観察したとしましょう。

見る度に含み益が増えますが、ある日に数%ガリッと削られてしまったらどう感じますか?

人間の心理としても「すでに持っている利益が目減りする」というケースでは喪失感が大きく判断を揺さぶられやすくなります。昨日見たときに含み益10%あったのに今日は地合いが悪くて7%まで減ってしまったとなると売りたくなる人も多いでしょう。

対策としては長期保有予定の銘柄は含み益がある程度育ってきたらもう確認しないこと。少なくともザラ場中は無視すると考えてください。こういったことをやりやすくするためにも短期保有と長期保有の口座を分けておくことが好ましいですね。

他人に判断を委ねている

買いはもちろん売り判断もTwitterやYahoo!掲示板などで行っているという人はまだ独り立ち出来ていない証拠です。株は大勢の売りと買い需要が混ざり合って行われていますが、リスクリターンは基本的に自分だけの世界。

自分で保有する理由を設け、自分の計画に沿って判断していかないと握力が強まるはずもありません。せめて誰がどういった判断をしているかは参考程度にしておかないと損した時にも利益を取り損ねた時にも後悔するでしょう。

株価が高くなってから買う

株を保有する握力が弱まる状況でありがちなのは「もうそろそろ天井なのかな」という考えが出てきてしまうというものです。短期売買であれば大きく株価が伸びた時期に売買しても問題はありませんが、あまりに急騰した場面では天井懸念がついて回ります。

不安感は致命的に握力を弱める原因なので、なるべく値動きに過熱感が出たタイミングで保有しない方が良いでしょう。上昇トレンドは維持しつつある程度の押し目を作ったタイミングで保有してみるなど工夫が必要です。

ちなみに長期投資の場合は株価が下がっている時ほど利回りも良く将来的なメリットを出しやすいので上がっている銘柄は買わずに様子見した方がうまくいきます。月足などを確認した時に反発しやすいラインを見つけ、長期的に節目を狙っていく方が得策です。

他の銘柄と帳尻合わせをする

全く関係ない銘柄なのに他の銘柄の含み損を補填するためだけに含み益を手放すという考えを持っていると握力は弱まります。例えば銘柄Aで1万円含み損が出ているから銘柄Bの含み益2万円を確定させてトータルでプラスにしてしまおう・・・なんて考えていませんか?

デイトレードでは当日中のリターンをプラスに持っていくためにそうすることもありますが、スイング以上の時間軸ではやりません。

値動きが弱くいつまでも含み損な銘柄を切るのは良いのですが、せっかく株価に勢いがついてきて含み益がもっと伸びそうな銘柄まで手放すのは良くないですよね。銘柄の保有期間というのは個別に設定しているはずなので、長期保有と決めたらちゃんと従いましょう。

保有額や時価総額がリスク許容度に合っていない

株の握力を弱める原因には「単純に保有額が大きくて日々の資産増減にメンタルが持たない」というものもあります。例えば同じ3%の値動きでも

  1. 10万円の保有:3000円
  2. 100万円の保有:3万円
  3. 1000万円の保有:30万円

が資産増減額です。3000円までなら耐えられるという方が100万円も保有するのはおかしい話なので「そもそもいくらまで保有して良いか」はあらかじめ考えておくべきでしょう。

また、時価総額が小さい銘柄はそれだけ値動きも激しいので、許容保有額であっても必要以上に小型株を保有するとこれも耐えられず握力が弱まります。資金管理や狙う時価総額帯も大事な影響因子なので覚えておいた方が良いですね。

お金が無くなっても構わないという覚悟がない

あえて強い表現をしたので語弊があるかもしれませんが、そもそも株の売買は余剰資金で行わないといけません。余剰資金というのは「無くなっても生活が困らないお金」であり、株でいくら損失を出しても生活の安全は守られるというわけです。

この「生活の安全は確保されているという事実」に対する認識が甘いと、例えば短期売買であっても少しの値動きでメンタルが大きく揺さぶられ株を手放してしまうという状況になりやすいのかなと感じます。

「生活には支障が出ないので最悪そのお金が無くなっても構わない」くらいの覚悟がないと値動きにビビることは増えるので、短期売買にはこの意識改革が必要です。それが出来ない人は短期売買には向かないので長期保有株に方向性をシフトしていった方が将来的には幸せな投資ライフを送れると断言します。

ただし、長期投資にシフトしても失敗したケースで多いのは「配当投資と決めたのにすぐ株を売ってしまう」というものではないでしょうか。

長く配当株を保有するということはそのお金を株式に換えて口座に置いておくということになります。つまり資金を凍結しているようなもので本当に必要な時が来なければ現金化することもないでしょう。というか基本的には未来永劫に渡ってお金を生み続けさせることが目的なので現金化するという選択肢はほぼないようなものです。

生活の安全は確保されていてなおかつ長期にわたって配当金を生んでくれる。ここを理解せずに現金を株式に換えてしまうと長期保有もうまくいかないので肝に銘じておいたほうが良いでしょうね。

握力を発揮するべき株とそうでない株

ここまで握力が弱い人の特徴を述べてきましたが、中には握力を発揮しても全く旨みがない銘柄も存在します。

例えば発行済み株式数や浮動株に迫る勢いで出来高が増えているようなケースでは足りない株を奪い合うマネーゲームになっていることが予想されますよね。こういった株は握力を発揮するタイプの銘柄ではなくむしろ弱めて、大きく噴き上げたら少しでも利食いを進めるくらいがちょうど良いと思います。マネーゲームの値動きに中身などないので、参加者としても

  1. いかに上下に値幅を出すか
  2. その中でいかに利益を短期的に取るか

といったことしか考えていないはずです。長く保有し続けるよりは短く値動きを何度も切り取っていくべきですし、相場が終わればみるみる出来高も株価も縮小していくことが多いでしょう。したがって握力を高めるのではなく高値で逃げ遅れないようフットワークを軽くしないといけません。

国内株式市場にはこういった投機的な銘柄が散見され、個人投資家の多くはそういった銘柄の激しい値動きにやられているように感じます。

投機的な銘柄が多い状況は米国に比べて市場規模が小さいということもあるのでしょうが、日本株はそもそも長期保有の文化が育っていないのですぐ手放すのかもしれませんね。米国株は投資を学ぶ若者も多く、長期的にETFや投資信託を保有する人が多いという話も聞いたことがあります。

こういった国民性も個人投資家の握力に影響していそうで、日米の株価指数の伸び具合にこれほど差があるのも納得です。

まとめ

今回は株の握力について色々と述べてきました。握力という表現はどれほど長く株を保有できるかを比喩した表現で、一般的には含み益で発揮するべき能力です。握力が弱い人に多い8つの特徴は

  1. 大した理由もなく保有
  2. 値ごろ感でなんとなく保有
  3. 毎日欠かさず含み益をチェック
  4. 他人に判断を委ねている
  5. 株価が高くなってから買う
  6. 他の銘柄と帳尻合わせをする
  7. 保有額や時価総額がリスク許容度に合っていない
  8. お金が無くなっても構わないという覚悟がない

といったものでした。握力を発揮するべきでない株も中にはありますが、優良株を安く買えたという場合はいつまでもゴリラ並みの握力で握りしめていたいものですね。

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